原題:9 SONGS

2005年3月11日イギリス公開

2004年/イギリス/69分/ 配給:ファインフィルムズ+ギャガ・コミュニケーションズ

2005年09月02日よりビデオリリース 2005年09月02日よりDVDリリース 2005年4月30日、渋谷シネ・アミュ−ズにてレイトショー

公開初日 2005/04/30

配給会社名 0419/0025

解説



愛したひとを思い出す時、わたしたちは何を思い出すのだろう?
マットとリサ。
触れあう肌の感触、ロックンロールの音の震え、
近すぎるからこそ感じる孤独…。
『9 Songs』は、失われた恋の記憶についての美しい映画として誕生した。

雪に閉ざされた南極で、ひとりの男が、愛した女のことを思い出す。でも、それは、姿や言葉ではない。彼が思い出すのは、彼女の匂いや肌の感触だった。遠く離れているから、そして、今ではもう彼女が彼のことを思い出さないから…。ベットの上の二人。大勢の観客の中でもみくちゃにされながら、体を寄せあっていたライブの記憶。ステージでは、奏でられているのは、ロックンロール。彼女は、世界と同じくらいクレイジーで、ふたりはある夏、九つの歌の間に、触れあい、愛を確かめあったが、雪の大陸にひとりぼっちでいるくらい孤独だった。『9 Songs』は、マットとリサという恋人たちの、愛しあった記憶についての残酷なまでに美しい作品として誕生した。
わたしたちが、失われた恋について思い出す時、
思い出すのは、姿や言葉なのではない。
愛するひとの肌の感触や、匂いや、
体温の暖かさ、体が離れる瞬間の空気の冷たさ、
そして、彼や彼女の声や、寄り添いながら聞いた
ロックン・ロールの音の震えなのだ。

プライマル・スクリーム、フランツ・フェルディナンド、マイケル・ナイマン…。
ミュージックシーンを代表するミュージシャンたちが集結。
『24 アワー・パーティー・ピープル』『CODE46』の
マイケル・ウインターボトム監督は、この作品を、どうしても撮らずにはいられなかった。

2004年カンヌ国際映画祭は一本の映画を巡って騒然となった。それは、『24 アワー・パーティー・ピープル』『CODE46』のマイケル・ウインターボトム監督の最新作『9 Songs』のワールドプレミア上映をめぐる騒ぎであった。メディアは、この作品と映像に写し出されたそのエロティシズムを攻撃的でスキャンダラスな映画だと評した。しかし、この映画を見た人は分かるだろう。これは、恋愛の記憶についての美しい映画なのだと。マットとリサの近くて遠すぎる距離を通して、恋愛の幸福、ベットの上で抱き合いながら荒野にひとりぼっちでいるような孤独を感じること、そして、わたしたちが愛したひとを思い出す時に何を思い出すのかということを描いた作品なのだ。ウインターボトム監督は、ウエルベックの小説に着想を得て、この作品を、誰に頼ることなく自らの資金で作り上げた。『9 Songs』は、彼にとって最も大切な1本なのである。主演は、『24 アワー・パーティー・ピープル』やTVドラマシリーズ「心理探偵フィッツ」で監督とコンビを組むキーラン・オブライアンと、ファッションモデルであり、映画初出演ながらヒロインに抜擢されたマルゴ・スティリー。また、ライブシーンには、プライマル・スクリーム、フランツ・フェルディナンド、エルボー、ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ、ザ・ダンディ・ウォーホルズ、スーパー・ファーリー・アニマルズ、ザ・ヴォン・ボンディーズなど監督のコンセプトに共鳴したロック・シーンを代表するミュージシャンたちが参加。また、『ひかりのまち』『めぐり逢う大地』でサウンドトラックを担当したマイケル・ナイマンが、美しいピアノ演奏を聞かせている。

ストーリー



マットは、雪と氷に閉ざされた南極の荒野で、リサのことを思い出す。
服や言葉ではなく、匂いや肌の感触を。

二人は、ロンドンのブリクソン・アカデミー、ブラック・レベル・モーターサイクルのライブで出会った。
すぐに彼の部屋で幾度となく愛を確かめあった。
彼女は、彼に口づけし、彼は、彼女の胸に唇を這わせる。

彼女は「ブラジル人はみんなこんな風に踊るのよ」と、
裸で腰を踊った。
そして、夜になると二人はライブに出かけるのだ。

プライマル・スクリーム、フランツ・フェルディナンド
エルボー、ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ
ザ・ダンディ・ウォーホルズ、スーパー・ファーリー・アニマルズ、ザ・ヴォン・ボンディーズ

マットは、雪原で思い出す。
リサは21歳で、
可愛くてわがまま、
奔放でクレイジーだった。
一人目の恋人は、コロンビア人。ブラジル人に、アルゼンチン人。
今の恋人であるマットはイギリス人。
彼女の友達は変人ばかり。
どこかの王子や、お偉いさんの息子たち。
彼らの恋人に娼婦たち。

人の姿の見えない閑散とした海辺にも行った。
マットは、リサとキスをして、ふざけて全裸で海に飛び込んだりした。
リサに目隠しをして、ベルトで両手を縛って、ベットの上で楽しんだこともあった。
逆に、リサは、激しくマットを求めることがあった。
「キスされると、噛みつきたくなるの。本気で傷つけたくなるの」
マットは、クレイジーなリサについていけない自分を感じていた。

マットは、広大な虚無に覆われたの大陸で恐怖を感じながら思い出す。
南極で感じる孤独は、ベットの上の二人と同じだ。
ある日ふいにリサは、ライブに来なかった。
ライブには、5000人もの人がいたが、孤独だった。
世界もリサもクレイジーだ。
大量破壊をする。
テロ攻撃をする。
人身売買をする。
悔いる。
世界から隔絶する。
クラスター爆弾を落として、破滅させる。
リサは言う。
「今日のあんたは退屈」

誕生日には、友人が働くホテルでも過ごした。
リサがくれた南極の本。
ある日、薬をキメて、マイケル・ナイマンの誕生日演奏会に行った。
その夜、急にマットは彼女の帰国の予定を告げられる。
たった1年の別離だ、と。
リサは「人のことを信用して」と言ったが、とても信じることはできなかった。
帰国までの1週間。リサは、抱えきれないほどのお土産を買って、嬉しそうだった。
そして、別れ。

ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブが歌っている。
「自分から去ると思わなかった/愛に口づけたら、もう行ってくれ/彼女が去って、愛がオレを焼き尽くす」

いま、マットは、南極で雪の大陸にいる。
ひとつの夏、九つの歌、触れあう彼の指と、彼女の柔らかい肌。
近くて遠すぎるふたりの距離…。

スタッフ

プロデューサー:アンドリュー・イートン
アシスタント・プロデューサー:メリッサ・パーメンター
監督:マイケル・ウインターボトム
撮影:マーシャル・ジスキンド
録音:スチュアート・ウィルソン
編集:マット・ホワイトクロス
マイケル・ウインターボトム

製作:レボリューションフィルムズ

配給:ファインフィルムズ+ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:スローラーナー+ファインフィルムズ

キャスト

マット:キーラン・オブライアン
リサ:マルゴ・スティリー

プライマル・スクリーム
フランツ・フェルディナンド
マイケル・ナイマン
エルボー
ブラック・レーベル・モーターサイクル・クラブ
ザ・ダンディ・ウォーホルズ
スーパー・ファーリー・アニマルズ
ザ・ヴォン・ボンディーズ

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