原題:Italiensk for begyndere

大人になっても恋はできるの?

東京国際女性映画祭2003出品作品 第51回ベルリン国際映画祭銀熊賞ほか全4部門受賞 FIPRESCI(国際批評家連盟)賞、エキュメエック賞、ベルリナー・モルゲンポスト読者賞

2000年12月8日デンマーク初公開

2000年/デンマーク/カラー/35㎜/1:1.37スタンダード/ドルビーSR/112分/ 配給:ザジフィルムズ

2004年2月7日より、シネスイッチ銀座にてロードショー

(C)Zentropa Entertai㎜ents6 Aps All Rights Reserved.

公開初日 2004/02/07

配給会社名 0089

解説


コペンハーゲン近郊の、とある街で、週に一度のイタリア語初級講座を通じて出会った6人の男女のひと冬の物語。

妻を亡くし生きる気力を失った牧師のアンドレアス、独りでいることに慣れてしまった美容師のカーレン、短気が災いしてリストラの危機に瀕しているレストランの雇われ店長・ハル・フイン、不器用ゆえ職を転々としているパン屋の店員・オリンピア、性的不能に陥ったホテルマン・ヨーゲン、彼に密かに思いを寄せるウェイトレス・ジェリア。仕事や恋愛、家族関係にトラブルを抱え、うつむき加減に生きていた彼らが、人々との触れ合いの中で前に進む勇気を取り戻し、やがて自らの手で幸せを掴んでいく…。白夜の国から、水の都へ。ベニスで起こる小さな奇跡が、大人になっても恋はできること、人生はやり直せることを、そっと思い出させてくれます。

世界中で愛された現代のおとぎ話

第51回ベルリン国際映画祭で熱狂的に支持され、銀熊賞をはじめ金4部門を同時受賞、その後も世界各国の映画祭に招かれて数々の賞に輝き、2002年にはアカデミー賞外国語映画賞・デンマーク代表作品にも選出された本作は、一般観客からも愛され、本国デンマークはもとより世界中でヒットを記録しました。特筆すべきはアメリカ。ミラマックスの配給により2002年春公開され、外国語映画としては異例の6ヶ月に及ぶロングランとなりました。北欧から届いた一本の映画が、前年の9.11で深く傷ついていたアメリカ人の心にじわじわと沁み込んで、その興行収入は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の400万ドルを凌ぐ447万ドルに上りました。

注目の女性監督ロネ・シェルフィグ・本邦初紹介作品

監督はこれが長編第3作目となるロネ・シェルフィグ。95年、ラース=フォン・トリアーが提唱して始まった“ドグマ’95”の手法で撮影された本作はドグマ12作目にして、初の女性監督による作品です。ハンドカメラで対象ににじり寄り、人間の本質を炙り出していくのを特徴とする従来のドグマ作品(『セレブレーション』『イディオッツ』等)と手法を同じくしながらも、“最も心温まるドグマらしからぬドグマ映画”(ヴィレッジボイス誌)との評価を得ました。出演は『ミフネ』のアンダース・W・ベアデルセン他、デンマークの舞台・テレビ・映画界で活躍する実力派揃い。最高のアンサンブル演技に、見る者誰もが登場人物の一人一人に感情移入せずにはいられません。『セレブレーション』のトマス・ヴィンダーベアによる英語映画『It’s all about love』、スザンネ・ビェールによる女性監督2作目のドグマ作品『しあわせな孤独』、ラース=フォン・トリアーによるカンヌ出品作『Dogville』etc…、2003年末から2004年にかけて続々と公開されるデンマーク人監督の話題作の中にあって、とびきりチャーミングな光を放つ注目作、恋がしたくなる映画です。

ストーリー


初冬、コペンハーゲン近郊のとある町。偏屈な性格が災いし職を追われる初老の牧師レッドマンの代理として赴任した新米牧師アンドレアスは、レッドマンが牧師館を空けわたさないため町のホテルに泊まるはめになった。チェックインの際、ホテルのフロントマン・ヨーゲン・モーデンセンは、アンドレアスがイタリアの名車・マセラッティに乗っていると知ると、いきなりイタリア語で自己紹介を始める。ヨーゲンは市の主催する週に一度のイタリア語初級講座に通っているのだ。

講座で一番イタリア語の上達が早いのが、ヨーゲンの親友で孤児院育ちの元サッカー選手、ハル・フィンだ。彼はヨーゲンの勤めるホテルの経営するスタジアム・レストランを任されているが、生来の短気と口の悪さで客からの苦情が絶えない。上司はヨーゲンに「ハル・フィンをクビにしろ」と命じるが、お人好しの彼にはとても言い出せず、長髪のハル・フィンに「髪を切れ」などと助言して、リストラを先送りにしてしまう。

