原題:about love

2005年/日本・中国/カラー/102分/ 配給: ムービーアイ・エンタテインメント

2006年02月24日よりDVDリリース 2005年9月17日、東京都写真美術館他で全国公開

(C)2004 about love FILM VENTURER

公開初日 2005/09/17

配給会社名 0366

解説


「逢いたい、そして伝えたい」「逢えた、でも伝わらない」あなたへの想い、わたしの想い…。

アジアを舞台に紡がれる“3つの出逢い”、“ひとつの真理”

東京・台北・上海。
異なる文化、違う言語を持つ2人が出逢い、そしてその人に何かを伝えようとすることで、生まれる繋がり。都会の息遣いと人と人とのふれあいの中、芽生え、そして交差する、想い。

『アバウト・ラブ/関於愛』は、東京・台北・上海という、アジアの3つの大都市を舞台に、留学生と現地に暮らす異性との出逢い、そして言葉が通じない人間同士の異文化コミュニケーションを共通のテーマに据え、3つの物語で構成した“ひとつ”の普遍的なラブストーリー。
そして映画は、各話の主人公が少しずつ別の物語に顔を覗かせることによって、それぞれの個性を出しながらも共鳴しあっていく。
「アイシテイル」—–時代が、科学がどれだけ進歩しても変わらない、人と人との究極のコミュニケーションの現在進行形。
本作は、「愛し合う」のではなく、ただ「愛する」ことに一途な人間の、国境も言語も超えた、それぞれの“愛について=about love”の物語なのである。

アジアの3都市を代表するキャストとスタッフ、ぶつかり合う才能2人が体験する、知り合うための努力、すれ違う思惑、気がつかない想い。そんな3つの気持ちを、それぞれの街の色を生かし、それぞれの個性で描くのは、各地域出身の3人の気鋭監督。
東京編の監督は、映画『イノセントワールド』やサザンオールスターズなどのミュージックビデオ等で活躍する下山天。台北編は、カンヌ映画祭を始め、世界中の映画祭で高い評価を得た『藍色夏恋』のイー・ツーイェン、そして上海編を、映画、ミュージック・クリップ、CM、TVドラマ等多方面で活躍する中国ナンバー1ビジュァル派監督、チャン・イーバイが担当。
各街で出会う2人をリアルに演じるのは、東京編は、CM・ドラマに大活躍の伊東美咲と台湾の人気No.1若手スター、チェン・ボーリン、台北編には若手演技派俳優の加瀬亮と台湾の歌姫、メイビス・ファン。そして上海編では人気沸騰中の塚本高史と中国の実力派リー・シャオルーが演じ、日中の魅力溢れる若手俳優の夢の完全共演が実現した。
また、中国の国営映画撮影所のひとつ、天津映画撮影所が正式に製作参加し、上海編における撮影協力及び中国におけ、劇場公開を担当するのも注目されている。
このように、文化の違いを超え、俳優・スタッフ・言語すべてを日本と中国の共同製作で行った本作は、映画という共通言語で、アジアをひとつに繋いだ記念碑的作品といえる。

ストーリー



【tokyo/東京編】
「せっかく東京まで来たのに何も描けない。夢を形にするのは難しい。空っぽのまま、外国で旅人のように生きていることを認めるのは、もっと難しい…」
「私が絵を描くのは溺れないためだ。一人でキャンバスに向かうことで、私はようやく存在することができる…」
渋谷。スクランブル交差点。毎日多くの人が行き交う。
これから行く所も、どこから来たのかも、まったくわからない何人もの人が、大勢行き交う場所。
ヤオ(チェン・ボーリン)は、漫画家を目指して台北からやってきた留学生。専門学校に自転車で向かう途中、偶然、画材道具を路上にばらまいてしまい、立ち往生する若い女性を目撃する。
画材を拾い集め人込みの中を堅い表情で足早に去っていく彼女に、なぜだか目が釘づけになる。
渋谷のとある店。大きなキャンバスに色を重ねるアーティストの美智子(伊東美咲)。スペインへ行った恋人は、とっくに帰国しているはずなのに、連絡は途絶えたまま。絵筆を握り、溜息をつく。そして、諦めかけていた時に、彼からの着信。3年間心を通わせた相手は、たった4秒で別れを告げた。こらえようとしても、溢れる涙…。
 深夜のスクランブル交差点。涙を隠し俯いて歩いてくる美智子とぶつかりそうになるヤオ。謝りながら横を過ぎる彼女と一瞬目が合う。再会した美智子は泣いていた。美智子の泣き顔が脳裏に焼き付いて離れないままのヤオは、立ち止まった一角で、店のウィンドウ内に描きかけの絵を見つける。青空、大地、まっすぐな道。エールをもらっている気持ちになれる絵だった。
翌日、ヤオは、昨日の絵をもう一度見るために店の前を通る。すると、澄んだ青空は冬の寒空のようなグレーに塗りつぶされていた。その変化に驚くヤオの前に、画材を手にした美智子が現れる。反射的に身を隠すヤオ。彼女の悲しそうな横顔が、キャンバスをグレーで埋め尽くしていくのを見たヤオは、美智子のためにあることを考え付く。
帰り支度をしていた美智子は、ガラス戸に張り付いている小さな紙に気付く。そこには、美智子と思われる女性の泣き顔が描かれていた。その絵の悲しそうな瞳を、美智子は思わずじっと見つめる。誰がこれを…?
その日から、ガラス戸には、1日1枚ずつ、美智子の似顔絵が貼られるようになっていった…。

