原題:π

1998年のサンダンス映画祭で監督賞を受賞! アーティスティックで“数学”と“スリラー”の融合は、 「デビッド・リンチとスタンリー・キューブリックの世界を合わせもつ」すばらしさ

1997年アメリカ/モノクロ/85分/ドルビーサラウンド/35mm/配給:Artist House・GAGA Cominications Inc.・UP LINK

2000年3月25日よりDVD発売 1999年7月10日よりシネマライズにて特別レイトショー公開決定!

公開初日 1999/07/10

配給会社名 0009

解説

1998年のサンダンス映画祭の話題をさらったダーレン・アロノフスキー監督作品『π』は、アーティスティックで緊迫感のあるモノクロ一ム映像に“数学”と“スリラー”の融合という斬新なアイデアで「デビッド・リンチとスタンリー・キューブリックの世界を合わせもつ」との絶賛を浴び、見事監督賞に輝きました。
世界のすべては、数字によって解明できると信じる主人公のマックスが、スーパー・コンピュータを発明し株式市場の予測を行なうという、現在そのものから始まるこの映画は、監督いわく“爆発のないSFスリラー”という新ジャンルを築き、人々に衝撃を与えました。
ニューヨークを皮切りに全米公開され、大ヒットを記録。今年に入りヨーロッパでも公開され、「エッジな作品」として、各地で好成績を記録しています。
また、マッシヴ・アタック、ロニ・サイズ、エイフェックス・ツインらが参加したサントラも全世界でヒット中です。若き才能アロノフスキーは、映画界はもとより経済界にも大きな話題を提供し、わずか6万ドルの低予算で作られたこの作品は、最終的な北米興行収入において3,216,970ドルという数字を上げました(製作費の54倍の興収。ちなみに大ヒットした『タイタニック』は製作費2,600,000,000ドルで、興収はその2.3倍)。
多くの話題とともに、遂にこの夏『π』【パイ】が日本に登場する。これまでにない新しいカルトフイルムの誕生です。

ストーリー

日常生活では順応出来ないが、天才的な数学能力をもつマックス・コーエンは、この宇宙のすべては数字によって表せると信じているる一つの数式によって世界のすべてを解析できると思い込む彼は、次第に株式市場に取りつかれるようになっていった。市場にはあるパターンがあり、それは数字の裏に隠されていると理論づけたのだ。株式市場は究極の数字的チャレンジであり、それは自分ならきっと解ける暗号なのだという想いにとらわれる。ニューヨークのチャイナタウンにある狭いアパートで、マックスは自分で作ったスーパーコンピューター“ユークリッド”と格闘していた。他人との関わりを一切断っているマックスの唯一の友人は、老いた数学教授ソルだけだった。ソルもまた、数という普遍的な言語の存在を信じており、永い間研究に打ち込んできたのだ。その結果、ひとつの結論に達していた。つまり、数のなかに何らかのパターンを見つけるのは不可能だという緒論に…。ソルは、マックスに頭を休ませろとアドバイスする。
ある日、マックスはレストランで隣の席に座っていた男に声をかけられる。男はレニー・マイヤーと名乗り、自分はユダヤ教正統派のカバラ主義者で、数字をモーセ五書(トーラー)や古代の聖なる書に関連づける研究をしていると話す。レニーはヘブライ語のある単語を対応する数字に直訳できることを説明した。トーラー自体が「神から送られた数の暗号」なのだという。マックスはこの話に興味をもつ。ところが、ある日“ユークリッド”のハードディスクがクラッシュしてしまう。ユークリッドはその直前に、200桁以上もある長い数字をはじき出すが、マックスはそれをプリントアウトした紙を捨ててしまっていた。絶望のあまりチャイナタウンをさまようマックスに声をかけてきたのは、ウォール・ストリートの株式仲買者の代理人だった。マックスの数学的才能に目をつけた彼らは、なんとかマックスを引きずり込もうと誘いをかける。応じてくれれば、開発中の“ミング・メカ・チップ”を提供するともちかけるが、マックスは代理人を追い払う。その間もマックスは激しい偏頭痛と不快な悪夢に悩まされ続け、パラノイアックな妄想が彼を苦しめるのだづた。
しばらくしてレニーが、トーラーに求めている数の暗号は、216桁に達すると打ち明けたとき、マックスはようやぐ混沌から抜け出した。トーラー研究、216桁の数字、株式市場の暗号。それらに謎めいた関連があることに気づいたマックスは“ミング・メカ・チップ”を“ユークリッド”にインストールするため株式仲買者と取り引きをする決心をする。マックスは自分が予想した株価が小数点に至るまで正確であったと証明する新聞を手に、ソルを訪れる。ソルはマックスのコンピュータが壊れる直前に自我に目覚め、あたかも天啓を受けたかのごとく自らの存在を意識したようだと語る。しかし、ソルはもう数を追うのを止めるべきだと言う。二人は激しく口論し、マックスはアパートから飛び出す。
マックスの妄想はますます激しくなっていく。ある日彼はウォール・ストリートの代理人と武装した二人の男に待ちぶせされ、粒致されそうになる。そのときレニーと仲間のカバラ主義者らがマックスを救い出し、教会に連れて行く。そこでラビ・コーエンと彼のセクトから、十戒が刻まれた石が納められた聖所に入れる大祭司が、一つの言棄を唱える。それが神の真の名であり、216の文字からなるひとつの言葉だという伝説を教わる。その言葉こそ、神の真の御名であり、神の真の御名によってすべての人の生活に繁栄がもたされるだろう。それは新しき救世主の時代の幕開けなのだ。マックスはラビの言葉を信じ、自分が見た幻覚こそ現実だったと悟る。マックスが数字と取り組んでいたときに見たものこそが神だったのだ。そしてラビに向かって、現実の数字には何も意味がないことを説明する。数と数との間に込められた意昧こそ重要なのだと。カバラ主義者たちはあらゆる数の組み合わせを計算していたが、彼らがその本質について理解することは、恐らくないだろう。
マックスは解放される。そしてソルのアパートに行ってみると、彼は死んでいた。ソルもまた全能者を見、それゆえに殺されたのだ。急いで自室に戻ったマックスはすべてを壊した。彼が聖なる数を一度に一桁ずつ唱え始めると彼の身体と精神はゆっくりと消え始め、白い塊がどんどん大きくなり、彼をのみ込みそうになった。これは悪夢なのか?それとも現実なのか?やがて、マックスを見守っていた隣人リビーの声で呼び戻された彼は、すべてを悟った。最も偉大なる知識とは、この世には絶対に知るべきではない物事もあるのだと理解することだ。マックスは最も重要な秘密を発見したのだ。そして彼はついに幸せになった。人生において初めて、自分自身とうまく折り合って生きる術を見つけたのだから…。

スタッフ

監督・脚本: ダーレン・アロノフスキー
プロデューサー: エリック・ワトソン
編集: オレン・サーチ
美術監督: マシュー・マラッフィー
作曲: クリント・マンセル
音楽監督: スーZ

キャスト

クマシミリアン・コーウン: ショーン・ガレット
ソル: マーク・マーゴリス
ラビ・コーエン: スティーブン・パールマン
レニー・マイヤー: ベン・シェンクマン
デヴィル: サミア・ショアイブ
ファロック: アジャイ・ナイデゥ

LINK

□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す