原題:Spicy Love Soup

愛は人生の特効薬! 中国四千年、愛のレシピ、恋のメニュー、冷めないうちにアッアッで。

☆'98東京国際映画祭コンペテイション正式参加 ☆'98中国映画金鶏奨最優秀新人監督奨 ☆'97中国映画華表奨最優秀新人監督奨 ☆'98ロンドンイーストウエスト映画祭オープニング作品

1998年中国映画/1時間49分/ヴィスタサイズ/カラー ドルビーステレオ/提供:TBS、アウラ、東光徳間/配給:東光徳間

2000年5月17日よりビデオレンタル開始 1999年10月30日よりシネスイッチ銀座にて公開予定!

公開初日 199/10/30

配給会社名 0581

解説

人生には、忘れられない味がある。サワーな初恋、スウィートな恋愛、そして別れのビターズ・テイスト。恋愛は簡単だが、結婚は難しい。愛し合うのは簡単だが、共に暮らすのは難しい。パリのカフェでも、ニューヨークのレストランでも、東京のホテルでも。そして、北京の街かどでも…。それでも、皆な恋してる!
世界中が驚き、拍手した、とってもおいしい、おかしくも切ないラブ・ストーリーの傑作、『スパイシー・ラブスープ』を召しあがれ。原題にある“マーラータン”とは四川料理で、いかにも辛そうな唐がらし色のスープと、あっさりした白濁の二色のスープが分れた火鍋。しゃぶしやぶ風の鍋料理。今や北京や台北や香港でも大人気。日本でもグルメの間で、そのスパイシーな味わいがやみつきになってブームのきざしが。ドラマはこの火鍋をつついている、結婚を控えた若い二人から始まります。このカップルのラブ・ストーリーが、まるで料理の味を活かす相性のいいワインとなって、少年期から初老まで、異なった世代5組の男女の、恋のア・ラ・カルトがテーブルに並びます。最初の皿は、好きになった少女の声を盗み録りしたテープを編集する少年の淡い初恋。二つ目の皿は定年退職した看護婦が老後の伴侶募集に応じた男たちと麻雀をするが_という黄昏の恋。三皿目はジンクス5年目で倦怠期のカップルが、ベイビーという新しいおもちゃを手に入れたら。四皿目には、離婚を決めた両親のために、一人息子が作る愛の特効薬入りの手料理が。そして最後の皿は、ファインダーの中に見た女性との出逢い、すれ違い、再会、またすれ違うカメラマンの激しい恋。そうそう、そして火鍋カップルの結婚生活の行方やいかに_。
一口すすればユーモラスに、もう一口すすればまったりと楽しく、やがてピリッと辛さがハートを刺激。これが噂の『スパイシー・ラブスープ』。恋することの喜びと、愛することの悲しさがギュッとつまって、昨年の東京国際映画祭でもコンペ部門に正式出品、真っ先にチケットが売り切れ、超満員の観客の支持を得た話題作。監督はこれが劇場映画デビューとなるチャン・ヤン、29歳の若き新鋭。『蜘蛛女のキス』の舞台演出や、超人気アイドル、アイ・ジンのMTVなどで期待を集め、待望のデビューです。その斬新な感性と映像感覚は、エピソードごとに演出タッチを変えた巧みさに見て取れます。しかも、各エピソードが甜(あまい)、辣(からい)、酸(すっぱい)、塩(しょっぱい)、麻(しびれる)という料理のエッセンスに由来するという隠し味。さりげなくドラマ内に料理が供される裏ワザもみごと。また、スタッフも全員’60年代後半以降に生まれた、“自分たちの観たいものを自分たちの手で”と集結した精鋭チーム。企画、製作のピーター・ロアはアメリカ人。アメリカで実験映画を製作、日本のアミューズ勤務を経て、台湾の資本協力で藝瑪電影技術有限公司を北京に設立。インディーズ作品としてこの第一作をプロデュース、西安映画製作所の協力を得、’98年2月14日に上海を皮切りに全国公開。中国では『タイタニック』に迫る大ヒットを記録。東京国際映画祭、ロンドンイーストウェスト映画祭、インド映画祭、サンディエゴ映画祭等、数多くの映画祭に招待作品として参加しました。撮影は『北京バスターズ』『東宮西宮』など常に問題作を手掛けるチャン・チェン。大都市・北京に生きる人々を同時代的に実感させたいという狙いで、一切セットを組まずオール北京ロケ。インテリアもワードローブも全てリアルな北京ライフ。そこには世界中の大都市と、何ら変わらぬ愛と喜びが息づいています。
出演は『青い凧』のリュイ・リーピン、プー・ツンシンらの他、エミール・チョウやジョナサン・リーらのミュージシャンが友情出演しているのも話題に。彼等の曲はもちろん、カレン・モク、ターシー・スー、サンディ・ラムら、香港、台湾で人気の中国系ポップ・ミュージックのアーティストが楽曲を提供し、ふんだんに使用されているのも画期的なこと。それはそれはとてもクールなサウンド・トラック。
さあ、この『スパイシー・ラブスープ』をあなたは誰とつつきますか?

