原題:The Forgotten

アメリカにて2004/9/24公開

2004/アメリカ/カラー/96min 配給:UIP映画

2007年09月26日よりDVDリリース 2005年11月02日よりDVDリリース 2005年6月4日より日劇3ほか全国一斉ロードショー

公開初日 2005/06/04

配給会社名 0081

解説




はじめは些細なことだった。単なる記憶の欠落か、相手の思い違いか。だがそれが度重なるにつれ事実が曖昧になり、当たり前だと信じていたものがことごとく否定されるにつれ、自分自身の存在さえ見失っていく。人生の思い出を、誰とも共有することができない。それは自分の存在が否定されてしまうことに他ならない。世界でたったひとり、自分だけが取り残されてしまうかもしれないという底知れない不安と絶望。主人公テリーも、次第に巻き込まれていく観客もまた、真実と妄想の境界など、本当はわかっていないのではないか…?恐怖はそれだけでは終わらない。真実に近づこうとする度に遭遇する不可解な出来事。国家安全保障局までもが介入してくる、把握しきれぬほどの大きな謎。やがて全てが明らかになったとき、誰も経験したことのない戦懐の事態が襲いかかる。そんな試練の中でも一貫して変わることのない親と子の強い絆。かけがえのないわが子の痕跡を捜すためにはどんな危険もいとわないテリーの勇気と愛情に満ちた姿は、観る者の心を揺さぶらずにはいられない。サスペンス映画のあらゆる法則を過去のものにするこの『フォーガットン』は、今まで存在したどんな映画の常識さえも軽く打ち破り、超一流のエンターテインメントとして、全ての人を魅了することだろう。

主人公のテリー・パレッタに、『めぐりあう時間たち』『エデンより彼方に』などで過去4度オスカー候補となり、名実共にハリウッドを代表する実力派女優として活躍するジュリアン・ムーア。愛するものが突然消えてしまった戸惑いと喪失感を視線の微妙な動きひとつで表現したかと思えば、『ハンニバル』で扮したFBl特別捜査官クラリスを彷彿とさせるような体を張ったアクションシーンにも果敢に挑戦、女性の繊細さと母の強靭さを併せ持った複雑な役柄を見事に演じきる。またムーアは実際にふたりの子を持つ母親であり、そういった意味でも彼女以外の者が演じることなど考えられないほど、この役に説得力を与えている。テリーを見守り、診断する精神科医マンスには『グリーン・マイル』『ミッション・トゥ・マーズ』のゲイリー・シニーズ。『フォレスト・ガンプー期一会』でアカデミー賞助演男優賞候補となって以降、エキセントリックな役柄を得意とするシニーズではあるが、ここでは抑えた演技で包容力のある男を絶妙に体現、新境地を開拓した。またテリーと同様、最愛の娘を飛行機事故で亡くして以来、アルコール漬けの目々を送るアッシュに『モナリザ・スマイル』『シカゴ』のドミニク・ウェスト。テリーの強引なまでの追究によって娘についての記憶を取り戻し、彼女とともに真実を解明しようと奔走する彼の行動は、父親としての深い愛と責任を痛切に感じさせる。他にもテリーの夫、ジムには『ER緊急救命室』『サンダーバード』のアンソニー・エドワーズ。難解な事件、を追いっつも、女性としてテリーの行動に理解を示すポープ刑事に『僕はラジオ』『ザ・コア』のアルフレ・ウッダードといった個性豊かな役者が脇を固め、このミステリアスな物語を盛り上げる。

監督は、ジュリア・ロバーツ主演の『愛がこわれるとき』、マコーレー・カルキン、イライジャ・ウッド主演の『危険な遊び』のジョセフ・ルーベン。もともと人を怖がらせることに手腕を発揮するスリラー映画の名手であるルーベンだが、本作のシナリオを読んだときにまず感じたのは、ストーリーの核となる強い感情だったという。「それは愛する子供を救おうとする母親の苦しみです。そこには観客を即座に引き込み、心の琴線に触れる根源的な感情が流れているからです」とルーベンは語る。『フォーガットン』が単なるサスペンスに終わらず人々を心の底から感動させるのは、その極めて普遍的な感情がしっかりと描かれているからに他ならない。脚本は『フェノミナン』『メッセージ・イン・ア・ボトル』『エンジェル・アイズ』などファンタジックな設定のロマンスを描いた作品を多数手がけるジェラルド・ディペゴ。この一見水と油のような監督&脚本家がタッグを組んだからこそ、今までのどんな映画とも似ていない魅力的な作品が誕生したといえるだろう。またテリーの哀しみを湛えたかのようなブルーを基調とした美しい映像をつくりあげた撮影監督は『マン・オン・ザ・ムーン』『モナリザ・スマイル』のアナスタス・N・ミコス。音楽はアカデミー賞にノミネートされること9度、『タイタニック』で主題歌賞と音楽賞をダブル受賞した映画音楽界の巨星ジェームズ・ホーナーが担当、あの誰もが知っているスコアに負けないほど印象的なメロディをつくり上げた。製作には『アメリカン・ビューティー』『ビッグ・フィッシュ』などの名作を世に送り出したブルース・コーエンとダン・ジンクスに加え、『モナリザ・スマイル』の製作総指揮や『アメリカン・スウィートハート』の監督としても知られるジョー・ロスといった大物が顔を揃えている。もしあなたの最も大切な人が突然姿を消し、さらにはその人が存在した事実さえ消失してしまったら…?あらゆることが不確かな現代とは言え、あなたの住むこの世界が、全ての記憶が、さらには真実さえもがただの妄想であると決めっけられてしまったら…?
『フォーガットン』は、それでも決して失われないものがあることを、ショッキングな映像体験の果てに証明するのである。

