原題:female

2005年/日本/118分/ヴィスタサイズ/dtsステレオ/ 配給:東芝エンターテイメント

2005年12月22日よりビデオリリース 2005年12月22日よりDVDリリース 2005年5月14日、渋谷シネ・アミューズ、シネ・リーブル池袋ほか全国順次ロードショー

(c)2005 female Film Partners

公開初日 2005/05/14

配給会社名 0008

解説


人気女性作家の書き下ろし小説を、あの監督たちが映画化
第一線で活躍する女性作家5人が”女性”をテーマに書き下ろした作品を、気鋭の監督たちが5本の映画に仕上げた。2002年の『Jam Films』からスタートして『Jam Films2』『Jam Films S』と発展したコンピレーション・ムービー、『Jam Films』シリーズ。映画の新しい形を果敢に模索して喝采を浴びてきた同シリーズが、さらなる新機軸を開拓したのが、5作の女性映画からなる『フィーメイル』だ。女性の本音をずばりと突く作品群で独特の位置に立つ姫野カオルコの『桃』は、誠実な空気がつねに作品を貫く篠原哲雄監督。

赤裸々な女の気持ちをあっけらかんと描いて人気の室井佑月の『太陽の見える場所まで』は、『ヴァイブレータ』で改めて注目された廣木隆一監督。巧みな心理描写と幅広い作風で読書家の心を掴む乃南アサの『女神のかかと』は、『蛇イチゴ』で鮮烈なデビューを果たした西川美和監督。恋心を中心に女性心理を細密に描いて絶大な支持を受ける唯川恵の『夜の舌先』は、初監督作品『恋の門』が大ヒットしたばかりの松尾スズキ監督。恋愛小説とサスペンスの名手にして官能を描く名手、小池真理子の『玉虫』は、『ヴィタール』で再び熱い注目を集める塚本晋也監督。なるほどの組合せ、意外な組合せが楽しめる5作は、年齢もさまざまな女性たちの心のひだと明日に向かう気持ちを、時にエロチックに、時に爽やかに、時にコミカルに描き出して、5色の味わいと余韻を残す。なお、原作の書き下ろし小説集『female フィーメイル』は『小説新潮』2004年5月号に掲載、同年12月に文庫オリジナルとして新潮文庫より発売された。

フレッシュな魅力、乗りに乗っている女優の新境地、そして熟女の色気
出演陣の豪華さも『Jam Films』シリーズの魅力のひとつだが、本作はさらにツボにはまったキャストが勢揃い。『桃』では長谷川京子が今まで見せたことのない官能的な演技に挑戦し、彼女の少女時代を演じる野村恵里はしびれるほど清潔な色気をにじませる。ひさしぶりの映画出演になる石井苗子は『太陽の見える場所まで』で熟れ盛りの女の迫力を披露し、その前で片桐はいりが独特の呟きで笑わせる。この熟女2人と対等に渡り合うのは、『いま、会いにゆきます』などで注目の若手女優、大塚ちひろ。
その美しさで小学生の男の子を官能の世界にいざなうのは、『女神のかかと』の大塚寧々。
旺盛な映画出演を再始動させている高岡早紀は『夜の舌先』で大胆にして満載のセックス・シーンを堂々と演じきって女優魂を見せる。
『玉虫』の石田えりは、愛に一途な女のさまざまな表情をシーンごとに見せて観客を引き込む。
これら女優陣を、池内博之(『桃』)、近藤公園(『夜の舌先』)、加瀬亮と小林薫(『玉虫』)ら、個性豊かな男優陣が強力にサポート。キャストたちの演技合戦もまた、本作の大きな目玉になっているのだ。

セクシーなダンスと音楽が彩る新しい仕掛け
5つの物語をつなぐのは、夏まゆみ演出・振付のダンスエンターテイメント。オープニング、インターバル、エンディングの3パートでそれぞれ趣向を変えて映画を華やかに飾る。モーニング娘。など多彩なアーティストの振付で日本のダンスシーンを牽引するコリオグラファーが、エロティシズム全開に演出したダンスをたっぷり堪能いただきたい。また、音楽プロデューサーには、浜崎あゆみ、DA PUMP、EXILE、ZEEBRA、BoAなどの人気アーティストを数多く手がけるヒットメイカー、今井了介を迎え、5作の映像とコラボレートする音楽を生み出してもらった。裏方に徹しつつも映画音楽の新たな地平を切り開く手腕にご注目ください。

