原題:SIBERIA

だれがイカサマか。そして見事シベリアにたどりついたのは誰だ!?

1998年 ユトレヒト映画祭出品 ハンブルグ映画祭出品 ストックホルム映画祭出品 オスロ映画祭出品 ロッテルダム映画祭出品 ディジョン映画祭出品 1999年 ロッテルダム映画祭出品

1998年/オランダ映画/カラー/ドルビーSR/1:1.85/91min 字幕翻訳:石田泰子/配給:シネマストリーム シネカノン

2000年7月5日よりビデオカセット発売 1999年8月14日より 渋谷・シネアミューズにて公開予定

公開初日 1999/08/14

配給会社名 0034/0108

解説

『アムス→シベリア』はロバート・ヤン・ウェストダイク監督とプロデューサーのクレア・デ・コーニングの第2作目である。前作『リトル・シスター』(95)は個人投資によって$60,000というわずかな予算で作られた。しかしオランダ本国のみならず22カ国で公開され、観客や評論家、マスコミ、各国の映画祭で高く評価された。
この幸先のよいスタートのおかげで、『アムス→シベリア』の製作費集めは比較的容易だったとコーニングはいう。製作費の150万ドルは、ザ・シベリア・エクスピリエンスC.V.、ダッチ・フイルム・ファンド、コボファンド、オランダの放送局NPSからの出費、そして配給会社ワーナー・ブラザーズからの保証金によって集められた。
『アムス→シベリア』のストーリーはある種マンガっぽい面もあるが、ロケーションにリアリティを持たせ、観客を実際にアムステルダムの暑い夏のバケーションを楽しんでいる気にさせるようにした。そのため町の中心街の実在する場所が使われた。フレディーズ・ピース・ホテルとなった学生クラブは、スタッフが作ったホテルの看板があまりにリアルだったので、観光客が入ってきたというエピソードがあるほどだ。アムステルダム中央駅での撮影では、なんとプラットフォームと列車を撮影用に借り、高級ホテルであるグランド・ホテル・クラスナポルスキーもスタッフとキャスト総勢40人という大規模なロケを承諾してくれた。ちなみに、シベリアに到着するラスト・シーンの撮影は98年の早朝、実はノルウェイのロロで行われた。
◎キャスティングに関して
監督は、ヒューホ役について「89年に脚本のためのリサーチをしているときからヒューホ・メッツェルスが頭にあった。ある時、メッツェルスとふたりで中央駅に行って、彼に次々にやって来るバックパッカー達と話をさせ、それを僕がビデオカメラで撮った。彼はルックスの良さとずるくていいかげんな面をうまくあわせて持っていた。休暇のロマンスを求めてやってくる女の子達がうっかり恋に落ちてしまうタイプの男」だという。またゴーフ役については、「リハーサル中に少しずつ手を加えていったんだ。だから撮影が始まるまでには、ルーラント自身も役に確信を持てたんじゃないかな。彼は撮影中は僕以上に難しい人間だった。どのテイクでも必ず自分の演技に納得がいくまでやり直した」と語っている。
ララ役の女優探しには5ヶ月も費やした。オランダ中のロシア人女優のオーディションを行ったが、その中にヴラトカ・シーマックが紛れ込んでいた。
旅行中だった彼女は、役どころのララさながら職探しのため新聞広告を見て応募した。だが、演技経験がなく、オーディションに合格するには至らなかった。その後、とうとうオランダでは役者が決まらず、アントワープ、ロンドン、そしてサンクト・ペテルスブルクにまで出向いて行われた。
その時の様子をプロデューサーのコーニングが語る。「ロシアのレンフィルムによって有名女優がすでに14人選ばれていたけれど、彼女たちには何かが欠けていたの。機転がきいて、裏表のある、とげとげしたところ、それはララのキャラクターには必須なものだったんだけど、彼女たちはとてもフレンドリーでシャイに見えたわ。そんなララでは、ひとりでヨーロッパを旅して生き残れないだろうと思ったの」。アムステルダムに戻った監督とコーニングは、ヴラトカ・シーマックともう一度会うことにした。演技の経験はなかったが、最初のオーディションの際、彼女の世慣れた旅行者としての素質を見抜いていたからだ。そしてリハーサルを重ねるうちに彼女の天賦の才能がスタッフを魅了し、ララ役が決定された。
◎サウンドトラック
『アムス→シベリア』のオリジナル・スコアはオランダ発の超雑食性ユニット、ジャンキーXLがロードランナー・レコードの協力のもと書き下ろした。中心人物のトム・ホーケンバーグはプロデューサーとしても敏腕ぶりを発揮する若き異才で、フィア・ファクトリー、ドッグ・イートドッグ、コングなどのリミキサーとしても知られている。
ヴォーカルにはルードボーイ(アーバン・ダンス・スクワッド)、ギターにディーノ・カザレス(フィア・ファクトリー)が参加したジャンキーXLのデビュー・アルバム『サタディ・ティーンエイジ・キック』は、本国で30週以上連続してナショナル・チャートに入る大ヒットを記録。日本でも98FUJIロック・フェスティバルに出演し、ダンス・ロック・シーンの新星として世界的な注目を浴びた。ヨーロッパではプロディージーのツアー・サポートも経験、今年発売予定のニュー・アルバムに期待が集っている。

