原題:Seabiscuit

本年度アカデミー賞最有力候補! 全米が泣いた勇気と感動の実話、ついに映画化

2003年7月25日全米初公開

2003年/アメリカ/カラー/141分/ 配給:UIP映画

2004年08月18日よりDVD発売開始 2004年1月24日より正月第二弾日比谷スカラ座1他にてロードショー

公開初日 2004/01/24

配給会社名 0081

解説


●一度や二度のつまずきは、誰にでもある

≪彼らはどこからともなく現われた≫
1930年代のアメリカ。史上稀に見る大恐慌によって人々は仕事を失い、日々の糧すら約束されない毎日を過していた。生きるべき家を失くし、絶望のどん底で苦悩している彼らに、鮮やかな希望の灯を点したのは、大統領でも銀幕のスターでもなく、一頭のサラブレットだった。そして、この馬に起死回生の生涯を賭けるべく、めぐり逢った3人の男たち。こうして彼らは、波乱に見舞われた合衆国に勇気と興奮、そして何より感動に満ちた歴史のドラマを刻み込んでゆく……。

『シービスケット』は、436万部を超えるベストセラーとなったローラ・ヒレンブランドのノンフィクション「シービスケット あるアメリカ競走馬の伝説」(ソニーマガジン刊)の待望の映画化作品である。今年7月28日に公開されるや「この物語に胸を熱くしない人はいない」(ニューズウィーク)「われわれの感情を揺さぶる感動作」(ローリングストーン)と大絶賛され、その後、夏の大作群と堂々と渡りあい、2ヶ月以上に渡ってベストテン入りを続けるロングラン・ヒットとなった。また、興行収入も1億1千ドルを突破、その人気は今も衰える気配をみせず、早くも今年度のアカデミー賞最有力と、その賛辞は、日毎に高まるばかりだ。

大恐慌によって、一家離散に見舞われた天涯孤独の騎手ジョニー・”レッド”・ポラード、巨万の富を手にしながら、愛する者を失った西部の自動車王チャールズ・ハワード、そして、故郷というべき”西部”を近代化の波によって奪われた孤独なカウボーイ、トム・スミス。彼らは、《シービスケット》という一頭の小柄なサラブレットに導かれるように出逢い、まるで家族のような絆で結ばれ、生きる希望をみ取る。と同時に、逆境を跳ね返し、連戦連勝を重ねる《シービスケット》の雄姿は、過酷な毎日を生きる人々に勇気を与え、”貧しき者たちのヒーロー”として、熱狂的な人気を獲得する。ところがそんな折、レッドは騎手として再起不能の重傷を負い、そして《シービスケット》もまた競走馬として致命的なケガをしてしまう。こうして、彼らの奇跡にも似た再起への闘いが、今、幕を開ける……。

≪3人の男優たちの粋と、一流スタッフの結集≫
アメリカ競馬史に残る名ジョッキー、レッドを演じるのは、『サイダーハウス・ルール』『スパイダーマン』と、今や名実ともにアメリカ映画界で最も熱い注目を集める若き演技派、トビー・マグワイア。本作の製作総指揮も務めた彼は、役作りのためにおよそ10キロの減量に挑戦すると同時に、ジョッキーらしい体つきを獲得するために週3回の過酷なトレーニングを続けるという、ロバート・デ・ニーロばりの果敢なアプローチを見せ、イメージ一新の新境地を開くことに成功した。また、魅力的な容貌と鮮やかな話術の持ち主である自動車王ハワードに、『ザ・コンテンダー』など4度のアカデミー賞候補を誇る名優ジェフ・ブリッジス、昔気質のカウボーイであり、馬の調教に天才的な手腕を発揮するスミスに『アダプテーション』でのオスカー受賞も記憶に新しい実力派クリス・クーパー。今、最も脂の乗った3人の男優が醸し出す、古き良きアメリカ男性の粋は、観る者をうならせずにはおかないだろう。共演は、ハワードの妻マーセラに、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の新星エリザベス・バンクス、サンタアニタ競馬場の名物実況アナウンサー、”ティック・トック”・マクグローリンに、『ファーゴ』の個性派ウィリアム・H・メイシーが脇を固めるほか、レッドの永遠のライバルであり、唯一無二の親友となる騎手”アイスマン”・ウルフを、実際の名誉の殿堂入りジョッキーであるゲイリー・スティーヴンスが俳優初体験とは思えない堂々たる名演でみせ、競馬シーンに得がたいリアリティを注いでいる。

