比類なき鬼才 松尾スズキかつ監督映画。 かつてない怒涛の純愛物語。

2004年/日本/114分/ビスタサイズ/ドルビーSR 配給:アスミック・エース

2005年04月08日よりビデオリリース 2004年10月9日(土)より、 シネマライズ、シネ・リーブル池袋にてロードショー 2005年04月08日よりDVDリリース

公開初日 2004/10/09

配給会社名 0007

解説


日本工ンタテインメント界のトップランナー!松尾スズキが、ついに長編映画を初監督した。
斬新な笑い、現在性のある台詞、予見性のあるテーマ、ビザールな登場人物、ヘヴィな物語、そしてエロス。
松尾スズキが作・演出を手がける「大人計画」の公演チケットは、90年代後半から即日完売する人気が続いている。しかも、『ピンポン』(02)、『木更津キャッツアイ日本シリーズ』(03)の脚本などで活躍する宮藤官九郎をはじめ、人気俳優の阿部サダヲ、荒川良々らも輩出した。
日本の演劇界をリードするだけに止まらず、松尾自身も俳優として映画やTVドラマに多数出演。小説家、エッセイストとしてその著書は30冊に迫り、雑誌連載は6本を超える勢いである。

日本のポップカルチャーを牽引するクリエイターと呼んでも過言ではない松尾スズキが、満を持して初の長編映画の監督に挑んだ。
原作は、ゲイジュツボーイとコスプレガールの純愛を描き、熱狂的な読者を持つ純文学コミック!
石で漫画を描く、ゆえに貧乏な自称「漫画芸術家」の青年、蒼木門。親の庇護の下、OLをしながら、オタク系ミニコミ界のアイドル漫画家兼コスプレーヤーとしてアイデンティティを保つ証恋乃。「漫画」という共通の目的を持ちながらも、「芸術」と「オタク」−真逆の感性を持った若い男女は猛烈に惹かれ合いながらも、強烈に反発する。二人に襲いかかる不幸や貧乏を経て、恋乃と門はついに“恋の門”を開く。
原作は99年に雑誌連載がスタートし、00年から単行本化された羽生生純の「恋の門」である。「本屋で偶然見つけて良かった。俺の漫画ランキング第1位!!」(ユースケ・サンタマリア)、「コスプレ女とゲイジュツ男、自意識過剰なふたりが贈るプー世代の『愛と誠』」(明和電機・土佐信道)など、あらゆる漫画読みが絶賛。新聞・雑誌に多数の好意的な書評が掲載され、今なお漫画書店や大型書店では全5巻が平積みされている。

ポップな演出に、日本恋愛映画史上最速のストーリー展開!松尾監督が観客を驚かす。
あくまで明るく!!あくまでディープに!!−これは松尾監督が書いたシナリオの!ぺージ目に印刷されたマニュフェストだ。原作は後半ヘヴィな展開となるが、映画では人間の悲喜劇をディープに描きながらも、ポップな演出で観客を驚かせてくれる。リアルな世界観の中に、いきなりシュールなシーンが乱入する。「大人計画」ファンならおなじみの松尾ワールドが、映画というメディアでも楽しめるのだ。それでいて、決して舞台では味わえない映画ならではの表現が活かされている。また、門役を『青い春』(02)、『恋愛寫眞』(03)、『昭和歌謡大全集』(03)と話題作に連続主演した松田龍平が、恋乃役をTVドラマ「木更津キャッツアイ」(02)、「マンハッタンラブストリー」(03)「ホームドラマ」(04)、「ああ探偵事務所」(04)などで好評を博した酒井若菜が演じたことで、明るさが増量。今最も注目を集める若手俳優の競演が眩しい。全5巻分の面白いエピソードの大半を生かし、松尾オリジナルのアイディ
アも足す。それで上映時間が1時間54分。そう。日本の恋愛映画史上最速のストーリー展開となっているのも見所だ。
なお、松尾スズキ自ら演じる、原作では脇役だった漫画バー<ペン>のマスターで元・売れっ子漫画家、毬藻田のキャラクターが膨らんだことで、映画のクライマックスは門、恋乃、毬藻田の3人が恋と未来を賭けたマンガバトルヘ雪崩れ込む。
『恋の門』は青春映画であると同時に、大人も楽しめる恋愛映画の器を持つことになった。

