原題:tsuka to kinpatsu

日本映画に”嵐”が吹き荒れる! 5人の監督による5色のセクシャル・ストーリー

1999年日本映画/84分/カラー/スタンダード/モノラル/製作・配給:ギャガコミュニケーションズ/配給協力:リベロ

2000年4月28日よりビデオレンタル開始 2000年1月22日より”MOVIE STORM”新春第1弾、BOX東中野にてレイトショー決定!

公開初日 2000/01/22

配給会社名 0346

解説

日本映画界がミレニアム、新たなる千年期に向けて発進する、新レーベル“MOVIE STORM”。
“エロス”という同一テーマのもとに、個性豊かな日本映画界の異才監督たちがその手腕を競う、ヴィシュアル新世紀のアナーキーなプロジェクトだ。
全5作昆の第1弾を飾る『通貨と金髪』監督したのは望月六郎。’97年度に『鬼火』、『恋極道』でキネマ旬報監督貨受賞の他、あらゆる賞をさらい、さらにはロッテルダム映画祭他各国の映画祭で特集上映が組まれるなど、今最もあぶらが乗りきっている、日本映画界の(自らも)金髪の獅子である。
近年、アウトローに生きる“ネオ・ノワール”な男たちの傷みを描いて世界的な評価を得た望月監督だが、ここでは一転、全編デジタル・カメラ撮りによる機動性に重点を置き、オフビートでフットワークの軽い、キッチュなエロスに挑むのだ。
大学で経済学を講義する中年助教授。この男の隠された性癖はブロンド・フェチ。金髪の外人女を見ると、何かのトラウマでもあるかのごとく,自尊心もかなぐり捨て、マゾヒスティックに隷属してしまう。ある日,大学にアメリカからの留学生.美しきブロンドのアンナがやって来た。助教授の倒錯した性向を見抜いたアンナは、スーツケースに裸で横たわることを強要、いたずらにサディスナックな行為をもてあそぶ。もはや、中年男の金髪女へのゆがんだ愛情はとめようもなく−。
あの敗戦から、アメリカの言うがまま、なすがままに、ひたすら金を求めて生きてきたこのニッポン。あげくの果てがバブルの崩壊、自己破産。いじけた、ねじけたアメリカヘの、資本主義へのあの愛はナニ!?お金はドコヘ!?それは、中年経済学者とブロンド娘の、SMなセックス・ゲームにオーバーラップしてゆ<一!? 監督デビューの頃のピンク映画を撮っている時のような、自由な気持で仕事が出来た、と落る望月監督自身が脚本も担当。デジカム撮りなら、パンクでアナーキーなノリじゃなきゃ面白くないと、前代未聞のスタイルをぶち上げたのだ。 経済論がサドマゾ論ヘファイナンシャルがフェティシズムに転化して、性と政治が、経済がせめぎあう、見た事毛聞いたこともない経済学ポルノ”エコノミック・エロス”! 主演は、長崎俊一の『死国』や黒澤清『CURE』『ニンゲン合格』などの個性派俳優として知られる諏訪太朗。かつての自主映画制作仲間、内藤剛志や室井滋らが大活躍するなか、待望の諏訪太朗、ついに実力全開の時来たる。裸でトランクに詰め込まれ、その格好で衆目の西新宿の雑踏を引かれゆく体当たり演技。屈折した中年男の心情を、味のあるプロフィールで見事な好演ぶり。 自宅を金髪に染め、激しい漏れ場で美しいヌードを披露する、アンナ役の木村衣星は注目の新人。また、駅で投身自殺する謎の男にラサール石井が特別出演。作品の重要な鍵を握っている。 その他、”君が代”を歌えぬホテトル嬢にAVで活躍の大原里美が、就職難民の学生に佐藤幹雄、大見恵子が、金髪ストリッパーにソフィアらが出演、脇を固めている。 撮影は『死の棘』などで日本アカデミー最優秀撮影賞に輝くベテラン安藤庄平が、小さなデジカムをかかえて軽快なフットワークを見せているのもまた興味深い。照明は白石成一、音楽は遠藤幸二がユニークなスコアを担当した。 ラストはブラックでショッキングなオチが待ち受けるが、何故か希望もわいてくるその展開。底を打った、ニッポンの再生はこの“エコノミック・エロス"から始まる!か?

ストーリー

城東大学経済学部助教授・高坂朝雄(諏訪太朗)は、やる気のない学生を相手に、手応えのない授業を繰リ返していた。
ある目、大学にアメリカから留学生がやって来る。美しい金髪と豊満な肢体の美人女子大学院生・アンナ(木村衣里)である。いつしか高坂は助教授の立場も忘れ、美しいアンナの金髪に性的妄執をたぎらせるようになった。
アンナにデートを申し込む高坂だが、風采の上がらぬ中年男は鼻でせせら笑われるのみ。その叶わぬ想いを、外人ストリップバーのダンサー・リンダ(ソフィア)に金を握らせ、重ねあわせる高坂だった。
高坂は通勤途上の駅のホームで、しばしば謎の男(ラサール石井)に話しかけられる。このホームで投身自殺したサラリーマンの事、ひたすら金だけを求めて生き、バブルはじけて抜け殻となったこの国の事。
無視しようとしても、男は話をやめない。実は、TVの売れっこエコノミストだった高坂も株で失敗し、自己破産を申請中。今や、老人のタンス預金を相手に、怪しいブローカーまがいに手を染める、堕ちゆく日々だ。
そんな高坂の自虐的な気持ちに感づいたアンナは、どんな辱めもいとわない高坂を、愛人ダニエル(ダーリン)とのセックスのダシに利用する事を思いつき、スーツケースに高坂をつめ込んでマンションに運び入れた。
アンナに必要とされるなら、自尊心も忘れて、裸でスーツケースに横たわる高坂。ゆがんだ愛情を、アンナはいたずらに扇情してゆく。裸で身動き出来ぬまま、果ててしまう高坂に尊厳はない。
ホームの男が、またも高坂に話しかける。セックスの趣味はお金と一緒。いくら求めてもきりがない。本当に欲しいのは、琴一高坂がそうつぷやいた瞬間、男は電車に身を投げる。
”君が代”も歌えぬホテトル嬢(大原里美)を買い、リンダにセックスを見せつける屈折した代償行為でも、もはや高坂のアンナヘの妄執は止められなかった。
帰国準備をするアンナのマンションヘ向かった高坂は・・・。

スタッフ

監督・脚本:望月六郎
音楽:遠藤幸二
撮影:安藤庄平
照明:白宿成一
録音:沼田和夫
編集:矢船陽介
エグゼクティブプロデューサー:伊藤秀裕
制作:エクセレントフィルム
製作・配給:㈱ギャガ・コミュニケーションズ
配給協力・宣伝:LIBERO

キャスト

諏方太朗
ラサール石井
木村衣里
ソフィア

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