原題:The United States of Leland

突き刺さる"哀しみ"の叫び----。 アメリカ合衆国の心を震わせた衝撃の感動作。 ケヴィン・スペイシー製作 マシュー・ライアン・ホーグ第一回監督作品

サンダンス・フィルム・フェスティヴァル2003 正式出品 2003年第29回ドーヴィル映画祭 正式出品

2004年4月2日全米公開

2003年/アメリカ/サウザンド・ワーズ=メディア8エンタテインメント提供/ トリガー・ストリート制作/カラー/1時間44分/ヴィスタサイズ/ ドルビー・デジタル/日本語版字幕:松浦美奈/ 配給:アスミック・エース

2005年03月11日よりビデオレンタル開始 2005年03月11日よりDVDリリース 2004年8月7日、シネマスクエアとうきゅうにてロードショー

公開初日 2004/08/07

配給会社名 0007

解説



突き刺さる゛哀しみ”の叫び??。
アメリカ合衆国の心を震わせた衝撃の感動作。
なぜ、平凡な少年が殺人を犯してしまうのか? 『16歳の合衆国』は、青少年による信じ難い事件が頻発する”今”を独特な視点で見事に描き、その心に突き刺さるリアルなテーマで2003年サンダンス映画祭を熱狂させた。
世の中にあふれる哀しみを敏感に感じ取ってしまいながらも、何も感じないふりをしてすべてに目を閉ざしてしまう16歳の少年と、苦しみ、悩み、自分でも気付かないうちにちょっとずつ罪を犯しながら生きていく人々。28歳のマシュー・ライアン・ホーグ監督は、絶望の中にもかすかな希望を見出そうとする主人公リーランドの姿を、自らの体験をもとにこれまでにない独特の視点で描ききる。
この刹那的な16歳の心の揺れに激しく賛同したケヴィン・スペイシーが今回は出演だけでなくプロデューサーとして参加。主演は本作でサンダンス映画祭スタンディング・オベーションを受けた若手演技派俳優ライアン・ゴズリング。さらにドン・チードル、クリス・クライン、ジェナ・マローン、レナ・オリン、ミシェル・ウィリアムズ、マーティン・ドノヴァン等の豪華キャストが結集。
そしていよいよこの夏、日本中に強い衝撃と感動が響き渡る。

なぜ、リーランドは、恋人の弟を殺してしまったのか???
リーランドは16歳の平凡な少年。ところがある日突然、リーランドは恋人ベッキーの知的障害を持つ弟ライアンを刺し殺してしまう。なぜ、リーランドは、恋人の弟を殺してしまったのか・・・・・・?
少年院に収容されても、事件を起こした理由について何も語ろうとしないリーランドだったが、教官パールと出会い、徐々に心の内を語りはじめる。祖母の死、ベッキーとのすれ違い、長く会っていない父への憧れと憎しみ、ライアンの純粋さへの愛・・・・・・。 世界を満たしている「哀しみ」にどう対処していいのかわからず、心を固く閉ざした少年の姿がそこにあった。
一方、哀しみに明け暮れるベッキーの家族は、それぞれが心のバランスを見失っていた。怒りに震える父、ショックから立ち直れない母、妹ベッキーへの憎しみを隠しきれない姉。一度は麻薬を断ち切ったはずのベッキーは再びドラッグに溺れてゆき、姉の婚約者アレンも、この理不尽な事件を消化出来ずにいた。
すべのバランスが少しずつ崩れ始めたとき、誰にも予想できない第二の悲劇の予感が、静かにしかし確実に現実のものとなり始めていた??。

