原題:Choristes, Les

歌うときだけ、幸せだった。

2004年大阪ヨーロッパ映画際オープニング作品

2004年3月17日フランス公開

2004年/フランス・スイス/95min/カラー/フランス語 サントラCD:ワーナーミュージック・ジャパン 提供:日本ヘラルド映画、テレビ東京、博報堂DYメディアパートナーズ 配給:日本ヘラルド映画

2005年12月22日よりビデオリリース 2005年12月22日よりDVDリリース 2005年4月9日、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

公開初日 2005/04/09

配給会社名 0058

解説



フランスで8人に1人が泣いた!
23人の子供達とひとりの音楽教師の感想ストーリー。
「歌」を通じて「希望」を見出した子供達の奇跡のハーモニー。

89年『ニュー・シネマ・パラダイス』、00年『リトルダンサー』——–そして、2005年、ひとりの音楽教師と少年達が織り成す、胸が潰れそうなほど切なくて美しいストーリー『コーラス』がいよいよ日本に上陸する。問題児を抱えた寄宿舎にやってきた一人の音楽教師が、淋しさゆえに心を閉ざした子供達や、体罰を与える校長先生を相手に「歌」を通じて生きることの素晴らしさ、愛することの尊さを教える感動のストーリーが『コーラス』である。
 本作は2004年3月にフランス国内で公開されると同時に、その普遍的なテーマ性とひたむきな子供達の姿に圧倒的な支持が集まり、瞬く間にフランス映画史上前代未聞のヒットを記録。公開15週で750万人を動員、フランス人の8人に一人が観たというほど多くの人に愛され、感動を巻き起こした作品としてヨーロッパ中で異例の一大現象を巻き起こしている。その勢いはとどまることを知らず、動員記録を日々更新している。(2004年10月20日現在807万人)
 『コーラス』の舞台は第2次世界大戦の余韻が色濃く残る1949年フランス。復興の最中という厳しい時代の中を懸命に生きる子供達の心の成長を通じて、無償の愛、希望を捨てないことの大切さそして尊い絆が、観客に押し付けることのない等身大の感動と共に綴られている。加えて本作が多くの観客の心をつかんだ大きな特徴のひとつに、子供達の澄み切った歌声の存在がある。この歌声は、実際にリヨンに実在する「サン・マルク少年少女合唱団」が少年達が奏でた、まさに、「奇跡の歌声」。セリフ以上に雄弁に子供達の感情を伝える歌声は、郷愁を匂わせる美しい映像と折り重なるように心に染み渡る魅力を備えている。
 中でも特筆すべきは、本作の主演を務め、目の覚めるような美声を披露している13歳のジャン=バティスト・モニエ。実際に同合唱団のソリストを務めるモニエは本作がデビュー作となり、その類まれなる美声は「その歌声を聴いたら涙が溢れる」と絶賛されている。少年達の成長と共に、やがて永遠に失われていくボーイソプラノは、その声が美しければ美しいほどはかない輝きを放つ。
 主人公のクレマン・マチュー役を演じるのは、『バティニョールおじさん』で味のある名演を披露したジェラール・ジュニョ。本作でも子供達を無償の愛で包み込む心優しい音楽教師を、ジュニョ独特のスタイルで熱演している。製作および出演を務めるのはフランスを代表する名優であり国民的プロデューサーのジャック・ペラン。本作では『ニューシ・シネマ・パラダイス』のサルヴァトーレ役を髣髴とさせる役柄を演じ、哀愁を漂わせるまなざしと深みのある演技で圧倒的な存在感を示している。さらにペテンは俳優以外でも『11`09`/セプテンバー11』、『キャラバン』、『ミクロコスモス』の製作や『WATARIDORI』の製作総指揮としても数多くの映画賞を受賞しているだけに、本作でもその手腕をいかんなく発揮している。私的な思いを込めて監督、脚本を手掛けたのは、ペテンの甥でこれが長編デビュー作となるクリストフ・バラティエ。音楽と映画の美点を巧みに生かした本作は、バラティエ自身の音楽家、映像作家としてのキャリアがあってこそ実現したといえる。
 大人達が忘れかけていた「子供時代」というかけがえのない宝物の存在に気付かせてくれる魅力を持った『コーラス』は、『ニュー・シネマ・パラダイス』『リトル・ダンサー』など少年のひたむきな姿を描いた名作に続き、21世紀の新たなる名作として、映画史に残る感動作となっている。

