原題:SPUN

ガラクタでも、輝いていた3日間

2003年3月14日全米初公開

2002年/アメリカ・スウェーデン/カラー/85ビスタ/102分/ 配給:東芝エンタテインメント

2004年12月24日よりビデオレンタル開始 2004年12月24日よりDVD発売開始 2004年6月19日よりシブヤ・シネマ・ソサエティにてロードショー

公開初日 2004/06/19

配給会社名 0008

解説


スピン(spin)、スパン(spun)、スパン(spun)。流し流され、くるくると目が回るような不眠不休の3日間に翻弄される、優柔不断な巻き込まれ型主人公の、巻き込まれ青春ロードムービーの登場だ。リアルなストリート描写、笑えるアンダーグラウンド・カルチャー、皮肉の利いたストーリーライン、最先端のエッジな編集、今のオフビートなファッションなど、様々な要素がてんこ盛りになった本作は、新人脚本家の実話に基づく物語。

<グラミー賞&MTVビデオ・ミュージック・アワード受賞
PV界の巨匠、ジョナス・アカーランドの鮮烈な監督デヴュー作!>
監督に名乗りを上げたのが、MTVミュージックアワード5部門を独占したマドンナの「レイ・オブ・ライト」ほか、プロディジーの「スマック・マイ・ビッチ・アップ」、クリスティーナ・アギレラ「ビューティフル」、スマッシング・パンプキンズの「トライ、トライ、トライ」など様々なジャンルのアーティストとコラボレートし、先鋭的なミュージック・クリップの監督としてミュージシャンから絶大な信頼を集めるスウェーデン出身のジョナス・アカーランド。そんな彼が初めての長編劇場映画の監督作に選んだのが、『バッファロー’66』『ヴァージン・スーサイズ』『ブリー』といったインディペンデント・シネマの力作を生み出してきたプロデューサーらが後押ししたこの脚本。低予算ながらも刺激的で強烈な映像のセンスで勝負という意気込みがひしひしと伝わる、荒削りだが確実に”イマ”のカルチャーを捉えた映画に仕上がった。

<音楽は元スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガン>
アカーランド監督がPVを担当したことで生まれた信頼関係から、いち早くプロジェクトに参加を表明し音楽を担当しているのは、数多くの信者を持つ元スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガン。アメリカン・ロックの名曲と共に、哀愁ただようオリジナル曲を提供、ビリーならではの愛や無力感を感じさせる曲が、登場人物たちの強烈なキャラクターをも浮かびあがらせる。そしてなんと自ら出演までしてしまうという入れ込みようだ。

<次世代を担う若手スターから実力派の個性俳優までそろった豪華キャストと、才能あふれる各国のクルーたち>
本作品で新境地を開拓したと評判のミッキー・ロークを強くサポートしたことから、今ノリに乗っている旬の役者たちが次々と名乗りを上げた。ダメダメな主人公ロスにはフランシス・フォード・コッポラの甥(もちろんソフィア、ローマンとはいとこの関係)にして、『天才マックスの世界』『CQ』に俳優として出演。さらに人気上昇中のバンド、ファントム・プラネットのドラマーとして活躍していたジェイソン・シュワルツマン。その他、一番に手をあげた『ロミオ&ジュリエット』『ムーラン・ルージュ』のジョン・レグイザモ、『8Miles』『ジャスト・マリッジ』で若手注目度№1女優となったブリタニー・マーフィー、『アメリカン・ビューティー』を初め、永遠のスイートハートから娼婦役まで演じ分けてきたミーナ・スヴァリ、『あの頃ペニー・レインと』で切ない演技を見せたパトリック・フュジットらが堂々たる演技を見せる。さらにデボラ・ハリー、エリック・ロバーツ、ピーター・ストーメア、アレクシス・アークウェットといったキャラクター豊かな面々が脇を固めている。
またスタッフには、通常アカーランドのだめだけに仕事をしている才能あふれる各国のクルーが集まった。撮影監督には、著名なスウェーデン人の写真家であるエリック・ブロムス。革新的なアングルと超クローズアップを使って撮影することにより、緩急の効いた映像でドラッグの世界のリアルさを見事に実現させている。美術担当は、アカーランドと長い付き合いのリシャール・ラサル。衣装担当はスウェーデン人の新鋭、B。プロデューサーには『バッファロー’66』『ヴァージン・スーサイズ』『ブリー』のクリス・ハンレイと勢ぞろいだ。

<ロサンゼルス郊外。リアルな裏LAファッションの魅力>
ハリウッドが代表するセレブのゴージャスファッションがLAの表の顔だとすれば、『スパン』の登場人物たちのファッションは、郊外ならではの自由で気ままなLAの裏の顔。ブリタニーが演じるニッキーのビッチでキュートなセンスに、ミーナが演じるクッキーのパステル・カラーを基調とした古着の重ね着お部屋でのくつろぎスタイル。さらにミッキー・ロークが演じるコックのオヤジ流ウエスタン・ルックに、ジョン・レグイザモが演じるスパイダーのタイトな皮パンに上半身裸のパンク・ファッションや、ジェイソンが演じるロスの名前入りスタジャン姿など、それぞれのキャラクターを代弁するのにふさわしい着こなしをしており、ストリート・ファッションのお手本になりそうなファッション術がたくさんつめこまれている。

