原題:Los Debutantes

第76回アカデミー賞外国語映画賞エントリー作品(チリ代表) ロッテルダム国際映画祭正式出品作品

2003年/チリ/カラー/115分/ 配給:ハピネット・ピクチャーズ+メディアボックス

2005年02月25日よりビデオレンタル開始 2005年02月25日よりDVDリリース 2004年10月16日、銀座シネパトスにてロードショー

公開初日 2004/10/16

配給会社名 0187/0099

解説


近年、映画界はラテン系が世界的な大ブーム!
『セントラル・ステーション』『モーターサイクル・ダイアリーズ』『天国の口、終りの楽園。』『シティ・オブ・ゴッド』etc…そのラテン系作品には時代を鋭くえぐり出し、多くの批評家から絶賛され、しかも全世界で大ヒットを記録するといった共通点があり、今や“ラテン・シネマフィーバー”ともいえる現象が世界中に巻き起こっている。そして今、そのスポットライトは南米チリからやってきた一本の映画にあてられた。それが『ハッスル!』だ!
 チリで公開されるやいなや、そのあまりにも大胆で過激な映像が、話題となり一大センセーションを巻き起こし、その結果圧倒的な大ヒットを記録した衝撃の問題作である。
『ハッスル』は、チリの首都サンチエゴを舞台に、魔性の女グラシアをめぐり展開される愛と欲望の官能サスペンスだ。

監督はチリ映画界のタランティーノ!
監督のアンドレス・ヴァイスブルスは本作が長編デビュー作となる若きチリ映画界の新鋭だが、ディテールにこだわりアイデアに富んだ緻密なシナリオ構成と、シャープでダイナミックな演出に、早くもチリのクエンティン・タランティーノとの呼び声も高い!
しかもヴァイスブルス監督は、サスペンスフルな物語の味付けに、随所に織り込ませた壮絶なセックス描写のスパイスをふりかけ、さらに観客の眼をスクリーンに釘付けにする!

新鮮でセクシーな俳優陣
 ヒロインにはチリの「秘宝」ことアントネーリャ・リオスがハッスル熱演!その妖艶な中に魅せる哀しさと、美しさ見事に表現している。グラシアに翻弄され、その誘惑の虜になる兄シルビオをチリ映画界のスター、ネストル・カスティリャーーナが好演。グラシアへのひたむきな思いを寄せる弟ビクトルには、チリ映画界期待の新星フアン・パブロ・ミランダが、若者の持つ集燥感を見事に演じている。また、裏社会のボス、ドン・パスカルをアレハンドロ・トレホが演じ、もう1人の暗黒街のボス、ドン・マルコをエデュアルド・バリルといった2人のチリ演劇界の大ベテランがしっかりと脇を固め、作品に重厚感を与えている。

日本中を震撼させたあのアニータが映画初出演!
 そして本物の魔性の女!何かとお騒がせなあの“チリ人ゲイシャ”の異名をとるアニータ・アルバラードが何と、本作品で映画デビューを果たした。しかもその役柄は17歳の少年を大人にしようとする性の指南役で登場!その豊満な胸とゴージャスな姿態に思わず股間もハッスルだ!

『ハッスル』は激しくも哀しい究極の愛を描いたミステリアスなセンシュアルドラマだ!!

ストーリー

シルビオ(ネストル・カンティリャーナ)とビクトル(ファン・パブロ・ミランダ)の兄弟は、母親の死後チリ南部の田舎町テムコから、首都サンチアゴにやってきた。華やかな都会の生活に憧れ、期待に胸を膨らませ田舎町から出てきた二人にとって、大都会はあまりにも誘惑の多い街だった。
 弟ビクトルの17歳の誕生日。兄のシルビオは、とあるナイトクラブにビクトルを連れて行く。そのナイトクラブは中央に小さな舞台があり、妖艶なブロンドのストリップダンサーが激しく身をくねらせながら、官能的なダンスで男達を魅了している。ピスコラを飲み、その悩ましげなダンスを横目にしながら、兄のシルビアは店内にいた1人の娼婦ソランジ(アニータ・アルバラード)に声を掛けると、彼女は「任せて」と言い残し、ビクトルの手を取ってその店の隠れ部屋へ消えていった…。
 弟思いのシルビオが妖しげなストリップバーに来た本当の目的は、ビクトルの誕生日プレゼントとして“童貞を卒業”させてやる事だった。