松尾人脈を惜しげもなく圧縮陳列した豪華なキャスト、スタッフ、サントラ。
小島聖、塚本晋也、尾美としのり、小日向文世、大竹まこと、平泉成、大竹しのぶが脇を固め、田辺誠一、片桐はいり、市川染五郎がカメオ出演する。
その他・演劇界・漫画界、コスプレ界…の人気者たちが全面協力。エンドロールの1行1行に各界の宝あり。
撮影は『きょうのできごと』(04)の福本淳、美術は『ホテルビーナス』(04)の都築雄二、照明は『ロックンロールミシン』(02)の市川徳充、録音は
『リリィ・シュシュのすべて』(01)の滝澤修、編集は『ピンポン』(02)の上野聡一、衣裳は『殺し屋1』(01)の北村道子と、名うてのスタッフが結集した。
ミュージカル仕様の「恋の門」の歌は忌野清志郎が歌い、劇中アニメ「不可思議実験体ギバレンガ5」の演出とメカニック・デザインは庵野秀明が担当し、テーマソングはアニメソング界の帝王・影山ヒロノブが叫ぶ。映画の主題歌「月に咲く花のようになるの」を書き下ろし、歌い、演奏したのは、松尾スズキがブレイク前から激賞していたサンボマスター!今年の夏はFUJIROCK FESTIVALをはじめ、ビッグなイベントヘの出演が次々と決定。“渾身のソウル”と名付けたいこの歌は、すでに映画公開前から話題となっている。
次回作のために貯金せず。松尾人脈の大放出が、映画の『恋の門』の隅々まで豊かにしている。

ストーリー



蒼木門(松田龍平)は、石で漫画を描く自称「漫画芸術家」である。当然、食えない。おまけに、ハタチを過ぎても童貞だった。
ある日の朝、初めてのバイト先へ行く途中、道路にハート型のイイ石を見つけた門は拾おうとするなり、出勤に急ぐOLのヒールに指をひどく踏まれてしまう。ケガの治療をしていて初日から「ウレシー商会」に遅刻した門は、幹部(尾美としのり)から罵倒される。ところが、その会社で朝のOLと再会。彼女の名前は証恋乃(酒井若菜)と言った。夜の宴会で嫌味なメガネ社員(村杉蝉之介)にからまれ、殴りかかり、逆にボコボコにされてしまう。帰り道、恋乃が自分のマンションで飲みなおすことを提案し、二人は部屋で激しいキスをかわす。門、ついに童貞喪失か?
翌朝、目が覚めたら門は全身ヘンな格好をさせられていた。実は恋乃はコスプレーヤーで、剣術格闘ゲーム「ソウルキャリバー」の熱狂的なファン。衣裳を手作りし、自らは「シャンファ」に扮し、「ホン・ユンスン」が似合うボーイフレンドを求めて、少なからず男性遍歴を重ねていたのだ。しかも、恋乃は「ノイコ」名義でこれまでに漫画の同人誌を17冊自費出版し、コミケと通販で売り,これまでに1千万円くらいの黒字を出した、と豪語するではないか。同じ漫画家としてショックを受けた門は、「ホン・ユンスン」のコスプレをしたまま走って逃げる。大人なのに。