ストーリー



世界的指揮者のピエール(ジャック・ペラン)は公演先で母の訃報を知り、葬儀のために故郷へと戻ってくる。降りしきる雨の中、実家で物思いにふけっていたピエールのもとに、ひとりの男が訪ねてくる。それは、子供時代を一緒に過ごしたペピノだった。ピエールが懐かしい再会を喜ぶ中、ペピノは一冊の日記を手渡す。それは幼い日に自分の生き方を変えてくれた、ひとりの音楽教師の残した形見だった…。
 1949年、フランスの片田舎。失業中の音楽教師クレマン・マチュー(ジェラール・ジュニョ)は、問題児を矯正する寄宿舎に赴任する。この学校には、親をなくした子供や、素行に問題があり親元を離れた子供達が集団生活する。暗い瞳の子供達。赴任当日、校門の前でマチューが目にしたのは、「土曜日に迎えに行く」という言葉を残して去っていった両親を待つ幼い少年ペピノ(マクサンス・ペラン)だった。今日が何曜日か分からないほど幼いペピノは、決して迎えに来ない両親をひたすらに待ち続け、毎日のように校門の外をじっと眺めているのだった。
 複雑な思いを抱いたまま学校内に足を踏み入れたマチューは早速、過激ないたずらで用務員に大ケガを負わせた子供達と遭遇する。さらに、驚いたことにそこには「淋しさ」ゆえに心のすさんだ子供達、容赦ない体罰を繰り返す校長先生がいたのだ。学校全体が温かさのかけらも無い殺伐とした雰囲気で溢れ返っていた。もちろん、マチューも早々に子供達のいたずらに手を焼くことになり、まともに授業もできない。挙句の果てには、鍵をかけて大切にしまっておいた楽譜まで盗まれ、荒らされてしまう。しかし、そんな子供達の心を理解したマチューは決して彼らを叱らず、体罰も加えないと決意する。
 子供達に本来の純粋さや素直さを取り戻してもらおうと、マチューは彼らに「あること」を教えることを思いつくのだった。暗い瞳を輝かせる為の「あること」。それは「合唱団」を結成し、歌う喜びを教えることだった。最初は、面白半分だった子供達も、徐々に歌うことの素晴らしさ、楽しさに気がついていく。
 そんなある日、マチューは誰もいないはずの教室から”奇跡の歌声”を耳にする。驚いて教室の扉をあけたマチューの前にいたのは、学校一の問題児、ピエール・モランジュ(ジャン=バティスト・モニエ)だった。これまで誰にも心を開こうとしてこなかったピエールに、マチューは救いの手を差し伸べようと心に誓う。
 やがて歌うほどに磨かれていくピエールの才能に触れ、この天からの授かり物を埋もれさせてはいけないと考えたマチューは、面会に来た母親ヴィオレット(マリー・ビュネル)にピエールの進路を真剣に考えるように相談を持ちかけるのだった。美しいヴィオレットの微笑みに淡い恋心を抱くマチュー。しかしマチューと母親の親密さに嫉妬したピエールはマチューに心を閉ざしてしまう。そんなピエールの気持ちを理解しつつも、マチューはピエールに対してあえて荒療治に出る。それは、彼から歌を取り上げ、無視することで逆に自らの才能に気がついてもらいたいと願ったうえでの決断だった。
 みるみるうちに上達していく子供達とマチューの間に絆が芽生え始めた頃、噂を耳にした伯爵夫人が、歌を聞きに学校にやってくることになった。伯爵夫人のご機嫌取りに忙しい校長先生を尻目に、生徒達は日頃の練習の成果を披露する。合唱団から離れてひとりぼっちで佇んでいたピエールに、遂にマチューは「歌え」と合図を送る。マチューに許され、歌うことの歓びを実感したピエールは失意の中から燃え上がった幸福をかみしめながら、歌い始めるのだった。
 発表会も大成功に終わったある日、校長先生の出張中にマチューは子供たちと遠足に出かける。しかし、学校に戻ってみるとある悲惨な事件が起こっていた…。

スタッフ

監督:クリストフ・バラティエ
製作:ジャック・ぺラン
原案:映画『春の凱歌』(44)
脚色/セリフ:クリストフ・バラティエ、フィリップ・ロペス・キュルヴァル
撮影監督:カルロ・ヴァリーニ(AFC)
     ドミニック・ジョンティ(AFC)
編集:イヴ・デシャン
美術:フランソワ・ショヴォー
衣装:フランソワーズ・ゲガン
音楽:ブルノ・クーレ
合唱団:サン・マルク少年少女合唱団
合唱団指揮:ニコラ・ポルト

キャスト

ジェラール・ジュニョ「バティニョールおじさん」
フランソワ・ベルレアン「さよなら子供たち」
ジャン=パティスト・モニエ
ジャック・ペラン
カド・メラッド
マリー・ビュネル
マクサンス・ペラン

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