原題:0SAMA

第5回NHKアジア・フィルム・フェスティバル::http://www.nhk.or.jp/sun_asia/index.html カンヌ国際映画祭 カメラドール特別賞、ClCAE賞、カンヌ・ジュ二ア2003受賞 ニューデリー シネマヤ・シネファン最優秀女優賞

2003年/アフガニスタン=NHK/82min/カラー/35ミリ/ダリー語 主催:NHK、NHKエンタープライズ21、NHKプロモーション 配給:アップリンク、ムヴィオラ

2004年11月26日よりビデオレンタル開始 2004年3月13日(土)より東京都写真美術館ホールにてロードショー 2003年12月13日(土)〜21日(日) 第5回NHKアジア・フィルム・フェスティバルにて上映 (会場:東京都写真美術館ホール)

(c)NHK 2003

公開初日 2003/12/13

公開終了日 2003/12/21

配給会社名 0262/0263/0261

解説


復興アフガニスタン第1作
実話をもとに、胸揺さぶる物語が生まれた。

23年にも及ぶ、長い戦争の続いたアフガニスタン。その最後の5年にあたるタリバン時代には、映画を作ることも観ることも禁止されていました。セディク・バルマク監督は、タリバン台頭以前からアフガニスタン映画界をリードするフィルムメーカーでしたが、戦火が激しさを増す中、難民としてパキスタンに亡命。しかし、再び故国で映画を作りたいという夢をいだき続け、亡命中に読んだ「学校へ行く為に髪を切り、少年になったアフガンの少女」という新聞記事を元に脚本を開始。これが『アフガン零年』誕生の発端となったのです。

バルマク監督は、復興アフガンの第1作に、あえてタリバン時代を描くことを選択しました。それは“アフガニスタンの悲劇を忘れないこと”こそが世界に悲劇を繰り返さないために必要だ、という監督の強い思いからの選択だったのです。

物乞いによって生き延びてきた少女:マリナの涙によって変えられた
悲しみのラストシーン

主人公の少女を演じるのは、バルマク監督が3,400人の中から選んだというマリナ・ゴルバハーリ。彼女は、内戦が最も激しかった時代に家と2人の姉を亡くしてカブールに移り住み、脚が不自由になった父親とまだ乳飲み子を抱える母親にかわって、5歳の頃から幼い弟とともに路上で物乞いをして生き延びてきた少女です。

当初、この映画は『虹』というタイトルでした。監督は脚本通り、少女が希望の象徴である虹をくぐり、自由と希望に向かうラストシーンを撮影しました、しかし編集中、戦時下を思い出すたび涙の止まらなくなるマリナの姿を繰り返し映像の中に見た監督は、悩んだ末に虹のシーンを全てカットしたのです。「アフガニスタンの悲劇はまだ終わっていない。今虹を書くのは嘘になる」という監督の思いが込められた新しいラストシーンは、泣くことすら出来ないアフガンの悲しい現実を痛いほど切実に物語っています。

ストーリー

父や兄など一家の男性をみな戦争で失った少女は、貧困の中・祖母・母親と3人で暮らしている。女性が身内の男性を同伴せずに外出すると刑罰が加えられるタリバン政権下で、男性がいないということは、仕事に出ることもできず生活の糧を失うことを意味していた。母親は、少女を少年の姿に変えて働きに出すことを思い付く。「ばれたら、タリバンに殺される」と泣きじゃくる少女を、祖母は“虹をくぐると少年は少女に、少女は少年に変わり、悩みが消える”という昔語りの話でなだめながら、そのおさげ髪を切るのだった。

少年の姿となった少女は、死んだ父親の戦友だったミルク屋のもとで働き出すが、ある日、街のすべての少年がタリバンの宗教学校(マドラサ)に召集されることになり、少女もそこへ連れて行かれてしまう。コーランの授業、身の清め方。少女は、必死の思いでひとつひとつをやり過ごすが、やがてまわりの少年たちに「女だろう」と怪しまれる。「男なら名前は何と言う?」と少年たちに囃し立てられる少女に、少女をよく知るお香屋の少年が助け舟をだす。「こいつの名前はオサマだ」。しかし、その騒ぎに気づいたタリバン兵が、少女を井戸に吊るし、罰を加える。恐怖による衝撃から、少女に初潮が訪れた。少女であることが暴かれ、ブルカを被せられて牢獄に入れられた少女は、やがて宗教裁判の場に引きずり出される−−−。

スタッフ

監督:セディク・バルマク
脚本:セディク・バルマク
撮影:エブライム・ガフォリ
編集:セディク・バルマク

キャスト

マリナ・ゴルバハーリ
モハマド・アリーフ・ヘラーティ
ゾベイダ・サハール
ハミダ・レファー

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す
http://www.nhk.or.jp/sun_asia/index.html
ご覧になるには Media Player が必要となります