原題:Vynález zkázy

SFの始祖ジュール・ヴェルヌを愛した<少年の心>を持つカレル・ゼマン監督の伝説の作品

*1958年プリュッセル万博主催国際映画祭・モーションピクチャーコンクール大賞*1958年チェコスロヴァキア評論家賞 *1958年チェコスロヴァキア映画チャート観客アンケート第1位 *1959年フランス映画アカデミー国際大賞・水晶星賞 *1959年フランス映画評論家賞 *1959年バンスカー・ビストゥリツァチェコスロヴァキア映画祭・名誉賞 *1960年プラ八国際技術大会UNlATEC大会・第1位

1958年/チェコスロヴァキア/モノクロ/スタンダード/82分/ニュープリント完全版 配給:日本スカイウェイ、ケーブルホーグ

2005年08月05日よりDVDリリース 2005年08月05日よりビデオリリース 2004年12月25日シアターイメージフォーラムにて、待望のクリスマスロードショー!!

解説

巨匠・名匠を生んだアニメ大国チェコにおいて、トルンカやティール[コヴァーと並び先駆的存在として世界的に愛され親しまれたカレル・ゼマン。愉快な風来坊、潜水艦飛行船、恐竜時代に魔法の世界と、ゼマンが生み出した数々の愛すべきキャラクター、心に留める美しいシーン、詩情とロマン溢れる、不思議で奇想天外な物語に誰もがワクワク!ドキドキ1トリックの元祖ジョルジュ・メリエスに魅せられ、SFの始祖ジュール・ヴェルヌを愛した〈少年の心〉を持つカレル・ゼマンの伝説の2作品『悪魔の発明』『ほら男爵の冒険』が、ついに公開!

今から100年前に書かれたジュール・ヴェルヌの小説を映画化した、ゼマン代表作『悪魔の発明』。まるで挿し絵のような銅版画の昧わい深いモノクロ映像。セットから小道具まで細部にわたるこだわりの数々。ここまで手の込んだ美術品のような映像は、公開当時はもちろん、コンピュータで何でも作れてしまう現在だからこそ、この独創性と手作業の素晴らしさに驚かされることだろう。19世紀末から20世紀初頭、科学と技術が新たな人間の夢を実現しようとしていく時代。人々はきっと夢と希望に満ち溢れていたのだろう。SL、自動車、飛行船、潜水艦、気球、大空と深い海を駆けめぐる冒険の数々。しかし、科学と技術の発展は豊かさだけではなく、危険性を孕んでいるのだ。ゼマンはそれを、ユーモアもまじえて警告する。
おしゃれで大らかなユーモア満載の冒険ファンタジー!空想の大好きなほら男爵が、想像=創造の世界を自由に遊ぶ『ほら男爵の冒険』。宇宙飛行士のトニークはようやく月面に降り立った。人類最初の月面着陸、のはずが、月面にめり込んだ古風なロケットを発見する。そこには【ジュール・ヴェルヌ、月世界探検1865】と記載されている。卜二一クは空想の力ですでに月に到着していたシラノ・ド・ベルジュラックとほら男爵ことミュンヒ八ウゼン男爵に出迎えられる。そして、トニークは男爵の案内でペガサスの引く帆船に乗り、地球へと旅立つ…。なんとも奇想天外なプロローグ。
『ミュヒ八ウゼン男爵の眩惑』を監督したジョルジュ・メリエスヘのオマージュともいえる詩心と、イマジネーションに溢れた傑作!背景にギュスターヴ・ドレの挿絵が使われたり、エスプリのきいた剣豪詩人シラノ・ド・ベルジュラックの存在、囚われの美女ビアン力王女の美しさもお見逃し無きように。
2003年に開催の「カレル・ゼマンレトロスペクティヴ」に続く、この2作品の公開。是非、カレル・ゼマンの世界に酔いしれてほしい。

