原題:朱紅文字

2004年10月29日韓国公開

2004年/韓国/カラー/119分/ 配給:シネカノン

2005年10月28日よりビデオリリース 2005年10月28日よりDVDリリース 2005年5月14日よりシネカノン有楽町、渋谷アミューズCQNほか全国ロードショー

(C)2004 Showbox/Mediaplex.Inc - dist.by CineQuaNon

公開初日 2005/05/14

配給会社名 0034

解説


<きっかけは、痴情にもつれたひとつの殺人事件—。甘美な誘惑、尽きない欲望、そのすべてに代償があると知っていたら…。>
 美しい妻に情熱的な愛人そして約束されたキャリア…強盗殺人事件課刑事ギフンの前には洋々たる将来が保証されていた。清楚な妻スヒョンとの間にはやっと子供が授かり、穏やかな幸せに満ちた家庭生活を送っている。その一方で彼は、可憐にして情熱的なジャズシンガー、カヒとの恋愛にも耽溺している。
ある日、彼が担当することになった1件の殺人事件。被害者の妻であるギョンヒは容疑者なのか?身の潔白を訴えるギョンヒに周囲には男たちの存在が消えない。そして奇妙な魅力のある彼女にギフンは惑わされ、事件は迷走をきわめていく。やがて次々に開かれる秘密の扉、だが女たちの秘密は、ギフンの想像をはるかに超えるものだった…!
 
離れることが不可能なまでにお互いに依存しあうギフンとカヒ。切なく危うい関係に、まるで中毒のように二人は墜ちていく。甘美な欲望と誘惑に、人は導かれる。だが、すべての欲望には代償があった。ギフンとカヒがそのことに気づいた時には、すでに後戻りは許されなかった—。

<胸が締めつけられる。最後の、そして究極の、イ・ウンジュ>
『ブラザーフッド』『永遠の片思い』『バンジージャンプする』など、その透明感あふれる美しさと確かな演技力でもっともその活躍が期待されていた女優・イ・ウンジュ。女優としてその輝かしいキャリアを着実に歩んでいた彼女は、この作品を最後に2005年2月22日に24年の短い生涯を閉じた。今はただこの渾身の演技に、女優としての無限大の可能性をあらためて確信し、それがもはや叶えられない夢になったことを悼みながら、冥福を祈るばかりだ。彼女の永遠の美しさは遺作となった本作に哀しいほどに焼き付けられ、冒頭で彼女が心を込めて歌い上げる“Only When I Sleep”が、いつまでも私たちの心の中に響きつづけている。

<優しい微笑みを捨てたハン・ソッキュの挑戦>
韓国を代表する役者ハン・ソッキュが本作で演じたのは、クールでエゴイスティックにして、複雑な内面を持つ男ギフン。今までになかったキャラクターが新生ハン・ソッキュを強烈に印象づけ、彼に新たな魅力を与えている。撮影最終日に「すべての力を出しつくしたから心残りはない」と言い切ったハン・ソッキュは、役者としての底力と圧倒的な存在感を本作で見せつけ、ここでの演技からさらなる飛躍の足がかりを得たといえるだろう。

<女は罪を背負い、男は罰を受ける。巧みに織り込まれた宿命のドラマ>
アジア初の「ドグマ」作品として話題になった『Interview』(00)で長編映画デビューを飾ったピョン・ヒョク監督。長らくフランスで映画を学んだピョン監督は、フィクションとドキュメンタリーを融合させた前作から一転、刑事ギフンの私生活と捜査中の殺人事件が絶妙に絡み合いながら最後にはひとつのうねりとなって繋がっていくこの物語を、繊細に入念に構築していく。周到に張られた伏線が少しずつ明らかになっていく、緊張感に満ちたサスペンス、甘く危険な香りの漂う愛の欲望とエロス、狂おしいほどの悲しみに満ちた女の愛、やがて物語は衝撃のクライマックスへと導かれていく。

