私たちの物語は、 偶然ふれあった手と手のぬくもりから始まった…

2003年/カラー/製作:TEPCOひかり/CASTY/角川書店

2004年07月23日よりビデオ発売開始 2004年2月17日よりTEPCOひかり コンテンツサイトcasTYにて配信!

解説


 冴えないデザイナーの青年は、叔母のハンドバッグを盗むため旅館の壁に穴を開け、手を突っ込んだ。だがその瞬間、彼は、たいへんなものをつかんでしまった…?! 薄い壁越しに手と手を握りあう彼と彼女の奇妙なひとときは、互いにどこか寂しさを抱えた二人の心を少しずつ近づけていく…。

 このたびTEPCOひかりとCASTY、角川書店がタッグを組み、ブロードバンド映画『手を握る泥棒の物語』を製作することが決定致しました!
原作は今注目の若手作家、乙一の同名小説。乙一は17歳の時に『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。『GOTH リストカット事件』など現代の若者たちの青春像を描き出してティーンを中心に幅の広いファンを持つ新進気鋭の作家です。さらに監督には、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000グランプリを受賞した『金髪の草原』(池脇千鶴、伊勢谷友介主演)などで高い評価を得、脚本家としても『大阪物語』や『黄泉がえり』等で活躍する犬童一心に決定。切ない少年少女の青春を描かせたら右に出るもののない作家と映画監督の初のコラボレーション作品です。
なお、本作では主演男優のいとこを演じる助演女優を一般からオーディションで募集、ネット上で一般の皆様による投票を経て助演女優を決定するという、ブロードバンド映画ならではの新しい観客参加型映画製作を実現いたしました。

ストーリー

 古い温泉宿がひしめく町に暮らす一人の青年。彼は父親の反対を押し切って友人とデザイン会社を始めたが、両親は事故で他界してしまう。すれ違いのまま逝ってしまった父が、五歳の時に唯一くれたのが金の腕時計だった。以来、青年の心は腕時計に没頭し、いつからか理想の腕時計のデザインをノートに描きためるようになっていった。そんな青年の夢は、自分のデザインした腕時計がヒットし、「デザイン会社など成功するはずがない」と決めつけてあざ笑っていた父親の墓にざまあみろと言いに行くことだった。だが、第一弾として発表した腕時計は不評に終わってしまい、会社の存続自体が危うくなってしまう。
 そんな時、伯母が娘を連れて青年の住む町へやってきた。伯母に会うのは五年ぶり、十八歳のいとこには顔を合わせたこともない。彼女たちは、この温泉町で映画の撮影が行われるというのを聞きつけ、見物にやってきたのだ。その映画にはヒロイン役として若手のアイドル俳優が出演するというが、漢字2文字だけの名前のそのアイドルを、青年は知らなかった。伯母が席をはずしている時、ふとしたはずみに青年は伯母のハンドバッグに高価なネックレスと現金の分厚い封筒が入っているのを目撃してしまう。戻って来た伯母は、旅館の窓下にある押し入れにバッグを仕舞った。
 青年は、友人から自分のデザインした腕時計の第二弾が、資金不足のため発売できなくなったと知らされる。この時計を世の中に発表するために必要な経費は200万円。その時、青年は旅館の押し入れに仕舞われた伯母のバッグのことを思い出していた…。
 その夜、青年は伯母のバッグを盗むため、旅館の薄い壁に外からドリルで穴を開ける。だが手を入れた時、はめていた腕時計をうっかり中に落としてしまう。それは彼がデザインした試作品でこの世にひとつしかないため、盗みの証拠を取り戻そうと慌てて押し入れの中をさぐった、その瞬間——こともあろうに彼の手は、部屋にいた女性の手をつかんでしまった!! 手を握りあったまま、薄い壁越しに会話を重ねる二人。そんな奇妙な出会いから、いつしか二人の心は近づいていくのだった…。

スタッフ

監督:犬童一心
原作:乙一(角川書店刊「失はれる物語」収録)
製作:TEPCOひかり/CASTY/角川書店

キャスト

内山理名
忍成修吾
古手川祐子
ピエール瀧
寺島進

竹中夏海(新人)

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