原題:THE GREAT ESCAPE

東京国際ファンタスティック映画祭2003正式出品作品::http://tokyofanta.com/

日本初公開1963年8月、1970年5月再上映

1963年/168分/アメリカ/パナビジョン方式シネマスコープ/ 配給:シネカノン

2010年08月04日よりDVDリリース 2008年03月05日よりDVDリリース 2007年10月24日よりDVDリリース 2004年3月6日より東劇にてロードショー公開

(C) 2003 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

公開初日 2004/03/06

配給会社名 0034

解説


世界中のファンが熱狂、興奮した映画史上に燦然と輝く名作映画が、公開四十年を記念してニュープリントで甦る。『OK牧場の決闘』(57年)『荒野の七人』(60年)など骨太のアクション映画の名手で鳴らしたジョン・スタージェス監督が自ら製作に乗り出し、渾身の力を注いだ戦争大作。英国空軍パイロットで従軍、独軍の捕虜となったポール・ブリックヒルによるノンフィクション・ノベルの完全映画化である。
 第2次大戦下、ドイツ東部サガン近郊の第3捕虜収容所で実際に起きた連合軍将校ら250人の大脱走計画を、ハードボイルト映画の秀作『アスファルト・ジャングル』(50年)のW・R・バーネットと、太平洋戦争中にジャワで日本軍の捕虜を経験したジェームズ・クラヴェルが共同で脚本化。「無駄なシーンがワンカットもない」と絶賛される名演出は、2人の見事な脚本が支えた成果だった。

 『大脱走』は、世界中に「スティーブ・マックィーンの時代」の到来を告げた傑作アクションでもある。カーキ色のチノパンに、袖口をわざと切ったスウェットをラフに着込んだスタイルは、男性ファンをも夢中にさせた。独軍監視の盲点を突くオープニング・エピソードから、脱走をくり返す〈独房王〉と異名を取り、いつもグローブとボールを持って独房の壁相手にキャッチボールをするそのしぐさなど、全篇に「男のさりげなさと大胆さ」の魅力を振りまいている。独軍兵のオートバイを奪い、一路スイスめざして疾走するクライマックスのダイナミックな脱走シーンは、映画史上に残る名場面。四方八方から追い詰められ、オートバイを巧みに操り、丘を猛スピードで駆け登り、高い有刺鉄線をひとっ飛びするシーンは、誰もが興奮し、拍手した見事な名アクションシーン。劇中、自らオートバイに乗り、脱走シーンの迫力を効果的に盛り上げていった。

 そのマックィーンとともに、大脱走をくり広げた面々がいまとなってはスゴい! 物品調達の名人ヘンドレイにジェームズ・ガーナー。筋金入りのトンネル掘りダニーにチャールズ・ブロンソン。脱走計画のリーダー、〈ビッグX〉ことバートレットにリチャード・アッテンボロー。脱走計画を綿密に作り上げるセジウイックにジェームズ・コバーン。書類偽造の名人ブリウスにドナルド・プレザンス。トンネル掘削で出た土を画期的な方法で処分するアシュレイにデヴィッド・マッカラム。『大脱走』の成功によって、映画史に足跡を刻む名優へと飛躍していった。
 高鳴る勇壮なマーチ風主題曲など全篇にスリリングなスコアを奏でるのは、映画音楽の大御所エルマー・バーンスタイン。『荒野の七人』に次ぐ、ジョン・スタージェス監督とのコラボレーションである。脱走計画をリアルに再現するため、元捕虜兵で実際の脱走計画を知るC・W・フラディが技術顧問で参加。  ドイツ、スイスへの長期ロケーションを敢行。卓越した屋外ロケショットと、独房・捕虜棟内部・トンネルなどのスタジオセットがかもし出す密室的なショットのコントラストが素晴らしい効果を生んでいる。撮影は『ウエストサイド物語』(61年)でアカデミー賞撮影監督賞を受賞したダニエル・L・ファップがあたった。

