サヨナラから はじまることが たくさんあるんだよ

あきた十文字映画祭正式出品::http://www.akita-jcf.net/

2004年/日本/カラー/119分/1:1.85 配給:ザジフィルムズ

2008年02月08日よりDVDリリース 2006年04月28日よりDVDリリース 2005年8月13日より、ユーロスペース、MOVIX本牧にて待望のロードショー! 大阪:第七藝術劇場、名古屋:シネマスコーレ、京都:みなみ会館 ほか全国順次公開

TIFF2004『サヨナラCOLOR』ティーチ・イン::http://www.cinematopics.com/cinema/c_report/index3.php?number=1514

公開初日 2005/08/13

配給会社名 0089

解説


海を臨む病院に勤める医者・正平の元に、子宮ガンを患い未知子が入院してきた。偶然にも、未知子は正平が高校時代思い焦がれた初恋の人、その当人であった。
気楽に独り身を謳歌しているかに見える正平だが、実は二十数年もの間、未知子を一途に思い続けていたのだ。
すっかり自分のことを忘れている未知子の素振りに傷つきながらも、献身的な治療を施す正平。徐々に回復し、正平に心を開き始めた未知子だったが…。

『無能の人』(‘91)で鮮烈な監督デビューを飾って以来、多方面で活躍を続ける傍ら秀作を発表し続ける異才・竹中直人監督の、『連弾』(‘O1)から四年ぶりとなる待望の新作。
馬場当のオリジナル脚本を読み、SUPER BUTTER DOGの名曲「サヨナラCOLOR」を想起した竹中が、自身のアイデアも織り込みながら馬場と共同で脚本を執筆、これまで家族愛、夫婦愛を優しい視線で描き続けて、満を持して放つ、すっぱく甘い、珠玉のラブ・ストーリーが誕生した。

女優の新たな面を引き出すことには定評のある竹中が、風吹ジュン、鈴木京香、中山美穂、天海祐希に続いて選んだヒロインは、原田知世。なんと竹中と高校時代の同級生という難役をサラリとこなし、可憐さを残した大人の女性を好演。原田扮する未知子の恋人役には段田安則が扮し、情けない浮気男を熱演している。
内村光良、中島みゆき、忌野清志郎、久世光彦らの、ゲスト出演の枠に留まらない見事な助演も見どころだ。また、北川悠仁、斉藤和義、浜田貴司、ビッケ、田島貴男、スチャダラパー等、ミュージシャンが多数参加しているのも楽しみのひとつ。

プロデューサーは『午後の遺言状』(‘95)『ふくろう』(‘03)の新藤次郎、撮影は『東京日和』
(‘97)『連弾』(‘01)の竹中組・佐々木原保志、音楽はSUPER BUTTER DOGの活動を休止中の永積タカシの個人ユニット・ハナレグミと、クラムボン、ナタリー・ワイズ。エンディングに流れる「サヨナラCOLOR」は、この作品のためにハナレグミと忌野清志郎が競演し、新録音されたバージョンだ。

ストーリー

『思い出してくれましたか?僕のこと』
ある春の日、海岸沿いの病院に勤める医師・佐々木正平(竹中直人)の元に、高校時代の同級生・
笈川未知子(原田知世)が子宮がんを患って入院してきた。病状は、芳しくなかった。「思い出し
てくれましたか?僕のこと」、そう問いかける正平に、曖昧に首をかしげる未知子。他のクラスメイトのことは覚えているのに、なぜだか正平のことだけは思い出せない。

江ノ電の車内、正平の前の席の女子高生が、携帯で友だちと話している。「車内での携帯電話ご
遠慮下さい」、注意したものの、見渡せば車内のほとんどの乗客が携帯で話し込んでいる。ばつの悪い正平は下車寸前、その女子高生から“膝カックン”を喰らい車内で転倒してしまう。「車内で寝転ぶのはご遠慮下さい」。女子高生まなみ(水田芙美子)との出会いだ。「おじさん、火星人だよね?援交しない?」。

正平にはもう一人、長い付き合いになる居酒屋の女将・聖子(中島唱子)という女性がいる。店を閉めた後、二階に上がり込み、聖子の指圧で背骨の軟骨を鳴らしてもらうのが正平にとってやすらぎの時間だ。だが、仕事帰りに店に寄っても未知子のことが気にかかる正平。「同級生で憶え
てない奴いるか?」。

『しつこくされて不気嫌なんです』
一方の未知子にも、フランスで出会い、帰国後一緒に暮らし始めた長年の恋人・雅夫(段田安則)
がいた。雅夫は今をときめく人気スタイリストだ。お見舞いにやってきた雅夫が、正平のことを
“納豆菌”呼ばわりするのを聞いて、突然高校時代の記憶がよみがえる未知子。「わっ、思い出した!佐々木、“ささ菌”って呼ばれてた。女子は誰も近寄らなかったと思う!だめだめ。飽くまでも憶えてないことにしとこ」。

