ロック界のスーパースター、あの矢沢永吉が遂に映画初主演!!

1999年/滝田洋二郎監督作品/製作:松竹・角川書店・衛星劇場/配給:松竹 キャスティング協力:電通キャスティング局/製作協力:株式会社大船撮影所

公開初日 1999/07/03

配給会社名 0003

解説

矢沢永吉のパワフルで、エネルギッシュなステージでみせるカリスマ的存在とは一味違う、新しい矢沢永吉がスクリーンデビューを飾る。1980年に矢沢のコンサートの模様などを収めた『RUN&RUN』が劇場公開されたが、これはコンサート映像が中心のドキュメンタリーフィルム。本格的な演技経験は、主演を務めた94年のTBS系の連続ドラマ『アリよさらば』、95年のテレビ朝日系『時よ、止まれ』のテレビドラマ2本のみで、俳優として映画に出演するのは初めてとなる。
矢沢本人は「最初、本当に自分にできるのかなって思ったんですが、自分も子供を持つ親として受験の大変さ、いろいろな矛盾を感じています。出演を決めたのは僕のイメージというか、僕らしくない脚本に、逆に面白いと感じました。新たなる挑戦を楽しみにしています。」と語っている。
監督は『コミック雑誌なんかいらない!』で一躍注目を浴び、『木村家の人びと』、『病院へ行こう』、『僕らはみんな生きている』、『熱帯楽園倶楽部』など娯楽作品で圧倒的な支持をうけ、最近ではシャ乱Q主演の『演歌の花道』で新境地を開拓したヒットメーカー・滝田洋二郎。脚本は滝田洋二郎とのコンビで数多くのヒット作品を手掛けている一色伸幸。94年の『熱帯楽園倶楽部』以来久々にコンビを組む滝田洋二郎&一色伸幸の二人が、矢沢永吉とどんな作品を作り上げてくれるのか今から楽しみである。
また、矢沢永吉の演じる富樫真澄の妻・利恵役に田中裕子、お受験塾の塾長に個性派・西村雅彦、食品会社陸上部の口下手な監督に出演作品が目白押しの演技派・大杉漣、さらに岸部一徳、永島敏行、もたいまさこ、余貴美子など多彩かつ異色のキャストが勢揃い。
物語は、峠を過ぎた実業団のマラソンランナー・富樫真澄(矢沢永吉)が、愛娘の有名私立小学校へのお受験や自身に降り懸かるリストラに苦しみながらも、家族のため、そして自分自身のために人生を不器用に疾走する、笑いと涙のハートフル・コメディである。
1999年。50回目の誕生日を迎える節目の年に、挑戦し続ける「矢沢」が開いた「映画」という新しい「扉」。音楽シーンでは決して見ることの出来ないもうひとつの魅力が、この夏のスクリーンを席巻する!!

