原題:My Brother

本国韓国にて2004年10月8日公開

2003/韓国/112min/ 配給:UIP映画

2005年10月28日よりDVDリリース 2005年5月28日よりシネマスクエアとうきゅう他にて全国公開。

公開初日 2005/05/28

配給会社名 0081

解説



静と動 友としてライバルとして、2人はかけがえのない人生を共有していたのだった。そんな彼らの姿が、エネルギッシュに青春時代を疾走する弟、ジョンヒョンの目を通して描かれていく。もちろん”痛み”もある。お互いに上手く伝えられなかったこともある。し彼らは、何よりも生きることに一生懸命だった。いつかきっと、肩を組んで笑い合える日が来ることを信じて…。

主人公ジョンヒョンを演じるのは『ブラザーフッド』『ガン&トークス』への共演で、いま最も旬な男優であるウォンビン。カリスマ性すら感じさせる圧倒的な存在感で、同世代の俳擾にはない個性的な魅力を放っている。寂しさの裏返しとして自由奔放な生き方を選び、粗暴に振舞っている時でさえ繊細な心を垣間見せるというジョンヒョンの複雑なキャラクターは、彼の演技力なしでは決して表親できなかったであろう、若々しい力の中にも深みを感じさせ、ウォンビンはまたひとつ俳優として新たなステップを踏み出したのである。

小さな街にある古い写真館。様々な写真に混ざって、母と2人の幼い兄弟が写った写真が飾られている。それは特別な記念口のものではないけれど、3人が生きている「証し」と、家族にしか分からない「絆」が写された大切な1枚だった。それから10年−−−−。
母はその背中で生きる強さを息子たちに教えていた。体が弱い兄ソンヒョンは、自らの思いを上手く書葉にできない分、体の中から湧き上がる感情を詩に書き綴っていた。一方の弟ジョンヒョンは、暴れることでしか自分の存在を見つけられない。2人は全く対照的な兄弟だった。しかも母親は兄ばかりを大切にし、学校では何かにつけて比較される。
ジョンヒョンにはそれが我慢できず、”やんちゃ”な行動が益々エスカレートしていく。反対にソンヒョンは、弟の自由な心が眩しくも気がかりであった…。恋もした、喧嘩もした、汚い現実も目の当たりにした。やがて2人はそれぞれの道を歩み始める。支えあって生きることの本当の意味を手さぐりしながら…。

家族を静かに見つめながら、自分らしく生きようとするソンヒョンを演じるのは『JSA』のシン・ハギュン。控えめで抑えたキャラクターを小さな所作や微妙な表情の変化で表現し、見るものの琴線に触れる演技を披露。

遠くを見つめるように透き適った瞳と、時折発せる小さな笑顛が、忘れられない印象を残している。2入の母に扮しているのは、社会現象ともなった「冬のソナタ」でチェ・ジウの母親役を演じ、日本のファンにもお馴染みのキム・ヘスク。強かったはずの彼女が最後にこぼす涙が、本作品の全てを物語っているようである。また、兄弟が共に憧れる女子高生のミリョン役には映画初出演のイ・ボヨンが扮し、清楚な魅力を発揮している。

監督は、本作品が本格的な劇場用映画のデビュー作となるアン・クォンテ。登場人物すべてに向けられた優しい眼差しが心地良いほどストレートにスクリーンから伝わり、小さなエピソードを薄紙のように重ねていく丁寧な演出手法が、この物語の細やかな感情表現として大成功を収めている。
また撮影監督のファン・ギソクは『友へ/チング』で見せた手腕と同様、静かだが力強いカメラワークを披露し、音楽のキム・ヒョンソクも心に染みる印象深いスコアを聞かせてくれている。

スタッフ・キャストの情熱が作品の隅々にまで凝縮したドラマの味は、甘くもないし、ファンタジックでもない。それでもこの映画は時代を超えて愛されるに違いない。まさに生まれた瞬間から「名作」と呼ばれるにふさわしい作品なのである。

ストーリー



ソンヒョンと(シン・ハギュン〉とジョンヒョン(ウォンビン〉の兄弟は、年が離れてはいるものの、高校の同じクラスで学んでいた。気が弱くおとなしい兄は、学年のトップの成績で、瑞々しい感情を綴る文章や詩に才能を発揮していた。一方の弟は喧嘩に明け暮れる毎日。「アイツのお陰で俺はいつでも貧乏くじだ!」と、周りが兄ばかり大切にしていることが気に入らず、今日も不良グループと一戦を交えていた。

