原題:Choses secrètes

言葉に、してはいけないこと。

2002年10月16日フランス初公開

2002年/フランス/スタンダード/DTSステレオ/115分/ 配給:バップ、ロングライド

2004年05月26日よりDVD発売開始 2003年11月1日よりシアター・イメージフォーラムにてロードショー 2004年05月26日よりビデオリリース

公開初日 2003/11/01

配給会社名 0076/0389

解説


妄想と欲望の巨人ブリソーがすべての女性たちに贈る、美しくも残酷な「性」の寓話。

ヌーヴェルヴァーグを生んだフランスの映画誌カイエ・デュ・シネマのベストlOで、アルモドヴァルや宮崎駿を抑え、キアロスタミの『lO話』とともにベスト1を獲得したフランス映画界の異才ジャン=クロード・ブリソーの危険な最新作。日本ではR-18指定の公開である。
 主人公は、美しいからだを持つ、ふたりの若い女性。ふたりは、そのからだで、世の中をひざまずかせたい、と決意する。そのために彼女たちはありとあらゆることをする。ただひとつ恋に落ちることを禁じて。しかし、ある男に近づいた時、ふたりのシナリオは破滅へと向かい始める。
 若い女性が成功のために、「セックス」を武器にすること。それ自体は、古典的ともいえる野心と官能の物語である。しかし、『ひめごと』は、ブリソー監督によって、時代を超越し、エロティシズムの向こう側へと見るものを誘う。
 観客の想像を利用し、オフィスを最大限にエロティックな空間に変えてしまうセックス表現の試み。当たり前な顔をした日常の裂け口から、突如として現れる、幻想と妄想。そして、これは悲劇?それとも残酷なハッピーエンド?と、見るものに問いを投げかけるラスト・シークエンスは、運命の偶然性と混沌をあざやかに物語っている。
 主演のサンドリーヌとナタリーを演じるサブリナ・セヴクとコラリー・ルヴェルは、ブリソー監督によって大抜てきされた若手女優。ベテラン男優ロジェ・ミルモンが、サンドリーヌに翻弄されるドラクロワ役で脇を固めている。編集は、『緑の光線』はじめエリック・ロメール作品で知られる名手マリア=ルイーザ・ガルシアがあたっている。
 フランスの名匠エリック・ロメールに発掘され、80年代初頭に監督デビュー。『かごの中の子供たち』などの秀作を発表し、『白い婚礼』では現ジョニー・デップ夫人である女優ヴァネッサ・パラディを発見。『ひめごと』は、サドやコクトーを思わせ、パゾリーニ、オオシマの後継とも呼ばれる、妄想と欲望の巨人ブリソーの集大成である。

ストーリー


男たちの欲望を弄び、その美しいからだで、世の中をひざまずかせたい。
ふたりは、何をしてもいいと思った。
言葉にしてはいけないことさえも。

パリのクラブで働くサンドリーヌは、男たちの欲望を煽動するヌードダンサーのナタリーに憧れの感情を抱く。オーナーとのトラブルで店を放り出されたサンドリーヌは、ナタリーの部屋に転がり込む。
これまでの男性経験のなかで真のエクスタシーを知らないサンドリーヌに、ナタリーは、快楽とSEXが人生においていかに強力な武器をなるかを教えた。快楽とSEXは男たちのためではない。自分自身のために使うのだと。
メトロの駅で下着をとって男の注意を引いたり、ナタリーに見られながらの自慰行為でエクスタシーを感じたり、サンドリーヌはしだいに性のタブーを超えていく。そして、ふたりはその若く美しいからだを使い、成功への階段を駆け上がるプランを立てる。彼女たちは、まず、ある一流企業に潜り込む。サンドリーヌは、上司のカデヌを翻弄するが、やがてターゲットは社長の誠実な右腕で実力者のドラクロワヘと変わる。
ある日サンドリーヌは、オフィスで妖しい魅力を放つ男クリストフを見かける。彼は社長の御曹子でありながら会社にあまり姿を見せず、次々に女性を捨て、中には彼の目の前で焼身自殺をした女性もいたという。
ナタリーが調べあげたドラクロワの行動パターンをもとに、彼を陥落する計画を実行したサンドリーヌは、まんまと彼の秘書に。そしてある夜、人気のないオフィスで、自慰行為をする姿をわざとドラクロワに見せ、彼と肉体関係を結ぶ。これを機に、ドラクロワは何も知らず、愛欲に溺れていった。サンドリーヌが着々と計画を進める一方、教師であったはずのナタリーは自らにも禁じていたはずの恋に落ち、苦しんでいた。
しかし、計画は進行する。会社を休んだサンドリーヌを心配して、彼女がナタリーと暮らすアパルトマンを訪ねたドラクロワが目にしたものは、全裸で互いを愛撫し快楽に身をゆだねるふたりの姿だった。
ショックを受けるドラクロワだったが、それでもサンドリーヌを失いたくないと願い、ふたりにますます翻弄されていく。そして、ある晩、3人での情事をクリストフに目撃され、大きな弱味を握られてしまう。
クリストフは、ふたりの女たちをレストランに招き、父の帝国を受け継ぐべく、偽装結婚の計画に加担するよう、サンドリーヌを誘う。彼女は、クリストフこそがナタリーの苦しい恋の相手だと知るが、その魅力にひかれ、彼とのSEXによって初めてのエクスタシーを得る。
クリストフの屋敷に招かれたサンドリーヌは、彼と実の妹との禁断の関係を知る。クリストフは、妹と一緒の3人の行為をサンドリーヌに強要。そこへ恋の劫火に灼かれたナタリーが現れる。彼女はすでに正気を失っていた。

ふたりは、果たして
このゲームの勝利者なのか?
それとも……。
幸福は、手ひどく、苦い味がした。

クリストフと結婚し、成功を手にしたように見えたサンドリーヌだが、彼が愛しているのは妹だけだった。結婚式の夜、屋敷では危険な宴が催されていた。無数の男女が至る所で、交わっているのだ。
そこヘクリストフの父が亡くなったという報せが入り、彼はついに権力を手にする。もはや必要のなくなったサンドリーヌは欲望に狂った男たちの中に投げ込まれる。
残酷な仕打ちにぼろ屑のようになったサンドリーヌを、クリストフは屋敷から追い帰そうとする。そこにナタリーがガソリンを持って現れる。死をも辞さぬその姿にも、冷笑を浮かべ、存在さえも無視して立ち去ろうとするクリストフに、ナタリーは数発の銃弾を放つ。
数年後。ある雨の日。帝国の財産を受け継ぐ未亡人となったサンドリーヌが、リムジンに乗り込もうとした時、彼女はナタリーの姿を見つける。刑期を終えた彼女は、今は夫と子供とともに幸福そうだ。
ふたりは、しばし抱き合い、そして別れた。リムジンの扉を開けるのは、忠実な部下となったドラクロワだ。サンドリーヌとナタリー。彼女たちは、望み通りこのゲームに勝ったのだろうか。

スタッフ

監督・脚本:ジャン=クロード・ブリソー
編集・美術・衣裳:マリア=ルイーザ・ガルシア
第一助監督:シュリー・ナヴァーロ
撮影:ウィルフリッド・サンペ
音響:グザヴィエ・ピロエル
製作:ジャン=フランソワ・ジュネックス、ジャン=クロード・ブリソー

キャスト

サブリナ・セヴク
コラリー・ルヴェル
ロジェ・ミルモン
ファブリス・ドゥヴィル

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