 ビクトルが初体験に夢中だった頃、クラブでは一人の泥酔客が拳銃を取り出して騒ぎ出す。店の男たちがたじろぐ中、その場に居合わせたシルビオは、慌てることなく一瞬の隙を見て男を倒し、拳銃を奪い取ってあっという間にその場を収めた。その一部始終を見ていた店のオーナー、ドン・パスカル(アレハンドロ・トレホ)は、シルビオを店の2階にある事務所へと呼ぶ。
 独りその場に戻ったビクトルは、舞台の中央で一心不乱に踊る独りのストリップダンサーに一瞬にして心奪われる。店の人気ナンバーワンである彼女は、まるでビキニを描くように胸と腰をクリームで隠し、そのクリームを弾かせながら裸体を披露するという挑発的なダンスで、自らも陶酔するかのように踊り続けている。その狂おしいまでの表情と憂いを秘めた眼差しに、ビクトルはすっかり魅了されてしまった。
 2階の事務所では、ドン・パスカルがクラブでの一件をうまく収めたシルビオに、ドライバー兼取立ての仕事を与える。こうしてシルビオは、裏ではサンチエゴの闇社会を牛耳るチリマフィアのボスという顔を持つドン・パスカルに誘われるまま、大都会サンチエゴの闇社会へと足を踏み入れてしまうのだった。
 
 それから数日、ビクトルは体中をクリームだらけにして、官能的なダンスを繰り広げていたあのダンサーの事が頭から離れず、勉強も身に入らない。学校をサボって街へ出かけたビクトルの足は、いつしかあのストリップバーへと向かっていた。そこでビクトルはあのダンサーの名前は“グラシア”(アントネーリャ・リオス)といい、昼間は映画館のチケット売りをしている事を聞き出すと、すぐに映画館へ足を運ぶ。そしてその映画館の窓口にいたのは間違いなく彼女だったが、ストリップバーで見た彼女とは程遠い、ごく普通の女性だった。数日後再び、ビクトルは誘われるように映画館へ出向き、勇気を振り絞ってグラシアに「アイスを食べにいかないか?」とデートを申し込む。そのあまりに唐突で、シンプルなデートの誘いに呆気にとられたグラシアだったが、ビクトルの純真な態度に好感を持った彼女はその誘いを受ける。公園でアイスクリームを食べながら、いつしかお互いの生い立ちや、夢について語り合い、次第に2人の心は打ち解けていったのである。
 ある夜、ビクトルはグラシアと共に彼女のアパートへ行く。2人きりになるとビクトルは激しくグラシアを求めたが、彼女は一言でビクトルを制した。「男の子は望むものを手に入れたらすぐに飽きる…」と。その時、グラシアの家の電話が鳴り、彼女は電話を切るとすぐに化粧を整えて真紅色のドレスに着替えると、その電話の相手の所へと消えていった。この時、ビクトルの眼に映ったのは、大人の色気を漂わせる魔性の女へと変貌していくグラシアの姿だった。

 いつしかシルビオはドン・パスカルの右腕ダニーロ(ロベルト・ファリアス)とマルセロ(ビクトル・モンテロ)を尻目に、ドンの信望を得ながらあっという間に、闇社会の“勝ち組”への階段を上り始めていた。
 ある日ドン・パスカルは、一週間仕事でマイアミへ行く為、その留守をシルビオに託した。「留守中の事は任せる。家もすべて自由に使え…。でもドジだけは踏むなよ、これは休暇じゃないんだ…。」ドンはそう言い残すと、マイアミへと旅立った。

 シルビオがドンの留守を預かっている頃、うっかり家の鍵を無くしたビクトルが、ドンの屋敷に向かっていた。そして、あろうことか、ドンの屋敷の駐車場でシルビオとグラシアが激しく抱擁し、熱いキスを交わしている現場を目撃してしまう。
 「あの女はドンの女だ…。」そう言い放ったシルビオが、今、目の前で自分の愛するグラシアとキスを交わしている…。激しい嫉妬を覚えたビクトルは、ひたすら疾走し、空虚な心を満たそうとする。あれだけ純粋に思えたグラシアがボスの女と解り、しかもドンの右腕となった自分の兄とも通じている。ビクトルは混乱した。「何でも兄貴の後か!」ビクトルは言い知れぬ集燥感に襲われ、街を彷徨いながらグラシアの勤めるポルノ映画館へとたどり着く。ビクトルは映画館でグラシアを見つけるやいなや、スクリーンの裏側で彼女を抱き締め、強引に関係を迫った。「男の子は望むものを手に入れたらすぐに飽きる…」そう言うグラシアにビクトルは、身体を強く押し当てて言い放った。「子供じゃない!」抑えきれない性の衝動に、ビクトルは欲望の塊となって激しくグラシアの体を求めるのだった。
 一週間が経過し、ドンがマイアミから帰るその日———。
シルビオとビクトル、そしてグラシアの運命の歯車が大きく軋み始め、物語は意外な方向へと進んで行く…。

スタッフ

監督:アンドレス・ヴァイスブルス
撮影:アーノルド・ロドリゲス
脚本:フリオ・ロハス
製作:セバスチャン・フロイント

キャスト

アントネーリャ・リオス
ネストル・カスティリャーーナ
アレクサンドロ・トレーヨ
フアン・パブロ・ミランダ
アニータ・アルバラード(特別出演)

LINK

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