ヨーゲンの助奮を聞き訪れた美容室で、ハル・フィンは美容師のカーレンと出会った。彼女は、病気の母親の我儘に毎日のように振り回され、看病とその関係に疲れ果てていた。ハル・フインとカーレンは出会ったその時から、お互いに惹かれ合うが、母親や他の客の来店に邪魔されてなかなか前に進めない。関係が進展しないどころか、いつもタイミングが悪く、髪さえ切ってもらえないハル・フィン。

ハル・フィンの働くレストランにパンを卸しているパン屋で働く不器用なオリンピア。部屋でテレビばかり見て当り散らす父親との生活を変えるために、彼女もまたイタリア語講座に通うことを決意した。父から、「お前の母親はイタリア人で、お前を捨ててイタリアに帰った」と聞かされて育った彼女は、イタリア語に強い興味を持っていたのだ。しかし初の受講日に講師が心臓発作で帰らぬ人となり、講師不在と定員割れを理由にイタリア語講座は閉鎖を余儀なくされてしまう。

半年前に愛する妻との死別の辛さを味わい神父になることを決心したアンドレアスに、教会の助手は気晴らしにイタリア語講座に通うことを勧める。ある日、講座の閉鎖を知らずに教室にやってきたアンドレアスとオリンピアは少しずつ話しをするようになる。帰り際、服のボタンの掛け違えを直してくれるアンドレアスに頬を染めるオリンピア…。

オリンピアの父親が突然死んだ。独りぽっちとなった彼女の元に、今度は「母親が死んだ」という電話が入った。しかもイタリアに居るはずの母親は、この同じ街で暮らしていたという。父の言葉を信じていたオリンピアだったが、今では確かめようもない。混乱したまま、母の葬儀が行われるというアンドレアスの教会を訪れた彼女は、そこで見知らぬ女性と鉢合わせする。美容師のカーレンだった。「何かの間違いでは。これは私の母の葬儀よ」「いいえ、私の母の」。実は二人は父親の違う姉妹だったのだ。

その頃ハル・フィンは、ヨーゲンに業を煮やした上司から直接解雇を言い渡されてしまった。ひそかにヨーゲンに思いを寄せていたイタリア人のウェイトレス・ジュリアも、ハル・フィンが辞めてしまえばヨーゲンも店に来ることはなくなる、とレストランを一緒に辞めてしまう。しかし実はジユリアは片思いではなかった。ヨーゲンもジュリアを深く愛していたのだ。ヨーゲンは数年前から性的不能に陥っており、それが理由でなかなかジェリアにアタックする決心がつかないでいたのだ。

代理の講師が見つかり、イタリア語講座が再開された。新任講師を待つアンドレアスたちの前に現れたのは、なんとハル・フィンであった。再開されたイタリア語講座には、オリンピアに誘われて姉のカーレンも顔を出した。思いがけない場所で再会し、愛し合うようになったハル・フインとカーレン。だが、クリスマスの夜、ハル・フインの口の悪さから仲違いしてしまう。一方、ヨーゲンは遂に決心してジュリアに思いを告げようとするが…。

ある日、講座で「皆でイタリアに行こう」という話が持ち上がる。どこに行こうか?と言い合うハル・フインたちに、オリンピアが提案する。「ベニスはどう?」。ハル・フィン、アンドレアス、オリンピア、ヨーゲン、他のクラスメイトたち、ベニスの運河で記念撮影をするイタリア語講座の一行の中に、ハル・フィンと喧嘩別れしていたカーレン、ヨーゲンに誘われたジェリァの姿もあった。それぞれの思いを胸に、べニスの夜が更けていく…。

スタッフ

監督・脚本:ロネ・シェルフィグ
製作:イプ・ターディーニ
撮影:ヨーゲン・ヨハンソンン
録音:ルーネ・パルビィング
編集:ゲアード・チュア
スティル:ラース・ツーグステッド
助監督:ニルス・ライアーマン
記録:シヤーロッテ・ランゲ・ポールセン
撮影助手:トーマス・ホルム・クリステンセン
ビデオ助手:ミカエル・トゥットゥ
集音:ミッケル・グロース
録音助手:キヤスパー・ムンク・ハンセン
ロケ助手:ヘッレ・ブーネルッケ
配役:アンヤ・ツィリップ
製作担当:カーレン・ベンツォン
製作調整:イングリッド・コフォード
製作主任:ウィリアム・キヌッテル
製作助手:サリタ・クリステンセン

キャスト

アンドレアス:アンダース・W・ベアデルセン
オリンピア:アネッデ・ストゥーベルベック
ヨーゲン・モーデンセン:ピーター・ガンツェラー
カーレン:アン・エレオノーラ・ヨーゲンセン
ハル・フィン:ラース・コールンド
ジュリア:サラ・インドリオ・イェンセン
教会助事:エルセベス・スティーントフト
看護婦:リッケ・ウォルク
不動産業者:カーレン・リセ・ムンスター
レッドマン牧師:ベント・マイディング

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す