原題:The Bourne Supremacy

ミッションはまだ終わらない

2004年7月23日全米初公開

2004年/アメリカ/カラー/108分/ 配給:UIP映画

2010年11月26日よりDVDリリース 2007年09月13日よりDVDリリース 2005年06月24日よりビデオリリース 2005年06月24日よりDVDリリース 2005年2月11日、日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

公開初日 2005/02/11

配給会社名 0081

解説


記憶を喪失したCIAのトップ・エージェント、ジェイソン・ボーン。連絡を断ったことからCIAに命を狙われる身となったボーンは、体で覚えていた戦闘術と抜群の知力、そして持って生まれた第六感を駆使して追っ手をかわし、自分の正体を突き止めていく。
2002年に公開された『ボーン・アイデンティティー』は、繊細な役柄に長けたマット・デイモンが、忌まわしい過去との決別を願うジェイソン・ボーンという人間味あふれた新しいヒーローを鮮やかに体現。さらに、混迷する21世紀の国際情勢を鋭く見据えた予測不能の物語は、従来のスパイ映画になかったリアルで息詰まるスリルとサスペンスを生み出し、世界中で大ヒットを記録した。
しかし、2004年の夏、その『ボーン・アイデンティティー』の衝撃を遥かに凌ぐ続編『ボーン・スプレマシー』が誕生した。7月23日に全米公開されるや、初日3日間で前作の約2倍という5,252万ドルを超える興行収入を上げ、初登場第1位を獲得。その後も観客を動員しつづけ、1億7000万ドルを超える全米サマーシーズン後半のナンバー1メガヒットを記録したのだ。
前作のラストで、ジェイソン・ボーンは過去を捨て、行動をともにする中で愛を育んだマリーとともに新たな人生を踏み出した。だが、2年たっても記憶が完全には戻らないボーンを“過去”が闘いの場に引き戻すのだ。
ベルリンでCIAを震憾させる事件が起きる。ある日、CIA内部で不正を働いた者のリストの売り込みがあった。情報屋との取引現場を、何者かが襲撃。交渉にあたったエージェントと情報屋は殺され、莫大な金も奪われてしまった。犯人の唯一の手掛かりは、不発だった爆弾に残っていたひとつの指紋。それは、ジェイソン・ボーンのものだった。
そのころ、インドのゴアでひっそりと暮らしていたボーンは殺し屋に襲われ、マリーが犠牲になってしまう。からくも窮地を脱したボーンは、CIAの仕業と考え、立ち上がる。
前作と続編の最大の違いは、前作では“追われる身”だったボーンが“追う者”に変わったこと。今度のボーンは、CIAをおびき出し、常に巧みに先手をとって真相に迫っていく。まさに、至高(スプレマシー)のボーンの活躍がスクリーン狭しと繰り広げられる。
そればかりではない。ボーンは殺されたマリーの復讐のためだけに戦うわけではない。過去に自分が手を下した暗殺の断片と思われる悪夢に悩まされていたボーンには、その真実を探るという目的もあった。CIAと対峙しながら、自分が過去に犯した過ちを暴いていくボーンの心は揺れ動く。そして、ついに真相にたどりついたとき、ボーンは思いもよらない行動に出る。その姿は、復讐の連鎖でテロが続発する現代社会への熱きメッセージとして見る者に深い感動をもたらすのだ。
もちろん、巧妙に仕掛けられた謎解きのサスペンスと、畳み掛けるスタイリッシュなアクションも前作以上の素晴らしさ。
今回、最初から自分がCIAトップ・エージェントだったことを知るボーンには、逃げながら本能に従って闘った前作の戸惑いはない。自信に満ちた姿で、能力のすべてを駆使して積極的に闘いに挑む。
