原題:Casa de los babys

2003年/アメリカ/95分/ビスタサイズ/SRデジタル/字幕翻訳:古田由紀子 宣伝:ギャガGシネマ海×メディアボックス/協力:東芝エンタテイメント 提供・配給:ギャガ・コミュニケーションズ

2005年04月22日よりDVDリリース 2005年04月22日よりビデオリリース 2004年7月31日よりテアトルタイムズスクエア他全国順次ロードショー

公開初日 2004/07/31

配給会社名 0025

解説


6人の女たちが、“養子”を求めて南米に旅立った・・・。
それぞれに心の傷をかかえながらも一つの夢を追う女性たちを、南アメリカのエキゾチズム溢れる眩い光の中でリアルに活写した名匠ジョン・セイルズの最高傑作。人生の別れ道で立ち止まる全ての女性たちに贈る希望(エスペランサ)という名の道標(みちしるべ)。

 すべての女性が、人生のある時期に、必ずめぐり逢う運命の選択。結婚する、しない。仕事を続ける、やめる。子供を産む、産まない。女たちは、分かれ道に1人たたずみ、右か左か考える。各々の道の見えるはずのない遠いゴールに目をやりながら、あれこれと思い描くうちに、やがて知りたいことはたった1つだと気付くのだ。“どちらに行けば幸せになれるのか?”
 『カーサ・エスペランサ〜赤ちゃんたちの家〜』は、そんな選択の途上で、とりあえず1歩を踏み出した6人の女たちの物語だ。6人の選択とは、南アメリカの言葉も通じない異国の地を訪れて、その国の孤児を養子にもらうこと。年齢や職業、家族構成や考え方も全くバラバラな6人だが、みんな等しくその選択が、何かが足りないこれまでの自分の人生を変えてくれるに違いないと信じていた。
 ところが、養子縁組の手続きは遅々として進まない。来る日も来る日もただ待ち続ける6人は、互いの人生に少しずつ足を踏み入れていく。ある者の驚くべき秘密に呆然と立ちすくみ、また別の者の悲しい体験に共に涙する女たち。苛立たしいはずの待ち時間が、いつの間にか、過去の自分とじっくりと対話して、未来に進む力をくれる人生の休み時間に変わっていった。そんなある日、意外なかたちで再び、6人の人生は動き始めたのだった……。
 “どちらを選べば幸せになれるのか?”『カーサ・エスペランサ〜赤ちゃんたちの家〜』が教えてくれる答え、それは“どちらでも”ということなのかもしれない。生まれたばかりの子供を失った女、シングルマザーを望む女……様々な悩みを抱えながら、それでもとにかく行動を起こして、自分の手で幸せをつかもうとする彼女たちの強さと希望は、選択しなければいけないことがあまりにも多い現代の女性たちを優しく励ましてくれるに違いない。迷える女たちへのお守りのような映画なのだ。

オスカー女優3人と超個性派女優たちが監督ジョン・セイルズの出演依頼を快諾!
ハリウッドでは実現困難な夢のコラボレーション!!

 本作の大きな見所の一つは、新旧オスカー女優と個性派女優の華やかでスリリングな競演だ。心の痛みに打ち勝つために、黙々と肉体のトレーニングに励むスキッパーには、『キル・ビル』の殺し屋が記憶に新しいダリル・ハンナ。裕福なのに盗癖があるなど、最も複雑なキャラクターのナンシーには、『ポロック 2人だけのアトリエ』でアカデミー賞助演女優賞を受賞、『ミスティック・リバー』でも、本年度アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたマーシャ・ゲイ・ハーデン。まるで商品のように子供を買おうとしている夫との心の溝に苦しむジェニファーを、『セクレタリー』のマギー・ギレンホールが繊細に演じている。男に興味がなく、シングルマザーになることを望んでいるレスリーには、『ショート・カッツ』のリリ・テイラー。穏やかな性格だが、実はアルコール依存症のゲールには、『海辺の家』の名演も記憶に新しいオスカー女優のメアリー・スティーンバーゲン。孤児の少年にヤギの絵本をあげる、素朴で優しいアイリーンには、『フィオナの海』のスーザン・リンチ。キャラクターを明確に打ち出しながら、一瞬の表情や何気ない言葉で、それぞれが生きてきた人生の奥行きを感じさせる演技が、見る者をひきつける。女性なら、6人の誰かに自分を重ね合わせずにはいられないだろう。
 その他、『ウエスト・サイド物語』でアカデミー賞助演女優賞を獲得した大女優リタ・モレノが、ホテルの女支配人に扮している。また、養女に出した娘への想いを切々と語るシーンが忘れ難いホテルの従業員アスンシオンには、セイルズ監督に見出されたヴァネッサ・マルチネスが演じている。
 女たちの秘めた心の傷跡と、切ないほどの幸せへの願いを愛情込めて丁寧に描くと共に、ストリート・チルドレンの現状など、南アメリカの国々の社会問題をさりげなく、しかし熱く抉り出した監督は、『フィオナの海』の名匠ジョン・セイルズ。ハリウッドでは、大人の女性を魅力的に描く映画が少なすぎると嘆くセイルズは、自らが尊敬する女優たちを集めて、現代に生きる女性の真の姿をとらえることに成功した。

