原題:21 Grams

命が消えるその時に、人は21グラムだけ軽くなる。 太った人も、痩せた人も、 貧乏人も、金持ちも、 幸せだった人も、そうでない人も 誰もが等しく失う重さ。 それは、私たちがこの世に置いて行く“何か”の重さ。 ──あなたが残す21グラムは何ですか?

2004年/アメリカ/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSR・ドルビーデジタル/124分/ 全米配給:フォーカス・フィーチャーズ 配給:ギャガ・ヒューンマックス

2004年11月05日よりDVD発売開始 2004年11月05日よりビデオレンタル開始 2004年6月5日より丸の内ピカデリー2他全国松竹・東急系ロードショー

公開初日 2004/06/05

配給会社名 0025/0145

解説



ひとつの心臓(ルビ:ハート)に引き寄せられた1人の女と2人の男の物語
世界中の人々の心臓を震わした2004年最高の感動傑作!

 今この時も、海の向こうでは、たくさんの人々が“21グラム”の重さについて考えている。家族や友人、愛する人とその重さのことを語り合っている。きっかけは、ヴェネチア映画祭で3部門受賞、ナショナル・ボード・オブ・レビューのトップ10作品賞と主演男優賞を受賞、そしてゴールデン・グローブ賞に3部門ノミネートされ、全米マスコミが血の通った熱い言葉でアカデミー賞最有力作品と大絶賛している映画『21グラム』だ。この映画を観た人は自分自身に問いかけずにはいられない。人が死ぬ時に失くす21グラムとは、いったい何の重さなのか、と。
 全く別の世界に生きていた1人の女と2人の男の運命を引き寄せたのは、ひとつの心臓だった。余命1ヶ月と宣告されて、心臓移植以外に助かる道のないポール。ドラッグに依存していた過去を断ち切り、今では優しい夫と2人の幼い娘と幸せに暮らしているクリスティーナ。信仰に没頭することで、心の平静を得ようとする前科者のジャック。ある日、ジャックが運転するトラックが、クリスティーナの夫と娘たちの命を奪ってしまう。夫の心臓はポールに移植され、やがて回復したポールが、どうしても心臓をくれた人を知りたいと熱望した時、3人の運命は出会い、重なり、よじれ、予想もしなかった結末へとたどり着く。いや、愛、悲しみ、罪の激流にもがきながら、それでも泳ぎ続ける3人がたどり着いたのは、結末ではなくすべての始まりだった…。
 21グラムに傷つき、救われながら、3人の遠い遠い心の旅は、人が持って生まれた一番美しい才能とは何かを教えてくれる。それは、たとえ百億の絶望が空から降り注いでも、たったひとつの希望を見つけ出せる力。どうか、気をつけて観てほしい。荒々しいまでの感動が、ふいにあなたの心臓が鷲掴みにしてしまうから。

今、ハリウッドで考え得る最も魅力的なキャスティング
超一流俳優たちが出演を熱望したメキシコの新たなる才能

 現在のハリウッドで、これほど贅沢で魅惑的なキャスティングが他に考えられるだろうか。『ミスティック・リバー』のショーン・ペン、『トラフィック』のベニチオ・デル・トロ、そして『マルホランド・ドライブ』のナオミ・ワッツ。アカデミー賞に過去3度ノミネートされているショーン・ペンと、すでにオスカーを獲得したベニチオ・デル・トロの眼差しひとつで人生を語り尽くす圧倒的な存在感がスクリーンを支配する。しかし、何と言っても心に深く突き刺さるのは、様々な愛の形を髪の毛一本から指の先まで全身に宿らせて表現するナオミ・ワッツだ。愛する者を失くしてしまうという、いつ誰にでも起こり得るクリスティーナの悲しみは、深い共感を呼ぶだろう。
 類まれなる演技力を持つこの3人が、デビュー作『アモーレス・ペロス』を観て「彼の映画に出たい」と熱望した監督、それがメキシコの鬼才アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥである。他の誰にも似ていない彼独自のスタイルは、2作目にして早くも “イニャリトゥ主義”という言葉を生み出した。いい加減で間違いだらけで失敗ばかり、それでも愛さずにはいられない人間存在の真実を追及するために、リアリズムにこだわった徹底的なリサーチが行われ、脚本は何10回となく書き直され、綿密なリハーサルが繰り返され、撮影は可能な限り物語の流れ通りに進められる……そのため、前作も本作も準備期間から完成まで実に3年の月日を費やした。
 監督を支えるスタッフにも豪華な顔ぶれが揃った。脚本は、小説家としても名高いギジェルモ・アリアガ・ホルダン。手持ちカメラで登場人物の息づかいにまで迫る撮影は、『8Mile』のロドリゴ・プリエト。また、登場人物の心象風景に迫るために時を自由に前後する独特な編集は、『トラフィック』でアカデミー賞に輝いたスティーヴン・ミリオンが担当している。
 その他、ポールの妻には、今やフランスを代表する女優の1人、『フェリックスとローラ』のシャルロット・ゲンズブール、クリスティーナの妹には『十七歳のカルテ』のクレア・デュヴァルが扮している。

