原題:AGENTS SECRETS

奴らは、世界の果てまで追ってくる

2004年/フランス/1時間50分/カラー 配給:コムストック

2005年06月24日よりDVDリリース 2005年06月24日よりビデオリリース 2005年1月29日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にて拡大ロードショー!

公開初日 2005/01/29

配給会社名 0028

解説



ヨーロッパ、アフリカの街を歩く、匂いたつほど美しい女性。
しかし、彼女はその美貌さえも封じ込め、
街なかでは息をひそめ、誰の記憶にも残らないよう注意深く、どこか不安げに立っている。
特別なミッションを遂行するために、全てを計算しているかのように……。

1985年に世界を震撼させた「虹の戦士号」爆破事件。フランスの核実験に反対するグリーンピースへの威嚇のため、フランス国家の指令を受け夫婦を装った男女のスパイがその船を沈没させたのだが、二人はニュージーランドの警察に逮捕された。『スパイ・バウンド』はその女スパイ、ドミニク・プリウールの証言に基づき、初めて真実のスパイ像を明らかにする。
スパイは常に架空の人物を演じて生きなければならない。単独でいなければならず、人の記憶に残ってはならず、ひっそりと誰にも知られずに任務をやり遂げなければならない。そして失敗は許されない。しかし、本作の主人公リザは、プロフェッショナルなスパイとして任務を完璧にこなしながら、人間として生きたいと葛藤する。
フランスの情報機関DGSE(対外治安総局)の女スパイ、リザは仲間のジョルジュたちとともに、モロッコでの「アニタ・ハンス号」爆破作戦の指令を受ける。名目は武器密輸を阻止すること。リザとジョルジュはファビアン夫妻の偽名でカサブランカのホテルに宿泊し、作戦を指揮する。だが途中でCIAの横槍が入り、計画が漏れていたことが発覚する……。リザは不吉な予感に駆られながら、これを最後にスパイを辞めるつもりだとジョルジュに打ち明ける。スパイから足を洗うことの困難さを知りながらも、家族や友人、そして自分自身さえも偽り続ける生活に疲れ果てていたのだ。スパイの絆(=スパイ・バウンド)は、国家という巨大な力に立ち向かうことができるのか!?

リザを演じるのは『マレーナ』『アレックス』やハリウッド映画『マトリックス レボリューションズ』『パッション』のイタリアの宝石、モニカ・ベルッチ。初めて女スパイ役に挑戦し、緊張感みなぎる力演を披露。ジョルジュ役には『ドーベルマン』『アレックス』のフランスのトップスターで『オーシャンズ12』にも出演しているヴァンサン・カッセル。彼はトレーニングを積み、パラシュート降下やカーチェイスなどのアクションシーンを自らこなしている。彼らの上司、グラセ大佐には『メロ』『愛を弾く女』の名優アンドレ・デュソリエ。オープニングの追われる男、ユージェヌには『ドライ・クリーニング』のシャルル・ベルリング。DGSE上層部の男には『愛する者よ、列車に乗れ』のブリュノ・トデスキーニ。フリーの女スパイ、マリアには『夜になるまえに』のスペイン人女優・歌手ナイワ・ニムリ。

監督・脚本は、連続殺人事件の捜査を描いた前作でセザール賞新人監督賞にノミネートされた新鋭フレデリック・シェンデルフェール。実在のスパイについて徹底的にリサーチし、パリ、ローザンヌ、マドリード、カサブランカを舞台に本作を完成させた。撮影監督は『TAXi』のジャン=ピエール・ソヴェール。音楽は『キャラバン』『クリムゾン・リバー』のブリュノ・クレ。エンドクレジットに流れる曲はリュック・ベッソンが発掘し『TAXi』の音楽を担当したフランスの人気ラップ・グループIAMによる。

衣装協力には、モニカがイメージキャラクターを務めるカルティエの他、ルイ・ヴィトン、ロレックス、ポール・スミス、シャネル等が名を連ね、クオリティの高い”スパイ・ファッション”を作り上げた。