ストーリー


気持ちの良い南国の風が吹く南アメリカのとある国、
そこにひっそりとたたずむ“赤ちゃんたちの家”
女たちは、あるものを探しにここへ来る
それは、希望(エスペランサ)という名の人生の必需品
 
 “赤ちゃんたちの家”と呼ばれている聖マルタ園には親に抱かれた記憶がない赤ちゃんたちがズラリとベッドに並んでいる。それでも、元気いっぱいに手足を動かし、言葉も肌の色も違う“新しい親”がアメリカから迎えに来るのを待っているのだ。
 一見、優雅なヴァカンスを楽しんでいる6人の女たちがいる。ビーチに寝そべり、買い物を楽しみ、ガイドブックに載っているシーフードレストランでランチ──エキゾチックな香りに満ちたこの街で、彼女たちはただひたすら待っている。この国ののんびりした行政が、養子縁組の申請書を受理し、“我が子”を連れて帰れる日を。
 6人の共通点は、ただ1つ。それは、何かが足りない自分の人生を変えてくれる“希望”をつかむこと。それ以外は、職業も年齢も考え方も、全くバラバラだった。

忙しい毎日の中で、ふと、
何かが違うと感じ始めたのはいつからだろう?
ただ待つだけの女たちは、自分の心に耳を傾け始めた

 スキッパー(ダリル・ハンナ)はその朝も、ホテルのプールで黙々と泳いでいた。他の5人との食事に付き合う以外は、もっぱら1人でジョギングやストレッチのトレーニングに励んでいる。そんな彼女を人造人間だと辛らつに皮肉るのは、ニューヨークで出版関係の仕事をしているレスリー(リリ・テイラー)。ただ1人の未婚者で、シングルマザーになることを望んでいる。彼女をレズだと決めつけるのは、ホテルに苦情を申し立てては、もう3度も部屋を変わっているナンシー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)。穏やかな物腰のゲール(メアリー・スティーンバーゲン)が、レスリーはレズではないと否定する。母子家庭で育ったゲールには、一人で子供を育てようとする女への偏見はなかった。
 滞在日数が延びるに従い、アイリーン(スーザン・リンチ)が食事の席にいないことが多くなる。夫が失業中でお金に余裕がなく、節約を心がけているのだ。彼女とは対照的に、見るからに裕福そうなのは、1人だけ20代のジェニファー(マギー・ギレンホール)。いつまでたっても養子を連れて帰らない彼女に苛立つ夫と、電話で口論になっていた。

どんなに平凡そうに見える女でも、
その秘密に分け入れば、1篇の短編小説が書ける
女たちの願いは1つ、完璧なハッピーエンド

 相変わらず事務局からは何の連絡もない。6人の女たちは毎日顔を合わせているうちに、少しずつ互いの人生に踏み込んでいく。そこには、外見からは想像もできない秘密が見え隠れしているのだった。
 ナンシーはスキッパーに手首のヤケドの理由を話す。子供の頃、母親が躾のために熱いフライパンを押し付けたというのだ。厳しく育てられたはずのナンシーが、廊下に置かれたメイドの清掃カートから、こっそりとシャンプーや石けんを盗むのをゲールが目撃する。一方、ゲールは、アルコール依存症から立ち直るべく、この土地のグループ・セラピーに参加していた。
 ジェニファーにマッサージを施すスキッパー。養子をもらうことに不安と迷いを抱えているジェニファーに、スキッパーが自らの辛い体験を打ち明ける。最初の女の子を流産し、次の双子は内臓に異常があったため、生後2日と1週間で死んでしまったのだ。言葉を失くすジェニファーに、スキッパーは優しく静かに語りかける。「自分が光だと想像するのよ」
 
未来を自力で動かそうとする女
未来を切ないほど夢見る女
どんな人生が待っているのかは、きっと神様にもわからない

 帰る家のないストリートの少年たち。養子制度に怒る人々。それでも静かに眠る赤ちゃんたちが見ているのは、素敵な未来の夢? 
 果たして6人の女たちはその腕に、温かい希望を抱けるのだろうか? 

スタッフ

監督・脚本・編集:ジョン・セイルズ
製作:レモア・シヴァン
製作(メキシコ):アレハンドロ・スプリンゲル
撮影監督:マウリチオ・ルビンシュタイン
衣装:マヤ・C・ルベオ
プロダクション・デザイン:フェリペ・フェルナンデス・デル・パソ
音楽:メイソン・ダーリング

キャスト

ジェニファー:マギー・ギレンホール
スキッパー:ダリル・ハンナ
ナンシー:マーシャ・ゲイ・ハーデン
スーザン・リンチ:アイリーン
ゲール:メアリー・スティーンバーゲン
レスリー:リリ・テイラー
ムノツ夫人:リタ・モレノ
アスンシオン:ヴァネッサ・マルティネス

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す