原題:PSYCHO

20世紀の恐怖の代名詞は『サイコ』に始まり、『サイコ』に終わる!!

1998年度映画/UIP配給/ユニヴァーサル映画/1時間41分

2010年10月22日よりDVDリリース 2006年11月30日よりDVDリリース 2000年9月22日よりビデオ発売・レンタル開始 1999年9月11日よりシャンゼリゼ他にて公開決定!

公開初日 1999/09/11

配給会社名 0081

解説

ハリウッド映画の中で一つのジャンルとして確立され、今や世界中で最も隆盛を誇っている“サイコ・サスペンス”。これまでに代表される、ジョナサン・デミ監督の『羊たちの沈黙』やデビッド・フィンチャー監督の『セブン』といった映画は、全世界の観客に戦慄と恐怖を与えてきました。しかし、これらの映画作家たちに決定的な影響を及ぼし、サイコ・サスペンスの語源ともなり、名を残しているのがこの『サイコ』なのです。1960年に、巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督により世に発表されたオリジナルは、当時アメリカで“最も恐い映画”の代名詞的作品として位置付けられ、今なお賞賛され続けてきました。20世紀の恐怖のバイブルとも言える『サイコ』は、あらゆる点で時代を超えた、いや、“時代に早過ぎた”作品だったのかもしれません。つまり『サイコ』はこの世紀末を迎えた現在にこそ作られるべき作品だったのです。それは、今までのサイコ・サスペンスにはないこの作品でしか味わえない独自の衝撃を、私たちに体験させるために…。
人里離れた旧道沿いにあるベイツ・モーテル。そこはオーナーであるノーマン・ベイツと、彼の年老いた母親が切り盛りするモーテルだった。雨の日に一人の女性、マリオンが立ち寄り起きた、身も凍る事件。さらに彼女の恋人サム、彼女の妹ライラ、そして私立探偵のアーボガスト、それぞれの思惑が交錯し合い起こる、不可解でショッキングな出来事。一一体誰が犠牲者に? ?果たして犯人は誰なのか? そして、想像を超える驚愕のエンディングは、あなたを震憾させる!
この映画界最大の問題作に挑戦したのが、今までインディペンデント系の作品で脚光を浴び、’98年度のアカデミー賞で2部門を受賞した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』を手掛けた、ガス・ヴァン・サント。彼は、映画作りに際し大胆な題材選びで定評があり、マスコミからも高い支持を受けている監督です。そんな彼が今回、画期的な発想と、斬新な映像スタイルを駆使し、目も眩むような衝撃の『サイコ』を作り出したのです。そんなヴァン・サントの野心を支援したのが、作品の権利を保有するユニヴァーサル映画、オリジナル脚本家のジョセフ・ステファーノ、そして新しいパートナーとなったプロデューサーのブライアン・グレイザー率いるイマジン・エンタ・一テインメントでした。さらに、スタッフとキャスト陣も『サイコ』の核となるにふさわしい豪華で個性派ぞろいのエキスパートたちが、集結しました。

