原題:LITTLE VOICE

さぁ、一緒に飛び立とう!

1999年第56回ゴールデン・グローブ賞主演男優賞(マイケル・ケイン)受賞

1998年/イギリス映画/カラー/99min/ドルビーSRD/ミラマックス・フイルムズ提供/スカラ・プロダクションズ作品 提供:アスミック・エース エンタテイメント、テレビ東京、WOWOW、角川書店/配給:アスミック

2000年3月3日よりDVD発売 2000年3月3日よりビデオレンタル開始 1999年9月11日より、シャンテシネ、新宿シネマカリテにて公開

公開初日 1999/09/11

配給会社名 0007

解説

●世界中が感動!『ブラス』のマーク・ハーマン監督最新作
『ブラス』で世界中の映画ファンを熱狂させたマーク・ハーマン監督がまたまたさわやかな感動を呼ぶ作品を届けてくれた!素晴らしい歌声を持ちながら、自分の殻に閉じこもってしまって話もできない少女。優しい愛と音楽に癒されて、彼女はやがて翼を広げて大空へと飛び立つ。おとぎ話のようにファンタジックな風味を持ちながらほろ苦い現実をちりばめた自分探しの物語。ユアン・マクレガー、ブレンダ・ブレシン、マイケル・ケインらイギリス映画界が世界に誇る俳優陣を配し、イギリスで大ヒットしたミュージカルを映画化。ロンドンでは3週連続興行成績第1位を記録。ゴールデン・グローブ賞主演男優賞を始め、イギルス・アカデミー賞助演女優賞、イギリス・アカデミー賞作品賞などにノミネートされた話題作だ。

●心を閉ざした無口な少女が秘めた素晴らしい歌声
大好きだった父の死後、心を閉ざし誰とも話をしなくなったLV(エルヴィ)。
人付き合いが苦手でハトを愛する青年ビリーにだけはシンパシーを感じ、心を通わせ始めていた。父が遺したスタンダード・ナンバーのレコードを聞いてばかりいるLVは、いつしかその歌手の歌声そのままに歌うことができるという才能を身につけていた!母マリーが家に連れ込んだ自称“名プロモーター”レイ・セイはひょんなことから耳にしたLVの歌声に驚愕し、彼女を舞台に立たせるべく奔走する。強引に進めるレイに、はじめは嫌がっていたLVも負け、「一度だけなら」という約束でついに舞台に立つ。大観衆、そして大喝采。たちまち町中を魅了したLV。レイやマリーは、次はロンドン、そしてラスベガスへと期待に胸を膨らませる。だが、LVの本当の心のうちに気づいてはいなかった…。

●愛と音楽がひとつずつ心の扉を開く
“さあ一緒に飛び立とう!”LVがレコードだけに心安らぐことができるのは、その歌詞にのせて、別世界へ、父親との思い出の世界へと彼女を連れていってくれるからだ。彼女の心の中を理解しようとしない母親との溝は深まるばかりで、ますますレコードの世界に閉じこもっていくLV。そんな彼女を変えたのは、ビリーとの出会いだった。LVはすこしずつ現実の世界へと足を踏み出す勇気を与えられる。そして、歌に託していた心のメッセージを彼女自身の声で吐き出したとき、ようやく彼女は新しい人生を歩きはじめる。
ぎこちなくてシャイな二人の主人公と、自分勝手でどこか寂しい大人たちが繰り広げる、おかしくて切ない人間模様。そのドラマをさらに盛り上げるのは、LVのライブ・シーンだ。心細そうにしていた少女が突然目を輝かせ、胸を張り、自信にあふれた歌声を聞かせてくれる。映画の中の観客同様、見ている私たちも思わず興奮してスタンディング・オベイションを捧げたくなる。シャープなユーモアに彩られた心を打つストーリー、そして心揺さぶる音楽が、観るものの胸を暖かく爽やかな感動で包み込んでいく。

●映画に深みを与えた俳優陣の見事なアンサンブル
本作の見どころの一つは、俳優陣の見事なアンサンブル。LVにはオリジナル舞台でも主役を務めたジェイン・ホロックス。その才能にインスパイアされた作家が舞台を書いたといわれるほど彼女自身も美しい歌声の持ち主。それを生で聞くことのできた共演者たちは感動のあまり涙ぐんでしまったという。母マリーには『秘密と嘘』で各映画賞の女優賞を総なめにしたブレンダ・ブレシン。本作では打って変わって厚かましい女性像を生み出してアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。LVを温かく見つめるビリーには、『トレインスポッティング』以来華々しい活躍を見せ『スター・ウォーズ/エピソード1』のオビ・ワン役に大抜擢されたユアン・マクレガー。名優マイケル・ケインがうらぶれたプロモーター、レイ・セイ役でゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞した。LVの自立を描くストーリーラインを縦軸にしながら、彼らの絶妙な演技が四者四様の生き方を見せる横軸となって、味わいのあるドラマを紡ぎだしている。また、オリジナルの舞台にも出演してオリヴィエ賞にノミネートされたアネット・バッドランドが隣人セディ役で、『ブロードウェイと銃弾』などの名脇役ジム・ブロードベントがクラブハウスのオーナー、ミスター・ブー役で、『ブラス』のフィリップ・ジャクソンがビリーの同僚ジョージ役で脇を固めている。実力ある俳優たちの名演が絶賛され、アメリカ俳優協会賞では、7人のキャスト全員でキャスト演技賞にノミネートされた。