ストーリー






● 桃
東京のOL、29歳の淳子は、中学時代の恩師の葬儀に出席するため、ひさしぶりに故郷を訪れる。桃畑が点在する故郷の町は今も中学時代のままの田園風景が広がっている。
かつて、中学生の淳子は、この桃畑の中を自転車で疾走した。
目指すのは、中学の独身教師が住む一軒家。14歳の淳子はそこで彼とさんざん「いやらしいこと」に耽ったのだ。
今では桃畑を継いでいる同級生の矢崎に、淳子は言う。
「あたしもあの人もただやりたかっただけだよ」
ひとり高台で故郷の夕景を見ながら、淳子は矢崎からもらった桃を、舌をつかってゆっくりと舐めるように、かじり、味わっていく。

● 太陽のみえる場所まで
深夜、熟女ホステスのマチコがタクシーに乗り込むやいなや、助手席に隠れていた若い女が顔を出し、「こんばんは、ゴートーです」とナイフを突き出す。女性運転手の佳代もすでに売上金の2万円をとられていた。マチコと日出美の乱闘が車内で勃発。
そのうち、明日までに100万円いるという日出美の事情が見えてくる。ホストに入れ込んだ挙句のことだ。マチコも佳代もそれぞれに抱えている事情を吐き出し、「私を殺して」の大合唱に。そして日出美が突然アクセルを踏みつけ、車は車道をそれて激しく衝突。
次の瞬間、太陽の光が降り注ぐ浜辺で『天使の誘惑』をフリ付きで歌い踊る3人──数分後、膨らんだエアバックの間で3人が意識を取り戻す。みんな同じ夢を見ていたようだ。誰からともなく、夢に出てきた海へ逃げようということに。そしてタクシーは夜明けの東京を疾走していく。

● 夜の舌先
工場で働く正子は、変態チックな課長とデートする代償に有給休暇を手に入れ、南国へひとり旅をした。ホテルの部屋でマリファナを吸ってハイになり、課長の誘い文句を思い出しては笑い転げる。部屋に置かれた香炉は、昼間、市場で手に入れたもの。店のおばさんは言った。「それを見つける人は不幸な人。でもこれで幸せになる。好きな人の髪の毛、この香炉に入れて眠る。好きな人、夢に出てくる。好きなこと、するといい」
正子は営業の浅山を思い出す。5つ下。たいした男じゃない。けど、「チュウしたら……意外といい仕事しそう……あの白い指でいじられたら、あたし、凄い声出す……」
工場で浅山にお土産のネクタイを渡す正子。その時、彼の肩に髪の毛発見。帰宅し、香炉に髪の毛を入れ、常習になった睡眠薬を飲んで横たわる──正子はあの南国のホテルのベッドで浅山と全裸で絡み合っている。興奮の極み。それ以来、正子は何度も浅山の髪の毛を入手しては淫らな夢に中毒になっていくのだった……。

● 女神のかかと
小学生の奈月がBFの真吾と手をつないで家に帰る。色気づきだしたお喋りな奈月に、寡黙な真吾は押されっぱなしの様子。そんな彼は、マンションで出迎えてくれた奈月の母親に胸ときめかせる。白い素肌がまぶしい脚、柔らかそうな髪の毛、ノースリーブから出た腕の曲線─その美しさに目が釘付けになる。
リビングで奈月に算数を教えながらも、母親の梗子が気になって仕方ない。自分の部屋に誘う奈月に「女がそんなケーハクでメーワクすんのはこっちなんだから、やめてよ」と口走ると、それまで無表情だった梗子がおかしそうに笑う。
すっかりココロを奪われた真吾は成績ががた落ちに。だがどうやら真吾の視線に気づいた梗子は誘惑する素振りさえ見せ、彼のココロとカラダは熱くなるばかり。
そして終わりは突然やってくる。奈月一家はアメリカに旅立つことになったのだ……。

● 玉虫
野中にぽつんと立つ一軒家。古ぼけたテレビに玉虫厨子のドキュメンタリー映像が流れている。それを見ている女と、女のスカートをまくって腿を愛撫しているじじいの手。女はじじいの愛人で、じじいが来るのをひたすら待ちながらこの家で暮らしている。
ある晩、泥酔したじじいが若い男を連れてくる。じじいに言われてピンクのバレリーナ衣裳に着替えた女は、2人の前で『渚のシンドバッド』をフリ付きで歌う。じじいが眠りこみ、女と男の間にエロチックな空気が流れ出す。触れそうで触れない唇。女の手が男の股間に伸び、さらにエスカレートしそうになった時、雷が落ち、慌てて体を引き離す。
銃の撃ち合いで負傷するじじいと男。じじいの入院中に女と男は安旅館で激しく交わる。
女は自転車を走らせる。家の前に来るが、何を思ったのか来た道を引き返す。「東京」の標示に目を止め、しばし考えをめぐらせ、その標示の方向へと自転車を漕ぎ出していく。

