原題:Bad Santa

史上最悪、前代未聞のサンタクロースの登場だ!

2003年11月26日アメリカ公開

2003年/アメリカ/1時間31分/カラー/ドルビーデジタル/デジタルサウンドDTS 配給:ワイズポリシー

2005年05月21日よりDVDリリース 2004年12月4日、渋谷シネマライズにてロードショー公開

公開初日 2004/12/04

配給会社名 0043

解説


史上最悪、前代未聞のサンタクロースの登場だ! 女に目がなく、大酒飲みで、子供を膝に抱いては酒臭い息を吹きかけ、口を開けば悪態ばかり。けれど、どこか憎めない愛すべき男。
彼の名は、ウィリー。腐れ縁の相棒マーカスとともに、毎年クリスマスシーズンになるとサンタに仮装して、全米のデパートでアトラクションとして、子供たちに愛と夢ならぬ、毒舌と無愛想と振りまく“バッドサンタ”なのだ。実は、ふたりの真実の姿は、掻き入れ時のデパートの売り上げ金を狙う大泥棒。そんなウィリーにとって、思いがけない出来事が起きる。いじめられっ子で孤独な少年キッドが、ウィリーをほんもののサンタだと思い込み、ストーカーよろしく彼に付きまとい始めたのだ。子供が大嫌いのウィリーのこと、最初はキッドを邪険に扱うが、ひょんなことからキッドの住む大邸宅に身を隠す羽目に陥り、こうして、ウィリーの心に“ある”変化が生まれる……。

何と言ってもこの映画の魅力は、“バッドサンタ”ことウィリーを演じるビリー・ボブ・ソーントンの快演ぶりだろう。全米で騒然たる話題をまいたその“バッドサンタ”ぶりは、『バーバー』や『チョコレート』などでみせた無骨で心に暗い影を背負ったクールな中年男から一転、アル中で子供嫌い、それでいて女には目のない泥棒をユーモアたっぷりと辛辣に、かつ憎みきれない人間味で演じきり、大いなる共感を呼び起こす。薄汚れたサンタの衣裳をだらしなく着込み、その快楽主義で不道徳な振る舞いから放たれる、“聖なる”クリスマスに対する偏見たっぷりの毒舌は、むしろ胸のすくような痛快さがある。そんな、ウィリーの心の奥底に隠された暖かな情感を、ビリー・ボブは時にしみじみと甦らせ、ゴールデン・グローブ賞では主演男優賞(ミュージカル/コメディ部門)にノミネートされる名演を披露している。

監督は、コミック・アーティスト、ロバート・クラムの半生を追ったドキュメンタリー『クラム』や、ダニエル・クロウズのカルト的コミックを映画化した『ゴーストワールド』で、独特のアート系テイストとヒップなスタイルがポップ・カルチャーに敏感な若者たちから絶大な支持を受けたのはもちろん、全米の批評家たちからも絶賛されたテリー・ツワイゴフ。この『バッドサンタ』でも、誰もが心安らかになる「はず」のクリスマスの季節というシチュエーションを逆手に取りながら、社会のメインストリームからのハズレモノたちをツワイゴフ独特のまなざしで暖かく見つめ、ラストでは思いがけないハートウォーミングな感動を味わわせてくれる。
全米では昨年のクリスマス・シーズンに公開されるや興行収入6000万ドルを超える大ヒットを記録、また、今年5月のカンヌ国際映画祭では招待上映の栄誉を受け、「その抱腹絶倒のユーモアと芸術性の見事な共存!」と高く評価された。

ウィリーのことをほんもののサンタと思い込み、彼につきまとう8歳の孤独な少年キッド役には、オーディションで選ばれた新人のブレッド・ケリー。もっさりとした肥満体に鼻水をたらした初登場のシーンから、ケリーは観客の目をとらえて離さない。愛嬌たっぷりで、次第に抱きしめたくなってしまう愛くるしさのある天才子役だ。そんな彼が、手作りのクリスマス・プレゼントをウィリーに渡すシーンは、しみじみとした涙を誘わずにはいられない名場面として観客の心に深く刻み込むだろう。
一方、ウィリーとは腐れ縁の相棒で、連続泥棒の共犯者マーカスには、ヴェテラン小人俳優のトニー・コックス。ふたりを雇うデパートのマネジャー、ボブには『プロブレム・チャイルド/うわさの問題児』の名コメディアン、ジョン・リッター。彼は私生活でもビリー・ボブの友人で、彼の初監督作『スリング・ブレイド』にも出演しているが、撮影後に急逝し、残念ながら本作が遺作になってしまった。『バッドサンタ』は彼に捧げられている。
ほかに、デパートの警備員で悪賢い野心を抱えるジンに、『チャーリーズ・エンジェル/フル・スロットル』のバーニー・マック、ウィリーと恋におちるサンタ・フェチのウエイトレス、スーに、『スウィート・ノベンバー』などで注目される若手女優ローレン・グレアムなど、個性的で賑やかなキャストが、オフビートな物語を絶妙のアンサンブルで盛りあげている。そして、キッドの祖母役で『ラスト・ショー』のオスカー女優クロリス・リーチマンがカメオ出演、“ボケ老人”を怪演しているのも見逃せない。

