原題:THE MAKER

ジョナサン・リース・マイヤーズ幻の初主演作品 強盗、恋愛、ドラッグ…青春を持て余すLAの高校生。

1997年アメリカ映画/カラー/シネマスコープ/100分/日本語字幕:岡田壮平/提供:メディア・ラボ、アミューズ 配給:アミューズ

1999年7月31日よりシネ・アミューズにて初夏公開

公開初日 1999/07/31

配給会社名 0325

解説

大ヒット作『ベルベット・ゴールドマイン』でグラムロックのカリスマ的ミュージシャン、ブライアン・スレイドを演じ、その完蟹な美貌で世界の映画ファンをノックアウトしたジョナサン・リース・マイヤーズ。彼がこの作品の前に初めて主演した幻の映画が『ザ・メイカー』です。当時、彼はまだ19歳。妖しく艶めかしいメイクで、まさにグラマラスに輝いていたブライアンとは打って変わリ、少年の無垢な美しさをたたえて、フレッシュな魅力にあふれています。マイヤーズはこの後もアン・リー監督作品やミニー・ドライバーとの共演作など話題作が目白押し。彼の原点ともいえるこの映画は、ファンならずとも必見、要チェックなのです。
ここで描かれるのは、現代のロスで様々な悩みを抱えて生きる一人の青年の姿。若者ならどこか自分と重なってくるような等身大のキャラクターが、見る者の共感を誘います。ジョナサン演じるジョシュは、18歳の高校生。2歳のときに両親が交通事故で死んで以来、ミレン家の養子として育てられた。抜群の記憶力で成績も優秀。大学の試験にも合格したが、そんな平凡な未来に何か物足りなさを感じている。悪友たちと一請に郵便物を奪い、開討して金目のものだけをいただくのがフラストレーションのはけ口。そして、鬱屈した気分を発散させてくれるのはドラッグだけだった_。青春を持て余し、自分の居場所を探している、そんなジョシュの前に、突然、10年前に家を出て以来音信不通だった兄ウォルターが現れる。かつて自分を捨てて出ていった兄ウォルターに対する愛憎半ばする複雑な気持ち。ジョシュは謎めいた兄に対する憧れと、不透明な将来に対する不安感、刺激を求める若さゆえの焦燥感から、兄の“ビジネス”に引き込まれていく。そして、幼いころからジョシュを悩ませていた“悪夢”の謎もしだいに明かになってくる…。

誰もいない暗い廃墟、フラッシュのように瞬くショッキングな情景、空気を切り裂くような女の声…。兄の登場と、彼が明かした“悪夢”の驚くべき真実が、ジョシュの人生を思わぬ方向へと押しやっていく。
悩める青年ジョシュを悪の道に引きずり込もうとする兄ウォルターに扮しているのが、マシュー・モディーン。かつて『バーディ』などで繊細なキャラクターを演じてきた彼が、ジョナサンと見事なアンサンブルを奏でながら兄弟の複雑な心の縛を表現しています。また『フェイク』のマイケル・マドセン、『ブロードウェィと銃弾』『ボーイズ・オン・ザ・サイド』のメアリー・ルイーズ・パーカーが、印象的な演技で画面を引き締めています。シャープな映像とエモーショナルなドラマをミックスさせ、ジョナサンの魅力を全開させた監督は『テックス』『リバース・エッジ』のティム・ハンター。そして『バウンド』や『暗殺者』を手がけたアンドリュー・レイザーがプロデュースにあたっています。

