原題:Maitresse

現代女性に問いかけられた“メトレス” —自立する愛人という生き方。

1999年/日本映画/102分/配給:松竹株式会社 製作:松竹株式会社、株式会社東北新社、株式会社東北新社クリエイツ

2000年9月21日よりビデオレンタル開始 2000年2月19日(土)より銀座シネパトス、新宿ピカデリー4にて愛のロードショー

公開初日 2000/02/19

配給会社名 0051

解説

あの「失楽園」の原点となったベストセラー小説を完全映画化!

常に“新しい女性像”を描き続ける渡辺淳一が、また一人センセーショナルな女性を生み出した!“メトレス”それは自立する愛人。「うたかた」「失楽園」など数々のベストセラーが連なる渡辺作品からは、いつも時代の恋愛のキーワードが生まれてきたが、本作のタイトルとなる『メトレス』もまた、いままで日本では呼び名もなかった現代女性の生き方に、印象的な名を与え、世間の注目を喚起するに違いない。
原作は1988年5月から翌年2月まで週刊文春に連載され、1991年に単行本になった同名小説。その世の中の常識やモラルに波紋を投げかける恋愛観で、「失楽園」で頂点に達する不倫ブームの先駆けとなった作品である。主役の川島なお美は、この物語のヒロイン、片桐修子のイメージにぴったりで、渡辺淳一も彼女が抜擢されると知り映画化を快諾した。小説で、TVで、映画で、多くの女性ファンに支持される渡辺作品の待望の映画化は、また新しい恋愛文化を生み出そうとしている。

現代女性に問いかけられた“メトレス”
—自立する愛人という生き方。

 メトレス(maitresse)は本来“(女性の)主人”を表わすフランス語。転じて“愛人”という意味も持つ。しかし、日本語でイメージされるところの暗さや後ろめたさとはまったく無縁である。妻子ある男性と恋愛関係にありながらも、結婚にはこだわらず、自分の仕事を持ちしっかりと自立している・・そんなポジティブな“愛人”を指している言葉である。ボーボワールが、サルトルのメトレスであったように、あるいはフランスのクレッソン首相がミッテラン大統領のメトレスであったように、女性の身で一流の仕事をこなしつつ、一方で特定の男性と深く付き合っている女性、という意味になる。本作『メトレス』の主人公・片桐修子もまた、大学教授との不倫関係にあって人生に不安定さを感じていたが、この“メトレス”という言葉に出逢い自分の人生を見つめ直していく。平均結婚年令が高く、女性の社会進出があたり前のいま、結婚に踏み切らず生涯の仕事と自由な恋愛の両立に葛藤する“メトレス”な女性は意外に多いのかも知れない。許されぬ恋愛に溺れながらも、一流のソムリエとしての仕事も守ろうとする主人公に、自分自身を見てしまう女性は決して少なくないはずだ。

「わたしの血はワイン」の川島なお美が、遂にソムリエに!

 主人公の片桐修子には、TV版「失楽園」でも渡辺作品に出演した川島なお美。異例の濃厚な濡れ場で話題をさらったが、本作はR指定の劇場公開作品ということもあり、さらに激しい愛欲シーンを披露する。炎や夕日に艶めく姿態には、あらためて息を飲む思いだ。彼女がソムリエの役を演じるのも話題のひとつで、デカンタやナイフの巧みなさばき方や“利きワイン”のシーンには興味をそそられる。また、環境学専攻の大学教授、遠野晶平に三田村邦彦、修子に想いを寄せる営業マンに石橋保、友人に大島さと子、ソムリエの後輩に大河内奈々子を配役。遠野の妻、美智子にロック歌手のりりィ、大学学長役に現・法政大学教授でもある田嶋陽子等の異色キャストも配した。
 監督は「静かなる首領(ドン)」シリーズなどで確かな演出力が評価されている鹿島勤。共同脚本はジェームス三木、音楽は三枝成彰が担当。アンニュイなラテン調のメロディが印象的な主題歌「夕陽の中に」は森山良子が歌う。

ストーリー

ワインと料理の絶妙な取り合わせを、素晴らしい結婚にたとえて“マリアージュ”と呼ぶ。銀座の高級フランス料理店でソムリエとして働く片桐修子にとって、お客様に最高のマリアージュをご提案することは、生き甲斐であり、誇りでもあった。しかし、妻子ある大学教授・遠野晶平と不倫関係にある彼女は、こと自分の結婚のこととなると確かな未来が見えてこない。迷いがないと言えば嘘になる。そんな彼女が出逢った言葉は“メトレス”—愛しあっていても愛に縛られない、仕事を持ち自立する“愛人”—彼女はこれこそ自分が求める生き方だと考えた。「結婚だけが最良の選択じゃない。結婚したときから愛は惰性に変わる。ならば、逢えるときだけ熱く燃えるメトレスでありたい」と。
 だが、修子の誕生日の夜、遠野は100万円の預金通帳を差し出し、毎月20万円の支払いを申し出る。男性に頼って生きる女にはなりたくない—通帳を突き返した修子だったが、彼女が理想とする“メトレスの関係”は、すでに崩れはじめていた。そして数日後、2人の関係が家族に知れてしまったことで離婚を決意した遠野は、修子に結婚を迫る。金を受け取らず、結婚も望まず、自立して仕事することにこだわる修子に、遠野は次第に焦りを覚えはじめてもいた。彼女の愛と献身をますます要求しはじめた遠野を前に、仕事に生きるべきか、愛のみに生きるか、修子は重大な決断を迫られていた—!?

スタッフ

原作:渡辺淳一(文春文庫刊)
監督:鹿島勤
製作:植村伴次郎
脚本:ジェームス三木、鹿島勤
音楽:三枝成彰
主題歌「夕陽の中に」:森山良子(ポリドール

キャスト

片桐修子:川島なお美
遠藤晶平:三田村邦彦
岡部要介:石橋保
絵里:大島さと子
遠野美智子:りりィ
遠野聖子:小野麻亜矢
馬場:田山涼成
峯尾洋子:大河内奈々子
学長:田嶋陽子

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