門の父(大竹まこと)は地方の日本画家で、日本芸術院賞を獲るほどの名士で
あった。そんな父に反発した門は、「2年で漫画家として有名になる」と宣言して、家出してきたのだ。恋乃は「ホン・ユンスン」の衣装を返してもらい、門が大切にしていた石を返すために、門が置いていった荷物の中にあった葉書を頼りに、アパートを訪ねる。そこは浴衣の男(忌野清志郎)、イラン人、シュミーズの女、オカマといった不思議な人々が住むレトロなアパートで、門の部屋は石だらけであった。
門は自分が石で描いた漫画の批評を恋乃へ求める。分からないなりに必死に応えようとする恋乃。その姿に門は欲情し、恋乃を抱こうとするが、恋乃からあの夜は途中で大好きなアニメ「不可思議実験体ギバレンガー」が始まったために、二人は結ばれなかったことを打ち明けられる。そして、アニメソング界の人気者・安部セイキ(皆川猿時)様のファンの集いの一泊ツアーに参加して、「あたしのことをもっと知って欲しい」と誘われる。

門的には一発ツアーの費用2万8千円也を捻出するために、漫画バー<ペン>に入る。ウインドウに魅力的な石が飾ってあり、バイト募集の貼り紙もあったからだ。バーの本棚は漫画本でびっしり、壁には漫画の原画が作者の言い値で展示されていた。速攻でアパートヘ帰り、作品を持ってきた門は、マスターの毬藻田(松尾スズキ)から厳しい批評を受ける。「おまえ、恋人はいるか。その女を愛しているなら、今すぐこんな馬鹿げたものを作るのはやめて、まともな職を探せ」と。しかし、門は「俺は恋人も漫画もあきらめない」と見得を切り、その日、二度目の逃亡をする。<ペン>の常連でアーティストの園決理(小島聖)が、門を自転車で追いかけてきて、「明日から働きに来るように」とマスターからの伝言を言い、いきなり脳が爆発するようなキスをして去っていく。毬藻田は、かつて少年誌で売れっ子の漫画家であった。

門がアパートヘ戻ると、「来週、有明ビッグサイトのコミケに出店します」と、恋乃から手紙が来ていた。門がコミケヘ行くと、恋乃は「ノイコ」の信者である佐良岸美(江本純子)から暴言を吐かれ、泣いていた。そこへ娘を溺愛する恋乃のパパ(平泉成)とママ(大竹しのぶ)が現れる。「イデオン」の「コスモ」と「キッチン」に扮した二人は、コミケ歴20年のベテラン・コスプレーヤーであった。
何とかお金を工面した門は、「セイキドキドキ!あわび狩りツアー」で伊香保温泉へ着く。セイキと恋乃をはじめとするコスプレーヤーたちのハイ・テンションに付いていけない門は酔い潰れる。夜中に起きると、恋乃がこたつで漫画を描いていた。門は「花びらをさ、こうすると立体感が出る」とアドヴァイスする。恋乃は普通の漫画も描ける門に驚く。いい雰囲気になったものの、門は酔いが回って、恋乃の顔に吐いてしまう。
翌朝、こたつの上には「旅に出ます」と、門の書き置きがあった。

放浪中の門は、無銭飲食で場末の飲み屋の店主(小日向文世)からSMの館らしき倉庫に拉致される。ポケットに園の名刺を見つけ、電話をかけ、お金を払ってもらう。園は代わりに門の体を要求する。園の部屋で竜貞喪失した門は、息子のキンゴ(高橋征也)から母親が1年ほどアムステルダムヘ行くことを知らされ、キンゴの面倒を見るはめになる。
恋乃は門の行方を捜すために、<ペン>を訪ねる。そこで毬藻田がギャグ漫画「まいどのプッツン」で一世を風靡した憧れのデン・マリモであることを知る。意外なことに、毬藻田もノイコの同人誌を持っていた。二人はいい雰囲気になるが、園にそっくりな妹と名乗るメジナ(小島聖)に中断される。<ペン>からさほど遠くない路上で石の漫画を売る門とキンゴを、恋乃は見つける。逃げる門。ビルの屋上まで門を追い詰めた恋乃に、門は旅先で作った、二人の出会いのきっかけであるハート型の石を半分にカットしたペンダントをプレゼントする。恋乃は「一緒に住もう」と提案する。門の部屋で二人が結ばれそうになった刹那、ラブコメの王道よろしく邪魔が入る。門の実家からの電話であった。

