原題:The Doll Master

捨てないで

2004年7月30日韓国公開

2004年/韓国/カラー/89分/ 配給:コムストック

2005年12月22日よりビデオリリース 2005年12月22日よりDVDリリース 2005年7月16日、新宿シネマミラノ他、全国ロードショー!

公開初日 2005/07/16

配給会社名 0028

解説


幼い頃に人形やぬいぐるみと遊んだ記憶は、誰しもあることだ。名前をつけてまるで人間の友達のように接し愛を注ぐ。生き物ではない”モノ”に愛情を注ぐとそこには必ず物語が生まれる。
そんな誰もが身近に感じる人形を題材にし、捨てられた人形が復讐のために人間たちを恐ろしい殺戮劇に導いていくのが本作『人形霊』だ。
60年前に起こった事件が基となり、現代の森の奥に建てられたギャラリーに、偶然という言葉では表せない運命によって引き寄せられた、5人のゲストたちに起こる事件を主軸に物語は展開する。そして、捨てられた人形の愛と哀しみが憎悪に変わり、恐怖の館に導いていく。私たちが感じる人形への不気味さのイメージを最大限に利用することで、ホラー映画という起こりえない出来事を身近な恐怖へと近づけている。

本作では、舞台となる人形ギャラリーの洋館、その至るところに飾り付けられた数十体はあるであろう球体間接人形の美術の美しさが印象的だ。本作で使用されている人形は、等身大のものから大きさもさまざま、可愛らしいもの、リアルなものなど多種多様な人形が見られる。
美とそこに潜む不気味さをゴシック調の映像世界に描き出し、ホラーと悲劇をミックスさせた独特の世界観を作ったのは、新鋭チョン・ヨンギ監督。武侠アクション大作『アウトライブ─飛天舞─』の脚本で脚光を浴び、初監督作品となる本作で、ホラー映画というジャンルの中に、美しさと悲劇という相反する世界を見事に融合させている。

そして『人形霊』の世界観を完成させたのは、何と言ってもミナ役のイム・ウンギョンとヘミ役のキム・ユミの存在である。
謎の美少女ミナを演じたイム・ウンギョンは、ヘミに対する愛情を健気に訴える控えめな演技から、憎悪を顕わにした強い感情表現までをこなし、神秘的な魅力を本作でも存分に発揮している。
本国では多数のCM出演をはじめ、本作への出演もきっかけとなり、韓国最大規模のキャラクター展示会「ソウルキャラクターフェア2004」の広報大使にも任命された。日本での劇場公開作品は本作が初となるが、男性ファンをはじめその美しさはすでに注目されている。
そして、ストーリー展開の中心となるヘミを演じたのは、韓国ホラー『ボイス』TVドラマ『ロマンス』への出演により、すでに日本でも広く知られているキム・ユミ。不可解な出来事に襲われ恐怖に怯えながらも、芯の通ったヘミというキャラクターを演じ、その豊かな表現力で観客を作品の世界に引きこむ演技を見せている。

近年『ボイス』『箪笥(ルビたんす)』そして『コックリさん』といった韓国ホラーが日本でも大ヒットし、アジアンホラーがハリウッドを席巻している中、本作もミラマックスがリメイク権を獲得した。韓国ホラーの驚くべき才能が詰まった『人形霊』が、観客たちを恐怖の世界に陥れる。

<球体関節人形とは?>

体部分が球状の部品で接続された人形で、自由自在にポーズをつけること、バランスがよければスタンド無しで直立することもできる。通常、木でできており、眼球部分はガラスまたはプラスチック製である。繊細なメイクとその素材のおかげで、かなり生身の人間に近い雰囲気を持っている。

