原題:Kazoku Cinema

neo korea 韓国新世代映画祭'99 カンヌ映画祭「ある視点」出品作品

1998年/103min/カラー/提供・日活株式会社

1999年10月2日よりシネ・ラ・セットにて公開 1999年5月29日から6月11日まで渋谷シネアミューズにて公開 大阪シネマ・アルゴ梅田ほか、7大都市を中心に順次開催

公開初日 1999/05/29

公開終了日 1999/06/11

配給会社名 0006

解説

「ゴールドラッシュ」が現在ベストセラーの人気作家、柳美里の97年芥川賞受賞作を、拒食、過食を描いた問題作『301 302』のパク・チョスル監督が映画化。日本文化解禁にあたり、韓国人スタッフによる”日本語の映画”として公開第1作に選ばれた。
ひょんな思いつきから、「家族」がテーマの映画に出演することになった一家。20年ぶりに一堂に会した親子は実は様々な問題を個々に抱えており、撮影スタッフの思惑を外れていく…。一家の父親役に『血と骨』で山本周五郎賞を受賞した梁石日、原作者・柳美里の実妹で『2/デュオ』『東京日和』等で注目の女優、柳愛里など個性溢れるキャストを配し、映画内映画の手法を用いて現代に生きる家族の姿を時に冷徹に、時に暖かく見つめる異色作。日韓のスタッフ、キャスト約40名画合宿をしながらオール日本ロケで撮影は進められ、作品中の家族さながらに摩擦やすれ違いを乗り越え映画における文化交流は成し遂げられた。

ストーリー

素美(柳愛里)は、企画担当のOL。ある日、いつものように会社から帰宅した彼女は、家の前で、父(梁石日)、母(伊佐山ひろ子)、妹・羊子(松田いちほ)、弟・一樹(中島忍)に揃って迎えられる。しかも妹は大きな花束を、弟は大きなバースデーケーキを抱えているではないか。
4人は、素美の顔を見るや、「おねぇちゃん、お誕生日、おめでとう」と一斉にお祝いの言葉を口にするのだった。
それは、彼女には信じがたい光景だった。なぜなら、ここ20年、家族はずっと別居状態で暮らしていたのだから・・・。
驚くのは、それだけではなかった。家族4人の後ろには、見ず知らずの男女がカメラや照明器材を抱えてウロウロしているではないか。
呆然としている素美に、妹の羊子が、家族の話を映画に撮ることになった、と明るく言ってのけた。戸惑う素美の前で、かつてあれほどケンカを繰り返し、憎み合っていたはずの両親までが、揃って微笑んでいる。素美は、映画になんか出演しないと言い張るが、母や羊子に丸め込まれ、気がつけばもうカメラは回っている・・・。
一体、何故、こんなことになったのか。それは、AV女優をしている羊子が、自分のキャリアの転機にと、監督の片山(金守珍)の企画に乗ったのだった。
しかし、撮影を始めるなり、演技していることも忘れ、本気でケンカする両親を見て、昔のことを思い出す3人の子供たち。
当時、父は競馬に狂い、家は借金だらけで、それを責める母と大喧嘩の毎日。3人の子供を抱えて生活に困った母はキャバレー勤めに出るが、そこで知り合った若い男・藤木(朴永祿)と恋に落ち、弟と素美を連れて家を出てしまう。今でも母は、まだ藤木と一緒だ。そして弟の一樹は、マザコンの自閉症となって、テニスに明け暮れる毎日を送っている。一方、父はパチンコの釘師だったが、デジタル化によって失業し、今では淋しい一人暮らしの毎日。そんな折りに、この映画出演の話が来たのだから、ここぞとばかりに大いに張り切り、莫大な借金をして、一家全員が住める家を新しく建ててしまった。父は、この機会に「もう1度、家族で暮らそう!」と提案するが、今では不動産業を営む母は、その物件を巻き上げて、自分のビジネスに利用しようと密かのもくろんでいる。
撮影が進む中で、長い空白を一気に埋めようとするように、異常にハイテンションの両親、妹と弟。そんな4人を、素美だけは冷ややかな目で見ている。
彼女には、半同棲の恋人がいたが、仕事で知り合った陶芸家・深見清一(益富信孝)になぜか惹かれていく。深見は女の尻に異常な執着があり、彼女を裸にして、その尻だけをカメラに収めるというアブナイ男だ。それでも素美は、そんな深見と一緒にいるだけで、家族との息詰まる時間を忘れ、妙な安堵感に浸れるのだった。
やがて、撮影もいよいよ大詰めとなり、キャンプのシーンを撮ることになる。監督は、そこで一家和解の場面を撮り上げる予定だった。
キャンピングカーに乗って意気揚々と目的地に着いたはいいが、やがて空模様が荒れ始めると共に、父と母の雲ゆきも怪しくなり・・・!?
果たして、この”家族シネマ”の結末はどうなる−!?

スタッフ

監督:パク・チョルス 原作:柳美里 脚本:ウ・ピョンギル
製作:ユン・クォンジン 撮影:イ・ユンギル
録音:イ・テッキョ 音楽:ピョン・スンリョン

キャスト

出演:柳愛里、梁石日、伊佐山ひろ子、金守珍 ほか

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