トランスミッション
原題:trancemission
テクノ?SF?それとも「時計じかけのオレンジ」? 映像×時間×音楽がシンクロする 究極のサイバー空間が解き放たれる!
高橋栄樹監督作品 featuring THE YELLOW MONKEY メインテーマ:THE YELLOW MONKEY「SO YOUNG」(ファンハウス) 企画制作:SEP/制作:SUPLEX INC. 製作・配給:GAGA communications inc.+SPACE SHOWER NETWORKS INC. 配給協力:SLOW LEARNER 1999年/日本映画/カラー/74min/ステレオ/スタンダード
1999年8月2日より俳優座トーキーナイトにて夏休み都内独占ロードショー公開 大阪・パラダイスシネマにて今夏、ロードショー!!
公開初日 1999/08/02
配給会社名 0048
解説
テクノ?SF?それとも『時計じかけのオレンジ』?
映像×時間×音楽がシンクロする究極のサイバー空間が解き放たれる!
意味不明の暗号を使い、先物取引場で働くサラリーマンの松戸.上司からある決断を迫られた時,彼の内部で何かが壊れ始める.突然,目の前に現われる署長,警部,看護婦と呼ばれる謎の者たち.松戸は,脳にメスを入れられ,逃れようとすれば時間を巻き戻され,次第に自己コントロール能力を失っていく…脳を支配された松戸が,最後に見つけたものとは一体何だったのか?これは,あるひとりの男の脳の隙間が生みだす,現実と幻想の境界線を彷徨う人間の内面を描きだした内宇宙SF空間である.
6分間に100カット.めくるめくヴィジョン.スピードを超えた映像が錯綜するバッド・トリップ・ムービー!
一人の男の「外側で起きる現実」と「内面で起きる現実」との往復,斬新で奔放な感性が生み出した錯綜する映像と荒唐無稽なストーリー,彼の混乱を表現するテクノの反復されるビートは,観る者の脳に,多くのメッセージを送り込んでくる.松戸の脳から導き出された映像と音は,わたしたちが日々,無意識に頭の中に描き出しているものなのかもしれない.これは,私たちを取り巻くあらゆるシステムから逃れること,自由への希求を描き出そうとする試みである.映像においてはテクノと同様,サンプリング,ループ,スクラッチなどのテクノ的手法を操りストーリーを展開させていく.炸裂するテクノをバックに,6分間に1000カットもの,スピードを越えた映像をつないだラストシーンは必見!映画は,どこまで音楽に近づくことが出来るのだろうか?
この映画でなければ実現しなかった村上淳・川合千春・THE YELLOW MONKEYの競演
主役の松戸には,『バウンス ko GALS』など,映画を中心に活躍する村上淳.出演作が相次ぐ,最近は本作の他にも『ナヴィの恋』(今秋テアトル系にて公開予定),『ランデブー(仮題)』,安藤尋監督『dead BEAT』などの公開も控えている.看護婦役にはモデルとして「Pee Wee」「装苑」「popeye」誌などのカバーを飾り,TVドラマでも注目を浴びる川合千春.そして今回映画初登場となるのが,日本を代表するロックバンドであるTHE YELLOW MONKEY.89年に,現在のメンバーで活動を始めてから次々とヒットを飛ばし,9thシングル「JAM」は80万枚,13thシングル「BURN」は90万枚を突破,現在までに17枚のシングル,8枚のアルバムを発表している.また,98-99年にかけて系113本を行った“PUNCH DRUNKARD TOUR”は,計55万人を動員し,大好評のうちに幕を閉じたのも記憶に新しい.17thシングルとなる「SO YOUNG」は本作品のメインテーマでもある.
ビデオクリップ界の鬼才,高橋栄樹初監督作品
これが映画初監督作品となるのは,THE YELLOW MONKEYを始め,T.M.Revolution GLAY,Mr.Children,佐野元春などの多くのビデオクリップを手がけ,その独創的な映像世界で“SPACE SHOWER TV MUSIC VIDEO AWARDS‘97”のベスト・ディレクターに輝いた高橋栄樹.ヴィム・ヴェンダース監督『夢の果てまでも』の日本ロケにはアシスタントとして参加.また,本作品にも影響を受けているウィリアム・S・バロウズに関しては,ビデオ・アート作品『Alone at last』を作成し,“JAPAN‘89第二回ビデオ・テレビジョンフェスティヴァル”グランプリを受賞している.THE YELLOW MONKE とは 10thシングル「SPARK」以降のビデオクリップを監督.97年には映像作品『BLUE FILM』を作り上げるなど,数々のコラボレーションを行っている.なお,これは開局から10周年を迎えたSPACE SHOWER TVとGAGAがタッグを組んで完成させた作品である。
ストーリー
先物取引市場で働く松戸は毎日,膨大な暗号リストに囲まれて仕事をしている.その暗号とは,「直腸」「テニス」「配役」などの意味のない言葉や数字の羅列であり,何を示しているのかは,極一部の人間しか知らされていない.何の疑問もなく仕事に勤しみ,家では妻とのたわいのない会話を楽しむ松戸の日常.そんなある日,松戸は上司に,自分の推薦を受けてみないかと問われる.即決をさける松戸に対し,上司は切迫した態度で迫ってくるのだった.
