世界は、愛で変えられる。

第17回東京国際映画祭::http://www.tiff-jp.net/

2004年/日本/119分/1:1.85/DTSステレオ/ 配給:シネカノン

2007年04月25日よりDVDリリース 2005年07月29日よりDVDリリース 2005年07月29日よりビデオリリース 2005年1月22日、シネカノン有楽町、アミューズCQNほか全国ロードショー

(C)2004『パッチギ!』製作委員会

公開初日 2004/10/23

公開終了日 2004/10/31

配給会社名 0034

解説


オレの17歳はアイツの強烈なパッチギから始まった。
歌ってはいけない唄と、あの娘の、挟み撃ちにあいながら
あの頃の京都は激しく、怒濤の日々だった。

◆若者たちの心の叫びが深い感動を呼び起こす。

『ゲロッパ!』の大ヒットも記憶に新しい井筒和幸監督が、鮮烈にして衝撃的なデビュー作『ガキ帝国』の原点に回帰し、さらにそれを軽々と飛び越え、新たな地平に踏み出すエンタテインメント映画の傑作を創り上げた。胸ときめく切ない恋と涙あふれる熱い友情、そして思わず顔をしかめるほどの激しいリアル・ファイトに満ち、無軌道な若者たちが不条理な社会の荒波に巻き込まれながら、大人への一歩を踏み出す姿をとらえた青春群像劇。いつの時代にも共通する若者の普遍的な純粋さと葛藤を描いて、彼らの言葉にできない心の叫びが、観る者すべての熱い涙を誘う。

対立する2つのグループの男女がふとしたきっかけで知り合い、やがて恋に落ちてゆくが、そこには2人の思いを妨げる深い河が横たわっていた。スピード感あふれるエピソードが繰り出す笑いと、純粋であるがゆえに深く胸に刻み込まれる挫折と悲しみ。そしてラストに訪れる爽やかな感動が、これらすべての感情を包み込んで未来への希望に変えてくれる。『パッチギ!』は“日本版ロミオとジュリエット”、そしてダンスをケンカに置き換えた“日本版ウエストサイドストーリー”とも言える胸踊る感動作だ。

なおタイトルの“パッチギ”とは、「突き破る、乗り越える」という意味を持つハングル語で、「頭突き」の意味でもある。

◆井筒作品の集大成、そして最高傑作!

常に人と人の繋がりを見つめ続け、そこにドラマを紡ぎ出してきた井筒監督が、ブルーリボン作品賞に輝いた青春映画の傑作『岸和田少年愚連隊』以来8年ぶりに、若者たちを主人公に撮り上げた『パッチギ!』。今回は1968年の京都を舞台に設定しながらも、時代に左右されることのない若者の普遍的な内面を見事にフィルムに焼き付けている。そして、日本と在日朝鮮の高校生が巻き起こす事件を、現代社会にもつながる問題として痛みをもって提示し、娯楽性と社会性が見事に融合した希有な作品として完成させている。

また、常に音楽を重要な要素として物語に取り込んできた井筒監督は、本作でも色褪せることのない当時のヒット曲の数々を効果的に使用している。中でも2人の出会いのきっかけとなり全編にわたって登場する伝説的名曲「イムジン河」(ザ・フォーク・クルセダーズ)は、本作の象徴とも言える大きな意味を持ち、特にクライマックスでは、音楽と複数のエピソードがシンクロする正に映画ならではの醍醐味を体験することができる。

ここに井筒監督作品のさまざまな要素を盛り込んだ集大成にして、それらを遥かに超える最高傑作が誕生した!

