原題:THE LIFE AQUATIC WITH STEVE ZISSOU

人生は、海だ。 広く、深く、そしてショッパイ。 荒れる日もあれば、穏やかな日もある。 永遠の謎を秘めた、美しいもの。

2004年12月25日アメリカ公開

2004年アメリカ映画/シネマスコープ・サイズ/ドルビーSRD/上映時間:118分/ 日本語字幕:石田 泰子/タッチストーン・ピクチャーズ提供/ 配給:ブエナ ビスタ インターナショナル (ジャパン)

2007年09月19日よりDVDリリース 2005年09月21日よりDVDリリース 2005年5月7日(土)より恵比寿ガーデンシネマほか全国順次ロードショー!

(c) TOUCHSTONE PICTURES

公開初日 2005/05/07

配給会社名 0069

解説


豪華キャスト集合の海洋アドベンチャーにして、
どこかヘンな人間たちを優しい視線で描く感動のドラマ!

天才ファミリーを描いて絶賛された”天才監督”の最新作は、
舞台を広大な海へ拡大した。

療養施設から退院したばかりの青年が親友の強盗計画をでたらめにする様を描いた『アンソニーのハッピー・モーテル』(96)、19ものクラブのかけもちと年上の未亡人への恋で忙しい15歳の少年を主人公にした『天才マックスの世界』(98)、小さい頃は天才と騒がれた兄妹弟と家族のその後の憂鬱をテーマにした『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(01)。これらのわずか3本で、気難しい俳優たちや辛口なマスコミからも”天才監督”としてリスペクトされたのが、70年生まれのウェス・アンダーソンである。
彼の最新作『ライフ・アクアティック』(水中の生活、の意)では、かつては偉大な海洋探検家と尊敬されていた中年男と、まるでファミリーのような部下たちとの非日常的な海の上の暮らしぶりを取り上げた。監督がこだわってきたテーマ——世の中に適応できにくい主人公とその家族関係を、擬似家族にまで深化させながらも、映画の舞台を広大な海へと拡大させた。前作以上に豪華なキャストが集合した海洋アドベンチャーにして、どこかヘンな人間たちを優しい視線で描いた感動的なドラマが、いよいよ日本へ上陸する。

落ち目の海洋探検家兼ドキュメンタリー監督が
“リベンジ”の航海へ乗り出すが……。

世界的に有名な海洋探険家兼ドキュメンタリー監督のスティーヴ・ズィスー(52歳)は、この10年近く自作の映画がヒットしていないものの、黄金時代のプライドが捨てきれない。しかも、先日の航海では27年来の右腕エステバンが幻の”ジャガーザメ”に喰われてしまった。
ズィスーは、仲間の”リベンジ”と人気回復のために、もはや擬似家族と言ってよいクセ者揃いの映画制作集団、その名も”チーム・ズィスー”を率いて、探査船ベラフォンテ号で海へ乗り出す。ところが、そこへ元・恋人の息子……と名乗り出るからにはズィスーの子供の可能性大な副操縦士、取材意図が不明な女性ジャーナリスト(妊娠中)、制作資金を融資した銀行の監視員も加わってきた。テンパったズィスーは、スタッフの忠告を無視して非警備水域へ進路を進めるが、彼のゴーマンな性格すら変えてしまう悲劇が待っていた……。

隅々までつかみのある凝り方が楽しい、
ウェス・アンダーソン版”8 1/2”!?

自分勝手だがどこか憎みきれないスティーヴ・ズィスーを演じるのは前2作に出演し、『ロスト・イン・トランスレーション』(03)でアカデミー賞にノミネートされたビル・マーレイ。共演はオーウェン・ウィルソン、アンジェリカ・ヒューストンらウェス組の出演者に加え、ケイト・ブランシェット、ウィレム・デフォーら演技派のハリウッド・スターたちも参加した。
毎回ポップな演出では定評のあるアンダーソンだが、本作では幻想的な架空の海洋生物を『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(93)の監督ヘンリー・セリックにクリエイトさせ、デヴィッド・ボウイの70年代の名曲の数々をセウ・ジョルジ(『シティ・オブ・ゴッド』<02>)にポルトガル語でボサ・ノヴァ調にカヴァーさせるなど、隅々まで凝っている。
なお、海洋ドキュメンタリーとはいえ、映画制作の舞台裏を描くという意味では、『フェリーニの8 1/2』(63)やトリュフォー『映画に愛をこめて アメリカの夜』(73)の系譜に繋がる作品としても楽しめるだろう。

ストーリー



“チーム・ズィスー”のリベンジのための航海は、山あり谷あり。

*スティーヴ・ズィスー監督の新作、ロカスト映画祭で不評!?

 今夜のロカスト映画祭は、海洋冒険家にしてドキュメンタリー映画監督のスティーヴ・ズィスー(ビル・マーレイ)の新作のワールド・プレミアだ。由緒ありそうな劇場の観客の前で、『水中の生活 探検 第12話「ジャガーザメ」パート1』が上映される──。

