原題:Polish Wedding

お伽話、ポーランド風 いろいろあるけど。幸せが一番。

☆1998年ベルリン国際映画祭正式出品作品 ☆1998年サンダンスフィルムフェスティバル正式出品作品 ☆1998年東京国際映画祭カネボウ女性映画週間正式出品作品

1997年アメリカ映画/ヴィスタサイズ/106分/カラー 日本語字幕:吉田由紀子/配給:株式会社東北新社

1999年10月22日よりビデオレンタル開始 1999年2月20日よりシネ・ラ・セットにてしあわせのロードショー公開

公開初日 1999/02/20

配給会社名 0051

解説

誰もが思いどおりに行きたいと思いながら、その方法が見つからずにあせったり、諦めたり、回り道をしながら人生の海を泳いでいく。本作『自由な女神たち』は、運面の流れに翻弄されるのを拒む女たちと、彼女たちなしでは生きられない男たちをコメディタッチで描いたファミリードラマです。ヤドヴィカ・プショーニャックはにぎやかな息子たちと、美しく無邪気なおてんば娘ハーラの母親。一家のまとめ役で、古い家がひしめき合うデトロイト在住。以前は哲学者だった夫ボレックは地元のパン職人と夜間働いている。ヤドヴィカは、お金持ちのロマンという愛人との二重生活を送っていた。妻の浮気を知りながら、それを見て見ぬふりをする夫、無軌道なアバンチュールを楽しむ娘ハーラ。そしてハーラの妊娠…。物語だけみると、単純きわまりない作品のように思えますがスクリーンからあふれ出す感情は、豊かで美しく、観るものの心を捉えて離しません。そして人生の浮き沈みに遭遇しながら、人は小さな悲劇も大きな悲劇も乗り越えて行かなくてはならないと謳っています。この作品を監督したのは、これが映画デビューとなるテレサ・コネリー。オフ・ブロードウェイのディレクターをつとめた後、スティーブン・ソダーバーグ、ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノを輩出したサンダンスインスィテュート出身の女流監督です。リアリティを追及するため、撮影場所はテレサの故郷でもあり、ポーランド・アメリカンが多く住むデトロイト・ハムトラックで行われました。デビュー作にも関わず一流俳優、スタッフで固められたのは、美しくユーモラスなコネリーの脚本、そして豊かな感受性を持つ彼女の魅力に負うところが大きいと言えるでしょう。
また無軌道な生活をおくりながらもカトリックとして育てられたハーラが精神的な抑圧の狭間で悩む姿(ポーランドはカトリックの国)、日本で言う漬け物といった感じを持つピクルスを沢山作り、いつも口にしているヤドヴィカ(冬の長いポーランドでは、キュウリやキノコを季節に合わせ酢漬けにする)、そしてポーランド料理の基本であるスープをラッセルに薦めるところ、皆タバコをよく吸うこと(ポーランドは喫煙家が多い)など、ポーランド文化をスクリーンに映し出すと共に、互いが勝手に生きているように見えながらもそれぞれの奥底に残している家族の象徴といった暗号が見え隠れするのも見逃せません。

ストーリー

夜な夜な地下の窓からこっそり家を抜けだし自由を満喫する無邪気な娘ハーラ。たわいもないアバンチュールの相手はいつも違う男だ。お父さんはどんな人?お母さんは?という男の問いかけにこう答えた。「父は労働者よ。母は死んだわ」
ハーラ・ブショーニャック。パン職人をし、地元のベーカリーで夜間働く父ボレック、美しく気性の激しい母ヤドヴィガ、長男ジギーとその家族、そしてその他3人の兄弟とデトロイトに住むポーランド移民一家の15歳の長女である。娘に十分な愛情を注ぐボレックと父に敬慕の念を抱くハーラは騒々しい家族を離れ、コーヒーショップでよく語り合った。「女は強くて弱い。男より優秀な一方、劣っているよ」ハーラ自分の気持ちをストレートに言えるボレットも妻ヤドヴィガに対しては自分の感情を抑える生活を続けていた。ヤドヴィガにはロマンという愛人がおり、婦人集会に出席すると偽っていつも夜半に出掛けていく。ヤドヴィガの裏切り行為に対してボレッグは浮気を知っていながら、彼女を責められず、悶々とした日々を過ごしてきた。そんな両親の姿を見ながら育ったハーラは、出来る限り自分の狭い世界から抜けだそうとしていた。

ある日、カトリックの教会の処女祭でハーラは聖女の役を得ることになった。驚喜するハーラとヤドヴィガ。聖女に選ばれることはカトリックで育ってきた人間にとっては純粋な模範となる名誉な役である。しかしハーラには一つ秘密があった。地元警察官のハンサムな青年ラッセルとの一夜の関係で妊娠してしまっていたのだ。だがラッセルは、まだ家を持つには早すぎると逃げ腰だ。娘の妊娠の事実を知ったボレックとヤドヴィガは、自分たちの人生を振り返っていた。彼らも妊娠がわかって結婚し、長男が生まれたのはヤドヴィガが15歳の時、ちょうど今のハーラと同じ年であった。「何故あなたは私との結婚を躊躇したの?」と問いかけるヤドヴィガに「君の厳しい生き方が、君と結婚して失敗するのが恐かったからだ」と答えるボレック。
翌日ボレックは夜半にロマンの元へ向かうヤドヴィガのあとをつける。そこで浮気の事実を目の当たりにしてしまうボレック。しかしその事で逆に自分がどれだけヤドヴィガのことを愛しているかを思い知るのだった。同時にヤドヴィガはロマンからパリ行きを誘われていた。今の生活で満たされている私には必要ないと申し出を断るが「ならばなぜここにいるんだ?」と問われ答えに窮するヤドヴィガ。彼女もまたそこでボレックと家族への愛を改めて認識する。いよいよ処女祭が始まり、聖女になったハーラを見守るボレックとヤドヴィガ。ハーラは妊娠していたことを観衆から揶揄され、近所の笑い物となるがヤドヴィガは彼女を抱きしめる。母と理解を深めることが出来たハーラ。それぞれが抱える大切なものの為に家へと戻ってくる家族たち。

スタッフ

監督・脚本: テレサ・コネリー
製作総指揮: ニック・ウェクスラー、シグルヨン・シパッソン、テッド・タネンボーム
製作: トム・ローゼンバーク、ジュリア・チェイズマン、ジェフ・スティア
共同製作: グレゴリー・グッドマン
撮影: ギイ・デュフォー
プロダクション・デザイン: カーラ・リンドストローム
衣裳デザイン: ドナ・ザコウスカ
音楽: ルイス・エンリケ・バカロフ

キャスト

ヤドヴィカ: レナ・オリン
ボレック: ガブリエル・バーン
ハーラ: クレア・デーンズ
ラッセル: アダム・トレッセ
ソフィ: ミリー・アヴィタル
ジギー: ダニエル・ラパイン
ロマン: レイド・サーベジジャ

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