ストーリー

聡明だがどこか陰のある青年ジョシュ(ジョナサン・リース・マイヤーズ)。そんな彼の18歳の誕生日に、兄ウォルター(マシュー・モディーン)が突然ミレン家にやって来た。二人の両親はジョシュが2歳のときに自動車事故でこの世を去り、その後兄弟は里親ミレン夫妻のもとで育てられた。しかし、ウォルターは18歳で家を出て以来連絡も途絶え、弟の前に姿を見せるのは実に10年振りのことだった。ジョシュは幼いころからいつも一つの悪夢に悩まされていた。彼は友人と一緒に郵便物を盗んだり、ドラッグをやったりしながらも、養父母の期待に応えて大学に進学することを決めていた。しかし、突然の兄の帰還に心穏やかではない。かつて自分を拾てて家を出た兄に対する複雑な思い。ウォルターは自らの手をナイフで傷つけ、幼いころの“盗賊兄弟の血の誓い”を思い出させようとする。
数日後、“運送と保管のビジネス”に携わっていると言うウォルターは、ジョシュを仕事に誘った。ウォルターはジョシュと相俸のフェリス(ジェシー・ボレゴ)に制服を渡し、3人は運送業者を装ってトラックに乗り込んだ。大きな屋敷に到着した彼らは、屋敷の家具調度品を根こそぎ運び出し、故買屋スカニー(マイケル・マドセン)のもとへと移送する。それがウォルターのビジネスだった。途中、トラックのエンストで警官に職務質問されそうになったとき、機転をきかせて場を取り繕ったジョシュをウォルターは誇らしげにみつめる。どんな状況でもうまく仕切る“メイカー”であれ。支配権を決して手放してはいけない。それが兄の教える哲学だった。
ジョシュは以前献血センターで出会った年上の婦人讐官エミリー(メアリー・ルイーズ・パーカー)に心惹かれていた。ある日、彼は、彼女の行きつけのバーに出向き、例のビジネスで手に入れた日本の“根付け人形”をプレゼントする。そして、一緒にダンスを踊りながら、二人でメキシコで暮らす夢を語る。ジョシュがいつもの悪夢で目覚めたその日、ウォルターは彼をとある倉庫に連れて行く。それは悪夢に出てくる場所だった。ウォルターはうち明ける。二人の両親は、組繊の金をネコババしようとして惨殺されたのだ、と。2歳のジョシュはこの現場を目撃していたのだ。悪夢は現実だったのだ。当時の新聞記事を見せながら「お前にも犯罪者の血が流れている」と言うウォルター。大学に行って凡庸に生きるか、ウォルターについていくか…ジョシュは二つの選択肢の間で苦悩した挙げ句、兄の新たな仕事を手伝うことにする。

今回は、教急隊員に偽装して移植用の心臓を盗み出すという仕事だった。それを知ったジョシュはなんとか思いとどまらせようとするが、今さら聞き入れるような兄ではない。ウォルターの眼に自分とは異質な冷酷さを感じ取ったジョシュは、そこで確信する。自分と兄は、たとえ血がつながっていても決して同胞ではない、と。結局、彼らは心臓を運び出し、取引の現場へと急行する。しかし、現場ではスカニーが彼らを待ち伏せしていた。フェリスはもみ合いのなかで撃ち殺され、ウォルターも銃弾を受ける。「殺さなければ殺される」と、ジョシュに銃を渡してスカニーを殺すように言うウォルター。遠くで聞こえる銃声…。
ジョシュは瀕死のウォルターを草に乗せて家に向かった。彼は、さきほど病院で隙を見て心臓をこっそり返してきたことを打ち明ける。やがてウォルターは息を引き取った。そのとき再び、スカニーが車で襲ってくる。なんとか家に辿り着き、ガレージに立て籠もったジョシュは、兄の死体に向かって「どうすればメイカーになれるの」と眩く。ジョシュはウォルターの死体の隣に横たわり、自分も死んでいるかのように見せかけて、スカニーの注意がウォルターに注がれたところを見計らって彼を撃ち殺す。そして二人が相撃ちで死んだかのように兄の手に銃を握らせた。
間もなくパトカーが到着し、ガレージにエミリーが入ってきた。震えて壁にもたれかかっているジョシュ。その光景は誰が見ても相撃ち。ジョシュの策略は完壁だった。真実を知るのは彼だけ…。メキシコの夢がジョシュの脳裏をよぎるのだった。

スタッフ

監督: ティム・ハンター
脚本: ランド・ラヴィッチ
プロデューサー: アンドリュー・レイザー、デミトリ・サマハ
エグゼクティブ・プロデューサー: エリー・サマハ、アヴィ・ラーナー
                ダニー・ディンボート、トレヴァー・ショート
プロデューサー補: ランド・ラヴィッチ、ジョディ・ヘディエム
          ボアズ・デヴィッドソン
キャスティング: メアリー・ジョー・スタイレー,CSA
         ブルース・E・ニューバーグ
音楽: ポール・バックマスター
編集: スコット・チェストナット
衣裳: ロザンナ・ノートン
プロダクション・デザイナー: ジョーン・アン・スチュワート
撮影: ヒュベール・タクザノウスキー
製作: ヌー・イメージ、ミレニアム・フィルムズ
    デミトリ・サマハ・プロダクションズ
    マッド・チャンス・プロダクション

キャスト

ジョナサン・リース・マイヤーズ
マシュー・モディーン
メアリー・ルイーズ・パーカー
ファイルザ・バーグ
マイケル・マドソン
ケイト・マクレガー・スチュワート
ローレンス・プレスマン
ジェフ・コバー
マシュー・デヴィット・ジェームス
マーク・ウォーデン
ジェシー・ボレゴ

LINK

□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す