実家へ帰ると、門の父は突然倒れ右半身不随となっていた。それにも関わらず、左手でめちゃくちゃな画を描いている父。感動する門。焼き場で父の骨を拾っていた門に、忘れていた子供時代の想い出が蘇る。「この石は本当はうんと小さな粒子でできているんだ。そしてその同じ粒でおまえたちもできている」と、少年の門に優しく話す若き日の父。門の石へのこだわりは、父から授かったものだったのだ。

二人は、恋乃のマンションでやっと結ばれた。しかし、翌日、恋乃は衝撃的な事実を一つ残して全部告白する。「パパの会社が危なくて、資産運用で買っていた私のマンションを出なくてはいけない」、「会社も、昨日、クビになった」、「ノイコの同人誌で売れたのは、最初の1冊だけ」、「借金を返そうと思って、退職金をはたいて始めたネット商法の霊元の水がインチキだった」恋乃は門のアパートヘ引越し、半分石/半分恋乃の漫画本で埋まった部屋で暮らし始める。毬藻田は、<ペン>の常連で当時の担当編集者の野呂(塚本晋也)から、『少年チョップ』の新人賞に応募しないか、と持ちかけられた。優勝金200万は、審査員でもある野呂と毬藻田で山分けする。毬藻田は、金目当てでなく、妻が去ったあとに初めて現れたミューズのために漫画家として再起したいと参加を決意する。あおられた門も「ちゃんと紙に描く!」とレースに加わる。同席していたメジナが「どっちかが入選したら、落ちたほうが絶対服従って賭けはどう?」と邪悪な提案をする。毬藻田は「俺が勝ったら恋乃さんをもらう」と言った。門の部屋で報告を聞いた恋乃は「人身売買」だと怒る。そして、「あたしも描く。あたしが勝てば、問題ない。そしたら、門くんは一生コスプレ!」と宣言する。締め切りは1週間後。門、恋乃、毬藻田の、恋と未来を賭けたマンガバトルが始まった。

スタッフ

監督・脚本:松尾スズキ(第一回監督作品)
原作:羽生生純(エンターブレイン刊)
プロデューサー: 小川真司、甘木モリオ、長坂まき子
美術:都築雄二
撮影:福本淳
ラインプロデューサー:鶴賀谷公彦
編集:上野聡一
録音:滝澤修
照明:市川徳充
音楽:葉山たけし
VFXスーパーバイザー:石井教雄
衣装:北村道子
『不可思議実験体ギバレンガー』演出&メカニックデザイン:庵野秀明
音楽監督:二見裕志
音楽プロデューサー:安井輝
振付:康本雅子
作画(証恋乃の漫画):刹奈
『不可思議実験体ギバレンガー』主題歌:影山ヒロノブ
製作:『恋の門』製作委員会
制作:アスミック・エース エンタテインメント、シネバザール

キャスト

蒼木門:松田龍平
証恋乃:酒井若菜
毬藻田:松尾スズキ

浴衣:忌野清志郎
園決理/メジナ:小島聖
野呂:塚本晋也
居酒屋の親父:小日向文世
パパ(証圭一郎):平泉成
ママ(証泰子):大竹しのぶ
門の父:大竹まこと
門の母:筒井真理子
「ウレシー商会」幹部:尾美としのり
登山者1:田辺誠一
登山者2:片桐はいり
本屋の店員:市川染五郎
友達社員:平岩紙
メガネ社員:村杉蝉之介
阿部セイキ:皆川猿時
オカマ:花井京乃助
アボルガッセム:ユセフ・ロットフィ
佐良岸美:江本純子
高校生・女:三輪ひとみ
キンゴ:高橋征也
イメクラ客1:枡野浩一(金紙)
  〃  2:河井克夫(銀紙)
割烹着の女:小森未来
イメクラ店長:三池崇史
旅館の女将:安野モヨコ
コミケ会場の人:しりあがり寿、内田春菊、山本直樹、ジョージ朝倉

  

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