初めて自分の仕事に対し,迷いを抱いた松戸は,突然,頭に激しい閃光が瞬くのを感じ,廊下で倒れてしまう.そして,彼は,車に乗せられどこかへ連れ去られる.頭に浮かぶのは,ブラウン管の中で揺れる球体の映像.上司,妻の顔.そして,自分が倒れる姿….目が覚めると,彼は単調な幾何学模様の部屋に閉じこめられていた.
署長と呼ばれる男に尋問され,警部と呼ばれる男に様々な絵が描かれたカードを見せられて,テストされる松戸.一体ここは,どこなのか? 自分は何処に連れてこられたのか? 彼らは一体,何者なのか? 様々な謎を抱えつつも,松戸は,テストに答えていく.そして,ある絵に対し「組織」と答えた時,一瞬にして彼は,治療台に乗せられ脳にメスを入れられる.再三,繰り返されるテストと治療.そして,松戸は,彼らから,テストに合格し,ある任務に就いてもらうことになったことを告げられる.
会社に戻った松戸の頭には,彼を誘導しようとする看護婦の声が聞こえるようになっていた.混乱する松戸.「俺は誘拐されたんだ」と助けを求めるが,同僚は理解を示そうとせず,松戸は,また治療室に連れ戻されてしまう.そして,君の治療の担当だという男たちに,囲まれた松戸は,仮面をつけられ尋問のように体に電流を流される.
意識が戻ると松戸は,またオフィスに突っ立っていた.夢とも現実ともつかぬ体験に,恐怖心をつのらせオフィスを飛び出していく松戸.しかし,彼の耳にはどこからともなく,我々に協力しろ,と囁く署長たちの声が聞こえてくる.そんな彼の前に,“彼ら”の存在を知るという電気工事人の男が現れる.この男は,松戸の味方なのか敵なのか? 現実であったはずのすべての事柄が信じられなくなった松戸は,電話機,TVを破壊し,彼らからの送信を,必死で遮断しようとする.しかし,時間の自由さえ奪われた松戸は,何度でも,あの幾何学模様の部屋に連れ戻されるのであった.
次第に自分をコントロールをできなくなっていく松戸は,昨日の記憶さえ,ままならなくなっていた.そして,再び電気工事人にあった松戸は,「誘拐されているのではなく,彼らの方から来ているんだ」と教えられる.何処にと問う松戸に,彼は「ここだよ」と自分の頭を指さす.だが,多くを語りすぎた男は,突然意識を失い,その体は冷たくなってしまうのだった.
松戸は,声の誘導に従い,会社の秘密を知るため,レゴブロックのようなもので作った送信機をとりつけることになる.送信機からは,様々な情報と映像が送り込まれてくる.それは,松戸の頭の中に入ると同時に,警部と看護婦の元にも,届けられていた.すべてから解放されたいと願い,ビルの屋上に立つ松戸.だが,飛び降りようとした瞬間,彼は再びあの部屋に連れ戻されるのであった.今や,松戸の脳波パルスは,異常をきたしていた.同じ頃,あらゆる情報を手に入れた警部や看護婦たちは,幾何学模様の部屋だけではなく,現実の世界にも現れ,蠢きはじめた.もはや,松戸には,これは現実なのか,それとも自分の頭の中だけで起こっている悪夢なのかさえ分からない.
再び,上司から呼び出された松戸は,推薦を受けるようにと決断を迫られる.その夜、家に帰った松戸は,愛しているはずの妻の存在さえ,確信できなくなっている自分に気がつく.妻は,まるでその答えを待っていたかのように,彼の前からゆっくりとその実体を消し去っていく.そして,消えゆく妻の声と重なり合うようにして現れたのは,あの看護婦と,自分と同じように仮面をつけられ,体に電気を流されている警部の姿だった.
すべての謎が解りつつある松戸は,その秘密が隠されている会社へと乗り込む.そして,ついに自分の会社が何をやっていたのかを,掴むことになる.上司の元に行った松戸は,彼自身が自分を拘束し,洗脳しようとしていたことを知る.彼は,上司に,自分を利用し,はめようとしたな,と告げる.上司を批判する松戸.と同時に,警部もまた,署長を追いつめていた.錯綜する声と映像.やがて,机に伏した上司の姿は,署長の姿へと変わり果てるのだった.後に残ったのは,松戸と警部たち.しかし彼らも,すべてが終わったかのように,その存在を無くしていくのだった.警部とは,松戸の分身だったのか? 松戸の現実とは,一体何だったのか?
スタッフ
エグゼクティヴ・プロデューサー:田中和彦、案納俊昭
チーフ・プロデューサー:坂井洋一、梶田裕貴
プロデューサー:竹本克明、上野智也、佐谷秀美
ラインプロデューサー:田中敏雄
監督・脚本:高橋栄樹
脚本:小林弘利
撮影監督:藤田直樹
美術:都築雄二
録音:山方浩
音楽:大坪弘人
照明:斎藤智
装飾:赤塚佳仁
音響効果:笠松広司
助監督:大野伸介
制作担当:石田基紀
キャスト
村上淳、川合千春
ザ・イエロー・モンキー(吉井和哉、菊地英昭、廣瀬洋一、菊地英二)
石堂夏央、ロジャー・アレン、森山周一郎(声の出演)
小林瑞希、津田寛治、大川ひろし
伊藤重喜、遠藤直樹、工藤龍生、斉藤史典、進藤浩志、森野晶洋
ジェラルド・ラルシー、ロジャー・スミス、スコット・バークレー
伊崎奈美、麻生真由、星野史帆、大津弥生、並樹史朗、青野武
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