ストーリー




震える指で愛用のグローブを撫で、アルバムをめくり、何度もビデオを見返す。どんなに愛おしさを募らせても、サムは戻ってはこない。11人の死者が確認された悲惨な飛行機事故で、9歳のサムは逝ってしまったのだ。夫ジム(アンソニー・エドワーズ)の優しい気遣いにも、精神科医マンス(ゲイリー・シニーズ)のカウンセリングにも、悲しみは癒されるどころか喪失感だけが膨らんでいく。

サムの死から14ヶ月。空しい日々を過ごしてきたテリー(ジュリアン・ムーア)の日常は、ある些細なきっかけから少しづつ、軌跡がズレ始める。マンス医師のもとに向かおうと路上駐車下場所に行ってみると、愛車の赤いボルボが見当たらない。テリーの困った様子を見て声をかけてきた親切な男(ライナス・ローチ)の視線を辿り、すぐに車は見つかったが、かすかな違和感が残った。マンス医師のオフィスでは、君ははじめからコーヒーなど飲んでいなかった、というマンス医師の説明に釈然としないまま自宅に戻るテリー。

その晩はテリーが童話の編集の仕事に復帰したことを祝ってジムがシャンパンを買って帰り、久々に夫婦の間に穏やかな空気が流れた野モ束の間、今度は家族3人で写っていた写真からサムだけが消えているのを発見する。ジムの仕業だと決めつけて逆上し、家を飛び出した彼女は夜の公園で酒に酔った元プロ・ホッケー選手のアッシュ(ドミニク。ウエスト)と出会った。彼の娘ローレンもまたサムと同じ飛行機に乗り合わせていたことを思い出すテリーだったが、酒を浴びるように飲むアッシュはテリーのことを全く覚えていない。

異変はその後も次々と起こった。息子との思い出がたくさんつまったアルバムからは写真が1枚残らず消え、擦り切れるほど見たはずのビデオテープには何も映っていない。混乱するテリーはジムの仕事先に電話をかけ、怒りに任せて彼に家から出て行くよう求めるが、慌てて帰宅したジムは彼女にこう告げた。————「病気が治ってきたんだ。元々テープには何もはいって無い。」

ジムの連絡で駆けつけたマンス医師の説明はますますテリーを混乱させた。流産し、自分まで命を落としかけたテリーがショックのあまり想像上の家族を創り出したのだ、と。時間をかけて治療するつもりだったが、もう専門の施設にはいるしか方法はない—————。と。テリーはサムの存在した証拠を探そうと躍起になるが、新聞からは飛行機事故の記事自体が跡形もなく消え、隣人(ジェシカ・クト)に問いただしても全く埒があかない。

全ては妄想だと言うのか?————わらをもすがる思い出アッシュの家に押しかけるテリーだったが、アッシュは娘などいないと言い放つ。アッシュが寝静まった後も子供のいた痕跡を探し続けるテリーの目に壁紙の亀裂が見える。力いっぱい壁紙を剥ぎ取ると、子供が描いた壁いっぱいの絵が現れた。翌朝その証拠を見せ、娘を思い出すよう迫るテリーだったが、辟易したアッシュに突然、愛する娘の記憶が蘇る。確かにこの絵を描いたのは愛娘ローレンだ。テリーは間違っていない!

必至にテリーを追うが、自体は更に悪化していた。反射的に男たちを突き飛ばし、護送車両からテリーを逃がすアッシュ。

今や警察からも国家機関からも追われる身となってしまったのだ。逃亡先のモーテルから「私だけではない、娘をあの事故で失った父親がいる、どういうことか説明して欲しい」とマンス医師に電話をするが、「君はパニック障害だ。どこにいる?助けに行く」という答えに、今や誰も頼ることはできない、と覚悟を決めるテリー。愛する娘の記憶を失ってしまったことで自責の念に駆られ、なおもアルコールに逃避しそうになるアッシュはに、テリーは一緒に事実を解明しようと励ますのだった。

