2004年/日本/カラー/99分/ 配給:スローラーナー

2005年8月13日、渋谷シネ・アミューズにてレイトショー

公開初日 2005/08/13

配給会社名 0048

解説



失踪した幼馴染みの千春を捜して、アキオは走る。
幼い頃、花火になりたかったひとりの少女が、
空から落ちてくるのを、今 受けとめるために…。

ある日突然、千春が失踪した。幼馴染みの彼女を捜して、アキオは走る。いつも強がっていた千春。義理の父と暮らして、「ひとりより淋しい」と言っていた千春。その千春が、実家との連絡も断って姿を消したのだ。千春をめぐる悪い噂。「千春と、ずっと、仲良しでいてね」という死んだ千春の母の言葉が、アキオの胸に突き刺さる。走りながら、迷いながら、恋人でもない千春を捜すアキオの胸に、ひとつの“思い”が溢れ出す。「俺もお前も、たぶんみんな本当の居場所がみつからない奴は、みんな失踪しているんだよ」。故郷で暮らす母の病気。バンドも芽が出ず、同棲する恋人の夕子とも上手くいかない。アキオのギターは、錆びついたままだ。未来は僕らを待っている、はずだったのに…。やがて、アキオは、千春がその胸に抱えていた大切な思い出を、突き止める。幼い頃見た花火の思い出。それは、千春の家族にとっても、大切な思い出だった…。

都会で生きる“迷い”や“焦燥”をリリカルに描き出した、
そのデビューが待ち望まれてた新鋭、佐藤太監督。
人が抱える様々な思いを一本の映画に紡ぎ出す繊細な眼差し。

アキオの自分の居場所を捜す旅。そんな都会で生きる“迷い”や“焦燥”をリリカルに描いた傑作が登場しました。監督は、これまで椎名誠監督作品『うみ・そら・さんごのいいつたえ』をはじめ数々の劇場用映画の助監督をするかたわら、TVドラマ・ドキュメンタリーの演出や脚本なども手掛け、そのデビューが待たれていた新鋭、佐藤太。磯村一路監督作品『雨鱒の川』、犬童一心監督作品『死に花』の小林弘利と佐藤監督の共同脚本は、アキオと千春をめぐる現在と過去。それを取り巻く人々の複雑な思いをラストシーンに向けて、鮮やかに1本の映画として紡ぎだした。

映画復帰となるいしだ壱成をはじめ、
黒谷友香、能世あんな、国分佐智子、北見敏之、古手川祐子、高知東生をはじめ、
注目の若手俳優からベテランまでが結集!

主人公のアキオを、本作が映画への復帰となるいしだ壱成が、清々しく演じ、エンディングテーマ「give it to me…」も演奏している。また、失踪した幼馴染み千春を黒谷友香、アキオの恋人夕子を能世あんな、千春の親友絹代を国分佐智子が演じるほか、津田寛治、粟田麗、中村繁之、水橋研二など、この作品に共鳴した注目の若手俳優から、根岸季衣、石丸謙二郎、高知東生、古手川祐子、北見敏之といったベテラン俳優が結集し、揺れ動く登場人物たちの心の動きを繊細に演じ、『indian summer』の世界を支えている。

ストーリー



戸村アキオ(26才)は人を掻き分け、掻き分け、雑踏を走り抜けていた。
そう、まさに走りたいわけでもなく…。

高校を卒業と同時に、スタジオミュージシャンを目指して上京。でも、本当はそんなことはどうでもよかった。もちろん、ギターをプレイするのは好きだった。そして、もちろん、プロになる腕がないことも知っていた。でも、実家のすし屋を継ぐのは嫌だった。なんでもいいから言い訳がほしかった。なんでもいいから東京に行く口実がほしかった。そうして、東京の専門学校へ入学。もちろん、続くわけはなく、現在、フリーター。働くときもあれば働かないときもある。今月の家賃も厳しい状況。おまけに同棲していた恋人・夕子は他に好きな人ができて出て行く寸前。

そんなある日、実家の母が入院した。実家は東京へも通える距離だったこともあり、見舞いに行く。久しぶりに会う旧友たち。みんなそれぞれだった。あるものは実家の家業を継いだりと。みんなそれなりに悩んでいた。でも、絶対に家業は継ぎたくなかった。
そんな中、久しぶりに幼なじみに千春の継父にも会った。なんと千春が半年も前から連絡がとれないということを聞かされる。千春とは、東京に出てくるとき、同じ電車に乗り、新宿駅のホームで別々の方向へと歩き出した。それ依頼会っていなかった。そう言えば、アルバイトで工事現場の警備員をしていたときに、通りの向こうで男と口論していた千春を見かけたことがあった。やはり、あの時声をかけていればと、アキオは千春を探すことになる。

