原題:龍城正月/DRAGON TOWN STORY

愛など欲しくない。憎む術だけ教えてください。

1996年/中国/カラー/93分/ヴィスタサイズ/ドルビー/ 配給:クライドフィルムズ

2004年01月01日よりビデオリリース 2003年12月19日よりDVD発売開始 2003年10月25日よりキネカ大森ほか全国ロードショー

(C)1996 TIANJIN FILM STUDIO/WIN'S ENTERTAINMENT LIMITED

公開初日 2003/10/25

配給会社名 0419

解説


チャン・イーモウは「紅いコーリャン」「菊豆」「紅夢」で制度に虐げられた女性をテーマにし、そして強烈な色彩感覚を用い、個性的なイメージを観るものに与えた。「秋菊の物語」ではドキュメンタリ−的な斬新な映像とリアル感を、そして「活きる」「上海ルージュ」では歴史の事実の中に主人公を置き、それらの背景、そして真実をも伝えてきた。その後に撮られた本作品では、彼は新たなチャレンジとして監督、撮影、そして出演という今までの形とは違い、製作総指揮というマネージメント的立場として映画製作に携わった。この後の変化として、「あの子を探して」「初恋のきた道」では個人という立場に焦点をあてるようになり、最後にはヒロインの姿勢を応援する、余裕のある世界へと変わっていったのである。

チャン・イーモウの作品が日本で紹介され始めた頃は「紅いコーリャン」「菊豆」「紅夢」と、画面を染める真っ赤な色調、色彩センスが大絶賛され、女性を表していると言われた。また、一方にはその紅は、強く“生”に対する執着心のようなものである。チャン・イーモウはこの紅とは、強烈な生と死のシンボルであり、自分が何故それに惹かれるかというと、中国社会そのもの、そして自分の父が国民党員だったため、小さい頃から差別を受けていた事の2つから解放されたかったからかもしれないと答えている。本作の映像の中にもこの意識された“紅”は印象的に使われている。オリジナルのポスターから宣伝用のスチール写真に至るまでこの“紅”で埋め尽くされている。この作品のテーマのひとつが強烈な生と死であるということからもうかがえる事である。

本作品の監督、ヤン・フォンリャンとチャン・イーモウは、今まで二本の作品「菊豆」と「ハイジャック 台湾海峡緊急指令」の共同監督を務めた。いわば二人は良きパートナー、コンビとして映画を製作してきた。2作品ともチャン・イーモウ監督作品ということで知れ渡っており、ヤン・フォンリャンとの共同監督ということはあまり知られていないが、「ヤンがいなければ、この2作品とも私一人では到底撮り切る事は出来なかっただろう」ともチャン・イーモウは言っている。そして、本作でこの名コンビが復活した。今回は製作総指揮と監督という、今までとは違う立場ではあったが、「お互いに十分に話し合い、そして協力し合った。二人の考え、想いが詰まった良い作品に仕上がった。」とヤンは話している。

初監督作品の「紅いコーリャン」から1985年の「上海ルージュ」まで7作品、チャン・イーモウはコン・リーを主役として起用してきた。「チャン・イーモウの映画は全てコン・リーの為に撮っている」とも言われた。その後、彼の特徴でもある愛らしくも、強く胸を打つ少女達の主演作が続き、そしてチャン・ツィイーとの出会いとなる。この二人の才能に満ちた原石を発掘し、磨き上げ、一流の女優への作り上げたチャン・イーモウの力は偉大なものである。本作の主演ウー・チェンリェンは、どこかコン・リーを思わせる雰囲気を持ち合わせておリ、力強い、そして芯の強い女性を演じ、また、愛に一途なところも、どこかコン・リーに似ているのかもしれない。

ストーリー

チャン家の結婚披露宴は暗殺者の出現で血の海と化した。殺戮を逃れたのは花嫁のランチュエン、ただ1人。

数年を費やして、暗殺者を雇ったのが長年チャン家と反目してきたドラゴン・タウンの地主のシオンだったことを突き止めたランチュエンは名高い暗殺者リーを探して復讐を依頼するが、断られてしまう。自分の手でシオンを殺そうとして傷を負ったランチュエンに、リーは仕事を受けると告げ、妻のふりをするように言う。実は、リーはシオンを追い落とそうとしていたフーに雇われていたのだった。
  商用と偽ってドラゴン・タウンへ入ったリーとランチュエンは、シオン家の夕食に招待される。シオンは2人の身元を疑うが、リーの肩に傷がないのを見て自分を殺そうとした暗殺者ではないと納得する。一方、ランチュエンの美貌に惹かれたシオンの息子は彼女に絵のモデルになってくれるよう頼み、彼女もシオン家へ入り込むため、申し出を受けることにする。
  旧正月の夜、シオンの屋敷に泊まったリーとランチュエンは愛を確かめ合った。リーはシオンが主催する大仏の開眼供養の席でシオンを殺すことを決める。だが供養の当日、シオンは急用で出席できないことになり、シオンの息子が当主の代わりを務めることになった。事情を知らないリーはシオンの息子を射殺してしまう。皮肉な展開にショックを受けるランチュエン。容疑をかけられたフーは罪を逃れるため、ランチュエンを「暗殺者」の共謀者に仕立て上げ、シオンに差し出されてしまう・・・

スタッフ

製作総指揮:チャン・イーモウ
監督:ヤン・フォンリャン
脚本:ヤン・チャン、チン・シー

キャスト

ウー・チェンリェン
ユウ・ヨン

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