ストーリー



招待客の記憶に残る史上最も恐ろしく哀しい物語

その昔、着物の似合うひとりの女性に恋をした人形作りの男がいた。彼女への想いから、彼は彼女にそっくりの着物人形を作り同様の愛を注いだ。その彼のまっすぐな気持ちを受け入れ、やがて二人は結ばれるが、人形は忘れ去られてしまう。そのとき男は知らなかった ─人形も人を”愛せる”ということを─。
ふたりの幸せな日々は長くは続かず、やはり彼女に想いを寄せていた別の男が嫉妬に狂い、彼女を殺してその罪を彼にかぶせてしまう。彼は捕らえられ、無実の罪で殺されてしまう。激しく殴られ、息絶えていく男の目に最期に映ったのは…あの人形の顔であった。

(60年後)

森の奥深くに建てられた古びた人形ギャラリー。新進気鋭の彫刻家(ヘミ)、明るい女学生(ソニョン)、野心的な写真家(ホン)と男性モデル(テスン)、球体関節人形を愛する少女(ヨンハ)の5名が、美術館のチェ館長と人形師のジェウォン氏によって、この洋館に招待された。
館内は、様々な等身大の人形で埋め尽くされ、その過剰なまでの精巧な美しさは、ゲストたちの一挙手一投足をまるで監視しているかのようだ。
ギャラリーに到着したヘミは、遠くから自分を見つめている少女ミナの存在に気づく。初対面のはずなのに、なぜかミナは自分のことを昔からよく知っていると言う。全くそんな記憶のないヘミだが、いつも寂しそうにしているミナを気遣う。

ある日、ヨンハの人形が、目が飛び出て首が切られた状態で発見された。誰かが、これは大昔に魂を持った人形を殺すときに使われたやり方だと言う。そしてゲストたちは、自分たちが持つ人形に関する知識について語り始める。話しているうちに、全員が知るそれぞれの故郷に伝わる人形の呪いの話が全く同じであることに気づく。偶然という言葉では表せない、何とも言えない不気味な空気に包まれているような感覚に襲われ、思わず言葉を失うのだった。
愛らしい人形たちが、彼らを恐怖の館へと追い詰めているのを、ゲストたちは誰も知らなかった。

そして、人形をなくしてから、異常に神経過敏になってしまったヨンハが、何者かに殺される。その体は人形に飾り立てられ、天井の扇風機にぶらさげられていた。誰が殺したのか?怯えるゲストたちは、静けさに包まれた洋館で起こった事件に、お互いへの疑いをつのらせていく。しかしそれは殺戮劇の序章に過ぎなかった。次にソニョンが二人目の犠牲者となってしまう。ちょうどその時間に姿の見えなかったヘミに、向けられる疑惑の視線。ゲストのひとりであるモデルと称していたテスンは、実は刑事だったのだ。2週間前に山で発見された殺人事件の被害者が、このギャラリーで雇われていたことを知り、捜査のために潜り込んだのだった。一連の殺人事件の犯人をヘミだと思い手錠をかけるテスンと、それを必死に否定するヘミ。そして二人の前に人形師のジェウォンが現れる。そして語り始めるのだった…。

スタッフ

エグゼクティブ・プロデューサー:スタンリー・キム
                ソ・ボムソク
                キム・サンミン
                ヒュン・コ

プロデューサー:ハン・マンテク
        イム・ギョンテク
        イム・ヒチョル

監督・脚本:チョン・ヨンギ
撮影:チョ・チョルホ
美術:チョン・スア
編集:ナム・ナヨン
   ホソ・ベンチャー・キャピタル

協力:ネクリック・アジア
   MBCムービー
製作:フィルマ・ピクチャーズ
   マイン・エンターテインメント
同製作:シン・ウソン

キャスト

(ミナ):イム・ウンギョン
(パク・ヘミ):キム・ユミ
(チョン・ヨンハ):オク・ジヨン
(キム・テスン):シム・ヒョンタク
(チェ・ジヌァン(館長)):チョン・ホジン
(ジェウォン(人形師)):キム・ボヨン
(独房の男):ナム・ミョンニョル
(イ・ソニョン):イ・ガヨン
(ホン・ジョンギ):イム・ヒョンジュン

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