監督は、『カラー・オブ・ハート』でその実力を遺憾なく発揮したゲイリー・ロス。『ビッグ』や『デーヴ』の脚本家としても高く評価される彼自らこの長編ベストセラーの脚色に挑戦。原作者ヒレンブランドをして「彼の創造性とビジュアル・センスに魅了された」と言わしめる渾身作を生み出した。ロスとともに製作を務めるのは、『A.I.』のキャスリーン・ケネディと『サイン』のフランク・マーシャルというヒットメイカー・コンビ。撮影は『アルマゲドン』のジョン・シュワルツマン、プロダクションデザイナーは『L.A.コンフィデンシャル』のジャニーン・オッペウォール、衣裳デザインは『ハリー・ポッターと賢者の石』のジュディアナ・マコフスキー、そして音楽は『モンスターズ・インク』でオスカー受賞のランディ・ニューマンという一流スタッフが結集。また時代背景の”語り”を、歴史作家として名高いデヴィッド・マックロウが初めて担当、感動のドラマに重厚な歴史の厚みをもたらしている。

めまぐるしい時代の転換期に、鮮やかに失意から甦り、全米のヒーローとなっても、なお不屈の魂で”不可能”に挑戦した壮絶な再起の実話は、現代を生きるわれわれの心も、感動と勇気で満たしてくれる。この冬、必見の傑作である。

ストーリー


●傷ついた3人の男とシービスケットの出会い—そして奇跡が生まれた。

1910年、夢と希望を抱いてニューヨークからサンフランシスコにやって来たチャールズ・ハワード(ジェフ・ブリッジス)は、《世紀の発明品》自動車の将来性に目をつけた。数年後、その人目を惹く容貌と巧みな話術を武器に、ハワードは西海岸で最も成功した自動車ディーラーとして莫大な富を手に入れていた。
ところが、ハワードの栄華も長くは続かなかった。最愛の息子フランキーを15歳の若さで、皮肉にも自動車事故で亡くした彼は、失意のどん底に陥り、仕事にも身が入らなくなる。ほどなく妻のファニーもハワードのもとを去っていった。

その頃、孤高のカウボーイ、トム・スミス(クリス・クーパー)は、折からの自動車産業の発展によって馬の需要がめっきり減り、まるで時代遅れの生きた遺物さながらだった。こうして、スミスは食いぶちを稼ぐため、西部劇《ワイルド・ワイルド・ショー》の馬の調教師として、各地を転々と旅することになる。

一方、カナダのアルバータ州では、16歳の少年ジョニー・ポラードが、乗馬の才能を磨いていた。アイルランド移民の一家に生まれ育ったジョニーは、両親の愛に恵まれ、文学に親しみながら、何不自由なく暮らしていた。1929年10月までは−−。
その日、ニューヨークのウォール街で株が大暴落、アメリカ大恐慌時代の幕開けである。ポラードの一家も例外ではなかった。無一文となった両親は、ジョニーの乗馬の才能に将来の夢を賭け、草競馬の世界に愛息を託す。天涯孤独の身となったポラードは、その赤毛から愛称《レッド》と呼ばれ、文学を唯一の心の支えに、競馬の騎手として身を立ててゆく。

6年後、レッド(トビー・マグワイア)は騎手としてはいささか大柄な青年に成長していた。馬上で騎手が殴りあう、格闘技にも等しい過酷な地方競馬のレースで、しかし彼が手にする賞金はごくわずか。仕方なく、アマチュア・ボクシングの試合に出て生活費を稼ぐレッドだが、実はこの時代に右目をひどく負傷してしまい、やがて騎手として致命的な失明の危機が訪れるとは、彼自身、予想すらしていなかった。

1933年、時は禁酒法下、多くの人々がメキシコのティファナに、ひと時の歓楽を求めて押しかけていた。酒、女、そして競馬。ハワードもそんな男のひとりだった。いわば、離婚の《気晴らし》旅行で、彼はひとりの女性と運命的な出逢いをする。マーセラ・ザバラ(エリザベス・バンクス)と名乗る若くて美しく、何より快活な彼女は、たちまちハワードの心をとらえ、ふたりは電撃的に結婚。そして、乗馬の愛好家であるマーセラの影響もあって、やがてハワードは競馬の世界にその身を投じてゆく。

そんなある夜、ハワードは森でひとり、骨折した馬を黙々と治療しているスミスを見かける。「ケガしたからといって、命あるものを殺すことはない」と呟く彼に感銘を覚えたハワードは、折から探していた馬の調教師として、スミスを雇うことにする。

