原題:Jeepers Creepers 2

逃げろ、逃げろ、食糧ども!メインディッシュは、人間の恐怖・・・

2003年8月29日より全米初公開

2003年/アメリカ/カラー/104分/ 配給:20世紀フォックス

2008年03月05日よりDVDリリース 2007年07月27日よりDVDリリース 2004年5月22日よりシネマミラノほかにてロードショー公開

(C)2003 TWENTIETH CENTURY FOX

公開初日 2004/05/22

配給会社名 0057

解説


 巨匠フランシス・フォード・コッポラが運営する製作会社アメリカン・ゾエトロープが放った『ヒューマン・キャッチャー/ジーパーズ クリーパーズ2』は、昨年8月29日に全米公開され、初登場・1の座を奪取したホラー映画だ。アメリカでは今も昔もホラーが若者の支持を集めているが、『ヒューマン・キャッチャー/ジ−パーズ クリーパーズ2』は単なるティーン向けホラーの枠を突き破る斬新なオリジナリティに満ちている。そもそもホラー映画は”ある日突然、登場人物の平穏な人生が崩壊する恐怖”を描くジャンルであり、ストーリー自体がパターン化しすぎると不条理な恐怖感が薄れてしまうものの、その点本作はまさに”ある日突然”降りかかってくる。”理不尽な恐怖”をアメリカン・ホラーならではのダイナミズムをこめて追求した意欲作になっている。あまりにも唐突に、信じ難いほどの勢いで連打されるジェットコースター的スリルに、誰もが唖然&愕然の緊張を味わうことだろう。
 その”理不尽な恐怖”の哀れな生け贄となるのは、輝かしい青春真っただ中のハイスクールのバスケ選手とチアリーダーの女の子たち。ある大会の決勝戦に出場して帰路についた彼らのスクールバスが、何者かの意図的な襲撃によってパンクし、ひと気のない田舎のハイウェイで孤立されられる。その襲撃者の正体は、23年ごとの春にどこからともなく現れ、捕獲した人間達を23日間むさぼり食う戦慄の怪物”クリ−パー”だった!不運にも23日目にクリ−パーのマン・ハンティング(=人間狩り)の標的になってしまった若者たちは、神出鬼没の飛行能力を誇り、漆黒の夜空から猛スピードで舞い降りて来る怪物を前に、ひたすら恐れおののき逃げまどうはめになる。
 猛禽類、コウモリ、カカシなどの特徴を兼ね備え、自らの首をすげ替えるなどの異様な変態を繰り返す型破りなモンスター、クリ−パーの生みの親は、コッポラの秘蔵ッ子たるヴィクター・サルヴァ監督。2001年の前作『ジーパーズ・クリーパーズ』に続く2本連続全米・1ヒットで一躍脚光を浴びる俊英である。奇想天外なアイデアに加え、特筆すべきは繊細かつこだわりが感じられる演出の妙。黄金色の夕陽に照らされたトウモロコシ畑にクリ−パーが出現するオープニング・シークエンスは、ショッキングな導入部としての役目を果たすだけでなく美しい詩情すら漂わせる。一転して寄るのシーンに突入すると、巨大な羽を誇示するクリ−パーが満天の星空を舞う幻想的なイメージ、車で逃走する若者たちが追いすがるクリ−パーを迎撃するシューティング・ゲーム感覚のアクションシーンなど、シュールにしてスペクタル満載の見せ場を惜しみなく披露。さらに後半の空飛ぶクリ−パーVS復讐の鬼と化した中年男の壮絶バトルは、『ジョーズ』(75)のロバート・ショウVS巨大ザメの攻防の引用かと思わせる怒濤の仰天シーンに仕上がっている。
 また悪夢のスクールバスに乗車するティーンに扮したフレッシュな新進俳優のアンサンブルも見どころだ。日本ではほとんど無名ゆえに無色透明の存在感を保つ彼らが、若者たちのパニックとサバイバルを大熱演。「恐怖のどん底にいると、人は本性を現す」というセリフが示す通り、究極の異常事態に直面した登場人物の心理が巧みに表現され、力を合わせて危機を脱しようとする者、我を見失って無謀な行動に走る者など、それぞれのキャラがたどる運命から目が離せなくなってしまう。その必死さがあまりにリアルゆえに、随所にこぼれ落ちるユーモアも本作の楽しみだ。
 そして前作『ジーパーズ・クリーパーズ』で確かな腕を見せたスタッフが再集結した。クリ−パーの視点からの見事な空撮、田舎のロケーションを生かした叙情的な映像美が光る撮影監督はドン・E・ファン・ル・ロイ。クラシカルなホラーの趣が漂うメリハリの効いたスコアをもり立てるはベネット・サルヴェイ。特殊メイク&視覚効果にも一流の気鋭アーティストが参加し、もちろん御大コッポラも製作総指揮として全面サポートを行なっている。