ストーリー

「辛すぎないか?」「おいしいわ」レストランで入気の鍋、マーラータンをつつく絡婚
まじかな恋入たち。翌日、男は女の両親に初めて会うことに。鍋のせいで腹をこわした男を待っていたのは、またもマーラータンだった。男がトイレに駆け込むとヘッドフォンをした少年が出てくる。

エピソード1《声》
アイ少年は音が大好き。あらゆる音を小型デッキで録音しては楽しんでいた。そして今日、彼は世界一美しい音に出会った。白いワンピースの似合う同級生、リンの声に恋をしたのだ。彼は密かに彼女の声を録り続け、自分の声を交えて編集した。…「僕のこと好き?」『好きよ』「もし僕を好きなら、月曜日に白いワンピースで来て」…リンはもらったテープを聞きながら眠ってしまう。翌日アイは父親と職員室に呼び出された。テープ盗み聞きしたリンの母が先生に言いつけたのだ。テープは全部父に捨てられた。ゲームセンターで彼女が「好き」と言った曲をリクエストするアイの前にリンが現れ、気まずい空気が流れる。放課後の教室「もう許して」と涙ぐむリンにアイは尋ねた。「もしあんなことがなかったら、月曜日にあのワンピースで来てくれた? 」リンは黙って出ていった。すべて終わりだと落ち込むアイ。だが、月曜日、ワンピースで校庭を歩くリンの姿を遠くから見て、アイの顔に笑顔が戻るのだった。部屋でじゃれあう恋入たち。つけっぽなしのテレビから初老の女佳の声がする。「…私は第二の入生を、知的で人の気持ちがわかる、志が阿じ方と募らしたいのです」

エビソード2《マージャン》
リー夫人は離婚して娘のソンヨンとふたり暮し。生活を変えたくて、テレビの結婚相手募集番組に出たところ、数え切れないほどの手紙が舞い込んできた。とてもひとりに決められず途方に暮れる母に、ソンヨンは「即決しなきゃ。私にまかせて。」と頼もしい。ついに男性が家を訪ねて来た。が、娘の企みで3人が鉢あわせすることに。退役軍人のチェン、高齢者ダンス教室のスン、書籍編集者のチャオだ。ソンヨンは「麻雀でもしてて」と買い物に出る。はじめは気まずかった4人だが、卓を囲むにつれ、それぞれの人柄が明らかになっていく。それぞれが得意な料理、ダンス、アコーディオンを披露して打ち解けていく。こんなに賑やかなのは久しぶりだ。4人はすっかり友達になってしまった。結局、マージャン卓を囲んだ3人からは相手を選べなかったリー夫人だが、偶然出会った書道家と再婚することに。これが縁というものなのだろう。婚約指輪を選ぶ恋入たち。素敵な指輪は予算オーバー。だが指輪がはずれない。やっとはずれた指輪を再び女の薬盾にはめる男。「買ったのさ」キスの嵐が男に峰り注ぐ…

