原題:When I Turned Nine

アジアフォーカス福岡映画祭2004正式出品作品::http://www.focus-on-asia.com/

2004年3月26日韓国公開

2004年/韓国/カラー/105分/ 配給:コムストック

2006年08月25日よりDVDリリース 2006年2月4日、シャンテシネにてロードショー

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公開初日 2004/09/11

公開終了日 2004/09/20

配給会社名 0525

解説


10年間で130万部。異例のベストセラー小説

ウィ・ギチョルの原作小説「9歳の人生」は、1991年刊行され、10代から40〜50代まで幅広い読者層から親しまれてきた。2002年MBC-TVの人気番組「びっくりマーク」で紹介されたことがきっかけとなり、再び話題を呼び、130万部以上発売されたベストセラーとなった。また、7週連続ベストセラー第1位(2002年7月10日〜8月27日)及び2002年年間ベストセラー総合第1位を記録し、出版界に異例の記録を残した。
 

記憶の中に残る思い出の70年代田舎の村を探して

70年代慶尚道の村を背景とした「僕が9歳だった頃」撮影場所を探すため、全国津津浦浦を訪ねた製作陣。相次ぐ都市開発によって、昔の姿、形を残さず変わってしまった全国の街並み。その昔の面影が残っている場所を探すのは容易い事ではなかった。しかし刻苦の努力の結果、ソウルのフンジェ洞のケミ村とチュンゲ本洞など、撮影地の田舎の村をやっと探し出した。また、子供たちの大切な舞台である学校を探すことも大きな一つの課題だった。製作陣は優雅な学校と緑の木がたくさん生い茂った運動場、そして学校周りの環境まで想像に近い場所を探しだすため、全国を歩き回り、ついに思いがけない場所、全羅南道 ヨス市で‘オッチョン初等学校’を見つけた。当時、閉校されていたオッチョンドン初等学校はヨス市の支援の元、総2億ウォンが投入されてリモデリング作業が行われた。そして遂に1970年代の小学校が完璧な姿で蘇った。この小学校は映画撮影後にも、本作品で使用した数々の小品を展示する‘「ぼくが9歳だったころ」記念館’として残される予定である。

ヴェトナム戦争の影

韓国も高度成長期に入ろうという70年代、安価な労働力が求められ、貧富の差が絶望的なほどに広がります。ヨミンたちが住むのは、ソウルの貧民窟「山の町」。上下水道もろくにない違法建築など当たり前、トイレは汲み取り式だ。水も人が毎日運び上げなければならない。暗い面がある一方で、近隣同士が助け合う、一昔前まで韓国でも日本でもごく普通に見られた光景が受け継がれている。「山の町」は、1988年のソウルオリンピックの準備過程で、撤去作業が急ピッチで行われた。
また、子供たちの戦争ごっこ、くず鉄屋を営む傷痍軍人が描かれ、韓国はヴェトナムに派兵させられた、という事実を実感させられる。

ストーリー

舞台は1970年代。田舎の小学校に通うヨミン(キム・ソク)は、ほかのクラスメイトよりもとても大人びた少年だ。‘ツバメ’(パク・ペクリ)と呼ばれる不良少年から友人を守り、母が亡くなり姉と暮らしている親友ギジョン(キム・ミョンジョ)とお弁当を分けて食べる、優しい心を持っている少年。そんな“義理”を大切にするヨミンはみんなのヒーローだ。
そのヨミンのクラスにソウルからとても可愛い女の子、アメリカ育ちの‘チャン・ウリム’(イ・セヨン)が転校して来る。着ているものから態度まで田舎の生徒とは大違い。ヨミンは彼女を見るや一目惚れ。生まれて初めて経験する女の子へのあこがれ。そんな不思議な気持ちを手紙に託しウリムへ渡そうとするが、ウリムはあのコワーイ担任の先生へ渡してしまいヨミンはみんなの笑いものに・・・。自尊心が傷ついたヨミンはその仕返しに彼女の靴を水で濡らしてしまう。ふたりは自分自身の感情をうまくコントロールできない。
川で溺れそうになった彼女をヨミンが救った。翌日、ウリムはヨミンに助けてもらった礼を言うと、ヨミンはクールに「お父さんに教わった。男は女を守るものだ」と言う。ふたりは相思相愛になったかに見えた。しかし、遠足の帰りではちょっとしたことで仲違いしてしまう。こんなふたりのやりとりを周りでいらいらしながら見ているクムボク(ナ・アヒョン)。彼女もヨミンに恋心を抱いていながら、なかなか自分の素直な気持ちを伝えられず、ついウリムと張り合ってしまう。9歳のヨミンはこの時すでに“恋の三角関係”も経験してしまう。
美しいピアノの先生ユニに片思いをする「小部屋の哲学者」と呼ばれたパルボンさんは「別れが辛いのは、愛する人に何もしてあげられなくなるからだ」という言葉を残してヨミンの前から姿を消してしまった。彼の「愛する人に何かをしてあげたい」という思いはヨミンの心を揺さぶった。
そんなある日、ウリムが持っていたお金が学校でなくなったというハプニングが起こった。必死に探すが見つからない。しかし、その時運悪く同額のお金を持っていたヨミンが犯人扱いにされ、担任の先生に酷く罵られる。実は、ヨミンが持っていたこのお金は、仕事で片目を失明した母親(チョン・ソンギョン)になんとしてもサングラスを買ってあげようと、学校帰りにアイス屋やピアノの先生の家の掃除を手伝ったりとアルバイトをして一生懸命貯めていたものだった。また、ヨミンが隠れてアルバイトをしていたことを知った母親は、彼の心のやさしさに感動しながら、涙を流しながらヨミンに言った「片眼がつらいと思ったことは一度もない。それはヨミンがいるからなのよ」。それを聞いたヨミンは泣き出した。
突然ウリムがソウルへ転校することになる。ウリムは最後、みんなにお別れの挨拶をするときに重大な告白をした。
春から冬へ、次々に起こる試練を果たして、9歳のヨミンは無事、越えられるのだろうか…。

スタッフ

監督:ユン・イノ
原作:ウィ・ギチョル
製作:ファン・ギソン
撮影:チョン・ジョミョン
照明:イ・ジュセン
編集:キム・ヒョン
音楽:ノ・ヨンシム
美術:シン・ジョミ

キャスト

キム・ソク
イ・セヨン

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