「文芸部に入れば女子高との交流ができると知ったジョンヒョンは、詩に興味などなかったが喜んで参加することにした。そこには撞れのミリョン(イ・ボヨン)がいるからだ。ところが不良グループのリーダー、オクス(キムテウク)が邪魔に入る。「ミリョンは俺のオンナだ!」と言いがかりをつけ、決闘が飴まった。ところが弟のジョンヒョンが危機に陥った時、いつもは大人しいソンヒョンが飛び出してくる。

殴られても蹴られても、ソンとヨンは相手の足にしがみついて離れない。兄弟でカを合わせて喧嘩には勝ったが、事態がそれだけで終わるはずもなく、母親(キム・ヘスク〉が学校に呼び出される。ひたすら頭を下げる母だったが、帰り道で「また今度、一人が殴られたら2入で殴り返しなさい。それが兄弟よ。分かった?」と話すのだった。

詩の発表会が近づき、ジョンヒョンは何とか彼女に気に入られようと奮闘するが、紙くずが増えるばかり。「こんな時、アイツなら」と、思わずヒョンのノートに手を伸ぱす。そこには「四つ葉のクローバー」と題した美しい詩と、ミリョンの似顔絵が描かれていた。兄もまた彼女に密かな思いを寄せていたのだ。そして当日「僕が1枚の葉になって、あなたを四つ葉のグローバーにしてあげます…」と朗読するジョンヒョンを見つめるミリョン。やがて2人は付き合い始め、海辺で肩を寄せ合って唇を重ねる。そんな姿をソンヒョンが遠くから呆然と眺めていた。彼は詩を綴ったノートを破りながら、淡い恋心が終わったことを知るのだった、一方でジョンヒョンも兄の詩を利用して彼女の心をつかんだことで、兄への後ろめたさが、彼女との関係をギクシャクさせ、ジョンヒョンの短い恋もまた終むを告げるのだった…。新しい季節がやって来た。ソンヒョンは母の望み通りソウル大学医学部に合格。ジョンヒョンは浪人生として予備校通い。兄の将来を考えた母は長年の金貸し業を辞め、食堂を始めるために不動産屋と契約を交していた。3人の家族は希望を胸に、それぞれの道を歩み始める—-

事件が起こったのはそんな時だった。不動産屋が金を持ち逃げしたのだ。荘然自失の母。激昂して怒鳴り込むジョンヒョン。しかし失った金は戻ってこない。やり場のない怒りを胸に、彼は危険な仕事に手を染める決心をしてヨンチュン(チョン・ホビン)の事務所へと向かう。与えられた仕事は借金の取り立てだった。それが自分に出来る唯一の親孝行であると信じて…。しかし帰郷していたソンヒョンにとがめられ、兄弟は激しく対立する。「ボクらの気持ちはいつまでも交わることがないのだろうか…。」心の整理がつかないまま仕事に向かったジョンヒョンは、かつてないほど荒れていた。その店はかつての幼馴染の親の店で、怒りとも悲しみともつかない目をしながら暴れまわる。しかし、泣き叫ぶ母と子を殴り、店の中をすべて壊した時、心に残ったのは虚しさだけだった。彼はやっと気がついた—-このままでは自分自身も周りをも傷つけることになる。そしてヨンチュンの元へ行き、辞めさせてくださいと申し出るのたった。もちろんタダて済むとは思っていない。でも気持ちは少しだけ軽くなった。一人屋台で飲んでると、ソンヒョンが目の前に座る。心に空いた穴を埋めてくれるのは、やはり血のつながった兄なのかも知れない。母のこと人生のこと—それから2人は互いの空白を埋めるようにいろんな話をした。照れながら「一度でいいから『兄さん』って呼んでくれないか?」というソンヒョンの言葉に、ソンヒョンもくすぐったい思いがした。初めて味わうような心の通い合う時間がゆっくりと流れている。そして2人は、この幸せな瞬間が永遠に続くと思いたかった…。

スタッフ

監督/脚本:アン・クォンテ
製作総指揮:パク・ドンホ
製作:ヤン・ジュンキャン
   パク・スンカン
   イ・スンチャン
撮影:ファン・ギソク
音楽:キム・ヒョンソク 

キャスト

ウォンビン 
シン・ハギュン
キム・ヘスク
イ・ボヨン
キム・テウク
チョン・ホビン

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