原題:IL GATTO A NOVE A CODE

ホラー映画ファンの誰もが通る作品−−−ダリオ・アルジェント 『ダリオ・アルジェント 鮮血の美学』が全国で開催!

1970年/イタリア映画/テクニカラー/テクニスコープ/112min/配給:ザジ フイルムズ/ 提供:カルチュア・パブリッシャーズ、イメージファクトリー・アイエム、ABC出版/宣伝:スローラーナー

1999年10/2(土)〜11/5(金) 各回入替制 東京、キネカ大森を皮切りに大阪、福岡、名古屋、札幌等全国順次開催予定の 『ダリオ・アルジェント 鮮血の美学』にて上映予定

公開初日 1999/10/02

公開終了日 1999/11/05

配給会社名 0089

解説

デビュー作『歓びの毒牙』がイタリアだけでなくアメリカでもヒットを記録し、その翌年波に乗って発表されたアルジェント監督の第2作。盲目の元ジャーナリストと姪、そして若き新聞記者の3人が一緒に謎の事件に挑む。原題は9尾の猫といい、殺人事件の9つの手掛かりを想像上の9本の猫の尻尾に見立てて犯人を探して行くというミステリー仕立ての展開である。また、この作品は人間の心の奥に眠る獣性をテーマにした『歓びの毒牙』から続くアルジェントのアニマル・トリロジーの第2作に当たる。ここでは犯人の目になった一人称カメラの手法が特に強調され、見る者を殺人者のマニアックな主観に同化させる仕掛けが実に秀逸である。犯人の眼球を超アップでスクリーン一杯に映すなど、大胆な映像表現も刺激的だ。デビュー作でものにしたイタリアのヒッチコックの異名を裏切らぬ巻き込まれ型サスペンスの手法や、ユーモアや皮肉に満ちた会話もさらに磨きがかかっている。また、らせん階段やエレベーターなどの空間演出にも奇妙なこだわりが感じられ、よりスリリングで迷宮的なスリラーに仕上がっている。アルジェント自身はヒッチコックよりもむしろ直接の師匠であるセルジオ・レオーネのマカロニ・ウェスタンの線上に自作を位置づけている。アルジェントいわく「レオーネが西部劇に盛り込んだ暴力を、探偵スリラーに移した」のだそうだ。また「私の映画作りには何の秘密もない。私の映画のセオリーは血だらけのセンセーショナルな場面に基づいている」とも語る。それだけに、殺人場面における暴力描写は実に凄まじく、またしつこく描かれている。繊細さと荒々しさが共存するところに、アルジェント演出の醍醐味が感じられる。撮影は、北イタリアの街トリノで行われた。歴史ある整然とした町並みに、陰鬱なムードが漂う…アルジェントがそう形容する街でのロケは『わたしは目撃者』の世界に必要な重厚さを与えている。
出演は、盲目の元ジャーナリスト、アルノ役にカール・マルデン、行動的な新聞記者ジョルダニ役にジェームス・フランシスカス、陰のあるヒロイン、アンナにカトリーヌ・スパークがキャスティングされている。撮影はエンリコ・メンツァー、音楽は『歓びの毒牙』に続いてエンニオ・モリコーネ、プロデュースはサルバトーレ・アルジェントが当たっている。

ストーリー

染色体の国際的な研究で知られるテルツィ研究所に、深夜何者かが侵入した。翌朝警察が調べると、奇妙な事に何ら犯罪の痕跡は見当たらず、紙一枚盗まれていなかった。被害といえば夜警が銃器で殴られて頭部に怪我をした程度だった。しかし侵入が明らかである以上、何らかの被害があってもおかしくない…関係者は誰もがそう思った。事件当夜、研究所の向かいのアパートに住む盲目の元新聞記者のフランク・アルノ(カール・マルデン)は、同居人である8歳の姪ローリー(チンツィア・デ・カロリス)と帰宅途中、奇妙な会話を偶然耳にしていた。それは駐車してあった車の中から漏れ聞こえてきたいくつかの断片的な言葉…「ゆすりじゃない」「皆に知られてもいいのか」…であった。アルノは朝から研究所が騒がしいので様子を見に外へ出て、取材に来た新聞記者のカルロ・ジョルダニ(ジェームス・フランシスカス)から事件のあらましを聞く。この時はまだ、ただの窃盗未遂事件として片付きそうだった。しかし、程なく研究所のカラブレシ博士が駅で列車に轢かれて死亡すると、事件は複雑な陰謀の匂いを放ちはじめた。
博士が列車に轢かれる瞬間をジョルダニの友人の写真家が他の取材中偶然写した。
ところが、新聞に掲載されたその写真のネガに何者かの手が写り込んでいる事を記者時代のカンから見抜いたアルノは、ジョルダニの元を訪ね、「実際の謎解きは卓上のパズルより楽しい」と調査を共に始める。しかし、写真家が殺され、さらに血生臭い殺人事件が連続。その魔手はアルノト姪のローリーにも迫る。二人は手掛かりが9つある事から、この事件を9尾の猫と呼ぶ。ジョルダニは研究所長の娘アンナ(カトリーヌ・スパーク)に接近し、謎の確信に迫ろうとするが…。

スタッフ

監督:ダリオ・アルジェント
脚本:ダリオ・アルジェント、ルイジ・コッチ、ダルダーノ・サケッティ
製作:サルバトーレ・アルジェント
撮影:エンリコ・メンツァー
編集:フランコ・フラティチェッリ
音楽:エンニオ・モリコーネ

キャスト

カール・マルデン
ジェームス・フランシスカス
カトリーヌ・スパーク
カルロ・アリギエロ
ヴィットリオ・コンジア
ピエル・パオロ・カッポーニ
アルド・レッジャーニ
エミリオ・マルケシーニ
ウンベルト・ラオー

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