一方、ニューヨーク市警のポープ刑事(アルフレ・ウッダート)はありふれた家宅侵入罪に国防総省直属の国家安全保障局が乗り出してきたことでかえって不審をいだき、独自にテリーの足取りを追い始めた。
子供たちはどこかで生きているのかもしれない—————。わずかな希望を胸に、真実を求めて彷徨うふたり。しかしその運命は、やがて驚くべき壮大な物語の中に飲み込まれていくのだった…
震える指で愛用のグローブを撫で、アルバムをめくり、何度もビデオを見返す。どんなに愛おしさを募らせても、サムは戻ってはこない。11人の死者が確認された悲惨な飛行機事故で、9歳のサムは逝ってしまったのだ。夫ジム(アンソニー・エドワーズ)の優しい気遣いにも、精神科医マンス(ゲイリー・シニーズ)のカウンセリングにも、悲しみは癒されるどころか喪失感だけが膨らんでいく。

サムの死から14ヶ月。空しい日々を過ごしてきたテリー(ジュリアン・ムーア)の日常は、ある些細なきっかけから少しづつ、軌跡がズレ始める。マンス医師のもとに向かおうと路上駐車下場所に行ってみると、愛車の赤いボルボが見当たらない。テリーの困った様子を見て声をかけてきた親切な男(ライナス・ローチ)の視線を辿り、すぐに車は見つかったが、かすかな違和感が残った。マンス医師のオフィスでは、君ははじめからコーヒーなど飲んでいなかった、というマンス医師の説明に釈然としないまま自宅に戻るテリー。

その晩はテリーが童話の編集の仕事に復帰したことを祝ってジムがシャンパンを買って帰り、久々に夫婦の間に穏やかな空気が流れた野モ束の間、今度は家族3人で写っていた写真からサムだけが消えているのを発見する。ジムの仕業だと決めつけて逆上し、家を飛び出した彼女は夜の公園で酒に酔った元プロ・ホッケー選手のアッシュ(ドミニク。ウエスト)と出会った。彼の娘ローレンもまたサムと同じ飛行機に乗り合わせていたことを思い出すテリーだったが、酒を浴びるように飲むアッシュはテリーのことを全く覚えていない。

異変はその後も次々と起こった。息子との思い出がたくさんつまったアルバムからは写真が1枚残らず消え、擦り切れるほど見たはずのビデオテープには何も映っていない。混乱するテリーはジムの仕事先に電話をかけ、怒りに任せて彼に家から出て行くよう求めるが、慌てて帰宅したジムは彼女にこう告げた。————「病気が治ってきたんだ。元々テープには何もはいって無い。」

ジムの連絡で駆けつけたマンス医師の説明はますますテリーを混乱させた。流産し、自分まで命を落としかけたテリーがショックのあまり想像上の家族を創り出したのだ、と。時間をかけて治療するつもりだったが、もう専門の施設にはいるしか方法はない—————。と。テリーはサムの存在した証拠を探そうと躍起になるが、新聞からは飛行機事故の記事自体が跡形もなく消え、隣人(ジェシカ・クト)に問いただしても全く埒があかない。

全ては妄想だと言うのか?————わらをもすがる思い出アッシュの家に押しかけるテリーだったが、アッシュは娘などいないと言い放つ。アッシュが寝静まった後も子供のいた痕跡を探し続けるテリーの目に壁紙の亀裂が見える。力いっぱい壁紙を剥ぎ取ると、子供が描いた壁いっぱいの絵が現れた。翌朝その証拠を見せ、娘を思い出すよう迫るテリーだったが、辟易したアッシュに突然、愛する娘の記憶が蘇る。確かにこの絵を描いたのは愛娘ローレンだ。テリーは間違っていない!

必至にテリーを追うが、自体は更に悪化していた。反射的に男たちを突き飛ばし、護送車両からテリーを逃がすアッシュ。

今や警察からも国家機関からも追われる身となってしまったのだ。逃亡先のモーテルから「私だけではない、娘をあの事故で失った父親がいる、どういうことか説明して欲しい」とマンス医師に電話をするが、「君はパニック障害だ。どこにいる?助けに行く」という答えに、今や誰も頼ることはできない、と覚悟を決めるテリー。愛する娘の記憶を失ってしまったことで自責の念に駆られ、なおもアルコールに逃避しそうになるアッシュはに、テリーは一緒に事実を解明しようと励ますのだった。

一方、ニューヨーク市警のポープ刑事(アルフレ・ウッダート)はありふれた家宅侵入罪に国防総省直属の国家安全保障局が乗り出してきたことでかえって不審をいだき、独自にテリーの足取りを追い始めた。
子供たちはどこかで生きているのかもしれない—————。わずかな希望を胸に、真実を求めて彷徨うふたり。しかしその運命は、やがて驚くべき壮大な物語の中に飲み込まれていくのだった…

スタッフ

製作:ブルース・コーン、ダン・ジンクス
   ジョー・ロス
監督:ジョセフ・ルーベン  
脚本:ジェラルド・ディベゴ
撮影:アナスタス・N・ミコス
音楽:ジェームズ・ホーナー

キャスト

ジュリアン・ムーア
ゲイリー・シニーズ
ドミニク・ウェスト
アンソニー・エドワ−ズ
アルフレ・ウッダード

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