エグゼクティヴ・プロデューサーは、『ファーゴ』『ビッグ・リボウスキ』の監督として精力的に活躍するジョエル&イーサンのコーエン兄弟。ふたりは、ウィリーとキッドの関係を、『がんばれ!ベアーズ』のウォルター・マッソー演じる少年野球のコーチと子供たちからインスパイアされたと語っている。
また、脚本のジョン・レクアとグレン・フィカーラは、大ヒット・コメディ『キャッツ&ドッグス』でデビューした新鋭コンビで、その『がんばれ!ベアーズ』のリメイクを、ビリー・ボブの主演でふたりが脚本を手がけるプロジェクトが進んでいるなど、将来有望な注目のフィルムメイカーである。
そして、ディーン・マーティンやビング・クロスビーの歌うお馴染みのクリスマス・ソングがいつもとは一味違う趣向で、全編を飾っているところに、この映画のセンスの良さが反映されているといっていいだろう。

『クリスマス・キャロル』『素晴らしき哉、人生!』『三十四丁目の奇蹟』『シザーハンズ』……クリスマス映画の名作リストに、今、新たな傑作が加わった。さあ、あなたもこの“常識破り”のハートウォーミング映画『バッドサンタ』を観て、胸が“ほっこり”暖まること間違いなしのハッピー・クリスマスを迎えよう!

ストーリー


俺はウィリー(ビリー・ボブ・ソーントン)。酒と女が何より大好き。サンタクロースの格好をして毎年、クリスマス・シーズンにデパートでうるせえガキどもと写真を撮るのが仕事だ。かったるいったらありゃしない。これまでの俺の人生は、散々なひどいものだった。クリスマスにもロクな思い出はない。プレゼントといえば、親父からの暴力だけ。俺は、そんなロクデナシの親父から金庫破りを教わった。
そう、俺の本当の商売は、クリスマスでたっぷり金がつまったデパートの金庫破り。イカすだろう?妖精に変装した相棒のマーカス(トニー・コックス)と組んで当てたヤマは数知れず。誰だってサンタが泥棒なんて思うわけないもんな。ただ正直言って、毎年、引退を考えているんだ。稼いだ大金を元手に、マイアミでの優雅なリゾート暮らしもいいもんさ。人生をやり直したい。そんな本音もあるけど、結局、クリスマスが近づく頃には、いつものように飲んだくれの借金生活。マーカスの誘いに乗らない手はないってことになっちまう。
こうして、今年はアリゾナ州フェニックスのデパートに狙いを定めた。マネージャーのボブ(ジョン・リッター)は愛想よく迎えてくれたが、ぞんざいな俺の言葉遣いに神経質に眉をしかめやがる。悪かったな!でもまさか、ボブが警備主任のジン(バーニー・マック)に俺たちのことを注意深く見張ってろと命じていたなんて……。

奇妙なことは、まだまだ続く。サンタの客としてやってきた、もっさいデブのチビ(ブレット・ケリー)が俺に懐いて離れない。俺に「ホントのサンタ?」なんて訊いてくる。気味が悪いったらないね。
ああ、いいこともあった。帰りにふと立ち寄ったバーのセクシーなウエイトレスに色目を使われたんだ。たまらなくなって、その場でファック。その女、スー(ローレン・グレアム)から、「サンタとヤルのが憧れだったの」と言われたら、さすがの俺もまんざらじゃない。
ところが、ある夜、定宿のモーテルに辿り着くと、誰かが俺の部屋を家捜ししてる。サツなのか?行き場を失った俺の脳裏に浮かんだのは、あのチビの家だけだった。
贅沢な大邸宅に、ボケたばあちゃん(クロリス・リーチマン)とのふたり暮らし。チビはいじめられっ子だから、友達も来ないだろう。身を隠すのには、うってつけじゃないか。
それにしても、居候したのはいいものの、どうも調子が狂っちまう。あのチビのせいだ。いくら邪魔者扱いしようともお構いなしで、俺にまとわりついてきては、「サンド食べる?」だからたまったもんじゃない。挙げ句の果てに、「ぬいぐるみのゾウが欲しい」って可愛いことまで言いやがる。どうやら厄介なことに、子供が大嫌いな最悪サンタの俺の心に、何かが生まれはじめたらしい。一体どうなってんだ?!
今年も、大きなヤマが俺を待っている。それまでの辛抱さ、いつものようにアッという間に済んじまうさ。
そんなある日、俺とマーカスは警備主任のジンに呼び出された。これまでの俺たちの悪事の数々をすべて調べあげたって言うんだ。ヤバイと思った瞬間、ヤツはとんでもないことを言い出した。
さて、俺のクリスマスはこの先、どのような顛末を迎えるんだろう?
乞うご期待といったところだぜ!
それでは史上最悪のサンタクロースから一足お先にメリークリスマス!
あっと驚く世界一ハートフルなプレゼントがみんなを待ってるぜ……。

スタッフ

監督:テリー・ツワイゴフ
製作:ジョン・キャメロン/サラ・オーブリー/ボブ・ワインスタイン
脚本:グレン・フィカーラ/ジョン・レクア
撮影:ジェイミー・アンダーソン
美術:シャロン・シーモア
音楽:デヴィッド・キティ
衣装:ウェンディ・チャック
配給:ワイズポリシー

キャスト

ビリー・ボブ・ソートン
トニー・コックス
ブレット・ケリー
ローレン・グレアム
ローレン・トム
バーニー・マック
ジョン・リッター
アジェイ・ナイドゥ

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