原題:Minnie and Moskowitz

信頼から生まれる愛

1971年/114分/ヴィスタ/カラー/配給ビターズエンド

2000年4月8日よりシネアミューズにて公開

公開初日 2000/04/08

配給会社名 0071

解説

素直になれない女と超純粋な男

大きな六角形のサングラス、プラスティック製の赤い薔薇の髪留め、サイケなブラウス…キッチュな70’sスタイルも魅力的なミニーを演じるのはジーナ・ローランズ(『グロリア』)。映画のような恋愛を夢みても、現実ではうまくいかず、プライドと孤独の狭間で揺れ動くミニーの心を、持ち前の繊細さで見事に表現している。
そしてシーモア・カッセル(『イン・ザ・スープ』)が、経験豊富で何にも束縛されず、人を愛することの素晴らしさを知っている粋な風来坊モスコウィッツを愛嬌一杯に演じる。この二人が絶妙のコンビネーションでみせる、男女の心が通じ合うまでのやりとりがあまりにもどかしく、思わず応援したくなる。

カサヴェテスとジーナの恋物語

監督カサヴェテスと主演のジーナは夫婦として、そして監督と女優として最高のパートナーであり続けたアメリカ映画界伝説のカップル。本作はカサヴェテスのジーナへの情熱的な求愛がモデルになっている。カサヴェテスの一目惚れ、二人の気性のぶつかり合い、移民の息子と政治家の娘という出身の違い、彼の嫉妬、結婚式での笑えるエピソードなどがモチーフとなり、この映画が誕生した。
女性が白馬の王子様を待ち続けるのは本能だと言う彼が、その本能に男性がいかに立ち向かうかというひとつの“お手本”を示す、最高にハッピーな傑作である。また『フェイシズ』『ハズバンズ』と本作は、彼が一貫して描いた愛について、とりわけ結婚をテーマとしカサヴェテスの結婚三部作と呼ばれている。

ストーリー

美術館で働くブロンド美人、ミニー・ムーア(ジーナ・ローランズ)。何でも持っているはずなのに、彼女の心は満たされない。長髪ヒグヅラのアルバイト青年シーモア・モスコウィッツ(シーモア・カッセル)。彼はミニーに一目惚れしたおかげで失業してしまう。ミニーに猛烈アタックするモスコウィッツだが、「共通点がない、理想の恋人じゃない」と相手にしてもらえない。彼女の高飛車な態度にキレつつも、愛する気持ちは抑えられず、またミニーに会いに行くモスコウィッツ。

彼にとっては二人の違いなどクソ食らえなのだ。愛情表現も直球で、悪いところは指摘し、心から彼女のことを思うモスコウィッツに、ミニーはそれまでの恋人には感じなかった、人間的な信頼感を抱くようになる。粗雑だが包み込むような彼の愛が、彼女を変えてゆく。
何の共通点も持たない男女が出会い、反発しながらもお互いを認め合い、信頼から愛が生まれる。純粋で不器用な二つの心、その感情の流れを、小気味よいジャズをバックにユーモアをちりばめながら描き出した、心暖まるラヴ・ストーリー。

スタッフ

監督:ジョン・カサヴェテス

キャスト

ジーナ・ローランズ
シーモア・カッセル
ジョン・カサヴェテス

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