ストーリー

頭の切れるヒューホとお人よしで女に惚れっぽいゴーフは、親友でアムステルダムの真ん中で共同生活を送っている。そんなふたりは、外国から来るバックパッカーの女の子達をナンパして体もお金もいただき、アムスの夏を謳歌している。彼らのゲームには、ヒューホが決めたルールがあった。どんなに素敵な女の子でもさっさとおサラバする。盗んだお金は「マリア像」の中に貯めておく。いつかそのお金でいいことをする。それ以上は傷つけない傷つかない。これがアムス流やさしいワルのポリシーだ。
女の子をひっかける絶好の場所、中央駅のロッカーには様々な国の買い物袋を用意してある。ある日ふたりは、土産を入れたパリのデパートの袋を手にパリからの列車の到着ホームでクリスティに近寄った。「電車の中にあったこの袋は君の忘れ物かい?」もちろん答えはノーのはずだが、そこに彼女の連れララが現われた。ララはあっさりそれは自分の物だと答えた。
ゴーフは、ララが自分たちを軽くあしらったことを愉快に思ったが、ヒューホは気に入らなかった。
そして、その夜ヒューホがクリスティとホテルで過ごす間に、ゴーフはララをデパートに連れてきてしまう。ヒューホに煙たがられながらも、ララは居候となり、一文無しでアムスの生活をできる限り楽しもうとしていた。
ララを心から愛してしまったウブなゴーフは、彼女から生まれ育ったシベリアの話を聞かされ、そこに彼女を連れて行きたいと猛烈に思うのだった。ゲームの中断とお金の山分けを嘱望するゴーフに、ヒューホはある賭けを提案する。それは国籍の異なる女の子を先に15人ゲットした方が全額貰えるというものだった。ふたりの間で新たなゲームが始まった。
ところが、ララはふたりが食わせ者だととっくに気付いていた。ナイスボーイもファックボーイも好きなララはこのコンビを手玉にとって楽しんでいたんだ。ある日、ひとりで部屋に戻ったヒューホはララの誘惑に負け、まずいと知りながら、彼女と関係を持ってしまった。そして事態はさらにマズいことに。ヒューホがララのパスポートを見ると、シベリア出身のはずが、国籍の欄にはドイツの国名が。彼はララを追い出しにかかる。なにも知らないゴーフは、荷造りをしているララをやさしく抱きしめそこで初めて結ばれる。が、その最中にララはドラッグを飲み、意識不明になってしまう。慌てたゴーフはヒューホの助けを求め、家を飛び出す。
ふたりが戻ると、ララの姿はなく、それどころか貯めていたお金までなくなっていた。タフなはずのふたりもさすがに面食らってしまうが、立ち直るのに時間はかからなかった。ユースホステルでララを見つけ、盗まれた金の奪回を企てる。しかしここから思わぬ最終決戦が始まった。なんとゴーフはララとヒューホの関係にとっくに感づいていたのだった。ヒューホを見捨ててララとの逃亡を図るゴーフ。それでもひとりで逃げようとゴーフを裏切るララ。現金の入った袋はひとつだ。騙して騙されて、どれがホンモノか。

スタッフ

監督・脚本:ロバート・ヤン・ウェストダイク
共同脚本:ヨス・ドリーセン
プロデューサー:クレア・デ・コーニング
撮影:ベルト・ポット
編集:ヘルマン・P・クルーツ
美術:アヌク・ダムワジー
衣装デザイン:チスカ・ナイジェル

キャスト

ヒューホ:ヒューホ・メッツェルス
ゴーフ:ルーラント・フェルンハウト
ララ:ヴラトカ・シーマック
クリスティ:ニコール・エガード
アンジェラ:アレッシア・ソルヴィーロ
ビーティ:ジェシカ・ストックマン
マギー:サアイアン・ブレイク
マリナ:ネフェリア・アントポウロウ

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