原題:Good bye, Lenin!

ドイツの歴代興行収入を塗り替えた大ヒット作!!

第53回ベルリン国際映画祭最優秀ヨーロッパ映画ブルー・エンジェル賞、ドイツアカデミー賞、7部門受賞

2003年2月13日ドイツ初公開

2003年/ドイツ/121分/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル 配給:ギャガ・コミュニケーションズ Gシネマグループ

22004年10月16日よりDVD発売開始 004年11月05日よりビデオレンタル開始 2004年2月21日より恵比寿ガーデンシネマほか全国順次ロードショー

公開初日 2004/02/21

配給会社名 0025/0145

解説


2003年2月、ドイツ中がこの1本の映画に笑い、そして泣いた!ベルリン映画祭で最優秀ヨーロッパ映画賞(嘆きの天使賞)を受賞。ドイツ国内で公開されるや、たちまち歴代の興行記録を塗り替えるメガ・ヒットを飛ばし、その年のドイツ・アカデミー賞の9部門を独占した『グッバイ、レーニン!』。ベルリンの壁崩壊から東西ドイツ統一にいたる過程で劇的な変化を遂げた東ベルリンを背景に、病に臥した母のために世界が何ひとつ変わっていないフリをする必要に迫られた青年の涙ぐましい努力を綴ったこの作品は、優しさと切なさ、極上のユーモアと清々しい感動が、ギュッと1本に凝縮された珠玉の感動作だ。
舞台は、1989年、ベルリンの壁崩壊直前の東ベルリン。主人公は、テレビ修理の仕事をする心優しき青年のアレックス。事件は、東ドイツ建国40周年を祝う盛大な式典が行われた10月7日の夜に起こった。改革を求めるデモ行進に参加したアレックスの姿を、誇り高き愛国主義者の母が目撃。ショックのあまり心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまったのだ。母が奇跡的に意識を取り戻したのは、それから8ヵ月後のこと。「もう一度強いショックを与えたら、命取りになる」。医者からそう忠告されたアレックスは、母を自宅に引き取って、東ドイツの体制がずっと続いているフリを装うのだが……。
ビルにコカ・コーラの垂れ幕がかけられ、国営の食料品店が大手スーパーに姿を変えていくなか、時代の流れと逆行するように、東ドイツ製のピクルスを探し求めて街を奔走するアレックス。母を失いたくないという必死の思いから、ニセのニュース番組をでっちあげるまでに芝居をエスカレートさせていく彼の奮闘ぶりを、快調なテンポで描き上げていくドラマは、たまらなくおかしく、そして、ジワリと心にしみてくる。母に寄せる息子の愛。そのベーシックなテーマの陰に潜むのは、壁に分断された家族の悲しみの歴史であり、ひとつの国家の終焉と共に失われたものを検証しようとする真摯な試みだ。そのうえで、「人々が幸せに生きる社会とは何か?」という問いかけがポジティヴになされていく。本国ドイツでは東西統一の格差から来るわだかまりを溶かし、社会現象を巻き起こして大ヒットしたが、人と人との心のつながりが希薄になった現代日本においても、この映画は見る人それぞれの胸に、特別の感慨を呼び起こすことだろう。
誰もが好きにならずにはいられない好青年のアレックスを演じるのは、2002年の『Nichts bereuen』に続き、本作でドイツアカデミー賞の主演男優賞を受賞したダニエル・ブリュール。その母クリスティアーネに扮し、忘れられない名演を見せるのは、
東ドイツ出身のベテラン女優カトリーン・ザース。また、アレックスと恋におちるロシア人看護婦の役で、『ルナ・パパ』『ツバル』のチュルパン・ハマートヴァが出演。今回もハツラツとした個性を輝かせている。
監督は、『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクヴァ、本作の製作をつとめたシュテファン・アルントらと共にXフィルムを創設し、ドイツ映画界の旗手として活躍するヴォルフガング・ベッカー。今回、ベルント・リヒテンブルクと共同で脚本の執筆も手がけた彼は、ベルリンの壁崩壊前後の史実を普遍的な家族の物語に織り込むストーリー・テリングに、類いまれな手腕を発揮。ドイツ映画のクオリティの高さを見せつけ、早くも来年のアカデミー賞外国語映画賞ドイツ代表に決定した。撮影は、そのベッカーと全作品でコンビを組んでいるマルティン・ククラが担当。編集は、本作でドイツ・アカデミー賞最優秀編集賞を受賞したぺーター・R・アダムが手がけている。彼らドイツの気鋭のスタッフに混ざり、『アメリ』のヤン・ティルセンが音楽として参加。登場人物の心の機微を伝える名スコアを提供していることも、本作をめぐる話題のひとつだ。