エピソード3《おもちゃ》
シャオホイとチンは結婚5年目で倦怠期。シャオホイは妻の家事に文句を言い、チンは優しい言葉ひとつない夫にうんざり。チンの誕生日、プレゼント選びに投げやりな夫の態度に怒ったチンは、勢いで男の子が遊んでいたラジコンカーを買うことに。ところが、おもちゃの楽しさが生活を変えた。続々とおもちゃが増え、ゲームで負けた方が家事をすることに。家は活気に満ちてきた。人形を操り愛を囁くうちに「こんな素敵な夜は奇跡が起きそうね」と抱き合うふたり。夫は子供を欲しがっていた。ところが、危機もおもちゃがもたらした。格闘ゲーム中にシャオホイの浮気が発覚したのだ。激怒したチンは家出。シャオホイはひとりおもちゃで遊ぶはめに。が、突然チンは帰宅し、水着でベランダに横たわる。ハネムーンの再現らしい。呆気に取られながらもごっこに加わり、仲直りするシャオホイ。待望の子供ができたのだ。いまだにふたりはおもちゃの虜だ。真の生活とは何なのかはわからないが、今ふたりは幸せを感じている。結婚屈を出した恋入たちと入れ違いに、10才の少年トンが役所に駆け込んでいぐ。

エピソード4《十三香》
トンの両親、チアンとホイは離婚手続きに来たが、用意した結婚証書がなく受理されなかった。トンか隠していたのだ。パパもママも一緒に暮らしたい、と運命判断のおばあさんに相談すると、幸せな家族が築ける十三香(辛味、苦味の粉末調味料)をくれた。トンは貯金箱の小銭をかき集め、スーパーで食料を買いこむと、テーブルいっぱいの料理を作った。味の決め手はあの十三香だ。ポケベルで両親を呼び出すトン。きまづかった両親も、息子のごちそうと台所での奮闘話に、食後にカラオケでデュエットをするまでになった。トンの作戦は大成功に思えた。トンが眠った後、暗い台所で皿を洗うホイを抱きしめるチアン。柔らかい気持ちが通いかけた時、静寂を裂くように皿が滑って割れた。再発行した証書で昼に離婚手続きを終えていた。もう後戻りできない…。翌朝、離婚を告げられたトン。パパとの最後のにらめっこも、泣き顔になってしまう。結婚写真を撮る恋人たち。カメラマンのファインダーが、ある少女の横顔をとらえた…

エピソード5《写真》
カメラマンのシャオワンは、ユイチンの美しさに一目惚れして夢中でシャッターを押した。彼は彼女を毎日見つめ続け、その情熱は彼女のハートに届き、ふたりは暗室で結ばれる。だが翌朝、彼女は何も言わずに消えていた。意気消沈したシャオワンは、地方の仕事を引き受け車で町を去った。行き違いで戻ったユイチンが肩を落として歩いていると、通りには故障車を修理するシャオワンの姿が。物も言わずに抱き合うふたり。突然の激しい愛にとまどった彼女は、心を整理するため北京を離れていたのだ。「縁を信じる? 」「信じるわ。毎日顔を合わせても、永遠に見抜けない人がいる」「でも一度の出会いで一生が変わる人がいる」「もう二度と離れない」ふたりは、シャオワンの部屋で一夜を共にした。次の朝、ユイチンは朝食の油条(ヨウティアオ=揚げパン)を買いに外に出た。しかし行けども行けども彼の部屋へたどり着けない。鍋を抱えて途方に暮れる彼女を、同じ形の高層アパートが取り囲んでいる…
結婚式。「共に白髪の生えるまで末永く! 」のかけ声で、粉を吹ぎかけあう新婚カップル。これから何があるかはわからない。でも今日のふたりは満面の笑みで寄り添っている。

スタッフ

監督・脚本: チャン・ヤン
企画・プロデャーサー: ピーター・ロア
脚本: チャン・ヤン、リウ・フェントウ、ティアナ・イーオン
撮影: チャン・チエン
美術: チャオ・ハイ
音楽: チア・ミンシュー
録音: ウー・ラーラー

キャスト

(声)
ホイ: リュイ・リーピン
アイ: チャオ・ミアオ
リン: オカ・ユアンユアン
(十三香)
チアン: プー・ソンシン
シャオホイ: クオ・タオ
(おもちゃ)
シャオフォイ: クオ・タオ
チン: シュイ・ファン
(写真)
シャオワン: シャオ・ピン
ユイチン: シュイ・チンレイ
(マージャン)
リー未亡人: タン・スーフー
チャオ: ウェン・シンユイ
チエン: リウ・チエ

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