女は男の未来だ
原題:Woman is the Future of Man
男って、ほんとダメね-----
2004年カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品
2004年/韓国/カラー/90分/ 配給:ビターズエンド
2006年04月28日よりDVDリリース 2005年10月29日(土)、新宿武蔵野館にてロードショー
公開初日 2005/10/29
配給会社名 0071
解説
〈酒とおしゃべりとセックス〉
初雪が降った日のソウル。大学の美術講師ムノは、学生時代の先輩でアメリカ帰りの映画
監督ホンジュンと久しぶりに再会する。昼間から酒を酌み交わすうち、以前2人と付き合っていた女ソナの話で盛り上がる。勢いで2人は7年ぶりに彼女を訪ねることに。ソナを前に互いを出し抜こうとする懲りない男たち。そんな2人に悪びれることなく応えるソナ。“終わった恋”のはずなのに…3人の思惑が微妙に絡み合う。
果たして、ソナは彼らの“未来”になるのだろうか?
映画は、思い出を引きずっている2人の男と、そんな事はおかまいなしの女との、過去から現在に至るまでの曖昧な関係を描く。その曖昧さの中に「恋愛における嘘とホント」が浮かび上がってくる。きれいごとを言いながらも、女を巡って密かに牽制し張り合う男の本性、そんな男心を知ってか知らずか、簡単に受け入れる「純潔性」と「娼婦性」を備え持った女の2つの顔—–酒とおしゃべりとセックスから見えてくる大人の可笑しくも哀しい生態。欲望に流される優柔不断な男がダメなのか、そんな男を可愛いと受け入れる女がダメなのか…。
回りを見渡せばどこにでもありそうなシチュエーションに、観る者は「バカだなー」と思いながらも笑わずにはいられないであろう。
〈ヨーロッパで絶大なる人気を誇る奇才ホン・サンスが描く“恋愛スケッチ”〉
監督は、本作『女は男の未来だ』と最新作「映画物語(劇場前)」で2年連続でカンヌ国際
映画祭のコンペティション部門に出品される快挙を成し遂げた韓国の奇才ホン・サンス。
近年、全作品がパリで一般公開されたことをきっかけに映画誌がこぞって特集を組むなど、
ヨーロッパで絶大なる人気を誇っている。恋愛における男女の生の姿をシニカルな観察眼
で切り取り、エスプリ豊かなセリフで軽やかに賛され、“韓国のゴダール”、“エリック・ロメールの従弟”などと形容されるほどである。
前作『気まぐれな唇』と同様、今回もあらかじめ完成したシナリオなしに、俳優たちとのインタビューを通じてキャラクターを創り上げ撮影に挑んだ。独特なライブ感覚を生み出すこの作風は「ホン・サンス式」と呼ばれている。この固有のスタイルで創り出された本作『女は男の未来だ』は、批評家たちだけでなく、ホ・ジノ監督(『八月のクリスマス』、『四月の雪』)やキム・ギドク監督(『サマリア』、『春夏秋冬、そして春』)といった韓国を代表する映画作家たちからも絶賛されている。今や、ホン・サンスは韓国で一目置かれる存在となっている。
〈傑作の誕生最高の俳優たちの挑戦と国際的スタッフから生まれる特別な呼吸〉
主役のムノに、『オールド・ボーイ』での冷徹な復讐者役が記憶に新しいユ・ジテ。人気、実力とも兼ね備えた彼にとって、今回の役柄は新たなる挑戦といえよう。体重も増やし、今までのイメージとは180度違う、女にだらしない男を大胆に演じ新境地を開いた。先輩のホンジュンに『JSA』のキム・テウが、ユ・ジテ同様、愛すべきいい加減な男を好演している。2人の男を翻弄するヒロイン・ソナを演じる『スカーレット・レター』のソン・ヒョナは、女の2面性を見事に体現し作品に深みを与えている。そして、リアルで生々しいベッドシーンも披露している。
前作『気まぐれな唇』と同様、今回の撮影中も、本物の酒が用意されたため、役者たちは酔っ払いながらも演じなければならなかった。
本作『女は男の未来だ』には、俳優だけでなくスタッフも最高の布陣が集められた。撮影と照明には、韓国最高のコンビと言われる『殺人の追憶』、『北京ヴァイオリン』のキム・ヒョングとイ・ガンサン。『八月のクリスマス』、『マラソン』のハム・ソンウォンが編集を担当している。そして、ゴダールやクロード・シャブロルといったヌーヴェル・ヴァーグの監督たちの作品や、『トリコロール』シリーズなどで有名なマラン・カルミッツが製作に名を連ねている。
ストーリー
〈ムノとホンジュン〉
大学で美術講師をしているムノは、ソウル市内に妻と子供と一緒に一戸建ての家に暮らし
ている。初雪が降った日、アメリカ留学から戻ってきたばかりの学生時代の先輩で、今では映画監督をしているホンジュンと久しぶりに再会する。昼間から2人は中華料理店で酒を酌み交わし、思い出話に花を咲かせていた。しばらく飲むうち、ひとりの女の話で盛り上がる。名前はソナ—–7年前、2人が付き合い関係を持った女である。2人はソナとの思い出をたどるのであった。
ホンジュン「お前、ソナのこと覚えているか?」
ムノ「当然、覚えているさ」
ホンジュン「ソナは最近、何してるかな?」
〈ホンジュンとソナ〉
夏の昼下がり。ソナは高校時代の先輩に出くわす。ソナは、その先輩に無理やりプチョンまで連れて行かれ、レイプされてしまう。次の日、そのことを聞いたホンジュンはショックを受けるが、ソナをホテルに連れて行き体を洗ってやる。