ストーリー



アレックス(ダニエル・ブリュール)は、東ベルリンのテレビ修理店に勤める青年。彼の父は、10年前に家族を捨てて西側に亡命。その反動で西側を嫌悪するようになった母のクリスティアーネ(カトリーン・ザース)は、東ドイツに忠誠を尽くす愛国主義者の道を邁進していたが、アレックス自身は、世の中の変化を敏感に察していた。東ドイツ全土で改革を求める大規模なデモの嵐が巻き起こったのは、建国40周年を祝う盛大な記念式典が行われた1989年10月7日の夜のこと。アレックスも、東ベルリンの街路を行くデモ隊の列に加わったのだが、警官ともみあう彼の姿を、偶然にもクリスティアーネが目撃。ショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。それを自分の責任だと感じたアレックスは、意識のない母に毎日のように語りかけ、必死に看病を続けた。
その間も、歴史の歯車は急速に回転し続けた。11月9日、ベルリンの壁が崩壊。たちまち東ベルリンには資本主義の波が押し寄せてきた。さっそくバーガーキングに勤め出したのは、アレックスの姉で、バツイチ&子持ちのアリアネ(マリア・シモン)。アレックスも、テレビ修理店が閉鎖されたことから衛星アンテナのセールスマンに転職。西側からやって来た映画オタクのデニス(フロリアン・ルーカス)とコンビを組み、サッカーのワールドカップをダシにアンテナを売りまくる。私生活では、母の見舞いを通じて仲良くなったロシア人看護婦のララ(チュルパン・ハマートヴァ)という恋人もできた。
クリスティアーネが奇跡的にめざめたのは、昏睡状態に陥ってから8ヵ月たった1990年6月のことだった。「もう一度、強いショックを与えたら命取りになる」。医者の言葉に、東ドイツの崩壊を知ったときの母のショックを思い浮かべるアレックス。病院にいれば、遅かれ早かれニュースが伝わってしまう。そう考えた彼は、母を自宅に連れ帰り、世の中が何ひとつ変わっていないフリをしようと決意した。
それは、予想以上に困難が伴うものになった。スーパーに取って代わられることが決まった食料品店の棚は、西側の商品で埋め尽くされ、東ドイツのコーヒーやピクルスはもはや手に入られない。このピンチを、ゴミ箱から拾い集めた古い瓶に中身を詰め替える作戦で乗り切ったアレックスだったが、「テレビが見たい」という母の要求には、さすがに困り果ててしまう。それを救ったのは、明日のキューブリックを目指すデニスだった。彼の編集したニュースをビデオで流すことで、アレックスは、とりあえず母の目をごまかすことに成功する。
ところがある日、緊急事態が発生する。少し具合のよくなったクリスティアーネが、アパートの外へ出てしまったのだ。中古車屋に西側の車が並び、街にはコカ・コーラなどの企業の看板が建ち並ぶ光景に唖然とするクリスティアーネ。あわてたアレックスは、デニスの協力をあおぎ、「西ドイツの難民を、東ドイツが受け入れている」というニュースをでっちあげる。資本主義の競争社会に疲れ果てた西側の人々が、新たな理想を求めて東ドイツに移住してきたという作り話を聞いて、クリスティアーネは満足の微笑みを浮かべた。
外の世界でドイツ再統一に向けての準備が着々と進む中、一家は郊外にある森の小屋に出かけた。もはや芝居が限界に来ていると感じたアレックスは、ララやアリアーネがすすめるとおり、この場で母に本当のことを打ち明けるつもりだった。が、先に告白モードに入ったのは、クリスティアーネのほうだった。彼女の口から語られた衝撃の真実—それは、10年前の父の亡命にまつわるものだった……。

スタッフ

監督・脚本:ヴォルフガング・ベッカー
音楽:ヤン・ティルセン
脚本:ベルント・リヒテンベルク
共同脚本:ヴォルフガング・ベッカー
製作:シュテファン・アルント
編集:ピーター・R・アダム
撮影監督:マルティン・ククラ
美術:ローザ・ホラー
衣装デザイン:アンヌ・プラウマン

キャスト

アレックス:ダニエル・ブリュール
アレックスの母(クリスティアーネ・ケルナー):カトリーン・ザース
ララ:チュルパン・ハマートヴァ
アリアネ:マリア・シモン
デニス:フロリアン・ルーカス
ライナー:アレクサンダー・ベイヤー
アレックスの父(ローベルト・ケルナー):ブルクハルト・クラウスナー
シェーファー夫人:フランツィスカ・トレグナー
クラプラト校長:ミヒャエル・グヴィスデク

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