まずは手始めに旧友たちにいろいろと電話をかける。千春を見たとか見ないとか、千春の情報が、足取りが、なんとなく浮かび上がってくる。
千春と東京でも仲良く連絡を取り合っていた絹代に会って話を聞いたりと日々駆けずり回っていた。

アキオはためしに千春のアパートを訪ねるが溜まりに溜まった郵便物を手にしただけだった。千春のアパートで、もう一人、千春を探している男・松井と出会う。松井は千春の元の会社の同僚で恋人であった。しかし、松井には家庭があり、そんな関係を続けながらも愛し合っていた。そして半年の間にきちんとけじめをつけ、今は離婚し、まっすぐに千春に向かえる状況となり、探しているとのことだった。また、松井の話では、千春が会社をやめ、日々に刺激がないと水商売に転職していったことなども聞く。千春が水商売?と驚くものの、日々の日常に刺激がないことは、アキオとて同じことであった。

千春が働いていたスナックを訪ねる。どうやら千春は嫌がらせやストーカーに合っていたことを知る。そうか・・・通りの向こうで口論していた千春と男の顔が浮かぶ。

帰ってみると少しずつ引越しを始めていた夕子が食事を作っていた。顔を覗くと痣があった。怒りが込み上げるアキオを夕子は止め、ふたりで夕食をとった。夕子は探すの手伝うよと言ってくれた。

あらかた調べ、北に行くと言ったこと以外になんの手がかりもなく、その後の足取りがプッツリと途切れてしまった。そして、松井は捜索願を出し、そこですべてが止まってしまったかのようであった。

そんなときに夕子に郵便物も見た?と改めて聞かれ、千春の郵便物を調べなおす。ダイレクトメールの山。しかし、なぜか引っかかるダイレクトメールがあった。封を空けると旅行代理店のダイレクトメールで新潟の旅館の案内状・・・。新潟って北だよなと合致する。

新潟に向かうアキオ。千春の継父が千春は花火が好きでねということばを思いだす。—
—花火——
アキオは旅館を訪ね、花火工場を次々と訪ねた。
花火工場で荷の積み下ろしをしている女性の姿・・・千春であった。

アキオは近くの川原で千春の話を聞く。
小さい頃から花火がすきだったこと。花火職人をはじめてここ新潟で見て就職したこと。東京でいろいろなことで人間不信になり、はじめてやりたいことがみつかったこと。今は幸せだってこと。

アキオは東京に戻り、松井に話した。
そして、松井から話を聞いた。松井の話では、妻が千春に怒りの矛先をむけ、ストーカーをやとったこと。それで嫌になって半年後、妻と別れたことを。
そして、ストーカーを松井と一緒に探した。どうしても一発殴ってやりたかった。

アキオは人を掻き分け、掻き分け、雑踏を走り抜けていた。
ストーカー男を追っかけて。やはり、通りの向こうで千春と口論していた男だった。ストーカー男を倒すとそこは楽器屋だった。
思いつきやきっかけは突然舞い降りてくることもあるのだろう。

結局、千春は失踪したわけではなかった。千春のことを失踪というのであれば、きっとみんな失踪しているということなのだろう。

そして、アキオは楽器屋で働きながら夕子と暮らしている。

スタッフ

企画:藤井英一
製作:藤元靖
プロデュース:佐谷秀実
監督:佐藤太
脚本:小林弘利+佐藤太
プロデューサー:鳥澤晋
ポスト・プロダクション・プロデューサー:篠田学
ライン・プロデューサー:中村千賀子
撮影:蔦井孝洋
照明:疋田ヨシタケ
録音:山田幸治
音楽:MOKU
音響効果:柴崎憲治
編集:掛須秀一
美術:尾関龍生
装飾:松田光畝
スタイリスト:宮本まさ江
ヘアメイク:宮内三千代
助監督:山口晃二
制作担当:金子堅太郎

エンディング・テーマ:「give it to me…」
作詞+作曲:いしだ壱成 編曲:MOKU、いしだ壱成

制作:SUPLEX INC.
企画:B-Flat Inc.
製作:コミーインターナショナル株式会社
配給:スローラーナー

キャスト

戸村アキオ:いしだ壱成

紺野千春:黒谷友香

名波夕子:能世あんな

藤田絹代:国分佐智子

アキオの父・正雄:石丸謙二郎
アキオの母・弘子:根岸季衣
アキオの姉・真弓:粟田麗
アキオの妹・舞子:伊藤かな
アキオの義兄・直人:津田寛治

道哉:水橋研二
安達:中村繁之

松井和彦:高知東生

千春の母(回想):古手川祐子

千春の義父・武志:北見敏之

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