前作以上にハードなトレーニングを積み、さらにたくましくなったマット・デイモンの姿は、男も痺れるカッコよさ。さらに、前作同様、ボーンは、エージェントの証しである銃を最後の手段として封印し、人を殺すことなく闘う。身体能力に優れているとはいえ、高所から飛び降りれば足を痛め、傷で鈍った動きを知力でカバーする等身大のヒーローとして深い共感を呼ぶのだ。
前作のダグ・リーマン監督は、今回は製作総指揮を担当。新たな監督は、イギリス領の北アイルランドで72年に起きた「血の日曜日事件」をダイナミックに再現した『ブラディ・サンデー』で02年ベルリン国際映画祭金熊賞を獲得したポール・グリーングラス。前作の持ち味だった現実味のあるサスペンスとアクション描写を、よりパワー・アップさせた。
原作は、ロバート・ラドラムが著したジェイソン・ボーン3部作の2作目「殺戮のオデッセイ』。しかし、再び脚本を担当したトニー・ギルロイは、前作同様、冷戦時代を舞台にした原作を現代的に大胆にアレンジしている。
そのほか、撮影監督のオリーバー・ウッド、音楽のジョン・パウエルも前作に引き続いて参加。新たに加わったスタッフには、プロダクション・デザイナーに『バッド・ボーイズ2バッド』のドミニク・ワトキンス。編集に『ペイチェック/消された記憶』のクリストファー・ロウズと『ランダウン/ロッキング・ザ・アマゾン』のリチャード・ピアーソン。衣装デザイナーに『ブラディ・サンデー』のディナ・コリンを擁し、前作のテイストを守りつつ新しさを醸し出している。
キャストも、前作からのメンバーと、新規の顔触れが絶妙のコラボレーションを見せ、味わい深い。再登場組では、まず、生まれ変わろうとするボーンの心の支えとなるマリー役のフランカ・ポテンテ。ジェイソン・ボーンをトップ・エージェントに育て、前作で命を落としたコンクリンを印象深く演じたクリス・クーパーもボーンが見る悪夢の中で顔を出す。そのコンクリンの上司だったCIAの幹部ウォード・アボット役のブライアン・コックスが、今度は事件の鍵を握る重要な役どころで渋い演技を見せている。また、コンクリンの部下だったニッキー役でジュリア・スタイルズが再び出演。ボーンの能力と願いを知る唯一のCIA職員として、前作と続編をつなぐ重要な役を演じている。
新たに加わったキャストでは、ボーンを狙う殺し屋キリル役で、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作に出演したカール・アーバンが登場。ローハンの戦士エオメルというヒーロー役から一転、寡黙で冷酷なキリルを得体の知れない怖さで抜群の存在感を示している。
また、チームを率いてボーンを追うCIAの優秀な女性諜報員パメラ・ランディを、『二クソン』、『クルーシブル』、『ザ・コンテンダー』で3度アカデミー賞候補になったジョアン・アレンが理知的に好演。ボーンとのスリリングな駆け引きでサスペンスを盛り上げている。
前作同様、真相を追うボーンが国境を超えて旅するおもしろさも、よりパワーアップされている。インドのリゾート地ゴア。イタリアのナポリ。古さと新しさが混在し、冷戦時代の記憶も生々しく残すドイツのベルリン、そしてクライマックスの地、モスクワ……。物語の進展とともに舞台が変わり、異国情緒あふれる各地の美しい映像が、ボーンの心の旅と見事にリンクし、心に染みる。
『ボーン・スプレマシー』は、ニューヒーロー“ジェイソン・ボーン”シリーズを確固たるものとした優れた続編であるばかりでなく、独立した作品としてもスタイリッシュで心を揺さぶるスパイ・アクションの傑作なのだ。