ストーリー


 刑事ギフンは、カーステレオから流れるオペラにあわせて高らかに歌い上げながら、湖のほとりを車を走らせていた。そこの殺人事件の報告が入る。
事件の現場は写真館だった。店主のハンが頭を割られて倒れている。茫然としている全身血まみれの女はその妻で、第一発見者のギョンヒだった。彼女を容疑者に上げ、ギフンたちは早速聞き込みを開始する。
 ブルー・ノートのステージで熱唱する女性シンガー、カヒは、歌の途中で店にやってきたギフンに視線を送る。カヒとギフンは、その後、彼女の家で情熱的に愛し合う。
 常時の後自宅に戻ったギフンは、台所で料理をしている妻のスヒョンを抱きしめ、少し膨らんだお腹に顔をあてた。「息子の声を聞こう」。それはどこから見ても幸せな夫婦のひと時だった。
 ギフンたちは写真館近くの喫茶店で、ギョンヒが妊娠するたびに夫に内緒で中絶していた噂を聞きだす。また被害者は最近6億ウォン(約6千万)の保険に入り、受取人はギョンヒであること、ギョンヒはチンピラ風の男に大金を渡したことなどがわかってくる。
 産婦人科で胎児のエコー画像を見つめるギフン夫妻。だがスヒョンを呼び止めた看護士が笑顔で言う。「今度は中絶しないように。」寝耳に水のギフン。
 バンドと一緒にリハーサル中、カヒは突然ピアノに突っ伏してしまう。カヒは自分が妊娠していることに気づいた。ギフンに電話をするが、ギョンヒと会っている最中のギフンにすげなく切られてしまう。
 別の日、髪を束ねてスーツを着込んだギョンヒは警察署にきて、ギフンに写真の束を見せる。チョン・ミョンシクという顧客の男性が彼女を盗み撮りした写真で、「彼は私を好きみたいでした」というのだった。その写真を見つけた夫と口論になり、外にでて写真館に戻ると、夫が血まみれで倒れていたのだ、と。
 スヒョンのチェロのコンサート。その後のパーティーにカヒも現れ、スヒョンの妊娠を知らされると、夫婦に笑顔でおめでとうと言う。スヒョンとカヒは音大時代の同級生で親友どうしだった。ギフンと二人きりになったところで彼女は自分に妊娠を告げる。ギフンの「一緒に病院にいこうか?」という残酷な言葉に逆上するカヒ。それでもカヒの家にギフンが追いかけてくれば、二人はお互いに激しく求め合うのだった。カヒはギフンに「人生のパートナーだからって、スヒョンのすべてを信じるのは無謀じゃない?」と問いかける。
 翌朝、カヒを呼び出したスヒョンは「彼と会っているの?私もう我慢の限界なの」と必死に訴える。カヒもまた何事か言い返して、泣きながらその場を立ち去ってしまう。夜、泥酔してカヒの家まで来たギフンは大声でドアを叩くが応答がない。「俺も辛いんだ。お前に結婚指輪をやれないし、スヒョンは俺に内緒で中絶を…」と言いかけたところでドアが開き、そこには冷たい表情をしたスヒョンがいて、無言のまま階段を下りていくのだった。車の中でスヒョンはギフンに言う。「離婚して」
 ギフンはギョンヒが大金を渡したチンピラ、ヒョクチュの部屋を探る。そしてわかったことは、ヒョクチュの恋人ヨンシムが、殺されたハン社長の子供を産めばマンションを買ってあげると持ちかけられていたこと。ハン社長はヒョクチュに妻の浮気を調査しろと依頼したこと。調査がうまくいかず、ハン社長になじられたヒョクチュと会ったヨンシムはその時流れていたテレビ番組のことも覚えていた。
 ギフンは署内で表彰される日、着飾ったカヒが花束を持って署を訪れる。その日はカヒの誕生日だった。二人で湖のほとりまで車を走らせ、外に出て抱き合った二人は、そのまま車のトランクの中に入り込む。と、トランクのドアは閉まってしまう。最初は笑い会ってた二人だが、中からはドアを開けられないことがわかると、次第に正気を失っていく。
 その頃スヒョンは教会で懺悔をしていた。「私は、愛していました—」
 そして、帰宅して血まみれの夫を見つけたギョンヒのその後の行動の回想シーン。
 こうして三人の女たちの秘密が明らかになっていく…。

スタッフ

監督・脚本:ピョン・ヒョク
製作:イ・スンジェ
プロデューサー:カン・ミンギュ
撮影:チェ・ヒョンギ
照明:カン・デヒ
美術:キム・ジス
編集:ハム・ソンウォン
衣装:チョ・ユンミ
音楽:イ・ジェジン

キャスト

ハン・ソッキュ
イ・ウンジュ
ソン・ヒョンア
オム・ジウォン
キム・ジングン

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