止まった時間が動いた時、そこが私の発火点。

2004年/日本/80分 配給:ラブコレクション製作委員会

2005年03月16日よりDVDリリース 2004年11月27日より渋谷シネ・ラ・セットにて順次ロードショー!

公開初日 2004/12/25

配給会社名 0541

解説


1998年、大学の卒業制作『鬼畜大宴会』がタオルミナ国際映画祭でグランプリに輝くなど海外でも高く評価され、その後『空の穴』(01)『アンテナ』(04)と、作品を発表するたびに国内外で注目され続けている熊切和嘉監督。熊切監督自身、「今回は『空の穴』の女版を目指した」と語るように、男を主人公に描いてきたこれまでの作品とは180度変え、女のエロスをテーマに挑戦して作り上げたのが『揮発性の女』である。夫を亡くし、一人ガソリンスタンドを経営しながら寂しく暮らしていた中年女性・悦子が、若い強盗犯・理一と出会い、生活を共にする事で自分の中の「女」を取り戻していく——-控えめで、決して自分から男を誘うようなタイプでない女性が「性」に目覚めた時、どう変貌していくのか。
主演は、元祖女性バイリンガルキャスターとして活躍し、作家だけでなく、故伊丹十三監督に認められて出演した『あげまん』(90)など、女優としても活躍している石井苗子。初主演の本作では、これまでとはうって変わって熟女の「性」の悶えを見事に演じ、監督の期待に応えた。相手役には熊切作品の顔でもある『空の穴』の澤田俊輔。共演には、『冬の花火編—妹の手料理—』(03)の星子麻衣、『突入せよ!あさま山荘事件』(02)の大森博史という顔ぶれ。スタッフは、脚本を『悲しくなるほど不実な夜空に』(00)の監督でもある宇治田隆史が熊切監督と共同で手がけ、撮影を熊切作品でもお馴染みの『空の穴』の橋本清明、音楽を大阪で活躍するインディーズバンドとして高い人気を誇り、『鬼畜大宴会』以来、熊切作品の全てのサウンドトラックを手がけている赤犬が担当し、切実なるヒロインの心情を哀愁を帯びたスコアで見事に表現している。

ストーリー


一人で寂れたガソリンスタンドを経営する未亡人・悦子(石井苗子)の元に、原付で乗り付け、ガソリンを入れてくれという不審な男が現れる。男はいきなり包丁を突きつけ、僅かばかりの現金を奪い逃走。悦子は110番通報をしようとするが、ゴタゴタに巻き込まれるのを避け、やめてしまう。その晩、逃走に失敗した男・理一(澤田俊輔)が戻ってきた。強引に部屋へ上がり、勝手に夕食を食べ始める。悦子はテレビで流れる信用金庫強盗のニュースで、その犯人が理一であると知る。通報を恐れた理一は悦子を縛るが、翌朝、悦子は理一の寝ている隙に包丁でコードを切り、理一に切りかかって怪我をさせる。だが、悦子は警察に通報せず彼の傷を手当てするのだった。「勝手に外で自主して下さい。巻き込まないで」と。理一は悦子の家を後にするが、夕方には再び戻ってくる。そんな行き場のない理一に、悦子は亡き夫の洋服を着させた。背格好の似ている理一を夫と重ね、男として意識し始めた悦子は、薄化粧を施すようになる。更に車の給油に来た不良娘サトミ(星子麻衣)に理一が親身に接したことで、嫉妬心を抱く。気持ちが高まった悦子はついに理一を誘った。悦子が理一との時間を満喫していると、再びサトミが現れ、理一にパンク修理を頼む。再び悦子は嫉妬して理一に冷たく当たるが、風邪で寝込んだ悦子を理一が献身的に看病したことで、二人の距離は近づく。ところが悦子の前に、警察官の宇田川(大森博史)が理一の手配書を持って現れる。悦子は自分の生活から理一がいなくなることに不安を覚える。そんな悦子の心配を余所に、理一の元へ手配書を持ったサトミがやってくる。その晩、家を出ると言い出した理一を引きとめようと、悦子はセクシーな下着姿で誘うが、全く相手にされず、逆上してガソリンに火をつけようとする。揉み合ううちに理一は足に引火して火傷し、再び居候するはめになる。だが、悦子が懸命に手当てをする姿を見て、理一は心が動かされる。数日後、外出から戻った悦子は、スタンド前の人だかりの中に、宇田川が理一を連行しようとしているのを目撃する。悦子は無意識に思いもよらない行動を取ってしまう…

スタッフ

監督・脚本:熊切和嘉

企画制作:アルチンボルド
製作:ラブコレクション製作委員会
  (ヒューマックスコミュニケーションズ、ジャム・ティービー、
   カルチュア・パブリッシャーズ)

キャスト

石井苗子
澤田俊輔
星子麻衣
大森博史

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