ストーリー

偉大な発明家ロック教授とその助手ハルト。ある日二人は大西洋を横断する蒸気船に乗る機会を得て、海上を浮遊する巨大な潜水艦、空高くに浮かぶ飛行船など、人間の知恵が機械に結びつぎ発達していく素晴らしい進歩を目の辺りにした。それは、本当に希望に溢れ、夢のように楽しい光景だった。
現在、ロック教授は、〈仰圧されたエネルギーの解放>=強力な破壊力を持つ爆発物の研究を行っているが、資金不足に悩んでいた。もう少しで完成という嵐の晩、二人は何者かの手によって誘拐されてしまう。彼らは海賊に拉致されたのだった。そして海賊を配下におく謎の大富豪ダルティガス伯爵は、「私の富と、あなたの発明を一つにして偉大な仕事を作り上げましょう」と教授を巧みに騙し、教授のスポンサーとなるのだった。
海中を走る潜水艦にひかれて進む海賊船に警備艦もまんまと騙されてしまう。そこに豪華客船アメリア号が発見されると海賊たちは、直ちに潜水艦を攻撃してアメリア号を沈めてしまう。彼らの目的は客船につまれた豪華な宝を奪うことだった。それを見ていたハルトは自分たちが海賊に捉えられたことを初めて理解する。八ルトは研究に没頭するばかりで、人を信じて疑わないロック教授が心配でならなかった。海賊船はアメリア号の乗客で漂流していたヤナを助け、海賊の秘密基地のバックカップ島に向かう。
バックカップ島は見たところ火山島だが、実はその噴煙は島内の秘密工場から出る煙で、その工場に行くには海底の秘密通路を通り抜けないとたどり着けないのだ。島は岸壁に取り囲まれ小高い岩の上に古城が建っていて不気味な雰囲気である。海賊に抵抗した八ルトは一人寂れた小屋に軟禁される。
ヤナは自分が海賊に助けられたと知らず、教授の身の回りの世話をしている。そして、ロック教授は素晴らしい環境で着着と研究を進めている。八ルトだけが、海賊の技師セルケから教授の協力を依頼されても、かたくなに拒否をし教授に会わせてもらえない。
教授の研究はもう少しで完成だ!八ルトはこの恐ろしい状況を伝えなくてはと、軽気球に警告の手紙を託し発射させる。そして無事、手紙は届きこのニュースは世界中の人々を驚樗させた。すぐに全世界の艦隊が火山島に向かう。そのことを知ったダルティガス伯爵はセルケ技師に島の外側に砲台を作り、教授の発明の賜、巨大な破壊力の爆弾の威力を試そうと考えた。
一方、パルトもなんとか教授に会って危機を脱したいと、海底から教授のいる工場に向かう。巨大タコに襲われ、潜水艦に攻撃を受けながらもやっと難を逃れ、古城にたどり着く。古城の外壁をよじ登り、窓を開けるとそこはヤナの部屋だった。八ルトはヤナに事情を説明し協力をお願いする。さっそく、二入は教授を捜しに行くが、教授は見つからない。しかし、ダルティガス伯爵、スペード船長、セルケ技師が連合艦隊を攻撃するため教授の作った爆弾の威力を軽気球を上げて測定することを知った。
八ルトとヤナは軽気球の乗組員を閉じこめ、乗組員になりすまして軽気球に乗り込んだ。二人がロープを切ると気球は空高く飛んでいく。それを見ていた海賊たちは大慌てだ。その時、すべてを悟ったロック教授は自ら砲台に登り、砲弾の鎖をはずした。
偉大な爆発力はバックカップ島を跡形もなく吹き飛ばした。天才発明家の帽子が宙を哀しく舞う。
キノコ雲を間一髪で逃れたパルトとヤナを乗せた気球はぐんぐんと空に登っていく。

スタッフ

監督:カレル・ゼマン
原作:ジュール・ヴェルヌ「悪魔の発明」
脚本:カレル・ゼマン、フランチシェク・フルビーン
台詞:ミラン・ヴァー八
美術:演出:カレル・ゼマン
撮影:イジー・タランチーク
音楽:ズデニィク・リシュカ
セット:ズデニェク・ロスコパル
トリック:アルノシュト・クプチーク、インドジッヒ・リシュカ、
フランチシェク・クルチマージュ、イジー・タランチーク、
ボフスラフ・ピクルト、アントニーン・ホラーク、
ズデニェク・オストゥルチル、ヨゼフ・ゼマン
衣装:カレル・ポストゥジェホウスキー
編集:ズデニェク・ステフリーク
助監督:ミラン・ヴァー八、ズデニェク・ロスコパル
製作:クラートキー・フィルム・プラハ
   ゴットヴァルドフ人形アニメスタジオ

キャスト

ロック教授:アルノシュト・ナヴラーチル
八ルト助手:ルボル・トコシュ
ヤナ:ヤナ・ザトロウカロヴァー
ダルティガス伯爵:ミロスラフ・ホルップ
スペード船長:フランチシェック・シュレーグルセルケ
技師:ヴァーツラフ・キズリンク
ナレーション:イジー・プルデチュカ

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