ストーリー

富樫真澄[矢沢永吉]———中学この頃からマラソンの花形選手として活躍し、食品会社に入社。陸上部の選手として実業団でキャリアを積んできたが、現在は45歳という年齢のためか思うような成績を残せないマラソンランナー。
富樫の妻・利恵[田中裕子]はひとり娘・真結美[大平奈津美]の小学校受験で頭がいっぱいで富樫の事など気にもとめていない。そんな両親のもと、「お受験」に苦しむ娘。勢い込んで向かった受験熟で橘塾長[西村雅彦]の模擬面接を受け、合格への厳しいマニュアルを教え込まれ唖然とする富樫一家。
翌日、富樫は営業部長に呼ばれ役員待遇を条件に、子会社への出向を言い渡される。リストラを覚悟していた彼は、地獄から天国に舞い上がる。
数日後、子会社に出向した富樫は役員待遇を満喫する。がそれも束の間、その子会社が倒産、しかも本社の債務を押し付けられての計画倒産だった。遂にリストラされてしまう富樫。
職を失った富樫は早朝に会社社長宅におしかえ、「湘南マラソンまでクビをつなげてくれ」とつめよる。富樫にとって湘南マラソンは、23年間誇りに走ってきた実業団ランナーとしての原点だった。会社のユニホームを着て、マラソンで終止符を打ちたい!!
お受験に向けて面接の練習をする理恵と真結美を見て、会社が倒産しリストラされたことを言い出せず、いつものように会社に行くふりうぃして家を出る富樫。
数日がたったある日、お受験塾の塾長室でいつものように模擬面接をしている富樫たち。塾長の「お父さまの御職業は?」の質問に、度胸を固めて「無職です」と答える。利恵と塾長は驚きのあまり言葉が出てこない。しかし、一瞬の後、もはや失うものは何もないと利恵は妙に開き直るのだった。この日を境に、富樫家は大きく変わる。数日後、富樫は専業主夫となり、利恵は外勤。ひとり娘の真結美は受験勉強に励み始める。
そんなある日、本社陸上部が廃部となり、久々に部員が揃う。富樫はその席で市民ランナーとして湘南マラソンに参加する決意をする。しかし、家に戻ると娘の受験日、しかも大事な面接と同じ日であることを知らされる。「これ以上、自分を騙せない」と頑として湘南マラソンに出ると言い張る。
11月7日—————富樫真澄のラスト・ランである湘南マラソン、そして真結美の小学校受験の日…………。
湘南マラソンの競技場。選手・スタッフ・応援・マスコミを合わせて1500人近い人々がうごめいている。その中に富樫の姿もある。胸が熱くなり、鼓動が激しく脈打つ。ただ走りたい……これほど単純な思いを、いまさら確認しあう必要はない。そして、自分自身のマラソン人生にけじめをつけるのだ。
バン!とスタートのピストルが鳴る。走者が一斉に走り出す。富樫、全力で走る。走り出す人々の各人各様の圧倒的な顔、顔、顔…………。みなそれぞれの人生を背負い、そして矜持を胸に全力で走っている。
富樫が筋肉を踊らせ早いペースで走る。走りながら、どうしても気になることがある。小学校の教室。真結美がペーパー試験に真剣に取り組んでいる。富樫、走りに集中しようとしても考えこんでしまう。酸素が足りない。足が乱れる。
富樫は余計な考えを頭から追い払う。が、富樫の胸にマラソンとは違う感情———微笑ましさと切なさが、つまり真結美への想いがどうしてもこみ上げてしまう。小学校の廊下。面接待ちをしている利恵と真結美。他の家族はみんな父親も同席している。
富樫が思い詰めた表情で走る。「最後のゴールは、自分で決める」———。
富樫、突然Uターンしてコースから外れ、交通も人の流れも無視して走る。
もはや意識もかすませた富樫の背中を押すのは、娘への愛情だけだ。ラスト・ラン———死んでもゴールしてみせる。娘のため、妻のため、自分の誇りのために。そして家族絆を取り戻すのだ。ラスト・ランの栄光は、富樫と家族のものだった。

スタッフ

製作総指揮:大谷信義、角川歴彦
監督:滝田洋二郎
原案・脚本:一色信幸
製作:野村芳樹
プロデューサー:榎望、渡井敏久
撮影:栢野直樹
照明:長田達也
美術:部谷京子
音楽:佐藤俊彦
録音:小野寺修
編集:冨田功
マラソン指導:谷川真理
衣装デザイン:小川久美子
スクリプター:坂本希代子
装飾:佐藤誠
助監督:足立公良
制作担当:鷲頭政充
企画:佐々木志朗、山田耕大

キャスト

矢沢永吉

西村雅彦

鈴木一真
徳井 優

余貴美子
小林 恵
広岡由里子

笹野高史
本田博太郎
螢雪次朗

藤 扇里(新人)
大平奈津美(子役)

永島敏行(友情出演)
岸部一徳(友情出演)
もたいまさこ(友情出演)

大杉 漣

田中裕子

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