スタッフ

企画:梅村宗宏/河井信哉
プロデュース:河井信哉
エグゼグティブプロデューサー:梅村宗宏/三宅澄二/浜田一英/藪考樹
プロデューサー:松岡周作
コリオグラファー:夏まゆみ
音楽プロデューサー:今井了介
サウンドトラック:DefSTAR RECORDS
参加アーティスト:Sowelu 他
テーマ曲:「Uh」Sowelu,HI-D and JUN 4 SHOT
原作出版:新潮社(新潮文庫刊)
制作:アミューズ
制作協力プロダクション:ステューディオ スリー/海獣シアター/ディープサイド/バイオタイド/祭
特別協力:スキップシティ
製作:セガ/アミューズ/ミコット・エンド・バサラ/ジャパン・デジタル・コンテンツ/モブキャスト
配給:東芝エンタテインメント
宣伝:DROP.

● 桃
原作:姫野カオルコ
監督:篠原哲雄
プロデューサー:盛 夏子、太田裕輝
脚本:公園兄弟(真辺克彦&鴨 義信)
音楽:今井了介
撮影:上野彰吾
照明:赤津淳一
VE:宇津野裕行
録音:臼井 勝
美術:小澤秀高、渡邉由利
装飾:庄島 毅
編集:山本浩司
スタイリスト:石橋瑞枝
ヘアメイク:井川成子、千葉友子
助監督:谷口正晃
制作担当:村田 亮
制作協力:バイオタイド

● 太陽のみえる場所まで
原作:室井佑月
監督:廣木隆一
プロデューサー:盛 夏子、森重 晃
脚本:及川章太郎
音楽:今井了介
撮影:鈴木一博
照明:萩野真也
録音:深田 晃
美術:林 千奈
編集:菊池純一
スタイリスト:小倉久乃
メイク:波止和子
助監督:宮城仙雅
制作担当:湊谷恭史
制作協力:ステューディオ スリー

● 夜の舌先
原作:唯川 恵
監督:松尾スズキ
プロデューサー:野間清恵、小河原 修
脚本:松尾スズキ
音楽:小島真由美
撮影:山中敏康
照明:椎原教貴
VE:前川達彦
録音:山方 浩
美術:年水愛子
装飾:二村一美
編集:上野聡一
スタイリスト:寶田マリ、石野美穂、宮下恵美子
メイク:石川亜矢
キャスティングプロデューサー:田端敏江
助監督:坪井敏雄
制作担当:花山信大
制作協力:ディープサイド

● 女神のかかと
原作:乃南アサ
監督:西川美和
プロデューサー:森重 晃
脚本:西川美和
音楽:カリフラワーズ
撮影:山崎 裕
録音:白取 貢
美術:林 千奈
編集:宮島竜治
スタイリスト:勝俣淳子、三上しろえ
メイク:酒井夢月
助監督:SAMARINO-GIYAHMING(サマリノギャーミン)
制作担当:白石 治
制作協力:ステューディオ スリー

● 玉虫
原作:小池真理子
監督:塚本晋也
プロデューサー:川原伸一
脚本:塚本晋也
音楽:石川 忠
撮影:塚本晋也
照明:吉田恵輔
VE:矢部光宏

編集:塚本晋也
衣裳:小林純子
メイク:福山秀美
助監督:小出 健
制作協力:海獣シアター

● Dancing Erotic Female
音楽プロデューサー:今井了介
監督:振付:夏まゆみ
ダンサー:根津奈穂子
プロデューサー:渡辺雅史
撮影:青木 正
照明:浦辺英明
スタイリスト:古川方子
ヘアメイク:林 達郎
編集:鴨川正太郎
制作担当:小林雄介、江尻賢一
制作プロダクション:祭

キャスト

● 桃
森岡淳子:長谷川京子
矢崎:池内博之
美樹:時任 歩
園子:金谷亜未子
松永:佐久間 哲
吾郎:野村貴志
中学生の淳子:野村恵里
田村真二郎:草野康太
占い師:姫野カオルコ

● 太陽のみえる場所まで
日出美:大塚ちひろ
マチコ:石井苗子
佳代:片桐はいり

● 夜の舌先
木原正子:高岡早紀
浅山:近藤公園
課長:高谷基史
店主:ルビーモレノ

● 女神のかかと
森島梗子:大塚寧々
水沼真吾:森田直幸
森島奈月:藤原 希

● 玉虫
女:石田えり
男:加瀬 亮
じじい:小林 薫

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