ストーリー



記憶を喪失した男、ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)。以前の事件で彼は自分がどんな男であったかを知る一感情の一片すらはいりこませずに冷徹に任務を遂行するエージェントを生み出す極秘プロジェクト“トレッドストーン”が生み出した最高傑作。殺しの指令にも疑いをさしはまずに、確実に成果を生み出す男、それがジェイソン・ボーンだった。自らの真実にたどり着いたボーンは、トレッドストーン計画の提唱者のコンクリン(クリス・クーパー)に、「俺は死んだ。俺を追うな。追ったら殺す」と宣告し、過去を捨てる決意をした。真実への道程を共にしたマリー(フランカ・ポテンテ)と人間らしい新しい生活を始めるために一

あれから2年。ボーンとマリーは、インドのゴアで人目を避けて暮らしていた。しかし、ボーンの記憶は完全には戻らず、毎夜のように過去の悪夢にうなされている。繰り返し夢に見る記憶の断片は、コンクリンに「これは訓練ではない」と言い聞かされている自分の姿や、ホテルの部屋で立ち尽くす一組の男女の姿だった。彼らもまた自分の犠牲者なのだろうか?苦悩するボーンを慰めるマリーだが、その言葉はボーンの心の奥底まで癒すことはできない。
そのころベルリンでは、CIAの女性諜報員パメラ・ランディ(ジョアン・アレン)率いるチームが、組織内の不祥事の調査に当たっていた。在野の情報屋がCIA内部での公金横領に関する資料を入手したというのだ。パメラはこの資料を得るために取引に応じる。しかし、厳重な警戒にもかかわらず、何者かが取引現場を襲撃、交渉役のCIAのエージェントと情報屋は殺され、現金と共に資料も奪われてしまう。犯人の手がかりは不発だった爆弾に残された指紋だけだった。しかし、CIAのデータベースに指紋照合をすると、「トレッドストーン計画。アクセス拒否」という見たこともない表示が現れる。自分にはアクセスが許されない最高機密一パメラはCIA本部へと飛んだ。
再びインド、ゴア。ボーンは町で危険な匂いを漂わせる一人の男に気づく。ボーンの本能が警鐘を鳴らす。同じプロの暗殺者、ターゲットは自分。正体を問う間もなく、灼熱と喧騒の街を背景にしてのカーチェイスが始まる。獲物にあくなき執着を見せる猛禽のようなその男、キリル(カール・アーバン)は、車では現地に精通しているボーンたちに利があるとみてとると、ライフルでボーンとマリーの乗るジープに狙いを定める。そしてジープが橋の上にさしかかったとき、キリルの銃弾が運転するマリーの胸を射抜く。ジープごと川に転落したボーンは、必死にマリーを救おうとするが、すでに彼女は息絶えていた。キリルの目を逃れ、ボーンはひとり沈みゆくジープから脱出し、姿を消すのだった。
新たな人生をマリーと共に生きると決意していたボーンにとって、マリーの死は記憶を喪失してからの時間を振り出しに戻すことを意味していた。フラッシュバックする記憶の断片を確かめること。それが今のボーンにとって為すべきことだった。
そのころ、CIAではパメラが指紋の主をつきとめていた。それは、トレッドストーン計画の最中の事故で死亡したことになっているジェイソン・ボーンという男のものだった。この謎を突き止めるべく、パメラは、2年前に閉鎖されたトレッドストーンの責任者アボット(ブライアン・コックス)を問いただし、ひとつの仮説を導きだす。
それは、トレッドストーン計画が極秘裏に始まっていた7年前に、CIAの2000万ドルが送金途中に消えた事件に関わるものだった。ロシアの政治家ネスキーによる当時の証言によれば、犯人はCIAのスパイだということだった。だが、その直後にベルリンでネスキーは妻に射殺され、妻も自殺。事件は迷宮へと迷い込んだ。しかし、今回殺された情報屋が売り込んでいたのは、まさにこの事件に関する資料で、この情報屋を殺したのが死んでいるはずのジェイソン・ボーンだとすれば、大金を奪ったボーンが、事実の発覚を恐れ、情報屋を始末したということになる。しかし、パメラは知らない。情報屋が殺された時、ボーンがゴアにいたことを。
そして、ボーンもあずかり知らない事件の犯人としてCIAに追われていることに全く気づいていなかった。ナポリでヨーロッパに再び足を踏み入れたボーンを待っていたのはCIAの包囲網だった。やすやすと網にかかったかに見えたボーンだったが、尋問する調査官たちを瞬時に倒し、携帯電話のデータを奪い逃亡に成功する。そして、自分が先週のベルリンの事件の犯人と目されていることと、追っているのがパメラであることを電話の傍受で知るのだった。過去を追うよりも、今は解決すべき問題が現実にある。ボーンはベルリンヘと車を走らせる。
一方、パメラは、アボットに加え、かつてトレッドストーンに関わっていたニッキー(ジュリア・スタイルズ)も呼び寄せてベルリンヘ戻った。ホテルの一室に構えた司令室でボーンの足取りを分析するパメラ。その様子を近くのビルの屋上から双眼鏡で見ている男がいた。
ボーンだ。ボーンはおもむろにパメラに電話をかける。
「なぜ俺を追う?」「忘れたの?あなたはベルリンで2人を殺した」
ベルリン、2人、殺人……その瞬間、ボーンの心に浮かんだのは何度もフラッシュバックする男女の姿、そして銃声だった。記憶を失くしたボーンの中で、過去と現在の事件が交錯し、そして彼は知る。何者かが自分をスケープゴートにしようとしていることを。そして、CIAとベルリンの警察がボーンを捕らえるべく一斉に動き出す。ボーンのような犠牲者を産み出しただけでは飽き足らず、トレッドストーン計画は、人間の醜悪な欲を刺激し、大金が闇へと消えた。その謎と被せられた濡れ衣をはらうべく、ボ一ンは反撃を開始する。
そしてまた、さらに遠く離れたモスクワの地で、ボーンが生きていたことを知り、その抹殺に牙を研いでいる者がいた。マリーを屠ったキリルだ……。

スタッフ

監督:ポール・グリーングラス
原作:ロバート・ラドラム
脚色:トニー・ギルロイ
製作:フランク・マーシャル
製作総指揮:ダグ・リーマン
音楽:ジョン・パウエル

キャスト

マット・デイモン
フランカ・ポテンテ
ブライアン・コックス
ジュリア・スタイルズ
カール・アーバン
ジョアン・アレン

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す