【taipei/台北編】
「ごめんなさい、私はあなたの体を借りて、彼のことを想っただけ」
「ぼくも以前、ある人の体を借りて、他の人を想ったことがある。だから、構わないさ」
深夜。台北のマンションの一室。様々な工具の散らばる部屋で、痩せた小さな体で本棚を作ろうと悪戦苦闘しているアスー(メイビス・ファン)。電動ノコギリの音に、近所の人の罵声と抗議がマンションのドアを叩く。抗議が去って、本棚を立ちあげようとするが、びくともしない。アスーは、バーのコースターを1枚見つけ出し、しばらくそれをじっと見つめていたが、携帯をダイヤルした。
「私…覚えてる?助けてもらえない…?」
台北の街を疾走する125ccのバイク。電話を受けた鉄ちゃん(加瀬亮)は、突然の呼び出しに期待をふくらませ、真夜中にもかかわらずアスーを訪ねる。部屋に入って早々、「本棚を持ち上げるのを手伝って」と頼むアスー。期待していたばかりに、落胆と疑問の表情を浮かべながらも素直に手伝う鉄ちゃん。カタコトの中国語でアスーをからかい、ペンキを塗りながらふざけ合い、次第にふたりの距離は近づいていく。
ひとしきりふざけ合った2人は、床に転がり、さらに距離を縮める。
 そして、鉄ちゃんはアスーを抱きしめる。アスーも鉄ちゃんの胸に顔を押し付ける。いい雰囲気になり、本気になる鉄ちゃんとは裏腹に、徐々に抵抗し始めるアスー。それでもなお覆いかぶさってくる鉄ちゃんに、アスーは突然平手打ちをくらわす…。
戸惑う鉄ちゃん。アスーは泣きながら、鉄ちゃんにわかるように、壁の黒板に漢字を書き始める。「私は、彼と別れた」「とてもつらい」「眠れない」「だから本棚を作る」「あなたの体を借りて彼のことを想った」アスーの書いた字のうえに、鉄ちゃんはひと言だけ書く。「理解」。
翌日、うす曇りの空の下、アスーを乗せた鉄ちゃんのバイクが、車の流れを縫って、海を目指して疾走していく。今でもアスーが愛している人の元へ。アスーが伝えたいことを彼女の代わりに伝えるために。
アスーは彼に伝えるセリフを鉄ちゃんに教え、鉄ちゃんは何度も練習する。そこへ、別れた彼がやってた…。

【shanghai/上海編】
「彼女はすごく大事な手紙を、上海に送ると言ってきた…」
「私は修平のために、初めてパーマをかけました」
上海の下町の一角。母の営む雑貨屋で、大学受験勉強中のユン(リー・シャオルー)が店番をしながらうとうとしていると、ひとりの日本人留学生・修平(塚本高史)が現れた。
彼は、東京の会社を辞め、夢への第一歩として単身上海へやって来た。上海の素顔の生活が見たいと、雑貨屋の2階に部屋を借りることにしたのだ。
申国語を勉強中の修平は、細々した日用品を届けてくれるよう、ユンに頼む。ラーメン、電池、シャンプー。漢字のメモと、英語と、覚えたての中国語を駆使して用件を伝える修平に、受験勉強中の英語を使いつつ、中国語を教えながら応じるユン。それからというもの、ユンは毎日2階の修平の部屋を見上げ、店番をしながら彼の帰りを待つことが日課となった。
そんなある日。修平宛に届いた小包を、ユンは彼のバイト先まで届けた。注意深くダンボールを開ける修平。そこには、美しいスペインの風景の葉書、古くなった野球ボールがあった。ユンは真剣に葉書を読む修平の、今までに見たことのない顔に驚く。冷たく、強張った顔。
それが彼女からの小包と知ったたユンは、修平の彼女がどんな人なのかを尋ねる。修平は店のテラスにいるいろんな女性を指差しながら「目はあの人に似ていて、鼻はあの人。髪型は…あそこの入みたいに、綺麗なパーマがかかっているんだ…」
翌朝、ユンは雑貨屋のカウンターの上の紙片に気付く。その色と模様に見覚えがあった…。昨日の葉書の絵柄だ。外の水溜りにも散らばっている。修平が破り捨てた…?
ユンは受験勉強そっちのけで、手紙の破片を集められるだけ拾い集め日本語の辞書で一文字一文字調べていく。
ある日ユンはパーマをかけた。修平の彼女が、パーマをかけていると聞いたからだ。そしてとてもかわいいとも聞いたからだ。けれども修平は何も言ってくれない。俯き加減で自転車を磨くばかり。あの手紙が届いて以来、やはり修平の様子がおかしい。
「バルセロナ」「夢」「逃げる」…日本語の勉強だと言い、葉書の単語の意味を修平に確認していくユン。そして、断片だったコトバが、一つの意味を持ち始めたとき、ユンはある事実を悟る…。

スタッフ

<東京編>
監督:下山天
<上海編>
監督:チャン・イーバイ
<台北編>
監督:イー・ツーイェン

キャスト

<東京編>
伊東美咲
チェン・ボーリン
<上海編>
塚本高史
リー・シャオルー
<台北編>
加瀬亮
メイビス・ファン

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