●イギリス映画界の勢いを支える実力派スタッフたち
マーク・ハーマン監督のもと、撮影のアンディ・コリンズ、プロダクション・デザインのドン・テイラー、編集のマイケル・エリスら『ブラス!』で組んだ実力あるスタッフたちが再結集。また本作の重要な要素である音楽面を確実なものにするため、スーパーバイザーに『オルランド』『バックビート』のボブ・ラスト、ミュージック・アレンジおよび作曲に『007/ゴールデンアイ』のジョン・アルトマンが参加。ジュディ・ガーランド、マリリン・モンロー、ビリー・ホリデイ、フランク・シナトラらのスタンダード・ナンバーの名曲をちりばめ、LVの心のメッセージを代弁させている。

ストーリー

その素晴らしい歌声は一夜にして、あらゆる心を奪った。

ジュディ・ガーランド、ビリー・ホリディ、マリリン・モンロー…部屋には父親が遺していった見事なレコードの数々。その父が亡くなってからローラは誰とも口を利こうとせず、素晴らしい歌声の世界にだけ身を委ねていた。いっぽう母親のマリーは、中年を迎えたにもかかわらず夜な夜な遊び歩く毎日。彼女は、レコード屋を残して死んだ夫を憎み、あまりにも無口な娘を無神経にも“リトル・ヴォイス=LV”と呼んでバカにしていた。
鳩を育てるのが生きがいのシャイな青年ビリーは、ある日電話回線工事の仕事でLVの家を訪れる。迎え入れた母親のマリーは、この無口な青年を「うちの無口娘におあつらえむき」といってバカにしたが、ビリーとLVはお互いにシンパシーのようなものを感じるのだった。
毎夜新しい男を漁るため酒場に入り浸っていたマリーの前に、怪しいタレント・エージェント、レイ・セイが現れる。この男、《成功》という文字にはとんと縁がない。だが彼を一流の男と思い込むマリーはレイ・セイを自宅に連れ込み、情事にしけこもうとする。そんな2人を目にするのがイヤで部屋に逃げ込むLV。その時、2階から素晴らしい歌声が聞こえてきた。マリーそっちのけで聞きほれるレイ・セイ。ジュディ・ガーランドそっくりの歌声は他ならぬLVのものだった。
あの歌声は自分の成功への金づるだ、そう考えたレイ・セイは、LVを舞台に上げようと必死に彼女を説得する。場末のミスター・ブーの店で強引に彼女を歌わせてみようと試みるのだが、LVにとって人前にたつことは初めての経験で、歌うなんて到底できない。レイ・セイは、店の照明を全て落とす奇策に出る。静かに歌いだすLV。素晴らしい歌声が少しずつ店内に流れ始めたその時、急にスポットライトが当てられ、LVはステージから逃げ出してしまう。だが、レイ・セイの熱は上がりっぱなし。再度彼女を説得し続けるレイ・セイに、LVは“ただ一度だけなら”という条件付きで応じる。《成功》の二文字をつかむ千載一遇のチャンスに、レイ・セイは舞台を整えるため全財産を投げうつ。あとはLVがうまく歌ってくれるのを祈るだけだった。
LVの周囲が異常に盛り上がっているのとは対照的に、ビリーは大事に育てていた鳩が帰ってこないことに心を痛めていた。鳩の帰りを待って、鳩舎の前で寝泊まりする毎日。そんな心優しいビリーだけが、不安いっぱいのLVを温かく見守っていた。
ステージ当日、ピンクのドレスに身を包んだLVがおずおずと舞台に上がる。期待に胸を膨らませる大観衆。ステージに注がれる熱い視線。スポットライトの中央に立ったLVの心臓は、張り裂けんばかりだ。その時、会場から自分を見守ってくれる亡き父親の姿がハッキリと彼女の目に映った。
瞬間、LVの目が輝く。表情に自身がみなぎる。手を高く突き上げ、腰をくねらせて歌いだす!驚いたバンドが後に続く。様々な歌手になりきった彼女は次々に曲を披露し、素晴らしいステージを繰り広げる。観客は踊り出し、会場全体が熱気と興奮で包まれる。そして全てのステージが終了したとき、会場は割れんばかりの拍手の渦でいっぱいになった。
全ての客が引いた後も興奮冷めやらぬレイ・セイやマリーたちは、この一夜の成功に酔いしれていた。次なるは、ロンドン、そしてラスベガス…夢は無限大に広がる。だが、彼らの内誰一人としてLVの本当の心の内を知る者はいなかった…。

スタッフ

監督:マーク・ハーマン
原戯曲:ジム・カートライト(“The Rise and Fall of Little Voice”)
脚色:マーク・ハーマン、ジム・カートライト
撮影:アンディ・コリンズ
音楽:ジョン・アルトマン
プロダクション・デザイン:ドン・テイラー
衣装:リンディ・ヘミング
共同製作:ローリー・ボーグ
共同製作総指揮:ポール・ウェブスター、ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
製作:エリザベス・カールセン
製作総指揮:ニック・パウエル、スティーブン・ウーリー

キャスト

ローラ・ホフ:ジェイン・ホロック『リチャード三世』『メンフィス・ベル』
ビリー:ユアン・マクレガー『ベルベット・ゴールドマイン』
マリー・ホフ:ブレンダ・ブレシン『秘密と嘘』『リバー・ランズ・スルー・イット』
レイ・セイ:マイケル・ケイン『ブラッド&ワイン』『ハンナとその姉妹』
セイディ:アネット・バッドランド『愛に囚われて』『グロテスク』
ジョージ:フィリップ・ジャクソン『従妹ベット』『ブラス1』
ほか、ジム・ブロードベント『ブロードウェイと銃弾』『クライング・ゲーム』

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