ストーリー


ツーリストの夫婦がモロッコに到着する。
二人の本名はリザとジョルジュ。密輸船爆破の指令を受けたフランスのスパイだった。
CIAは計画をかぎつけ中止を要求するが、組織はそれを許さない。
国際間のかけひきの中で、ミッション遂行中にリザは罠を仕掛けられていく……。

衛星監視システムが、船の乗客ユージェヌ(シャルル・ベルリング)の姿を捉える。下船するや3人の男に尾行される彼。素早くチップを飲み込み、車で逃走するが、追いつかれて射殺される。遺体はパリのDGSEことフランス対外治安総局のグラセ大佐(アンドレ・デュソリエ)のもとに運ばれ、体内からチップが取り出される。

グラセ大佐の有能な部下ジョルジュ(ヴァンサン・カッセル)は、新しい任務に就くその朝、スカイダイビングのパラシュートが開かない悪夢を見た。だがスリルは彼の生活の一部だ。本部へ赴き、仲間のロイクとレイモン、それに新顔のフリーランスの男トニーと顔を合わせるジョルジュ。グラセ大佐はユージェヌのチップから得た情報を基に、コードネーム「ヤヌス」作戦の説明をする。目的は、内戦が再び始まったアフリカのアンゴラに武器を密輸している最大手の武器商人、イゴール・リポヴスキーの取引を中止させること。エストニア生まれのリポヴスキーはロシア空軍を経てKGBに関与、現在はフランス人の妻と二人の子供とともにスイスに住み、旧東欧諸国から入手した武器を船でアンゴラに送っている。その船を沈めるのが今回の任務だ。

作戦を指揮するのはジョルジュ。ロイクとレイモンは水中工作を担当。トニーは現地での物資調達と後始末をするが、人前での接触は禁止だ。リポヴスキー邸にはDGSEの女スパイ、リザ(モニカ・ベルッチ)がベビーシッターとして潜入し、情報を収集していた。目標の船は、10日後にモロッコのカサブランカに入港予定の「アニタ・ハンス号」。トルコ船籍の貨物船で、旧式のポーランド製。爆破させるのは簡単そうだ。ロイクとレイモンは軍用基地でチェコ製の高性能爆薬セムテックHを調達する。

偽造旅券を支給され、リザと夫婦を装ってカサブランカ入りするジョルジュ。別の便で到着するロイクとレイモン。ジョルジュはリザと現場の下見をし、トニーからの物資の受け取りも無事に済ませる。ところが突然、スイスのアメリカ領事館員と称する男が「アニタ・ハンス号に手を出すな」と警告してくる。なぜ作戦が漏れたのか? ジョルジュは本部に問い合わせるが、計画は続行と決まる。しかしリザは不安に駆られる。実は彼女は、今回の任務を最後にDGSEを辞める決意をしていた。家族にも職業を明かせず、恐怖と孤独に苛まれる日々に耐えられなくなったのだ。子供を産み、普通の生活を送りたい。それが彼女の切実な願いだった。一方、トニーはアメリカ領事館員を尾行し、レイモンにしきりに言い寄っていた観光客の女と接触するところを目撃する。またトニーはヘロインを調達していたが、ジョルジュたちは知る由もない……。

作戦は無事に終了した。しかしスイスの空港でリザは鞄からヘロインを発見され、麻薬密輸容疑で逮捕される。異変を察して素早く変装し、難を逃れるジョルジュ。彼がスイスの自分たち「夫婦」の仮のアパートに着くと、グラセ大佐の上司にあたるDGSE上層部の男(ブリュノ・トデスキーニ)が現れ、休暇を取るよう言い渡す。誰がリザを陥れたのか?相談できるのは仲間だけだ。ジョルジュはパリに戻り、レイモンを訪ねるが、彼はカサブランカで出会った例の女に殺害された後だった。スイスの刑務所では、本部から派遣された弁護士がリザに指令を伝えていた。釈放間近のリポヴスキーの部下エレナ・スタンドラーを殺害せよ、と。では自分はそのために投獄されたのか!? 味方に欺かれたと知ってリザは激しいショックを受ける。