浮気性の雅夫の、現在の愛人は、未知子の友人でアンティーク・ショップを経営するあき子(雅
子)だ。未知子の作るガラス細工のランプを売るあき子の店で、二人は逢瀬を重ねていた。

献身的に未知子に治療を施しながら、なんとか自分のことを思い出してもらおうと試みる正平。
「あなたの家のトイレの窓から見える八つ手の葉っぱ…」。高校時代、一度も口をきいたことがないくせに、正平は下校時に未知子のあとをつけ、未知子の家の前で急に腹痛になり、未知子の母に頼んでトイレを借りたことまであったのだ。《しっこくされて不気嫌なんです》。枕元のノートに字を書いて見せる未知子。ペンを奪った正平は《気》を《機》に直して未知子に返す。《成積良かったはずなのに》と正平。《積》を《績》に直す未知子。《医者のくせに》。微笑みあう二人。

『俺の人生に無理なんて言葉はない 俺が絶対治す』
病院のレントゲン室。正平は後輩の前田(内村光良)と未知子のレントゲン写真に見入っている。
病状は相変わらず良くない。高校時代からの未知子への思いを語る正平に前田が思わず言う。「話してあげたらどうです。先生が二年前に大腸がんを克服したってこと」…。
一緒に病気と闘っていこう、という気持ちを込め、正平は勇気を出して未知子にがんを告知した。うなだれる未知子。

アンティーク・ショップ。「赤ちゃん出きちゃった。私、産むから」。雅夫にいきなり切り出すあき子。お見舞いに行った際、未知子から、もしものことがあったら雅夫の面倒を「お願いしようかな」と言われたあき子は、雅夫を試すように告げたのだった。動揺して、しどろもどろになって出て行く雅夫を、「うそぴょ〜ん」と寂しそうに笑って見送るあき子。

深夜。未知子のことが気になって眠れない正平は、そっと病室を訪ねた。未知子も、やはり眠れ
ないでいた。病室に持ち込んだ自作のランプの灯を見つめながら、幼い日の家族の思い出を語る
未知子…。ランプの明かりに指をかざして、カーテンに指人形を映す正平。「これは?」、「キツネ!」。「これは?」、「カニ?」。「これは?」、「…何です?」、「毛が三本。佐々木正平。“ささ菌”って呼ばれてました〜」。二人の距離が少しずつ縮まっていく…。

『愛することは長い夜に灯された美しい一条のランプの光だ』
科学療法が効き、病巣が小さくなった未知子は手術できる状態にまでなった。「手術は俺がやる」、そう言い切る正平に、前田が心配そうに言う。「先生、少し休まれたほうが…。この前の血液検査…。自分の体のこともきちんと考えてくれないと」。

“このランプは先生に…”と書置きを残し、未知子が一時退院した。そのランプを携えて公園の
ベンチで物思いにふける正平の隣りに、通りかかったまなみが腰を下ろす。ランプを陽にかざし、その美しさに「愛することは長い夜に灯された美しい一条のランプの光だ」と、詩の一節をつぶやくまなみ。しかしサッカーに興じていた少年たちのボールが直撃し、ランプは粉々に砕け散ってしまった。次の瞬間、体に激痛の走った正平は、その場に倒れこんでしまう。病魔は確実に正平の肉体を蝕んでいたのだ。

そうとは知らない未知子は、夜勤明けの正平を海に誘い出した。ランプの材料となるガラスのか
けらを、正平と一緒に集めようと思ったのだ。死ぬことへの恐怖におびえる未知子を「あなたは
長生きしなくちゃだめだ」と励ます正平。「あなたは思い切り長生きして、思い切りたくさんのランプを作るんだ」。未知子が応える。「私、今から先生を50年信じ続ける。そして51年目で死ぬわ」。

スタッフ

監督:竹中直人
助監督:阿知波孝
    池本晋
    山谷幸太
    井上都紀
脚本:馬場当、竹中直人
照明:安河内央之
撮影:佐々木原保志
録音:北村峰晴
美術:斎藤岩男
編集:奥原好幸
衣装:伊藤佐智子
スチール:三浦憲治
プロデューサー:新藤次郎
音楽:ハナレグミ、クラムボン、ナタリー・ワイズ
製作:近代映画協会、衛星劇場、NIKKEN
配給:ザジフィルムズ

キャスト

竹中直人
原田知世
段田安則
雅子
中島唱子
水田芙美子
内村光良
中島みゆき
三東康太郎
藤澤志帆

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