そして汚れを落とすためにセックスをする。
ホンジュン「セックスで汚れを落とせる」
ソナ「本当にきれいになれるのね?」
ホンジュン「もちろん。きれいになれるさ」
ソナ「私きれいになれるのね」
ホンジュンがアメリカへ発つ日。ムノがソナを連れ空港に見送りにやってくる。ソナに黙って旅立とうとしたホンジュンを、ムノは声を荒げ責めるのだった。空港のロビーで抱き合い、別れを惜しむホンジュンとソナ。そんな2人を遠くから恨めしそうに見つめるムノ。
ホンジュン「元気でな?待っててくれるだろ」
ソナ「待ってるわ。連絡してね」
ホンジュン「泣く奴があるか。バカだな」
ソナ「分かった。泣かないわ」
ホンジュン「愛してる」
ソナ「私も」
〈ムノとソナ〉
ホンジュンが留学したことをいいことに、ムノはソナにアプローチを開始する。花束を手
にソナを訪ねる。ソナにキスをするムノ。その気になったムノはソナのスカートの下を弄ろうとするが、拒絶されてしまう。気まずい空気が流れる。
ソナ「放して。言ったでしょ“やめて”って!」
ムノ「まさか本気だとは」
ソナ「抱きしめてくれたら、泣くこともできたのに」
ムノ「すみません。謝ります」
ソナ「男はセックスしか頭にないクズ野郎よ」
知り合いの結婚式で、ムノはソナと再会し、次の日のデートを取り付ける。翌日、待ち合わせ場所に現れたソナは、まるで別人のようなパーマを髪にかけていた。ムノは気に入らない様子。
2人はムノの家に行き、誰もいないことをいいことに部屋でセックスする。すぐに終わってしまうムノ。
ムノ「ごめんなさい、早すぎましたよね」
ソナ「いつも、こうでしょう?」
ムノ「脚に毛が多いね」
ソナ「しょっちゅう剃ってたから、毛が太くなったわ」
ムノ「脚の毛も剃るのか」
ソナ「ずいぶん生えたわ」
〈ムノとホンジュンとソナ〉
現在、ソナはプチョンのホテルでバーを開いているらしい。酔った勢いで、ホンジュンはソナに会いに行こうと言い出す。最初は嫌がっていたムノもしぶしぶ付き合うことに。2人は雪の中タクシーを飛ばす。突然の訪問にソナはそれほど驚きもせず、仕事が終わるまで待つよう2人に告げる。2人は酒を飲みながら居酒屋で待つことに。そこヘソナが現れる。ソナの部屋へと場所を変え、3人で飲み直す。過去を引きずっている2人は、ソナを前に互いを牽制し出し抜こうとする。
ソナ「何をどう証明するの?」
ホンジュン「このタバコで焼き印を押してくれ」
ソナ「ずっと待ってたのよ。どれほど待ってたか知ってる?」
ホンジュン「待ってたのか?本当に?」
リビングのソファーでふて寝するムノをおいて、ソナは酔っ払ったホンジュンを寝室に連れてゆく。明け方近く、ソナが寝室からリビングへと出てくる。
ソナ「物音で起きたの?」
ムノ「しゃぶってくれる?」
ソナ「気持ちいいでしょ」
ムノ「ありがとう」
ソナはムノを別の部屋へ連れてゆく。悪びれることなく2人に応えるソナ。翌朝、3人は何事もなかったかのように出かける。立ち寄ったグランドでムノの教え子たちがサッカーをしている。
ムノは2人と別れて、試合を観戦する。
〈ムノの夢〉
ムノは試合を見ているうちに眠ってしまう。
学生「ここへは何をしに?」
ムノ「友達にとって今日は“過去を振り返る日”僕はその手伝いに」
学生「つらい事でも?」
ムノ「いや、僕には君たちがいればいい。僕ってバカかな」
学生「いいえ、私の知り合いの中で一番頭がいいです」
夢を見ていたムノ。目覚めると試合は終わっていた。
〈ムノと学生たち〉
ムノは学生に誘われ飲み屋に行くことに。グランドに戻ってきたホンジュンとソナ。ムノの姿が見えないことがきっかけとなり口論になってしまう。昨晩、一睡もしていなかったホンジュンは、ソナとムノの関係を知ってしまい、捨て台詞をはいて去ってゆく。飲み屋でムノは酔いにまかせて学生たちに卑猥な質問をする。
ムノ「最後にセックスしたのはいつ誰と?」
学生「先生は下品ですね」
ムノ「クソッタレが!偉そうなことを言うな」
学生「責める気はありませんが、先生は問題があります」
ムノは学生たちに非難され店を後にする。帰ろうとしたところへ、ひとりの女学生が追いかけてくる。積極的な彼女に押され、宿屋に入るムノ。しかし、後をつけてきた男子学生に妨害され、2人は何事もなく宿屋を出る。女学生を先にタクシーに乗せたムノは、感慨深げに立ち尽くすのであった。
スタッフ
監督・脚本:ホン・サンス
撮影:キム・ヒョング
照明:イ・ガンサン
編集:ハム・ソンウォン
音楽:チョン・ヨンジン
提供:ユニコリア
提供:ドリーム・ベンチャー・キャピタル
提供:MK2
共同提供:センチュリオン技術投資
共同提供:華川公社
共同提供:CJエンターテイメント
共同提供:ベア・エンターテイメント
製作:ミラシン・コリア
共同製作:ユニコリア
製作支援:映画振興委員会
製作支援:CNC
製作支援:釜山国際映画祭
キャスト
ユ・ジテ(イ・ムノ)
キム・テウ(キム・ホンジュン)
ソン・ヒョナ(パク・ソヌァ)
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