恐ろしいベイツ・モーテルのオーナー、ノーマン・ベイツ独特の世界を、見事に演じ切ったのが、『スウィンガーズ』の演技でスピルバーグの目に止まり、見事『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』に抜擢された新鋭のヴィンス・ヴォーン。本作での演技は、彼の新たなジャンルを開拓することとなり、批評家たちの絶賛を博しました。マリオン役には『6デイズ7ナイツ』でハリソン・フォードの相手役を務めたアン・ヘッシュ。有名なシャワーシーンでは魅惑的な裸体を披露してくれています。マリオンの恋人サムを演じるのは『ダイヤルM』でマイケル・ダグラス、グウィネス・パルトロウと共演をしたビィゴ・モーテンセン。彼は奇しくも本作でヒッチコックのリメイクされた2本に出演したことになります。姉マリオンの行方を捜す妹ライラ役には、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『暗殺者』のジュリアン・ムーアが好演。会社から雇われた探偵アーボガストを、コーエン兄弟の『ファーゴ』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた演技派俳優、ウィリアム・H・メイシーが演じています。この他にも、マリオンの会社社長にロン・ハワードの父親ランス・ハワード、会社の同僚キャロラインにリタ・ウィルソン、ドクター・サイモンにはロバート・フォスターといった個性派俳優たちが顔を揃えました。そして、今回ヒッチコック監督にオマージュを捧げたスタッフ陣に、監督、製作を手掛けたのが、’89年に『ドラッグストア・カウボーイ』で監督、脚本を担当し、数々の賞を受賞し注目を浴びたガス・ヴァン・サント。それ以後もリバー・フェニックス主演の『マイ・プライベート・アイダホ』、ユマ・サーマン主演の『カウガール・ブルース』といったインディー系の作品で監督としての地位を確立して来ました。’98年度のアカデミー賞で脚本賞、助演男優賞の2部門でオスカー像を手にした彼は、他にも作品賞、監督賞をはじめ6部門でアカデミー賞にノミネートされています。製作にはイマジン・エンターテインメント社の共同創設者であり、これまで製作した作品はこれまでに世界で総額30億ドルを超える売り上げを記録しているプロデューサーの第一人者であるブライアン・グレイザーが参加。脚本はオリジナル版と同じジョセフ・ステファーノが、前作のサスペンス溢れる無駄のないシナリオは健在で、一部を現代風にアレンジをしている。撮影はヒッチコックが見せたカメラ技法を生かし、新たなエッセンスを加えたクリストファー・ドイル。彼はこれまで、アジアの才人として知られている監督のチェン・カイコウ、ウォン・カーワイと共に仕事をし、特に日本でも大ヒットを記録したウォンの『恋する惑星』や『ブエノスアイレス』を手掛けたことで有名であす。さらに編集と衣装には、これまでヴァン・サントと一緒に『マイ・プライベート・アイダホ』『カウガール・ブルース』『誘う女』等を手掛けた、エイミー・ダドルストンとベアトリクス・アルーナ・パストールが担当し、息の合った所を披露しました。また『サイコ』を語るに忘れてはいけない音楽には、前作のバーナード・ハーマンの曲をべースに『バットマン』1、2や『ミッション:インポッシブル』を手掛けたダニー・エルフマンがプロデュース、アレンジしています。あのシャワーシーンなどで聞かれる不気味な弦楽器からなる音楽は、前作の2倍のオーケストラを要し、再現されています。

ストーリー

1999年12月11日金曜日、アリゾナ州フェニックス。安ホテルの一室で昼下がりの情事を楽しんだ男と女。女はマリオン・クレイン(アン・ヘッシュ)、男はサム・ルーミス(ヴィゴ・モーテンセン)。マリオンは不動産の会社に勤めるOLで、サムは隣のカリフォルニア州で雑貨屋を営んでいた。二人は結婚を誓い合っていたが先立っものがなく、なかなか踏ん切りがっかないでいた。
マリオンが・会社に戻ると・社長(ランス・ハワード)は、金回りのいいキャシディ(チャド・エベレット)と帰って来た。二人は取引が成立したらしく、代金の40万ドルを銀行の貸し金庫に預けるようマリオンに言う。頭痛がすると早退したマリオンは、大金を自宅のアパートに持ち帰り、旅じたくをする。大金にぐらついた彼女は、これでサムと結婚できると、40万ドルをカバンに詰め、家を出た。そして車で信号待ちをしていると、偶然社長に出会い動揺したマリオンは、急いで街を出る。
車はハイウェイをひた走った。夜になるとどしゃ降りの雨が振りだし、前も見えない状態になった。と、雨でにじんだフロントグラスの向こうに、“ベイツ・モーテル”のネオンが浮かんだ。とりあえず、このモーテルで雨宿りをし、休もうと考えたマリオン。しかしフロントには誰もいない。モーテルの裏には家があり、その窓には女の陰が届えた。マリオンはクラクションを鳴らすと、やっと若いノーマン(ヴィンス・ヴォーン)がやって来た。