本部ではレイモンの死を、アニタ・ハンス号で部員を1名喪ったCIAの報復と判断。「これでCIAは手を引くだろう」と上層部はむしろ歓迎ムードだが、ジョルジュは仲間を殺された怒りを胸に、ロイクの協力を得てトニーを問い詰める。トニーは上からの命令でリザを罠にかけたこと、レイモンを殺した女はアメリカに雇われているフリーランスのスペイン人マリア・メネンデス(ナイワ・ニムリ)であることを教える。ジョルジュはマドリードへ行き、サイクリストを装ってマリアに近づき、レイモンの仇を討つ。

上層部への不信感を募らせたジョルジュは、規則を破ってヤヌス作戦用の偽造旅券を使い、「夫」としてリザに面会に行く。しかしリザはエレナ殺害指令を受けたことだけ話すと、心を閉ざして面会を切り上げてしまう。ジョルジュが弁護士を尾行すると、なんとリポヴスキーと接触。DGSEにとってリポヴスキーは一体どういう存在なのか……。その直後、ジョルジュはユージェヌを始末した3人組に拉致されるが、隙を見て反撃。衝突して爆発した車の中から間一髪で脱出する。

リザは悩んだ末に自分の手に傷をつけ、模範囚として医務室で働くエレナに近づく。何も知らずに手当てをするエレナ。リザは弁護士から強力な強心剤ジギタリンを一粒渡され、包帯の中に隠す。エレナを殺さなければ自分が抹殺される──。任務の遂行を決心したものの、悪夢にうなされるリザだった。

エレナもまた何者かに陥れられて投獄されたのだと知ったジョルジュは、グラセ大佐をつかまえ、「俺たちは都合よく利用された」となじる。すると「すべては政治とビジネスで動いている」と大佐。実はヤヌス作戦は、DGSEへの協力を渋ったリポヴスキーへの牽制が目的だったのだ。ジョルジュは本部の冷酷さを思い知らされる。

果たしてリザは、エレナを殺せば本当に自由の身になれるのか……? ジョルジュは仲間として、すべてを捨ててリザを助ける決心をする……。

スタッフ

監督:フレデリック・シェンデルフェール
脚本:フレデリック・シェンデルフェール
   オリヴィエ・ドゥイエール
脚色・台詞:フレデリック・シェンデルフェール
      ヤン・ブリオン
      オリヴィエ・ドゥイエール
      リュドヴィック・シェンデルフェール
      ジャン・コスモ
撮影監督:ジャン=ピエール・ソヴェール
美術:ジャン=バティスト・ポワロ
衣装:ヴィルジニー・モンテル
編集:イレーヌ・ブルキュア
録音:ジャン・グディエ
   フレデリック・アタル
   ミキシング: ジェラール・ランプ
特殊効果: マック・ガフ・リーニュ
音楽:ブリュノ・クレ
   エンディング曲:IAM
助監督:ジェローム・ダシエ
製作指揮: カトリーヌ・ラプジャド
製作担当:アンリ・ル・テュルク
記録:オリヴィア・ブリュイノーグ

キャスト

ジョルジュ:ヴァンサン・カッセル
リザ:モニカ・ベルッチ 
グラセ大佐:アンドレ・デュソリエ
ユージェヌ:シャルル・ベルリング
DGSE上層部の男:ブリュノ・トデスキーニ
レイモン:セルジオ・ペリス=メンチェッタ
ロイク:リュドヴィック・シェンデルフェール
トニー:エリック・サヴァン
イゴール・リポヴスキー:セルジュ・アヴェディキアン
ヴェロニック・リポヴスキー:ガブリエル・ラジュール
マリア・メネンデス:ナイワ・ニムリ  
ドリニー氏:シモン・アンドルー 
マリア・メネンデスの女友達:ロザンナ・ウォールズ
アメリカ人: ジェイ・ベネディクト
ボン・マルシェの若い女:モード・ビュケ
エレナ・スタンドラー:ベアトリス・ケスレール
ジュネーヴの税関吏:ロベルト・モロ
帽子の男:フランソワ・ベルコヴィッチ
ダ・シルヴァ:シャドラク・マランカ
刑務所の看守:マリナ・モンカド
ジャンニ:ジョー・プレスティア 
ピョートル・リポヴスキー:ポール・シェンデルフェール
ルター・リポヴスキー:ルイ・シェンデルフェール

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す