一見平和に見えて、実はちょっとずつ残酷な日常をリアルに描く、
21世紀ならではの青春映画
『16歳の合衆国』で監督デビューを飾るマシュー・ライアン・ホーグは、ロサンジェルスの少年施設の教師というショッキングな実体験に触発され、この脚本を執筆。近年、増加の一途を辿る少年犯罪の陰に、報道されているより遥かに錯綜し、犯罪を誘発しかねない実生活があることを独特の視点で暴き出す。
平凡な16歳の少年が、なぜ、殺人を犯したのか? 罪を犯しても、いわゆる”普通”の10代の少年達と何も代わらない彼らを、社会は敢えて”何かが欠落している子”といった枠組みにはめて見る。しかし実際彼らはモンスターでも特別な人間でもなく、社会の深い”哀しみ”に巻き込まれてしまった、人一倍センシティヴな人間なのではないか。ただ、”事”を起こしただけで、特別な理由など無いのではないか・・・・・・。
そして、少年リーランドの生々しい心の葛藤を表現するのと同時に、恋人、少年院の教師、被害者の家族たちなど、彼を取り巻く人々の張り詰めた心情をも掘り下げ描くことで、無意識の日常に見え隠れする残酷さが浮き彫りになっている。
ホーグは、単に犯罪の理由を解明するのではなく、センシティヴな10代を深く見つめ、今を生きる我々にひとつの大きな問いを投げ掛けているのだ。

ケヴィン・スペイシーが惚れ込み実現した企画
この脚本は実に不安定な素材を扱っており、手を出す勇気あるプロダクションを見つけるのは容易ではなかった。しかし、ホーグが描き出そうとするテーマに激しく賛同したケヴィン・スペイシーは、自分の製作会社トリガー・ストリート・プロダクションでの製作を即決。「今のアメリカで頻発している事件の要素を新鮮な視点で捉えている。実際に事件を起こしているのは我々の子供たちだ。普通ならそれを闇に葬り、隠してしまうが、この物語は真っ向から問い掛けてくる。なぜ、こういうことが起こるのか? しかもホーグは安易な答えを導き出してはいない。むしろ現実的なキャラクターを通して、非常に複雑でリアリティ溢れる物語に仕上げた。我々はリーランドと教師だけでなく、リーランドの人生が影響を及ぼすすべての人を追いかけていくことになる」と、持ち前の情熱で映画化に力を注ぎ込み、製作だけでなく自ら出演も果たしている。

映画に深みを増すキャスト・スタッフのアンサンブル
主人公である少年リーランドには、『タイタンズを忘れない』でその頭角を現わし、『完全犯罪クラブ』で若手演技派の地位を確立したライアン・ゴズリング。16歳の微妙な心の様を見事に演じている。リーランドの心を次第に開いていく少年院の教師には『トラフィック』『オーシャンズ11』の名優ドン・チードル。リーランドと何年も会っていない冷酷な有名作家の父親を『アメリカン・ビューティー』でアカデミー賞主演男優賞他数々の賞を受賞、演技派俳優の頂点を極めたケヴィン・スペイシーが演じる。殺されたライアンの姉であり、リーランドの恋人ベッキー役は『海辺の家』『コールド・マウンテン』のジェナ・マローン。ベッキーの姉ジュリーには『私は「うつ依存症」の女』のミシェル・ウィリアムズ。ジュリーの婚約者アレンを『アメリカン・パイ』『ローラーボール』のクリス・クライン、リーランドの母親には『ショコラ』でアカデミー賞助演女優賞候補となったレナ・オリン。殺されたライアンの父親に『インソムニア』のマーティン・ドノヴァンが扮し、またとない豪華キャストが渾身の演技で魅せる。
また、スタッフも一級の実力が結集。プロダクション・デザインは『ゴーストワールド』『モンスター』のエドワード・T・マカヴォイ、撮影には『アバウト・シュミット』等アレクサンダー・ペイン作品で知られるジェームズ・グレンがあたり、危うさと緊張感に満ちた独特の空気感を映し出す。
そして美しくも哀しいスコアを提供したのは米インディース音楽界の伝説的バンド、サニーデイ・リアル・エステイトのジェレミー・エニック。監督の強い要望に心打たれたエニックは、たった2週間でこの映画のための強く哀しいサウンドを作り上げた。
また、92年に解散した伝説のロック・バンド、ピクシーズが提供した挿入曲も、リーランドが織りなすドラマとともに我々の心に深く刻み込まれていく。

ストーリー



「その日の事は憶えていない。嘘じゃなく、本当に憶えていないんだ・・・・・・」
平凡な16歳の少年リーランド(ライアン・ゴズリング)はある日突然、障害者のライアンを刺し殺してしまう。ライアンはリーランドの恋人、ベッキー(ジェナ・マローン)の弟だった。