◆若手からベテランまで、俳優陣の演技が光る

本作は、ザ・フォーク・クルセダーズのヒット曲「帰ってきたヨッパライ」の作詞者で、雑誌「ポパイ」や「ブルータス」などに編集者、ライターとして関わった松山猛の自伝的小説「少年Mのイムジン河」をモチーフに、『ゲロッパ!』に引き続き羽原大介と井筒和幸がオリジナル脚本を書き上げた。音楽はザ・フォーク・クルセダーズのメンバーだった加藤和彦が担当している。

キャストには塩谷瞬、高岡蒼祐、沢尻エリカ、楊原京子など、今後の日本映画界を担う有望な若手が抜擢され、難しい役柄を瑞々しく演じて強い印象を残し、光石研、笹野高司、余貴美子、前田吟などお馴染みの顔が脇をしっかりと固めている。また、冒頭のシーンではGS(グループサウンズ)ブームの末期に絶大なる人気を誇ったバンド「オックス」のボーカルの愚痴ヒデト役で加瀬亮、主人公に「イムジン河」とギターを教える坂崎にオダギリジョー、そして主人公にラジオの勝ち抜きコンテストに出場を勧めるディレクター役でハウンド・ドッグの大友康平などが、これまでのイメージを打ち破るような役柄で登場するのもお楽しみのひとつだ。

ストーリー


1968年の京都、お寺の息子松山康介(塩谷瞬)は府立東高校の2年生。モテたい一心で、同級生の紀男(小出恵介)とGS人気にあやかって“キノコカット”にするが、結果は女の子に気持ち悪がられるだけだった。

府立東高校空手部との争いが絶えない朝鮮高校の番長アンソン(高岡蒼佑)たちは、修学旅行で京都に来ていた海星高校とケンカになる。そして、彼らのバスは大勢の朝高生によって横転させられてしまう。

次の日、康介の担任布川先生(光石研)は、“バス横転事件”の新聞を見せながら、朝高との親善のためにサッカーの試合を開催することを提案する。そして、たまたまその日の週番だった康介と紀男が申し込みに行くことになる。2人は恐る恐る朝高に行くが、康介はブラスバンドの音色に誘われるままに音楽室をのぞき込み、フルートを吹くキョンジャ(沢尻エリカ)に一目で心を奪われてしまう。しかし、すぐに彼女はアンソンの妹だと知らされる。

康介は紀男(小出恵介)と入った楽器店で酒屋の坂崎(オダギリジョー)と知り合い、キョンジャが吹いていた曲が「イムジン河」だということとその歌の意味を、そしてこの歌にまつわるフォーク・クルセダーズの話を教えてもらう。康介は国籍の違いに戸惑いながらもキョンジャと仲良くしたくて、「イムジン河」をギターで弾くためにフォークバンドを結成しようと紀男を誘う。

サッカーの親善試合が実施されることになり、当日は情報を聞きつけた空手部の大西(ケンドーコバヤシ)たちも朝鮮高校のグラウンドに駆けつける。しかし、試合開始と同時に朝高に得点を許すといきなり空手部の生徒がケンカを仕掛けて、すぐに乱闘が始まってしまう。アンソンが加勢して形勢は逆転するが、収拾がつかなくなって試合は中止になる。

その後、親友のモトキ(波岡一喜)と合流したアンソンと弟分チェドキ(尾上寛之)は、空手部の大西と近藤たちに待ち伏せされてボコボコにされてしまう。

康介は朝鮮語を覚えるために朝鮮語辞典を買い、坂崎からギターと歌を教えてもらう。そして、坂崎からフォークルのコンサートのことを聞いて、思い切ってキョンジャをコンサートに誘うことにする。勇気を出して電話をすると、その日は自分のコンサートがあるからと断られるが、逆にそのコンサートに誘われた康介は「絶対行きます!」と答えていた。

スタッフ

監督:井筒和幸
脚本:羽原大介、井筒和幸
撮影:山本英夫
編集:冨田伸子
音楽:加藤和彦
原案:松山猛「少年Mのイムジン河」(木楽舎刊)
曲:「イムジン河」「悲しくてやりきれない」「あの素晴らしい愛をもう一度」 
製作:シネカノン、ハピネット・ピクチャーズ、衛星劇場、
   メモリーテック、S・D・P
企画・制作:シネカノン

キャスト

塩谷瞬
高岡蒼佑
沢尻エリカ
楊原京子
尾上寛之
真木よう子
小出恵介
波岡一喜
オダギリ ジョー
加瀬亮
キムラ緑子
余貴美子
大友康平
前田吟
光石研

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