ストーリー



ある夕暮れ時の広大なトウモロコシ畑。父親タガート(レイ・ワイズ)の農作業を手伝っていた少年ビリーが、カカシのような風貌をした謎の怪物に襲撃される。その悲鳴に気づいて現場に駆けつけたダガードは、空飛ぶ怪物によって遥か彼方へと連れ去られてゆくビリーを唖然と見届けるほかはなかった・・・。
 その翌日、ポポ郡を貫くハイウェイ東9号線を、対外試合帰りの高校生たちの代表バスケットボールチームとチアリーダーらを乗せたスクールバスが走っていた。突然のタイヤのパンクでハイウェイに立ち往生した彼らは、屋根の上で日光浴を楽しみ、のどかなひとときを過ごす。まさかそのパンクが、獲物を求めて徘徊する世にも恐ろしい怪物”クリ−パー”(ジョナサン・ブレック)が引き起こしたものとは誰も気づかなかった。やがて夜の闇が訪れ、走り出したバスが再びパンクして急停車する。その直前、チアリーダーのひとりで繊細な感性をもつ美少女ミンクシー(ニッキ−・エイコックス)は奇妙な悪夢にうなされ、いち早く何か異常な事件が起こっているのではないかという不安に駆られていく。
 案の定、ミンクシーの不吉な予感は的中し、路上で発煙筒を焚いていた引率のコーチが突然消失してしまう。まもなく運転手の女性ともう一人のコーチも空から舞い降りてきたクリ−パーに連れ去られてしまい、残された若者たちは目の前で起こったあまりにも奇怪な出来事に全身を震わせ、バスの内部でパニックに陥っていく。やがてバスの窓にはりついたクリ−パーは、その醜悪な形相で脅えきった若者たちを舐め回すように見すえ、目の前の獲物の品定めを開始する。クリ−パーは人間の体臭を嗅ぎ分け、恐怖の匂いがにじみ出る人間を好んで食べる不気味な習性を秘めていた。頼れる大人達を失い、警察などに助けを求めることができない孤立無援の状況の下、チームのリーダー格であるスコット(エリック・ネニンジャー)と、通称Dことディアンドレ(ギャリカイ・ムタンバーワ)は、クリ−パーへの対応をめぐって激しくいがみ合っていく。
 クリ−パーの襲撃によって、ひとりまたひとりと絶命していく若者たち。痺れをきらしたスコット、D、ミンクシーらはやむなくバスを捨て、ひと気のない夜の草原を全力で逃げまどう。自在に空を飛び回り、獲物へと執拗に襲いかかるクリ−パー。その頃、ラジオや無線でクリ−パーの出没情報を入念にチェックしていた多ガードが、長男と愛犬を従えて軽トラックに乗り込み、ハイウェイ東9号線を突っ走っていた。ついに息子ビリーの憎き仇であるクリ−パーと対面したタガートは、すかさず戦闘体制に突入。からくも生き残った若者たちを交え、この世ならぬ怪物との命がけのバトルの火ぶたが切って落とされる!

スタッフ

製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ
監督・脚本・キャラクター原案:ヴィクター・サルヴァ
撮影:ドン・E・ファン・ル・ロイ
美術:ピーター・ジェイミソン
編集:エド・マークス
特殊メイクアップ:ブライアン・ペニカス
視覚効果監修:ジョナサン・ロスバート
音楽:ベネット・サルヴェイ

キャスト

レイ・ワイズ
ジョナサン・ブレック
ギャリカイ・ムタンバーワ
エリック・ネニンジャー
ニッキー・エイコックス

LINK

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□IMDb
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http://www.jeeperscreepers2.net/
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