ストーリー


 第二次大戦末期。ドイツ・サガン近郊の独軍第3捕虜収容所。欧州、アフリカ戦線で捕虜となり、何度も脱走を試みた連合軍のツワモノ将校らばかりが集められてきた。所長の独空軍大佐フォン・ルーゲル(ハンネス・メセマー)に対し、イギリス空軍大佐ラムゼイ(ジェームズ・ドナルド)は「脱走は敵軍を撹乱させるため、我われに残された任務である」と主張。収容所に入れられた捕虜たちは、素早く所内を点検し始める。隙あらばすぐにも脱走しようとする者たちばかりだった。
 米空軍のバージル・ヒルツ(スティーブ・マックィーン)は、張り巡らされた有刺鉄線の真ん中が死角になっていることに気づく。試しに、野球ボールを有刺鉄線の真下へ投げ、堂々と取りに行った。監視塔の兵士はまったく気づかなかったが、看視兵フリック(チル・キゥイ)に見つかり監視塔から威嚇射撃を受ける。銃声に収容所内は騒然。駆けつけた所長ルーゲルにヒルツは「有刺鉄線を切って、脱走しようと思ったのさ」と悪態をつき、独房送りとなる。ルーゲルをからかったイギリス人のアイヴス(アンガス・レニー)も独房行きとなる。
 以後、2人はたびたび脱走をくり返すことになる。ヒルツに付けられたアダ名は「クーラーキング ≪独房王≫」だった。
 ヒルツが騒ぎを起こす前にも、オーストラリア人のセジウィック(ジェームズ・コバーン)、ポーランド出身のダニー(チャールズ・ブロンソン)、相棒のウィリー(ジョン・レイトン)らが、所内の工事にかりだされてきたロシア人捕虜に混じり、脱走しようと企てた。しかし、あと少しのところで看視長ストラッチュウズ(ハリー・リーヴァウアー)に見破られてしまう。
 数日後、イギリス空軍中隊長のシリル・バートレット(リチャード・アッテンボロー)がゲシュタポに護送されてきた。バートレットの姿を確認したイギリス軍将校のマクドナルド(ゴードン・ジャクソン)、アシュレイ・ピット(デヴィッド・マッカラム)、カベディッシュ(ナイジェル・ストック)らが慌しく動き出した。バートレットこそ、これまで多くの脱走計画を指揮してきた〈ビッグX〉だったのだ。その夜、バートレットは仲間たちを集め、脱走計画を話し出した。書類や通行証、身分証明書などを偽装し、周到な準備で250人が脱走する壮大な計画だった。3つの棟の地下から、それぞれ3本のトンネルを収容所の向こうの森まで掘るという史上最大の大脱走だった。トンネルは「トム」「ディック」「ハリー」と名付けられた。  ダニーとウィリーがトンネル掘りにあたる。脱走に必要な物品調達はアメリカ人ヘンドレイ(ジェームズ・ガーナー)が受け持ち、ひょんなことから言葉を交わすようになった看視兵ヴェナー(ロバート・グラーフ)のポケットから身分証や通行証を拝借。ヘンドレイと同室のコリン・ブリイス(ドナルド・プレザンス)は書類偽装の名人だった。昼夜を問わずトンネルは掘り続けられた。そんな頃、独房を行ったり来りしているヒルツにバートレットから指示が出た。もう一度だけ脱走し、収容所の周辺の状況を偵察していきてほしい、そして速やかに捕まり、計画決行直前までに情報を教えてほしい、というのだった。
 7月4日の朝。看視長ストラッチュウズ、看視兵ヴェナーの抜打ち検査で「トム」が見破られた。そのショックでアイヴスが発作的に鉄条網をよじ登り、ヒルツの目前で射殺された。ヒルツは決断する。バートレットに「情報を取ってくる」と言い残し、その夜、脱走した。かくて、トンネルを「ハリー」一本に絞り、大脱走へ向けて、計画は着々と進められていくのだった…。

スタッフ

監督:ジョン・スタージェス
製作:ジョン・スタージェス
原作:ポール・ブリックヒル
脚本:ジェームズ・クラヴェル、 W・R・バーネット
撮影:ダニエル・ファップ
編集:フェリス・ウェブスター
音楽:エルマー・バーンスタイン

キャスト

スティーヴ・マックィーン
ジェームズ・ガーナー
リチャード・アッテンボロー
ジェームズ・コバーン
チャールズ・ブロンソン
デヴィッド・マッカラム
ハンネス・メッセマー
ドナルド・プレザンス
トム・アダムス
ジェームズ・ドナルド
ジョン・レイトン
ゴードン・ジャクソン
ナイジェル・ストック
アンガス・レニー
ロバート・グラフ
ジャド・テイラー

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