3ヵ月後、ニューヨークのサラトガ競馬場で、スミスは、《シービスケット》と呼ばれる鹿毛の馬の目に、言いしれぬ資質が潜んでいることを見抜いた。名馬《マンノウォー》の子孫という、優れた血統の持ち主だが、気性の荒いこの小柄な馬は、数多くの調教師からさじを投げられ、いまや見捨てられたも同然の存在だった。しかし、スミスは、ハワードにシービスケットを購入するよう勧める。
果たして、スミスでさえも手を焼く暴れ馬、シービスケットを「もう一度、”馬”に戻すため」スミスが目を留めた騎手は、競馬場でまさに”暴れ馬”さながら大喧嘩していたレッドだった。

レッドは、怠け癖のあったこのサラブレットから瞬時に、名馬の血を受け継ぐに相応しい記録的な走りを引き出した。いまだ困窮に苦しむアメリカの庶民たちは、この小柄ながらも逆境に立ち向かうシービスケットの活躍に、時代のヒーローとして自らの境遇を重ねあわせ、熱狂的な歓迎ぶりをみせる。事実、シービスケットが出走する各地の競馬場には収容しきれないほどの観客が集まったのだった。

シービスケットは連戦連勝、意気あがるハワードは旧知の仲であるサンタアニタ競馬場のオーナーを口説き落として、史上最高額の賞金10万ドルのレースを決行する。
果たして、レースはシービスケット優位のまま進んでいった。誰しもが、シービスケットの勝利を確信したその瞬間、レッドは右後方から迫ってきた馬の存在に気づかず、まんまとゴール前で逆転されてしまう。実はそのとき、すでにレッドの右目の視力は失われていたのだ。「裏切られた」と逆上するスミスを、ハワードはこう穏やかに慰める。「ちょっとのケガで、命あるものを殺すことはないさ」

名誉挽回の機会を窺うハワードは、東部の三冠馬として名馬の誉高い《ウォーアドミラル》との世紀のマッチレースを提案する。競馬ファンも、この二頭の対決を心待ちにしていた。しかし、ウォーアドミラルのオーナーで、大富豪リドル氏はなかなか首を縦に振らない。そこで、ハワードは世論の後押しを得るため、派手な全米横断ツアーに繰り出し、各地でこのレースの実現に熱弁を奮う。そして、リドル氏の条件をすべて受け入れたハワードは、11月1日、ピムリコ競馬場でのマッチレースを実現させた。

準備も万端に思えたそんなある日、請われるまま一頭の馬に跨ったレッドは、突然、その馬が暴れだし落馬、あぶみに足を取られたまま暴走され、再起不能の重症を負ってしまう。「レッド以外は騎乗させない」と、ハワードはやむなくレースを棄権しようとするが、レッドは親友の騎手”アイスマン”・ウルフ(ゲイリー・スティーヴンス)にシービスケットへの騎乗を依頼する。快く彼の願いに応じたウルフに、レッドはシービスケットのレースの癖を事細かに伝授、マッチレースで見事、勝利を収めるのだった。

しかし、レッドは「歩けるが、二度と乗馬はできない」との診断を受け、一方のシービスケットも、数ヵ月後のあるレースの最中、脚の靱帯切断の事実が判明、引退を余儀なくされる。が、彼らは諦めなかった。こうして今、満身創痍となったレッドとシービスケットの、奇跡にも似たカムバックへの戦いが幕を開けるのだった……。

スタッフ

ゲイリー・ロス:監督・製作・脚色
キャスリーン・ケネディ:製作
フランク・マーシャル:製作
ローラ・ヒレンブランド:原作
ゲイリー・バーバー:製作総指揮
ロジャー・バーンバウム:製作総指揮
トビー・マグワイア:製作総指揮
アリソン・トーマス:製作総指揮
ロビン・ビッセル:製作総指揮
ジョン・シュワルツマン:撮影監督
ジャニーン・オッペウォール:プロダクション・デザイン
ウイリアム・ゴールデンバーグ:編集
ジュディアナ・マコフスキー:衣裳デザイン
ランディ・ニューマン:音楽
クリス・マカロン:レース・デザイナー

キャスト

トビー・マグワイア:ジョニー・"レッド"・ポラード
ジェフ・ブリッジス:チャールズ・ハワード
クリス・クーパー:トム・スミス
エリザベス・バンクス:マーセラ・ハワード
ゲイリー・スティーヴンス:ジョージ・"アイスマン"・ウルフ
ウィリアム・H・メイシー:"ティック・トック"・マクグローリン
デヴィッド・マックロウ:ナレーション
キングストン・デュクール:サム
エディ・ジョーンズ:サミュエル・リドル
エド・ローター:チャールズ・ストラブ
マイケル・オニール:"レッド"の父
マイケル・アングラーノ:"レッド"少年時代
アーニー・コーレイ:"レッド"の母
ヴァレリー・マハフィー:アニー・ハワード

LINK

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