ズィスーは探査船ベラフォンテ号を持ち、映画制作集団”チーム・ズィスー”を率いる。メンバーは長老で27年来の右腕のエステバン・デュ・プランティエ、冷静・寡黙・誠実な技師クラウス・ダイムラー(ウィレム・デフォー)、撮影担当のヴィクラム・レイ、潜水員のボビー・オガタ、編集・音響担当のレンゾ・ピエトロ、物理学者で映画音楽の作曲も手がけるウラジミール・ウォロダルスキー(ノア・テイラー)、いつもトップレスの記録係アン・マリー・サコヴィッツ、保安担当なのにギターを弾き語ることが多いペレ・ドス・サントス(セウ・ジョルジ)、そしてスティーヴの妻兼ズィスー協会会長エレノア・ズィスー(アンジェリカ・ヒューストン)。どうやら男子は赤いニット・キャップをかぶり、ズィスーのロゴ入りの青い半袖シャツを着るのが規則らしい。
のどかな場面から一転して、事故が起こる。ウブヤミウェ半島沖のリーフを探検中、”体長10メートルで、背中にまだら模様がある、サメのような魚”と遭遇し、エステバンが食われてしまったのだ…。

余りにも突然の悲劇的な幕切れに、上映後の質疑応答は盛り下がる。しかも、タイトルに”ジャガーザメ”とあるのにその映像がないため、誰もがその存在自体を疑い始めていた。しかし、ズィスーは「サメかどうかは不明だが殺す」と、淡々と復讐を誓う。

*昔の恋人の息子と名乗る青年と、生意気な女性雑誌記者が現れて……。

 探査船ベラフォンテ号には研究室、キッチン、観察室、エンジン室だけでなく、編集室や図書室やサウナまであり、黄色いミニ潜水艦にヘリコプター、偵察係の白イルカ2頭も揃っているが、全体にオールド・ファッションな雰囲気を醸し出している。
 実はズィスー作品にこの9年間ヒットがなく、資金繰りもままならない状態なのだ。長年のプロデューサー、オセアリー・ドラクリアス(マイケル・ガンボン)は、最後の頼みの綱としてサウジ映画社のアミン会長をくどこうとしている。
船上パーティに、”ズィスーの昔の恋人の息子”と名乗るネッド・プリンプトン(オーウェン・ウィルソン)が現れた。彼はケンタッキー航空の副操縦士で、「母が死んだ」と告げる。ズィスーは「たぶん私の息子だ」と動揺し、自分の栄光のために過去に失ってきたものを思い出す。
“チーム・ズィスー”は次の航海の準備のため、ペセスパダ島の海洋観測所へ立ち寄る。ネッドも一緒だ。この島も前2作の制作資金も、妻の富豪の両親からの出資だった。
夜、海岸に”電気クラゲ”の群れが現われたと、早速、撮影が始まる。そこへ小舟でやって来た雑誌記者ジェーン・ウィンスレット・リチャードソン(ケイト・ブランシェット)が登場し、「ベトコンクラゲよ!」とダメ出しする。彼女は未婚だが妊娠中だった。
 ”チーム・ズィスー”の影のリーダーと呼ばれるエレノアは、エステバンの死に何ら責任を感じていないかのようなズィスーを非難し、今回は乗船しないと言う。知恵袋を欠いたまま、ベラフォンテ号は船出する。

*”ジャガーザメ”を追い詰めようと、ズィスーはなりふり構わず進む。

ズィスーは、ジェーンの取材が”持ち上げ記事”ではないのも、彼女がネッドと親しげなのも面白くない。クラウスはズィスーを尊敬するあまり、ズィスーに目をかけられたネッドが面白くない。不穏な空気の船上で、サウジ映画社の出資がNGと分かる。ところが、ネッドが「27万5000ドルを相続した」と申し出て、新作映画の共同出資者となる。不足分も銀行の融資が決まり、監視員のビル・ユーベル(バッド・コート)も同乗する。
人気回復できる傑作を撮るべく、ズィスーは”ジャガーザメ”を能率的に追跡しようと、エレノアの元夫で、天敵のカリスマ海洋学者アリステア・ヘネシー(ジェフ・ゴールドブラム)の海洋研究所に侵入。ハイテクの追跡システムからエスプレッソ・マシーンまで盗む。さらに、サメの回遊ルートに1日でも早く近づくため、アン・マリーの忠告を無視し、非警備水域へ進路を取る。
ネッドが見張り当番の日、言葉が通じぬ凶暴な海賊たちが襲って来た。ズィスーはやっと真のリーダー意識に目覚め、ピストルを構えて甲板に出る…。
果たして、”チーム・ズィスー”の運命は? ”ジャガーザメ”へのリベンジは? そして、ズィスーの自己中心的な人柄をも変えてしまう悲劇が起こる──。

スタッフ

監督……ウェス・アンダーソン
脚本……ウェス・アンダーソン&ノア・ボーンバッハ
製作……ウェス・アンダーソン
    バリー・メンデル
    スコット・ルーディン
製作総指揮……ラッド・シモンズ
撮影監督……ロバート・ヨーマン A.S.C.
プロダクション・デザイン……マーク・フリードバーグ
編集……デイヴィッド・モリッツ
衣装デザイン……ミレーナ・カノネロ
音楽……マーク・マザーズボー
音楽監修……ランドール・ポスター
アニメーション……ヘンリー・セリック
キャスティング……ダグラス・エイベル

キャスト

スティーヴ・ズィスー……ビル・マーレイ
ネッド・プリンプトン……オーウェン・ウィルソン
ジェーン・ウィンスレット・リチャードソン……ケイト・ブランシェット
エレノア・ズィスー……アンジェリカ・ヒューストン
クラウス・ダイムラー……ウィレム・デフォー
アリステア・ヘネシー……ジェフ・ゴールドブラム
オセアリー・ドラクリアス……マイケル・ガンボン
ビル・ユーベル……バッド・コート
ウラジミール・ウォロダルスキー……ノア・テイラー
ペレ・ドス・サントス……セウ・ジョルジ

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