原題:Picese of April

初めての料理はママのために作る最後のディナー

アカデミー賞 最優秀助演女優賞ノミネート ゴールデン・グローブ賞 最優秀助演女優賞ノミネート サンダンス映画祭 審査員特別賞受賞/グランプリノミネート

2003年/アメリカ/80分/ビスタサイズ/SRデジタル 配給:ギャガ・コミュニケーションズ

2005年04月21日よりビデオリリース 2005年04月21日よりDVDリリース 2004年10月30日より、Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー

公開初日 2004/10/30

配給会社名 0025

解説



自由奔放なエイプリル(ケイティ・ホームズ)は典型的な郊外型アメリカ中流家庭である彼女の家族と折り合いが悪く、今はNYのハーレムに黒人のボーイフレンドと自由きままな同棲生活を送っている。もう家族とは何年も会っていない。しかし、母親(パトリシア・クラークソン)が癌の末期症状であることを知り家族をはじめて家に招待することに決めた。エイプリルは精一杯の歓迎をしようと奔走するのだが・・・。

アメリカ中のオーブンが、七面鳥を焼くためにフル稼働する日、感謝祭。ニューヨークで黒人のボーイフレンドと暮らすエイプリルにとって、その日は特別な日だった。初めて自分のアパートに家族を招待するのだ。ファッションから生き方まで自由奔放なエイプリルは、典型的な中流家庭の家族に何かと反発してきた。しかし、特に仲の悪い母親が、ガンで余命あとわずかと知った彼女は、母の大好物である七面鳥のローストを作ろうと決意する。ところが、オーブンの故障を幕開けに思わぬハプニングが続出する。一方、両親と祖母、妹と弟を乗せた車も、エイプリルとの散々な思い出が蘇るたびに減速、なかなかニューヨークにたどり着けない…。

『エイプリルの七面鳥』は、観終わった私たちに、二つのレシピをプレゼントしてくれる。“感謝祭のディナー”と“小さなしあわせ”の作り方を。
 2003年から04年にかけての全米の賞レースでは、“パトリシア・クラークソン・ブーム”が沸き起こった。アカデミー賞最優秀助演女優賞、ゴールデン・グローブ賞最優秀助演女優賞ノミネートを始め、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞最優秀助演女優賞など数々の賞を受賞、『エデンより彼方に』『ドッグヴィル』などですでに実力は十分認められていたが、エイプリルの母親ジョーイを演じた本作が、彼女の代表作になることは間違いない。娘との不和と自身の死という困難を独特のユーモアでかわしながらも、最後にはすべてを受け入れるジョーイ。そこには悪い母親、良き妻といった型にはまったキャラクターではなく、一瞬一瞬に命を刻もうとする生身の人間がいる。

 世の中に媚びず、自分の信じるファッション、ライフスタイルを貫くヒロイン、エイプリルには『アイス・ストーム』『ワンダー・ボーイズ』のケイティ・ホームズ。エイプリルが、人種も年齢も異なるアパートの住民たちと交流し、他者を受け入れる優しさに目覚めていく過程を見事に演じている。観客もこのアパートの住人の一人となり、エイプリルの七面鳥が無事焼きあがるよう、応援せずにはいられない。

ストーリー


 何気ないふりをして、特別な朝はやってくる。
アメリカ中のキッチンで、七面鳥が主役になる感謝祭の日。ニユーヨークのローワー・イースト・サイドのアパートに恋人のボビー(デレク・ルーク)と暮らすエイプリル(ケイティ・ホームズ)は、生まれて初めての料理と格闘していた。郊外に住むもう何年も会っていない家族をディナーに招待したのだ。
 仲の悪い母親が、ガンのために余命わずかと知ったエイプリルは、人生最大の勇気を振り絞って母の好きな七面鳥のローストを作ろうと決意する。
 七面鳥をオーブンに入れようとしたまさにその時、エイプリルは一大事に気づく。予熱したはずのオーブンが冷たいままだ。管理人は留守、修理の電話もつながらない。エイプリルはアパート中のドアを叩き、やっと招き入れてもらう。母の病気の話にもらい泣きしたイベット(リリアス・ホワイト)が、料理を手伝うから、オーブンを貸してくれる人を探しなさいと言ってくれる。エイプリルは再びアパート中を駆け回る。
……果たして、オーブンは見つかるのか?
 その頃ボビーは、友達の経営する服屋で困っていた。スーツを貸してもらう約束が、趣味の悪い古着しかないのだ。
ボビーが、「今日のために用事がある」とどこかへ出かけ、エイプリルが手作りのネームカードを用意している頃、父ジム・バーンズ(オリバー・プラット)が運転する車は、母ジョーイ(パトリシア・クラークソン)と妹のベス(アリソン・ピル)、弟のティミー(ジョン・ギャラガー・ジュニア)と祖母のドッティ(アリス・ドゥルモンド)を乗せて、ニューヨークへ向かっていた。ジムは、家族全員がそろう最後の晩餐を、絶対いい思い出にすると意気込んでいるが、ジョーイは投げやりな態度、ベスはすぐにでも引き返したい思いを抑えるのがやっと、ドッティにいたっては家族の名前さえ思い出せない。ティミーは深刻さから逃れるようにふざけながら、得意のカメラでみんなを撮る。彼はジョーイの“人生の記録係”なのだ。 
 エイプリルは“ママ”と書いたカードを破り、“ジョーイ”と書き直していた。
ついにオーブンが見つかった! しかし、最新式のオーブンの持ち主ウェイン(ショーン・ヘイズ)は極めつきの変わり者。途中で焼け具合を見ろという彼の忠告を聞き流したエイプリルに怒って、部屋に入れてくれない。しかも何とか取りもどした七面鳥は、まだ半ナマだった…。
 バーンズ家の車の中でも事件が勃発。ジョーイとエイプリルの“唯一の美しい思い出”が、ジョーイの勘違いで実はベスだったと発覚。「うんざりよ!ガンもあの子のせいよ」と吐き捨てて、ヒッチハイクで帰ろうとするジョーイ。
ナマ焼けの七面鳥の皿の前で、途方に暮れるエイプリル。
助手席のジョーイの頬に触れ、眠っているだけだと知って安堵の涙を流すジム。
母親に叱られる少女に、幼い頃のエイプリルを重ねるジョーイ。
 ─さあ、出来上がりまで、もう少し。
がんばって、エイプリル。

スタッフ

監督・脚本:ピーター・ヘッジズ
製作:ジョン・ライオンズ
撮影:タミ・レイカー
美術:リック・バトラー
音楽:ステフィン・メリット
衣装:ローラ・バウアー
配給:ギャガ・コミュニケーションズ

キャスト

ケイティ・ホームズ
パトリシア・クラークソン
デレク・ルーク
アリソン・ピル
ジョン・ギャラガー・ジュニア
アリス・ドルモンド
リリアス・ホワイト
イザイア・ウィットロック

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