ストーリー




 ニューメキシコ。クリスティーナ(ナオミ・ワッツ)は、ドラッグに依存していた過去を断ち切り、今では優しい夫と幼い2人の娘に囲まれ幸せな生活をおくっている。
 前科を持つジャック(ベニチオ・デル・トロ)。信仰に没頭することで心の平穏を保っている彼は、クジで当たったトラックも神が与えてくれたと信じて疑わない。貧しいながらも真面目に働き、妻マリアンヌ(メリッサ・レオ)と2人の子供を養っている。
 大学で数学を教えていたポール(ショーン・ペン)は、余命1ヶ月と宣告され、唯一の治療法である心臓移植の順番を待つ身。別居していた妻メアリー(シャルロット・ゲンズブール)はポールの病状を聞きつけ家に戻り、彼が死ぬ前に子供が欲しいと願う。

 ある日、クリスティーナに一本の不幸な電話でかかってくる。病院に駆けつけた彼女を待っていたのは、トラックに轢き逃げされた娘の夫の死の知らせだった。悲しみのあまり自分の殻に閉じこもり、すべてに無気力になってしまうクリスティーナは、やめていたドラッグにもまた手をだしてしまう。
 クリスティーナの家族を奪った犯人、その人物こそジャックであった。とっさに逃げた彼だが、3人の死を知ると、妻の制止を振り切って警察へ出頭。神から贈り物のはずだったトラックは、皮肉にも彼を絶望の底へと陥れたのだ。ジャックは、神に“裏切られた”怒りを面会に訪れた牧師にぶつけた。
 3人の命を奪った事故は、しかし1人の男の命を救う。クリスティーナの夫の心臓はポールへと移植された。しかし手術が成功すると、ポールとメアリーの心の溝は以前のように広がりはじめる。別居中に妻が中絶したことを知ったポールは、二人の愛がすでに終わっていることに気付いた。

 そんななか、調査会社を使いドナーの身元を突き止めたポールは、幾日もクリスティーナを見守り続けた末、思い切って声をかける。冷たくあしらうクリスティーナだが、やがて彼女の心をいたわり、温かく包み込むポールに心を開いていく。ついにポールが自分の心臓のことを告白すると混乱のあまり激怒するが、彼のまっすぐな想いは、すでに彼女の心に届いていた。しかし、ポールを愛し始めたことで、感情を取り戻し始めたクリスティーナは、あらためて失くした愛の重さに身も心も引き裂かれていく。悲しみを終わらせるために、クリスティーナはポールにジャックを殺してくれと頼んだ。
 一方、証拠不十分で釈放されたジャックは、その意味を知る。自分で自分の罪を裁かねばならないのだ。真夜中、息子が欲しがっていたハムスターの籠をそっと彼の枕元に置き、ジャックは家を出た。遠く離れた町で答えを探すために黙々と働くジャック。
 1つの心臓が、遂に3人の運命を引き寄せる……。

スタッフ

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
製作:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ロバート・サレルノ
製作総指揮:テッド・ホープ
脚本:ギジェルモ・アリアガ
撮影:ロドリゴ・プリエト、フォルトゥナート・プロコッピオ
美術:ブリジット・ブロシュ
編集:スティーヴン・ミリオン
音楽:グスターボ・サンタオラヤ

キャスト

ショーン・ペン
ナオミ・ワッツ
ベニチオ・デル・トロ
シャルロット・ゲンズブール
メリッサ・レオ
クレア・デュヴァル
ダニー・ヒューストン

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す