原題:anna wunder

60年代ドイツ郊外。 大人になる…夢と希望を求めアンナは国境を越えた—。

2000年/ドイツ/カラー/ビスタサイズ/98分 配給:パイオニア映画シネマデスク 製作:パンドラ・フィルム、C-フィルムズ

2003年9月6日よりポレポレ東中野にて新館オープニングロードショー

公開初日 2003/09/06

配給会社名 0147

解説



1960年代初めのドイツ郊外の田舎町—11歳の少女アンナは母親と幼い弟の3人で暮らしている。アンナの父親は戦死したと母親から聞かされていた。母親のソフィーは愛する夫を失ってから仕事もせずに酒に溺れる毎日で、当然のごとく生活は苦しく、途方にくれていたある日、アンナはソフィーから死んだはずの父親が実は生きている事を聞かされる。母親の想い、自分の想いを胸に父親を探すためアンナは一人国境を越える。しかし、そこには意外な事実がアンナを待っていた。アンナはほんとうの父親に会えるのか?アンナの瞳に映るのは…。

魅惑のキャスト陣

主人公のアンナを演じるのは、ドイツ国中でのオーディションによって抜擢され、本作がスクリーンデビューとなった、アリス・ディーケリング。デビュー作とは思えない演技もさることながら、彼女の大きく力強い瞳が、主人公アンナの辛く苦しい生活の中でも明るく前向きに生きる様を一層際立たせている。
アンナの母親ソフィーを演じるのは、オランダ出身で、ポール・バーホーベン監督作品やハリウッド作品の出演等、国内外で活躍しているベテラン女優のレネ・ソーテンダイク。監督は本作が長編映画初監督となる、ウラ・ヴァグナー。初監督とはいえ、これまでのTV作品や短編映画の製作、演出、脚本、編集の経験を生かし、60年代ドイツの田舎町の風景や人々の生活を見事に再現し、母と娘、男と女の愛の物語を女性らしい視点で描いている。

物語の舞台−1960年代ドイツ

第二次世界大戦敗戦後、ドイツはヨーロッパにおける米ソ冷戦の象徴となった。40年代末、戦後処理問題の対立からドイツ国内のそれぞれの占領地帯において主権の主張が行われ、1949年のボン基本法制定によりドイツの東西分裂が起こった。その後、1955年の西ドイツのNATO加盟、東ドイツのワルシャワ条約機構加盟により緊張状態が一層高まり、1961年『ベルリンの壁』が構築された。西ドイツ成立の1949年に首相の座についたキリスト教民主同盟(CDU)のアデナウアーは1963年までの14年間の長期政権の間、フランスとの友好関係を軸に西ドイツの主権回復に成功し、西ドイツは日本と同様の奇跡的な経済復興、高度経済成長を遂げていくことになった。

ストーリー


少女アンナの瞳に映る母と娘、男と女の愛の物語

1960年代初めのドイツ郊外、草原を駆け抜ける少女、立ち止まった池のほとりにはカエルの卵が艀ろうとしていた。少女の名はアンナ、11才。母親のソフィーと幼い弟のローリーと小さな田舎町に住み、父親が家にいない事を除けば、親子3人明るく毎日を過ごしている。父親であるはずのフリッツの記憶はアンナにはない。ソフィーから聞かされたのは戦争に行って戦死したこと、近所の工場を経営している短気なフランツの弟であったということだけだった。
父親がいない事にアンナ自身不満はなかったが、気がかりなのは愛する夫を失ってから仕事もせずに酒に溺れる毎日を送る母ソフィーの事だった。当然のごとく生活は苦しく家賃は滞納し、アンナが中学に進学する資金にも困っていた。アンナもソフィーも何とか今の生活から抜け出したかったが、父親のいない家庭に社会は冷たく絶望的だった…。
そんな時、ソフィーはアンナにフリッツが実はまだ生きていて、フランスのどこかで暮らしている事を告白する。『死んだはずのパパが生きている!』一アンナは嬉しかった。いっか父親に会える事を夢見て前向きに生きて行ける。いっかのカエルの卵もおたまじゃくしに成長していた。ソフィーもアルコール中毒での入院から回復し、家族が幸せになりかけたある日、一通の手紙がソフィーの元に届いた…。
手紙はフリッツからであった。そこにはもうソフィーとアンナの元に帰る想いがない事が書かれていた−。絶望から酒を浴びるように飲み命を絶ったソフィー、ローリーとはなればなれに暮らす事になりフランツに保護されるアンナ、二人の想いは同じだった。愛する夫、まだ見ぬ父親フリッツに自分の想いを伝えたい。そして、わたしも、おたまじゃくしがカエルに成長して自由に跳び回る様に、幸せに暮らしたい。
そう思った時、父親に会いに行くためにアンナは一人国境を越えていた。
しかし、そこには意外な事実がアンナを待っていた。アンナはほんとうの父親に会えるのか?アンナの瞳に映るのは…。

スタッフ

監督・脚本:ウラ・ヴァグナー
製作:カール・バウムガートナー、クリストフ・フリーデル
撮影:ヨランダ・ディレウスカ
音楽:トマス・オスターホフ

キャスト

アリス・ディーケリング
レネ・ソーテンダイク
シュテファン・デルグリュン
ゲッツ・シューベルト
フィリップ・ペータース

LINK

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