ノーマンは宿帳を出し、1号室のキーを手渡した、彼女は食事だけ済ませたいと言ったが、ノーマンは一番近いレストランでも10マイルはあると言い、食事なら家にあるからと戻って行った。ノーマンがいなくなると、部展に入り、お金を隠すマリオン。すると家からノーマンが母親と口論する声が聞こえ、どうやら自分が原因でもめてるらしかった。マリオンが外に出ると、ちょうどノーマンが食事を運んで釆て、彼女に非礼を詫びた。彼女とフロントの奥の部屋で、食事をしながらノーマンは自分の話をし、病気がちの母親と二人暮らしであることを話す。そんな話の間にも、マリオンは自分のやったことを後悔し、ノーマンに「フェニックスに帰るから、朝が早い」と言って、自分の部屋へ戻って行った。そして着替えをしている彼女を、隣の部屋からのぞいているノーマンがいた。シャワーを浴びて疲れを癒すマリオン。その時、シャワー・カーテンの向こうに、女の人影が見えた。全く気づかない彼女はシャワーを浴び続ける。カーテンが急に開けられると、ナイフがマリオンの胸に鋭く突き立てられた。ほとばしる鮮血、バスタブの排水口には真っ赤な血が流れ続けていた。ノーマンが、家から慌ててマリオンの部屋に駆け込み、惨事を見た。一瞬驚きの表情を見せるが、事の真相に気づき、彼女の死体を車のトランクに積み、近くの沼に車ごと沈めた月曜日になって、マリオンが40万ドルを持ち逃げしたことを知った社長は、私立探偵のアーボガスト(ウィリアム・H・メイシー)を雇い、マリオンの行方を彼に捜させた。またマリオンの妹ライラ(ジュリアン・ムーア)も姉の行方を捜すために、心当たりのサムを尋ね、姉の行方を聞き出す。しかし、サムも寝耳に水の話。そこヘアーボガストが現れ、自分に任せるよう二人を説得する。モーテルをしらみつぶしにあたり、ベイツ・モーテルにもやって来たアーボガストは、宿帳に残されたマリオンと思われる筆跡から、ここが怪しいとにらみ、ノーマンを追及する。すると、ノーマンの供述には暖昧なところが多く、しかも裏の家には女性の陰が映っていた。
一度アーボガストは、ライラたちにマリオンの足跡を掴んだので1時間後に戻る伝え、再びベイツ・モーテルヘ向かった。ノーマンの目を盗み、母親に話を聞こうと彼の家に忍び込むアーボガスト。階段を上ろうとした彼を、突然女性がナイフでめった刺しにした。アーボガストからの連絡が途絶え、不審に恩ったライラとサムは、翌日モーテルヘ向かう。そこで地元の保安官補(フィリップ・ベイカー・ホール)を訪ねた。二人は『ノーマンの母親は10年前に死んだ』と衝撃的な事実を聞かされる。では一体家にいる女性は誰なのか? 事件はマリオンが沈んだ沼のように、どろどろと混迷の色を深めて行くぱかりだった…

スタッフ

監督・プロデューサー: ガス・ヴァン・サント
プロデューサー: ブライング・グレイザー
脚本: ジョセフ・ステファーノ
撮影監督: クリストファー・ドイル
音楽プロデュース・編曲: ダニー・エルフマン
音楽: バーナード・ハーマン

キャスト

ノーマン・ベイツ: ヴィンス・ヴォーン
マリオン・クレイン: アン・ヘッシュ
ライフ・クレイン: ジュリアン・ムーア
サム・ルーミス: ヴィゴ・モーテンセン
ミルト・アーボガスト: ウィリアム・H・メイシー

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