<”ガラクタでも輝いていた3日間”をすごす登場人物たちは「9.11」以降のアメリカ郊外にあるリアルな姿>
登場人物たちは、何の予定も夢の将来設計も考えているとは思えない、社会からドロップ・アウトした者達ばかり。各キャラクターの志向や背景には、テレビゲーム、マニアックなプロレス中継、携帯を持たない生活など、世間を遮断した社会に生きている様子が描かれている。半径数キロメートルの自分たちの世界の中から逃げようとも飛び出そうともせず、ただただ日々をすごす。おそらくゲームやプロレス中継をしている裏番組では、残酷なニュースや病んだ社会の実態が映し出されているはずである。そんな他人からはまるでガラクタに映る彼らの姿は、禁断の鏡を覗いたときの、もう一人のリアルな自分なのかもしれない。そう思うとどこか憎めず愛らしく身近に感じられる。暗い事件や事故ばかり起こる現在に住む自分たち、理性を働かせてばかりいたらストレスが溜まって死にそうになる。それなら映画のだけでもいっそ身を委ね、人に巻かれて振り回されて、翻弄され、ダメダメな人間を体験してみてはどうだろう?今の自分を愛せるように。

ストーリー



アメリ力西海岸・ロサンゼルス郊外・ホコリ臭い道路を進むボロボロの茶色いボルボを走らせるロス(ジェイソン・シュワルツマン)。大学を中退しブラブラしている彼は、クスリの調達にキレやすく移り気な売人スパイダー・マイク(ジョン・レグイザモ)の家を訪ねる。そこにはスパイダーの恋人で赤い目をしたクッキー(ミーナ・スヴァーリ)、クスクス笑うストリッパーのニッキー(ブリタニー・マーフィ)、吹き出ものだらけでテレビゲームおたくのフリスビー(パトリック・フユジット)がいた。未来図を描くわけでもなく、なんとなくその日を生きている若者たちだ。スパイダーの家でクスリを入手できなかっロスは、ニッキーの彼氏、コック(ミッキー・ローク)がいるモーテルヘ愛車を走らせる。彼は超高純度麻薬の製造人だ。クスリの無料提供という交換条件でコックの専属運転手=ボルボくんとなったロスは、ことあるごとに呼び出される。一夜を過ごしたストリッパーのエイプリル(クロエ・ハンター)を自分のベッドに縛り付けて外出したことを忘れたまま、メタンフェタミンの煙を吸い込んで具合が悪くなったニッキーの愛犬タコを病院に連れて行き、コックと一緒にクスリの材料を調達へ出かけ、家を出るたびに隣人(デボラ・ハリー)に怪しまれる。こうして二人に翻弄されながらも、元恋人のエイミー(シャーロット・アヤナ)とヨリを戻して普通のまともな生活に戻ろうと何度も彼女に電話をかける。

一方、ロスとニッキーが去った直後、スパイダーの家では大変な事件が起きていた。人気テレビ番組、“”“BUST”の犠牲となったフリスビーが、刑事(ピーター・ストーメア/アレクシス・アークエット)に脅されて盗聴器をつけたスパイとなり、スパイダーに罠を仕掛けようとしていた。しかしその裏切りに気づいたスパイダーは激怒し、フリスビーの股間を撃つ。結局、スパイダーとクッキーは還捕され、フリスビーは病院行きに…。遠捕を逃れたロスは、コックと別れたニッキーと行く当てもない夜のドライブを楽しみながらお互いの孤独に気づく。そしてロスはエイミーに会いに行くことを決心し、ニッキーはラスベガスヘ戻り自分の子供と再会することを誓う。

ベガス行きのバス停までニッキーを送りとどけたロスは、またまたコックに呼び出される。彼はクスリの精製中に爆発を起こし、その寸前にモーテルを脱出したのだ。ボルボくんニロスは、無一文になったコックとともに、彼の昔の“男”(エリック・ローバツ)の家へ資金調達に向かう。その道中・コックは幼い頃に母親から言われたある言葉を思い出していた。こころなしかセンチメンタル様子のコックを新しい住みかに送り届けたロスに、不眠不休の3日間が終わりを迎えようとしていた…。

スタッフ

監督:ジョナス・アカーランド
脚本:ウィル・デ・ロス・サントス、クレイトン・ヴェロ
製作:クリス・ハンレイ、フェルナンド・サリシン
   ティモシー・ウェイン・ピーターネル、ダニー・ヴィニック
製作総指揮:ブラッド・シュレイ、ニコーラ・ドーリング
      キキ 三宅、マーク・モウワー
      イヴ・シュヴァリエ、アッシュ・シャー
スーパーバイジングプロデューサー:テリー・スパゼック
共同製作:ヴィンセント・マラヴァル、デヴィッド・ヒラリー
     ティエリー・クレムニウク、ウィル・デ・ロス・サントス
     クレイトン・ヴェロ
アソシエイトプロデューサー:クラーク・マッカッチェン
              クリス・フィッシャー、リタ・ダハー
撮影:エリック・ブロムス
音楽:ビリー・コーガン
美術:リシャール・ラサル
衣装:B
キャスティング:レニータ・ホワイテッド

キャスト

ジェイソン・シュワルツマン
ブリタニー・マーフィー
ミーナ・スヴァリ
ミッキー・ローク
パトリック・フュジット
デボラ・ハリー
ジョン・レグイザモ
アレクシス・アークウェット
ピーター・ストーメア
エリック・ロバーツ
クロエ・ハンター

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