  「ぼくは罪を犯したかもしれない」

逮捕されたリーランドは、矯正施設に入れられる。事件を起こした理由について何も語ろうとしないリーランド。「みんなが何を求めているかわかってる。彼らが求めているのは”理由だ”。でも物事に明確な理由なんてない。ただ”事”が起きただけ」と。
しかし、教官パール(ドン・チードル)と出会い、少しづつ心のうちを語り始める。パールは、この繊細で賢い少年が理由もなく殺人を犯したとはとても思えなかった。売れない作家でもあるパールは複雑かつ不可解な少年の心を解き明かすことが本の題材になるのではないかと考え、リーランドに近付く。

なぜ、リーランドは、仲の良かった恋人の弟を殺したのか?

施設の規則を破って、パールはリーランドと教室外でのカウンセリングを始める。しかし、話を聞けば聞くほど、そう簡単に説明できないことに気付く。その背景には様々な出来事が複雑に絡み合っていた。祖母の死、ベッキーとのすれ違い、そして別れ、長く会っていない父アルバート(ケヴィン・スペイシー)への憧れと憎しみ、ライアンの純粋さへの愛・・・・・・。世界を満たしている「哀しみ」にどう対処していいのかわからず、心を固く閉ざした少年の姿がそこにあった。

 「父に毎年会いに行ってるというのは嘘なんだ。もう10年も会ってない」

有名作家であるアルバートは、知らせを聞き、街に戻ってくる。父親に話を聞けば何か分かるかもしれないと考えたパールは、憧れの存在でもある彼に会いに行く。しかしリーランドと長く疎遠にしていたアルバートはまったく息子を理解していなかった。そして、リーランドを本の題材にしようとしてることを勘付かれ、パールは冷たくあしらわれる。

「彼女のことは恨んでない。本当だ。今でも彼女のことを愛してる」

哀しみに明け暮れるベッキーの家族は、それぞれが心のバランスを崩しつつあった。怒りに震える父、ショックから立ち直れない母、そして妹への憎しみを隠しきれない姉。一度は麻薬を断ち切ったはずのベッキーも、リーランドと別れる原因になったドラッグディーラーの元彼の家を訪ね、再びドラッグに溺れてゆく。家族を失った自分を救ってくれたポラード一家が崩壊していくのを目の当たりにした姉の婚約者アレン(クリス・クライン)は、この理不尽な事件を消化出来ず、リーランドに激しい憎悪を燃やす。
 徐々に本心を語り始めるリーランド。同時に、リーランドが逆にパールに質問しはじめる。なぜ自分でも悪いと分かっていることをするのか? 自分の罪を追求されることに初めは怒りを覚えるパールだったが、本当はそれらに対して正当な理由を見つけられず、焦っていた。恋人への裏切り、施設の規則破り、そしてリーランドを自分の作家生命のために利用しようとしていること。誰もが日々罪を犯しているのだ。それらはリーランドの罪とどう違うのか?
実は自分の息子を本の題材にしようと考えていたアルバートはパールに先を越されることを恐れ、彼が規則を破っていると施設にタレ込みをする。担当を外されたパールはその事実を知り、アルバートへの怒りと同時にリーランドへの愛情を感じる。そして、リーランドに語りかける。人生を諦めてはいけない。罪を犯したことは取り消せないが、大切なのは今後どう生きるかだ。そんなパールの愛情に触れ、リーランドは”The United States Of Leland(リーランドの合衆国)”と題された、自分の本心を綴ったノートを手渡す。

「きっとあなたなら、このノートを読めば真実がわかるはず」と。

ノートを受け取ったパールは誰も知ることがなかったリーランドの哀しみの深さを知る。そして誰にも予想ができない第二の悲劇の予感が、現実のものとなり始めていた??。

スタッフ

監督・脚本:マシュー・ライアン・ホーグ
製作:ケヴィン・スペイシー、バーニー・モリス、
   パーマー・ウェスト、ジョナ・スミス
音楽・ジェレミー・エニック
挿入曲:ピクシーズ

キャスト

ドン・チードル
ライアン・ゴズリング
クリス・クライン
ジェナ・マローン
レナ・オリン
ケヴィン・スペイシー
ミシェル・ウィリアムズ

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